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平和な学園生活を望んでいる割に、
――随分と人に対して、物騒な手段を使いますね。
[溜息混じりに言葉を返して。
――と、凛と響く声と共に、僅かな衝撃。絡めようとした鎖から、すり抜ける。
強い風と共に、細かく日差しを反射して何かが煌いた。
そのきらめきが金属片だと脳が理解すると同時に、
ぴ、と薄く紅の線が頬へ、腕へと走る。――僅かに目を細めた。]
…。金に、金の力ををぶつけた所で――
相乗するのみで、自分に返る可能性ぐらいご存知でしょう。“白虎”。
――“引”。
[相手の属ぐらい、把握しておくべきです。
低く、響く声。 その口許には薄く笑みが浮かび。
しゅるりと、球体へ戻った漆黒を翳す。
合図と共に磁力を宿した其れに、空を舞う金の欠片が吸い寄せられた。
緩く浮かぶ弧が、金属片へと映る]
…行け。
[金の比和――、同じ気を重ね、更に鋭さを増した金属片が、
言の葉と同時、相手へと襲い掛かる。]
吉凶なんて、紙一重。
最後に決めるのは、己の精神力……そんなもんだ。
[屋上を後にする背に向けて。
聞こえるかどうかは構わず、こんな言葉を投げかける。
その気配が遠のいたなら、はー……っと、息を一つ吐いて]
……にしても……どいつもこいつも。
[素で愚痴が出た]
[ぶつかり合う二つの力。離れた場所に居るとは言え、余波は多少流れてくるか。しかしそれも捨て置いたまま、事の成り行きを静観する]
……こんなことしてる場合じゃないってのに。
バランスが崩れたらどうしてくれる。
[小さな呟きは技のぶつかり合う音によって掻き消されたか。ぶつかり合った結果、吹き飛ばされたのは恭也の方で。相侮でも起きたか、と瞳を細めた。決着がついてから、座っていた状態から立ち上がり、足やハーフパンツについた土を払う]
[風を切って走る自転車の後ろで、速い速いとキャッキャ騒いでるうちに神社に到着。
ぴょんと飛び下り、きょろきょろと周りを見ていたが]
……ココかな。
…………なんとなーくヤな予感。
[そう呟くと、石段横に自転車止めてるヒビキ置いて階段を駆け上がる。]
[ともあれ、愚痴を言っている場合じゃない、と。
昨日展開した『隔離の陣』の方へと向かう。
意識を凝らし、内部を辿って]
……従姉殿?
[内に感じたのは、ずっと所在の知れなかった従姉の気配。
中にいたのか、と思いつつ、陣の外殻への干渉に取り掛かる]
…?あ、おい。
[止める間もなく石段を上がっていった様子に、軽く首をひねって。
呆れながら、烏龍茶のボトルを片手に桂の後ろをゆっくり追いかけるように石段を上がっていく。
上りきるころには桂の真後ろに追い付いただろうか]
緊急事態ですか、ら…!?
[相手の属性を単純に見抜けるほど、修行したわけでもなく。
白虎の力を借りてるだけなので金行以外が使えるわけもなく。
そんなこと言われても!と思ったけれどそれを口にする余裕など、それこそどこにもなく]
――っっ!!
[立ち上がりかけた所に返される術。
爪を変化させ、簡単な盾のようにして顔を庇うのが精一杯。
より鋭さを増した破片に腕を脇を切り裂かれて、細かな傷を幾つも負う。流れる血に、ちょっとクラリとした]
あー、そですか。
そゆことですか。うはー。
[重ねて“白虎”と呼ばれることで気付いたことが一つ。
だが今更引くわけにも行かなくて。というよりここまでやられて引けるほど人間ができてもいなくて]
物騒なのはお互い様じゃありませんかい。
[黄金の気に応え咆哮する大地の龍。咆哮に応える大地の槍。
境内の礫を跳ね飛ばしながら、蒼い木葉型の刃を打ち落としていく]
こんの、離せっ!
[腕や足に絡みつく植物を乱暴に刃で叩き切り、幾筋か身に絡めたままで槍の間を駆ける。爆発する龍と槍の礫に紛れながら、構えられた戟へ躊躇いなく踏み込んで]
――はっ!
[気合一閃、黄金の気を纏う剣で突きを放つ。それは身に突き刺るのではなく、少年の背を弾き飛ばし大地に叩きつけた]
ったく、手間、掛けさせおってからに、バカ!
[こちらも植物に絞められ青痣出来ーの、木の葉の刃に切られキャミがレースになってやがるーの、満身創痍。紙一重。
それでも剣を肩に置いて見下ろす目は、眼鏡越しにでも迷いはなく]
……頭だけやのうて、体も冷やしときや。
[一言告げて、大丈夫なん?と笑った]
[次に視界に飛び込んできたのは、地面に倒れているキョウヤの姿だった]
キョウヤ!
[体中の血の気が引いていく感覚に、足が崩れそうになるが、其れよりもまず先にキョウヤの体が心配だった。まだぶつかり合った力が荒れ狂っているであろう境内を、友人に向けて駆け寄る]
[決着ついた恭也と璃佳の傍へと歩み寄る]
おい。
何でこうなったかの説明、聞かせてもらおうか?
