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―森―
んん、林檎ときたら赤頭巾だよね。
だけどもないから仕方ない。
[林檎を一つ、手に持って、ぱくり。つまみぐい。]
[しゃりしゃり音をさせながら、小道をゆく。]
おいしい。
って、あれ? 診療所の……あ、思い出した。ミリィって呼ばれてたね。
ミリィちゃん、やほ!
[食べかけ林檎を持った手を振った]
[傍目、真剣にキノコとお見合いしていたら、名前を呼ばれ]
……はぁい?
[とぼけた声で返事をしつつ、そちらを振り返る]
あら……ええと。
[とっさに名前が出てこないようで、ちょっと首を傾げていたりする]
散歩といえば、散歩ですねぇ。
通りを歩いていると、何故か皆さんに心配されるので、気晴らしに。
[ある意味飛んでもないこと、さらり]
林檎ですかぁ?
いただいちゃって、大丈夫なのです?
[確か、お使いがどうので話していたような、とか。
そちらの方は覚えていたらしい]
ミリィちゃんも怪我してるの?
エーリ君は怪我してたけど。
[不思議そうに様子を見やり、それから籠ごとさしだした]
こんなに一杯あるから、お好きにどうぞ。
ちゃんとたくさん摂ってきたから、これくらいだったらヨハナおばあちゃんが料理作れるよ。
[御機嫌斜めなツィムトは飼い主の声にも止まらず、未だ村を出られぬ旅人の影に紛れ見えなくなった]
……おやまァ、本当に負けず嫌いなこった。
頭が冷えたら戻ってくるじゃろし、今の内に香辛料ブレンドしとくかねェ。
[気紛れな猫と暮らすコツは放任主義とばかりに自宅に入り、秘伝の香辛料を混ぜ始める。こればっかりは年季だけでは説明できない味の秘訣]
ボクは、怪我はしてませんよ?
でも、何故か皆さん、戸締りに気をつけなさいとか、色々と注意してくださるのですよねぇ。
[こてん、と首を傾げて呟くように。
若い娘が一人で留守番、というのが問題と思い至らないのはさすがにどうか]
ああ、エーリは無茶をしたようですねぇ。
見回りするって言ってましたけど、ちゃんと休んでいるかしら。
[別れ際を思い出しながら呟き。
差し出された籠に、本当に嬉しそうににこ、と笑った]
ありがとうなのです。
お菓子になった林檎もよいですけど、採りたての林檎も、美味しいのですよねぇ。
[幸せそうに言いつつ、籠から赤を一つ手に取った]
ふんっ!勝利だにゃ!
[イモリをノックダウンしたらしい]
おいらに挑戦するとはいい度胸だにゃ!
[目を回してるイモリをてしてしてし、尻尾がぱたぱたぱた]
あーっ!尻尾、しっぽーーっ!!
[慌てて尻尾を(以下略)]
ふう、あやうかったにゃ…て、にゃって言っちゃ駄目だったんだにゃ…て、だめにゃーっ!!(じたじたばたばた)
[おちつけ]
休んでるから大丈夫だよ、エーリ君。
おばかだよね
[籠を引っ込めて、しゃりと一かじり]
うんうん、やっぱり林檎は美味しい。
しゃりしゃりするし。
つまみ食い、おばあちゃんに怒られちゃうかな。
まあいいか。
ミリィちゃんは、戸締りとかって、……よくわすれたりするの?
[枝に止まった白い鳥。
こて、と首を傾げて対決を眺めていた訳だが。
自分を見る目がきらーん、としているのに、ちょっとは危機感を覚えた。
かも知れない。
相方と同じで、妙な所鈍いのかも]
―― 森のどこか ――
[ティルは白い鳥を発見した!うずうずしている、とってもうずうずしている]
ま、待つ、にゃ。たしかあれは…
[なんとなく苦い記憶が蘇ってきたらしい]
前から、ですけどねぇ。
[「前から」が示すのが行動の事か、はたまた「おばか」という言葉なのかは不明なまま頷いて]
あんまり食べ過ぎると、お菓子が減っちゃうかもですねぇ。
……戸締り、ちゃんとしますよ?
でも、御師匠様がいない、って話すと、皆さんそういうのです。
[猫じゃんぷは、食らった記憶が新しかったようで。
白い鳥、とっさに飛び上がって回避した。
そのまま一つ高い枝に乗っかって、くるる、くるるる、と抗議開始]
……でも、そんなに心配しなくても、大丈夫だと思うのですよねぇ。
[真顔で言われても、やはり危機感ナシ]
ですねぇ、あんまりお待たせするとよくないですし。
……あ、ボクは、リーリエを迎えにいかないとならないので、また後で、ですねぇ。
[林檎、ありがとうです、ともう一度笑って。
のんびりとした足取りで、木々の奥へと足を向ける]
みゃぎ!
[がっしと爪を食い込ませて枝にしがみついた。一つ上の枝で抗議する鳥に向かって、右腕を伸ばしてあたっくあたっく]
みゃ!みゃ!
[ぴょこん、と耳が出ました]
[木の上の攻防戦はある意味ほのぼの?
相手が自由に動けそうにない、と見切った白の鳥、枝からぴょいぴょい飛び上がる事であたっく回避]
……さぁて、と。
リーリエ、どこまで行ったのかしら。
[相方は相方で、のんびりのんびり、移動中。
一応、気配はたどっているらしいが、三歩進んで以下略につき、速度は遅い]
―― 森小屋 ――
[戸を叩く音と声に目を覚まし、緩慢に身を起こして応対に出る。予想通りに受け渡された食材に、代わって礼を述べるも視線は相手から外れた]
あいつ、ヒモの素質あるよなぁ。
いや、こっちの話。
……馬鹿は風邪は引かないから平気ですって。
[手を振るも些か億劫で、それは表にも現れたらしい。
指摘の内容に先の老爺の言を思い出して、苦笑した]
みゃー!ひきょうだにゃー!
[人間の姿でなかったら、鳥の後を追う事もできたのに、と、悔しさ一杯でじたじたばたばた。ついでに尻尾も出ました、じたじたぱたぱた]
[来訪者との世間話もそこそこに切り上げ、袋に纏められた食材は分かりやすいよう居間の卓上に置く。そのまま部屋に戻りかけて、不意に外を見た]
……今のうちに行っとくか。
[ぽつり呟き、踵を返す。
錆び付いた扉の閉まる音が静寂に*響いた*]
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