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[メッセージ、には目を細めて]
……ああ、そういうのもあったらしい、な。
さてな、見るからに、って奴がするとも限らねえ。
見てくれじゃわかんねえだろ。
昨日の学者先生みたいによ。
[そう言って見やる。
誰かが酒場に足を踏み入れても、視線一度向ける程度に過ぎないだろう]
どう足掻いても、ヘルムート・フォン・ティークは作家なのね。
おじさまの言葉を聞くとそう思うわ。
[ヴィリーが銀の短剣を渡されたことは知らず]
[理があると言われたのなら、微かな頷きを]
[理はあれども、それのみが真実を表すとは限らないのだから]
[宿に入ったのなら、其の場に居る人間の顔を見回して]
[挨拶の声は投げずに、奥の壁に背を預ける]
[喪に服す色彩を纏う男は、唯、眼差しを伏せる]
ふよふよ…してましたか。
浮いてると楽なので、つい。
[指摘され、きょろりと辺りを見回し。
そう言いながら地に足をつける。
続くライヒアルトの言葉と、集まってくる面々に。
世話になったヴィリーとフーゴーが無事であるように、と胸の内で呟いた。]
ああ。
[一抹の不安は、昨日の今日で自分がどこまで出来るかということ。だが泣き言を言っている余裕も当然無かった。
重ねられた手に僅かに唇を緩め、酒場の扉を開いた]
―酒場―
[服喪を感じさせる装いのヘルムートが最初に視界に入った。これまでとの差異が心に沁みる]
…もう、皆知ってるみたいだな…。
[小さく呟いた]
俺は作家のおめぇしか知らねぇからな。
[ヘルムートへ返しながら、フーゴーはカウンターに入らず集まる者達を見やる]
もう知ってるかも知れねぇが、今朝ゲルダが人狼に襲われたのが発覚した。
人狼は、まだ居る。
今日もまた処刑しなけりゃならねぇ。
[そこまで言って一度言葉を切り。視線をアーベルとユリアンに向けた]
誰かを調べたってのがあるなら、教えて欲しいんだが。
[あるか?と視線で訊ねる]
─酒場─
[中に入ると、昨夜は動揺して置き去りにしていたぶち猫がすぐさまこちらに駆けてきて、擦り寄る。
銀の鈴が、ちりん、と音を立てた]
あ……ごめんね、ツィン。
[その様子に苦笑しつつ、内部を見回す。
壁際のヘルムートの姿には、きょとり、と瞬きをしたりして。
フーゴーの発した言葉に、既に知れているのだと改めて感じて、みたいだね、と呟いた]
……そんなら、占ってみるかい?
お前さんの力とやらを使って。
[ニヤリ、口角をつり上げ笑む。
何処か挑発的な笑み。
扉が開いたなら、そちらに視線は移る]
[チラリと地に足を付ける、
生前騎士だった男を見やり]
…――好きになされば、いいと思いますよ。
[云いながら生前学者だった男は、
生前と同じように椅子には座れないが故、
真っ直ぐに立ち、視線を戻し事の成り行きを見守る。
――その胸中は、無表情が為に周囲からは、
おそらく何も窺えないまま。]
[リッキーに差し出したそれがまだカウンターの奥にそのままになっているのを見れば、視線を送って]
知ってるよ。随分騒々しかったから。
占ったのはヴィリー。
真珠の色は、白。
[悪いね、と言って小さく肩を竦めた]
ほんと、あんたを占うべきだったかもな。
へえ……人狼だってばらされてから泣いても遅いぜ?
[ウェンデルの挑発には口許だけの笑みで返した]
ユリアンは、ヴィリーで人間って結果か。
[告げられた言葉に軽く瞳を細める。アーベルの返答には視線をやってから]
これ以上は無理そう、か?
……占い師は日に一度しか結果を出せないんだったな。
[アーベルは既に死す前のライヒアルトを視ている。故に無理なのだろうと当たりを付けた]
…結局のところ人狼らしい奴は見つかってないってことだな。
ユリアンからすればウェンデルとヘルムートのどちらかが人狼と言うことになるが、どう思う?
