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―屋敷・イストー家―
[昨夜、シャーロットが連れて行かれて(彼女は人間だった訳だけど)、停電が起こって、イザベラという教師(確かミッキーも彼女の授業を受けたとか受けないとか)が殺されて(アーヴァインと同じように)、デボラがネリーの事を狼だ、ミッキーがハーヴェイのことを狼だと言って
集会所から屋敷へ戻ったのは朝方。]
[それから淡々と一日の仕事を終え、屋敷を出る]
−桟橋そば ハーヴェイと一緒−
[ハーヴェイの言葉は聞いてても自分が言いたいことだけを勝手に言い放つ]
ぼく…思ったんだ。
昨日僕のとうさんが死んだって言った人に投票したんだ。
でも…
先生と…あのおねーさんが…。
とうさんは死んでなんかないんだっ!
自警団のオッちゃんが狼は嘘吐きだって言ってた!
だからあのオッちゃんが狼なんだ!きっと!
でも…
ぼく1人で言っても…
…甘えてるかしら?
それを言うなら、あたしはシャーロットを疑う事も信じる事も出来なかったけど。
[少し距離は空けたまま、ギルバートと並んで座った。]
―桟橋そば―
[子供の、言葉だろう。と思うも]
人は簡単に死ぬよ、リック。
だから夢の世界がほしいんだから。
[かすかな笑みをうかべ]
信じたくないことから目をそらすためにね。
……君も、そうなるのかい?
[そして、口をつぐんで]
君は、嘘だと思うんだね。気持ちはわかるけれど。
……うそつきが狼とは限らないよ。
おれは、うそつきだからね。
それに、狼がそういうことを言うとは思えないけどね。
狼なら、もうすぐ帰ってくると言えば、君が信じてくれるだろう?
─桟橋から集会場に到る道─
ユージーンさん。
こんにちは。いま、少し向こうへ
[島を指して]
渡ってみようかと思っていたところです。
……大きな進展はねえ、か。
[ 頭を振る。自警団員と話を続けた]
なるほど、俺が狼を探していないように見受けられていると、アンタはそう言うんだな。
……そうなのかもしれねえな。
俺は余所者から疑うことしかしてねえ。セシリアやユージーンを考える枠から外してる。……ネリーやシャーロットまでそう見られてるってのか?
じゃあ、カミーラって人やばーさんは……ああ、そっか。そうだよな。探す必要がねえのか。
余所者……。
表情を隠してる奴。あいつは違った。
俺の考えで、探していいものか。
他の奴の意見を聞かなくていいのか。
……今日もまた間違えたら。
先生みたいに……
えっ?
(そういえば大人はみんな嘘吐きだ…)
[思考を切り換えるかのように頭を振って]
ぼく…
一生懸命考えてたんだ…
ぼく…。
[また俯いてしまうが直ぐに顔を上げ]
みんなにちゃんと言わなきゃいけない事がいっぱいあると思うんだ!
でも、上手く言葉にならなくて…
[寝台の傍らに置かれていた食事に口をつけ、潮鳴りの音を聞く。
真っ赤に染まっていた海は、少しずつ暗くなっていく。
食べ残しの食器を持ち、静かに階段を下りた。]
-海辺・桟橋そば-
[笛を吹く青年に、小さな影が近寄って来た。
これも知っている。青年よりも、よく。
彼が私を殺したのだろうか。こんな小さな子供が、大女である自分を殺せるとは思えない。
ああ、そうじゃない。
大きさなど関係ないのだ。彼が、自分を殺したものならば。
少年が何事か叫んだ。彼の言葉は良く聞き取れない。
そういえば、前も彼は叫んでいた。何かを必死に。
”投票する”
そう、彼は他所から来た金髪の男に投票すると。]
分からない、って投げ出してしまったら、護れないと思った。
だから必死で尋ねたよ。自分の目が甘い誘惑に惑わされているんじゃないかって。
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