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[緑は揺らめいて、呟きを零すカルメンを見る。]
僕は、ダーヴィッドさんに、生きて欲しいと思うよ。
[願いはダーヴィッドにも。
自分を殺した彼だからこそ――生きて欲しい。
嗚呼、それは美しいだけの気持ちではないけれど。
自分の生を奪った彼だからこそ、
生きることで、苦しんで欲しいという想い。
勿論、クスリの副作用でそうなったなら、
開放されて欲しいという気持ちもあるけれど。
物理的に砕けた人格は、どこまで治るのか、
医師の卵だった者としては、考えるところはあった。]
[AveMariaも。
エーリッヒの声も。
そしてヴィヴィへ向けられる全ての声も。]
……まるで、鐘の音。
[ぼそりと呟いた言葉に集約された。
遠く高い位置にあった、音。]
[誇り高き星、貴方は迷わないと言う言葉には、複雑な表情で口端を持ち上げた。]
ノーラ。
これを──ブリジットに見せて欲しい。
説明は、ライヒアルトがしてくれる。
[ポケットから解析したばかりの薬物のデータが入ったチップを出し、まだ残りの薬物が入った襟元のサファイアのタイピンをノーラに手渡した。]
そんなの、知ってる。
[薬を投与されている。だから、聞いた。本当に自分の言葉なのかと]
だから、聞いたの。だって、薬のせいなら、仕方ないって、まだ、思え、る。から。
失ったら、もう、元に戻らないの。
それを、ダーヴィッドさんも、知ってるはずだわ。
[戻らない、戻らない、戻らない。彼も、彼女も皆]
ダーヴィッドさんは、助かるつもりは、ないのね。
どうして? 何もないから? 私だって、なかった。けど、ノーラさんのために、みんなのために、生きようって思った。
違うの。私、ダーヴィッドさんを責めてるのは、エーリッヒさんを殺したからじゃない。
それは、悲しいことだけど。でも、奪って尚、自分の命まで見限るなんて、そんなの。
[危険。一緒に、は、わがままなのだろうと思う]
失いたくないのは、みんなだもの。
[二人で話がしたい、その言葉に顔を上げて、こくりと、頷いた]
ヘルムートさん……。
ごめんなさい。
[言い過ぎたかもしれない、と少し思った。けれど、ハインリヒをさっき失った少女にとって、「失う」事は何より、辛かった]
[紺青は、虚空を見つめて一つ咳をした。]
[もう、咳を引き起こす原因はないのに。
まるでそれが癖になってしまったかのように。]
[ノーラと共に、部屋を出ようとする]
私、ね。ダーヴィッドさんの手が、言葉が、温かくて優しかったこと、知ってるの。
表情で、言葉で嘘はつけても、体は嘘をつけないの。
[ダーヴィッドに、告げてノーラに行こうと握った手を引っ張った]
>>93 [少女の話をきいているけれど、
段々と、理解ができなくなる。
薬のせいかどうかも、もう、わからない。もともとの自分がどうだったのかも、わからない。
ただ、ダリアが枯れる様子が見えて、炎が見えて、
のどが渇いた。
少女の言葉はどれも真実なのだろうけど、
……]
戻らない。
[時間も、命も……]
>>94>>95
………さよなら
[過ぎゆく二人にはこれしか言えなかった。]
ベアトリーチェは良い子だね。
本来なら親元で庇護されている年齢なのに、
ひとりで立って、ずっと皆の事を考える。
きちんと話が出来たら、
ダーヴィッドと一緒にヘリに乗れる。
少しの間だけ、私に任せて欲しい。
さよならは、しない。
[そう言った後、椅子に腰掛けたダーヴィッドに視線の高さを合わせて、床に膝を付いた。それから、乱れたダーヴィッドの赤毛を撫でた。]
鐘の音です、か?
[カルメンの言葉に、微かに首を傾げる。
自分にはそんな音は聴こえない。
哂う女性の顔を見詰める。
先ほど少し考えたことを思う。
死する事で、どれだけクスリの影響から開放されるのか。
オトフリートを見やる。
カルメンと比較する。
けれど、それは想像の域を超えない。
頭を少し掻く
――鐘の代わりに、誰かが咳く音が聴こえた。
音のした方に、緑の視線を向ける。]
[ダーヴィッドの別れの言葉に、悲しそうな顔をして]
ヘルムートさん、お願いなの。
あきらめるのは、。
[駄目だと言おうとしてやめる。切なかった]
議員……汚れます。
[>>97 髪を撫でてくる手に、薄目を開けて、
名前を呼ばれて、
乱れた息の中、そう伝える。
もう
この人をこれ以上、裏切ったり、穢したくはないから。]
[杖の先に、当たる石とは違う感触のもの。動く。さらに、どこかから落ちてくる、音が二つ]
蛇?
ノーラさん、先に行って。
[怖く、ない。そう思って杖を握りしめる]
[ノーラの声と、蛇を裂く音。歩く音で、足が悪いのはわかっていた]
私の目が見えたら、ちゃんと護れるのに。
[体調だって、悪いわけではない。せめて武器があれば、と思った。けれど、使い慣れないものを、目の見えない状態で使うにはあまりに危険で]
違う。目が見えないなら、見えないなりの護り方をすれはいいのよ。
[言い聞かせる。蛇の気配は、他にはない。落ちてきた蛇が倒されたら、すぐ先に行こうと足を踏み出せるように辺りをうかがった]
──汚れない。
[髪を直し終えるまで手を離さなかった。]
私が、自分自身を愚かだったと言ったのは、
おまえの事を、何も理解していなかった所為だ。
ダーヴィッド。
私がお前をもっと識っていれば、
ユリアン、ゲルダ、エーリッヒ。
彼等を死なせずに済んだかもしれない。
[瞬き。]
何より、お前を。
お前が私を助けてくれたように、
助けられたかもしれない。
[肩で息をして気付けば蛇は死んでいた。
レイピアを腰に戻せば、少女と再び手を繋いで
ひょこ、と右足を引きずりながら歩みを進めた。]
貴方には…何度も、助けられたのよ。
[見えないなりの護り方。
視えるなりの護り方。
それが重なるようだった。
途中、ゲルダの石像があっただろうか。
僅かな間、彼女の為に祈りを捧げ、そして前へ進む。]
…もう、つくわ。
[音を立てて研究室の扉を開くだろう。]
[ノーラの言葉に俯いて。そのまま先へと。
途中立ち止まる。手を伸ばせば、そこに石像]
ゲルダ、さん?
[先ほどの混乱の中、呼ばれていた名前。彼女も石にされたのだと知って暗く何かがのしかかる。
祈って、その先にすすむと研究室へ*たどり着いた*]
>>104
[その人の手はしなやかに動いて、
髪を整えられると同時に撫でられている感覚……
痛みの中の少しの安らぎに、思わず表情を緩んだ。]
理解……?
[でも、その人の言葉がわからなくて、
鸚鵡返しに訊くことになってしまう……。]
僕は、何も……。
[やったことは彼らの命を奪っただけだ。
ユリアンは救えなかった………。]
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