…いや、選択肢にはアーベルも含む、か。
[言い直しつつ、ユリアンへと視線を向ける]
どうしても決まらないようなら、今日こそ投票で決めることになる。
情報は少ないかも知れないが、皆も良く考えてくれ。
誰を信じ、誰を疑い、……誰を処刑するかを。
[その無表情が、ほんの微かに動いたのは]
本当に、貴方らしいと云えばそうですが。
貴方らしくも、ないですね。
[ただ一方的に聞こえるだけの囁きの内容を受けて。]
…―――。
[首を傾げて、その人を少しの間見つめた。]
―宿屋―
――リィちゃ……、
[不意になった鈴のおと。居るはずのない人の名前を口に出しかけて。
すぐに口ごもった。
そのさきに居たふたりに向けるのはあいまいな笑み]
[フーゴーの視線を受け、無言でケースを取り出した。
いつもの文言もなく、一枚だけを引き出し表にする。
そこには何も描かれていなかった]
……やっぱり、駄目か。
悪い。そうなる。
[唇を噛んで頭を下げた。鉄の味が広がった]
ハ。
残念ながら、俺は違うんでね。
その心配はねぇんだよ。
[ユリアンのほうは見ない。
態度はいつもと変わらず、尊大なもの]
……だから、
妙なコト言うようなら、容赦するつもりもねぇ。
[その時だけ、僅かに声は低くなった]
……無理、したらだめ、だよ?
[唇を噛んで頭を下げるアーベルの様子に、小さく呟いて。
それから、ぐるり、と酒場の中を見回し。
曖昧な笑みを浮かべるヘルムートの様子に気づくと、僅かに眉を下げた。
ぶち猫も同じよにヘルムートを見やり、にぃあ、と一鳴き]
[処刑、という言葉が聞こえてきて。
きゅ〜ん…と鳴きそうな表情で、周りの生者たちを見回す。
できることなら、己のように人狼でない者が傷つけられる事がないように。
かなうならば、誰かわからない人狼も、苦しむ事がないように。]
[フーゴーの問いには暫し黙し]
そうだなあ。
アーベルは単純に狂った、とするよりも仲間を差し出した、と考えるか。ただ銀で止めをさしてるあたり判断に困る。
狂っただけの人間かねえ…悪いが未だ判断付かないな。
ルーミィさんは…ありゃあ何だ?
まるで喪服みてえなんだが。死んだ仲間への弔いのつもり、としたら正気じゃねえな。
ウェンデルは…――明日占うつもり。
それが希望らしいんでね。ここかと踏んでるが。
[まあ俺が生きてたらな、と締め、名をあげた面々を見遣った]
…分かってるよ。
[クロエの呟きに、痛恨の表情を浮かべながら頷く。
フーゴーの問いかけには深く息を吸い込んで]
……カヤ。
[言いたくは無かった。けれど]
ユリアンが庇った可能性を考えると、だ。
ヴィリーも条件は同じだが…。
今の彼が演技をしてるようには、どうにも思えない。
他には情報が無さ過ぎて。分からない。
[アーベルの声に眉を顰める]
…カヤを俺が庇った、だって?
はっ、何が楽しくて俺があいつを庇う必要があるんだ。
あいつは人間だ。間違いねえ。
[言えど、意味を成さないとは理解できていたが]
[尖らせた視線をアーベルに投げた]
そうかい。
[ユリアンの返答に一度そう返して。少し思案した後に口を開く]
その答え方だと、今日の処刑希望が無いように聞こえるが。
それとも何か、おめぇは自分で人間と判断した奴を処刑対象に上げるつもりでもあるのか?
それに、ルーミィが人狼だった場合、正気じゃねぇと思うのは何故だ。
おめぇの言い方だと、人狼は他者を、仲間を弔わないと知ってるような言い方だが。
[違和を感じた部分を上げ、更に問い直す]
[フーゴーの問いに、目を伏せる。
すぐ側から紡がれた名に、微かな震えが走るのは、止められなかった]
……ウチからすれば、四択、か。
[カヤ、ウェンデル、ヴィリー、ヘルムート。
信じる者を定めた現状、狼の疑を向けるのはこの四人。
自分的には、誰も彼もがやり難い相手ではあるが]
……これでもまだ終わらないなら。
次は俺も神父さんを占う。
[硬い顔でウェンデルを見て、ユリアンを見た]
人狼に組するなら庇ってもおかしくないだろう。
…自分で確認できるなら、当然そうした…!
―宿屋―
[眉を下げるクロエと視線があったのなら]
[すぐに其れは逸らされて、白手袋が口許に当てられた]
[二人の占い師の言葉には、静かに耳を傾けたが]
喪服には違いないわ。
古くからの知り合いを二人も亡くしたのだもの。
[正気でない]
[其の言葉自体には否定をしなかった]
おじさま。
あたくしの意見もベルちゃんと同じよ?
理由もさっき言った通り。
[説明を割愛し、端的な言葉を]
[唇を噛んで下を向いたアーベルには、「無理するな」とだけ声をかけ]
その考えは一理ある。
何よりおめぇはまだカヤを視てねぇからな。
[ルーミィも同じことを言っていた、と言うのは出て来なかった。彼らが同じ理由に至る何かはあるかと考える]
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