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−中央部・教会−
[祭壇の奥、神さまの御姿を画いた絵を、虚ろな緑の眼で見つめます。
礼拝堂のうちはがらんとしておりまして、誰も居ませんでした。魔の施した結界により皆の心の流れは変り、力のないものはそこに近寄らず、そして変ったことに気附かず、不思議にも思わないことでしょう。]
……主の、御心のままに。
[小さなくちびるは聖なる句を紡いで、左の手は絵に触れようと持ち上げられました。けれども、しゃらりと鎖が鳴ったものですから、びくりと震えすぐさま引いてしまいました。何べんか、左右に首を振ります。]
……なぜ?
[それは誰に対する、なんの問いかけだったでしょうか。]
どうして?
[ぐるぐると回って気持ち悪いのは視界でしょうか、からだを巡る力でしょうか、頭いっぱいに溢れそうな感情でしょうか。]
わからないよ。
[応えるものはありません。]
―現在・図書館―
[...は閲覧コーナーで本を読みふけっていた。
『精霊使い虎の巻』『サルでもわかる属性の秘密』などの題名が見て取れた]
[こっそり持ち込んだアンパンを食べながら、
今は「探偵手帳vol2」にいろいろ調べたことを纏めている]
[ここ二三日...の側に彷徨ってた蝶の姿はいない。
呼べばきっとすぐに来るはずだが...にその気はない]
しかし……むう。
全然わからない。僕ってサル以下?
[...は気を抜くとやってくる眠気と戦いながら、
*必死にページをめくる*]
−西の桜の大樹−
[アマンダはあっさり甘味を食べ終え、桜の樹へとやってきていた。
ミハエルには普通女性は食べられないどうこう言われていたが、アマンダは女性じゃないので気にしない]
…うん、大丈夫。
ティルはちゃんと生きてるよ。無事…ではないけど。
[アマンダに樹の言葉は判らない。
大地を通して感じた不安にも似た何かを宥めるように、幹を撫でる]
[アマンダは大地に片膝を付き、手の平を当てる。
花曇りゆえか人影はほとんどなかった。嵐が来るのかも、しれない]
…さあ、落ち着いて……、あれ?
[微かな違和感。
桜の樹の根元。
意識を伸ばして、撫でるように優しく触れる。硝子の感触]
[その硝子から伝わるのは、結晶の間に沁み込んだ――翠樹の力。
アマンダは細心の注意を払い、その硝子を手元へと引き寄せる。
手の平に収まったそれを良く見れば、ティルがいつも首から下げていた硝子の小瓶だと、わかった]
…どうして、ここに…?
ううん、そうじゃない…君はまだ、ここにあるべきではないんだよ。
[アマンダは、何かを内へと秘めた小さな硝子の小瓶に語り掛ける。
そして、大地と風の場を整えて。
それを終えれば、持ち主の下へと*小瓶を運んで行くだろう*]
[ゆると目を開く、苗床は、何を見るのか。
ダウン状態の火の竜は見ていないだろうか。
その頬に透明なしづくが伝い、]
“ ”
[昔あいした人の名がこぼれた。
*小瓶は今は手元になく*]
─喫茶室─
[とろとろと見るのは、浅い夢。
色とりどりのおはじきを乗せた天秤。
ちいさな指が、それをつまみあげ、
揺らいで傾ぐ秤に首を傾げる気配。
下がった方をひとつ摘むと、もう片方へと秤は傾いで。
ひとつとり、ふたつとり、右へ左へ秤は揺らぎ。
揺らぎが止まったその時には、秤の上はどちらも空っぽ。]
−→Kirschbaum−
[アマンダは、ゆっくりと扉を開ける。
けれども来客を告げるベルは、小さく空気を振るわせる]
…こんにちは。
起こしちゃった、かな…?
[ソファーの二人に視線を投げる]
…んぁ。
[雷の大きな衝撃で、そのまま気を失っていたが、水音で目を覚ました。
自分の上の蛇に、生命の気は感じられない。
死んでいるようだった。]
…重い。
[生きていたモノが死んだからといって重さが変わるはずもなく。
やはり、這い出す事はできないままだった。]
…?
[ふと、昨日よりもずっと近くにあの「声」の気を感じる。
同じこの地に、来たのだろうか?]
…何も出来なかくて、ごめんなさい…
[ぽつり、呟いて。
そのまま再び色々な傷を癒す為、*眠りに落ちた*]
[未だ癒しの夢の中にある火の竜の邪魔はせず、小瓶の持ち主へと近づいていく。
瞬きに気付けば微笑みを。既に零れ落ちたしずくには、気付かない]
おはよう、ティル。
気分はどう? 何か、欲しいものはある?
[冷たいものでも、と傍にかがみこんで問う]
[アマンダは片手を伸ばし、ティルが起きるのを手伝おうとする。
ちょうど視界の端で、ダーヴィッドが手を額へと運ぶのが見えた]
…あ。…ゴメン、ダーヴ。起こしたかな?
[倒れないよう背を支えたまま、首をかしげて声を投げる]
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