[言葉に怒気が孕んでいるのはおそらく気付けることだろう。倒れる恭也の傍に行き、膝を突いた]
全く、普段から鍛錬してれば、受身ぐらい取れただろうに。
[この状況見て言うのはそれだけか]
[階段を上りきった先の境内。
そこに立ち尽くすヒサタカを見つけ、声を掛け……ようとするが、その向こう側の状況を見て、言葉を失う。
そこに居たのは、倒れ伏すキョウヤと]
…………リカ。
[ガリッと爪を噛み、一瞬リカを怨敵を見る目で睨みつける。]
[それから、振り向いて見つけたサキに、やほーと手を振ってみる]
ちょーどよかった!
あんな、悪いねんけど手当てと冷やすんお願いできひん?
友情に厚いんはいいねんけど、ちょーっと冷静さ失うてやってさ。
あ、でも野放し禁止せなあかんやも。
さすがに五神内で暴れられる度にうちが止めなんは困るからなー。
[疲れたーと、その場に尻餅ついて、剣を消した両腕を後ろにつく。
そのまま伸びをするよーに顔を後ろに背けたら、石段を上がってきてたヒサタカの姿が視界に入った。うわーと情けない声が出る]
本命来る前に体力切れしてもうたやんか、キョウヤんのアホー!
頭は最初から冷えてる。っつーかこれで大丈夫そうにみえたらもっと度の強い眼鏡を買うことをすすめる…まあ死んでない…
[手を地面に突いて起き上がろうとして、一度失敗して、ようやく自分の怪我の具合を知る。
破片とかそういう飛び火で怪我したのだろう。そりゃくらくらするはずだ、出血大サービスものだ本当。
また起き上がろうと手を突いて、地面と見合いするはめになる。結局戟の刃を地に着きたて杖代わりにして、璃佳やすぐに来た幸貴の手を借りようとはせず意地で立ち上がり]
…そう…死んでないんだよなぁ…ぁあ…
[穂先を抜いて。鈍すぎる動作で璃佳に向けるような動きになるも]
……無理。死ぬまでやるほうが不義理だな。そんなもん抱えさせるなんて最悪だろうし降参だなぁ。こりゃ
[そのままくるりと刃の部分を上にして杖に、もたれるようにして、幸貴に答えようとして、久鷹とその奥のマリーをみる]
そういう事です。
――…喧嘩を売る相手を間違えましたね。
僕は、降りかかる火の粉は全力で払う主義ですので。
[物騒で結構ですよ。
頬へ薄く線を描いた紅から一筋滴るそれを、ちろりと舌で掬い舐める。
口の中へと広がる鉄の味。親指で、強く拭う。
――…嗚呼、]
…そろそろ、終わらせません?
[相手を見据える瞳は、細く――何処か、冷やかに。
ニィ、と。笑みが深まると共に、漆黒が、掌の中で三度形を変えた。
手の中で細く伸びた漆黒が、弓状へと姿を成て。
ギリ、と引き絞る。
――その切っ先を相手へと真直ぐに狙いを定め]
……なんなんだ。
[もはや出てくるのは呆れ。
どうやら眼鏡二人組による戦闘らしきものがあったようで、まー何とどっちもみっともはずかしいような状況になっていること。
ため息をひとつつくと傍観者らしい神宮寺に視線を向けて]
…何事?これ。
[わけがわからないとばかりに首をかしげる。
一緒にきた女子が、何やら眼鏡女子を睨んでいたのには気がつかなかったが]
手当てはこちらでする。
その用意もしてるからな。
[璃佳にそう返すも、表情は厳しいまま]
友情に厚いと言うが、何故そうなった?
そうなった要因はどこから来たのかね。
[その口調は璃佳を問いただすかのように。本命、の言葉にその理由は大体察しがつきつつあるが]
…あんなときに受身なんてとれるか。ってか誰かさんのおかげで俺受身だけならかなり自信あるぞ
[幸貴のどうしてという問いに答えるのはどうも気まずくてそんな言葉だけを幸貴に返し…てる横で説明する璃佳を見て嘆息して]
あのな…一日二日ぐらい待ったっていいだろうが。…まあでれんってのは厄介だけどよ。
[済ませてから考える思考だった]
[寄ってきたサキの声は怒気篭ってるは、デート中のはずのヒサタカはおるわ、と思ったらなんかデートの邪魔したせいか恨み骨髄っぽいマリーに睨まれるわ、ぼへーと役に立たんっぽいヒビキは言うに及ばずで。
とりあえず、四面楚歌なんはわかった。ちょっとだけ涙が出た]
……ヒサタんが妖魔っぽいんで確認しよー思うてキョウヤんに呼び出し頼んだら、逆に襲われたんやけど。
なんでうちがこんなに睨まれなアカンのかなー。
[疲れもあってちょい声が遠いです]
無理してんじゃないよ。
治療場所まで運んでやるから、座ってな。
[無理に立ち上がり、そのまま戟に凭れる状態になった恭也を見上げ、座るように促す。
何事かと問いかけてきた響に視線をやれば]
とある原因で悶着があってね。
今しがた決着がついたところ。
最初から分かってたんなら。
[変化する漆黒にスゥと息を吸って、吐く。
気息を整え、軽く膝を曲げる。まっすぐに引き絞られるのを見ながらまた深く息を吸い込んで]
――意味深なことするなあぁっ!
[発声で鍛えた一喝と共に地面を蹴った。
紙一重で避けられるかどうかの軌道。それでも弓形態なら懐に飛び込めばこちらにも勝機は見える]
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