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随分と放任主義な【主】だな。
……お前達の関係などわかりたくもないが。
[一緒にいたと言われても信用できないが、別々に行動していたのはおそらく事実だろうと思う。狐の言葉全てを鵜呑みには出来ないが。]
誰かが共にいて、その片方が堕天尸でないのなら。
巫女との関係は薄くなるかも知れん。
………堕天尸の力はよく判らんから絶対とは言えないが。
[刻まれた皺は深く、吐く言葉は重い。]
判らん事だらけだが、他に探す手掛かりもない。
アレは秘密主義でな。
少々手を焼くところだ。
[微塵もそう思っていない口調で、そう答え。]
堕天尸が誰かといても力を発揮できるならば、まったく意味はなくなるな。
――まァ、付き合ってやろう。
[対して猟の獲物であるはずの狐は、愉しげに。]
退屈よりは好い。
……話は聖殿でも出来る。
長老がいた方が判る事も多いだろう。
[狐の同意も得、彼等の気の変わらぬ内にと聖殿へと促す。
眠るエリカはアヤメが運ぶと仄めかしたので任せ、嫌がり逃げようとするネロの襟首を引っ掴んだ。]
…………行くぞ。
[話は通じないだろうと問答無用で湖へ向かい飛び立つ。
重みと暴れる体で湖面すれすれになりながらも、無理矢理羽ばたいて高度を取る。
元から重く、荷を運ぶに適さない翼での乱飛行。興味を引かれたか、なんとか大人しくなったネロを抱え*一路聖殿を目指す*。]
気が短いことで。
[スティーヴの様子に、愉しそうにわらう。
ネロの抵抗をくらいながらも飛び立つ様を見送り]
それならばエリカ嬢はお任せしようかね、アヤメ嬢。
お前も行くか?
[と、オーフェンに問いかける。
同じ白の翼を持つ少年の、名前を狐はまだ*知らない*]
[眠るエリカを見やった後、アヤメに視線を送る。ラウルがこっちは任せろとばかりにくるると鳴くのを見て、声をかけてきた狐に向かい]
……うん、行く
あいつがネロに…・・・何かしないか、心配、だから……
[狐の白い翼に目を惹かれつつ、頷く]
[白い翼を拡げ、空へ。前を飛ぶ紫紺の翼の動きを監視するように睨みつけながら]
生きるために……狩る……?
……嘘だ……木の実だって、いっぱいあるのに……
狩るの……楽しんでる、だけなんだ……あいつ……
[つぶやき、歯が立たない悔しさと不甲斐なさに唇を噛みしめ、*聖殿へと向かう*]
[ばさり。
自宅へ戻ると両親は元気ではないにしろ無事でいて、妹は結婚相手の所だと言うので少し安心して部屋に戻った。
頭の後ろに手を組んで薄い布団に勢い良く飛び込んでも、眠気などさっぱり来ない。]
…「虚」の気配、か――
[呟くと、狭い窓にその長い身を捻じ込んで外へ出て、桟を蹴って空中へと飛び出し。
開いた翼で風を叩いて、空へと*飛び出した*]
鷹目殿は生真面目だから、心配するような事ではないだろうよ
[気もそぞろな少年に、狐は揶揄うように声にした。
前ゆく男に届こうが、なんら気にするそぶりもない。
オーフェンの翼が広がったとき、あァなるほどと転げることば。]
お前も白か。
――なるほど。
[スティーヴについて罵るようなことばに、狐は小さく呟いた。
羽ばたく音に、*掻き消えた*]
[ 長老の話が粗方、終われば考え込む。]
……弱りましたね…。
確かに堕天尸が誰か分からぬ以上仕方ありませんが。
巫女姫殿は…それで戻ってこられるのでしょうか。
[ 巫女の力でないと清められないだろう。
そうなると、やはり封じるしか手はないのか。]
――――――…。
[ 本日、何度目になるか分からない溜め息をついた。]
−広場−
[お荷物を抱え、常にない大きな羽音を立てて舞い降りる。
既に長老の話は終り、集まる人々はそれぞれ動揺を浮かべている様子だった。]
………長老。クローディアは何を成そうとした?
[掴んでいた手を離しネロを解放し、長老へと大股で歩み寄る。
年月を重ねた顔に浮かべられた苦痛に、責める言葉はなく。
黙って事の次第を聞き、重い溜息を吐いた。]
……………目を離させるのではなかった。
ジョエルは? ……そうか。
[聖殿へと目をやり、奥歯を噛み締める。]
[長時間出しっぱなしの上、乱暴な扱いで酷くささくれた翼を翼胞へと仕舞う。
疲れた息を吐こうとして聞こえた溜息に、視線を投げた。]
………ああ、ホルストの。ロザリンド…だったか。
[肉を届けた女主人が口にしていた名を呟き、見下ろした。]
[ 思考はループし、また同じところへと還りつく。
悪循環とは上手く言ったものであり。
この長老の判断が善策だとは思えずにいた。]
・・・…おや鷹の目殿、戻られたのですか。
嗚呼、ロザリンドで間違いありませんよ。
いつもお世話になっております。
今は……そう言った挨拶は無用でしょうが。
[ 彼と巫女との関係は知るところではないが。
様子から察するに何かしらの縁はあるように感じる。]
巫女姫殿を救うには堕天尸を封じなければならない。
ですが、そのために無関係かもしれぬ者まで巻き込むのは…。
[ そう言った言葉と共に息を吐き出した。]
[少し遅れて届いた羽音に視線を投げる。
色合いの異なる二つの白が広場へと到着したのを確認し、ロザリンドへと再び戻した。]
…先程はすまなかった。
確かに、挨拶などしている状況ではないがな。
[溜息が尽きない様子を見、その言葉に眉を顰める。]
無関係でも見分けられん以上、仕方がない。
結界樹に封じても死にはしないが、堕天尸を放置すれば何人もが傷つけられる結果になる。
奴等は…世界のコトワリを崩そうとすると聞いた。
手をこまねいているだけでは、奴等の思う壺だ。
巫女の結界の効いている今捉えないと、この島は勿論他の島も堕天尸の脅威に晒される事になる。
………それでも、巻き込むからと躊躇うのか?
[ロザリンドの目を見ながら問う声は低い。]
[ 羽音に気が付き、男に倣うように空を見上げる。]
ケイジ様に……オーフェンも。
[ 軽く会釈をしていると、男から言葉が返ってくる。]
いえ、お気になさらず。
鷹の目殿の判断も正しいことだと思いますので。
見分けられない以上…ですか。
確かに害があるなら放置はできないでしょうしね。
世界のコトワリ…を。
彼等がどう思うかは存じませんが。
この状況はいただけませんね、さすがに。
[ 結界樹に巫女を閉じ込めた目的を考えてみる。]
手段を問わない姿勢は構いません。
寧ろ、巫女姫殿をお救いするならそれは善策なのでしょう。
巻き込むなんていうのもまた、言葉が違うかもしれません。
皆がそれでいいというなら、巻き込むわけではありませんし。
[ 顎に手を添えて、頷く。]
この方法しかないなら。
致し方ありませんか……。
[ そう言った声は暗く、沈む。]
[ロザリンドの答えに、深く頷く。
島の中央、結界樹の方向へと顔を向けた。
巫女が囚われている、島の守りの中枢であるその場所を。]
………早く助けてやらんとな。
『巫女の為にも……その周りの為にも。』
[心の中だけで呟き、ロザリンドの声に目だけを動かす。
だが慰める事もなく、広場の様子を鋭い目で*見回した*。]
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