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―朝/宿屋/ユリアン個室前―
うん?なんだか……―――
[ぼぅっとしてるの寝起きの所為か。
それにしても、遺体をみての反応が薄いと思えば、ミハエルの持ち上がる手に白が見え、少し眉を潜める。]
手、どうしたの?
怪我したのだろうけれど、大丈夫?
[尋ねていれば、ゲルダから声がかかった。
少し迷う様な表情をし、妻の青を見る。]
けど、そんな状態のゲルダさんを置いても行けないよ。
[妻の表情はどうだったか、どうであれ、ゲルダに向けてそう告げるも、今日は自ら進んで自衛団の詰所へ向かうということはしない。]
―朝/宿屋/ユリアン個室前―
[チロリと彷徨わす視線、その先に、場を任せられるような人――例えば、ライヒアルトやアーベルが居たのなら、ゲルダを任せ、自分は一先ず妻とミハエルを食堂に導こうとするのだけれど。
居ないのならば、そっと妻とミハエルの前に立ち、2人の視界にユリアンの遺体が入らないようにと努める。]
―ユリアンの部屋―
[ユリアンを呼ぶゲルダの声>>112が聞こえて暫くして
青年は廊下へと出てユリアンの部屋へと向かった。
床に広がる赤の中心に横たわる男の肢体。
微かに柳眉を寄せて胸に下がる十字架を握る。
部屋の中に空になった見覚えのあるワイン瓶。
そして、いつの間にか減っている苦蓬の酒――]
――…其れに頼っちまうほど、きつかった、か。
[癖のある酒。
けれど魅入られてしまえば手放し難くなり
果てには幻影まで見せてしまうと言われるもの]
…………。
[軽口は出ない。
ただその貌には苦いものが浮かんでいた]
―朝 宿屋 ユリアンの部屋前―
[離れるぬくもりが手に移ると、夫とミハエルの反応は、交互にそっと見ていた。
口を開かないのは、まだ喋れるほどではないからか。
昨日何かがあった事、は所々途切れ気味に把握してはいたが、
それを夫に伝える機会には恵まれずにそのままになってしまっていて。
ミハエルの変調は、早朝だからか、そのせいなのかは解らない。
ゲルダから声をかけられて、迷うような表情の夫と目が合えば、
ようやく口をひらいた。]
…ゲルダちゃんも、出ましょう。
服、濡れてしまっているわ。
[夫にはミハエルを任せる格好にして、
間に入ってくれた夫には、大丈夫だとそれでも笑むような表情を見せて、
その脇を抜け、寝巻き姿のまま見えるゲルダの方へ近づき、いつかのように肩を叩いた。
動けないようなら、何とか腕を取りせめて立ち上がらせようと努力はするが。]
―昨夜・自室―
カルメンさんのも使えば、もっと強くなるかな。
昨日ので少しは勝手が分かった気がするし。
[淡々と言ってみた。
けれど胸の漣は落ち着いてくれなかった]
あんま飲むとライさんに気付かれるよな。
そこから疑われるとかは間抜けだし。
でも、悪夢見て錯乱するよりはマシ、だろうさ。
─翌朝/宿屋・自室─
[いつ眠ったのかは覚えていない。
けれど、目覚めは夜明け前に訪れる]
……って、と。
[しばし、窓の向こうの空を眺めた後、机の上に瑠璃のダイスを並べ、そこに一滴、紅を落とす]
我が身に流れし血の盟約に基きて。
我は求む。
彼の者の真実の姿、示されん事。
[唱えられる呪。昨日は発動には至らなかった、けれど]
―朝/宿屋/ユリアン個室前―
うん?誰かから何か聞かなきゃいけないほどのことなの?
[ミハエルの言葉に、本当にキョトリとし首を傾げた。
薬が効いて寝入っていた為に、物音すら聞いていない状況だった。
しかし、ここで深くを尋ねないのは、ゲルダの件があるからで。
ゲルダに手を差し伸べる2人を見ながら――けふっと一つ咳をついた。]
あ、ライ君……―――
悪いんだけど、自衛団に話持って行ってくれるかな?
[と、姿を見せたユリアンに祈りを向けるライヒアルトに声をかける。
言葉裏に滲ますのは、外に出るのはキツイのだということ。
傍からは、3人を一先ず食堂に導く為と聴こえるだろうか。]
―宿屋・アーベルの部屋前―
[中から返る返事、それから端的に伝えられた言葉に首をかしげ、
それは聞こうとしたことと重なるだろうか]
入ってもいいか?
[ドア越しにそう尋ねながら]
聞きたいことがあるんだ、昨日のこと、人狼のこと。
私の知らないこと、話せる範囲でいい。
――…あ、ああ。
自衛団に知らせてくれば良いのか?
[ゼルギウスの声に振り向き部屋を出る。
他に何も用が無ければ――
青年は自衛団詰め所に行き
ユリアンが襲われた旨を伝え彼らを呼んでくるだろう]
[アーベルからの許可があれば中に入り、
包帯に気づけばいぶかしむ様にそこを見たかもしれない。
今はそれに言及することはなく]
アーベル、昨日、ブリたんが死んだこと、知ってたんだよな?
[確信があるわけでもない、けれども昨日の彼の行動はそうとしか思えないもの]
普通の人ならわかるわけがない。
考えられるのは死んだ人の事感じ取れる、クロっちみたいな力があるか、
アーベルが人狼で、実は殺したのがアーベルだってことくらいだ。
[じっと彼の姿を見つめながら]
アーベルはなんであんとき、あの部屋に向かったんだ?
―朝 宿屋 ユリアンの部屋前―
[空咳をする夫を気にしながらも
――風邪を引いたのかしら、内心ではそんな風に思って――
ゲルダに気遣わしげな視線を向けた。
ミハエルがやってくれば同じような視線を向け、邪魔になるようなら少し体をずらし前を空けた。
幼馴染の姿が見えては消えるのは、目の端に見止めて。]
ライ、出るなら気をつけて。
[自衛団や人の目や、色々な物に対してそう言った。]
―朝/宿屋/ユリアン個室前―
[ミハエルの仕草に、誰に遠慮しているか識れて、ゼルギウスは頷いた。頷く仕草に、白銀がはらはらと儚く揺れる。]
うん。ごめんね。気をつけて。
私たちは、食堂に居ると思うよ。
[願いごとを受け入れてくれたライヒアルトに、緩い微笑を向けた。
さて、ゲルダも流石に3人がかりであれば、腰を動かしただろうか。]
[自衛団員を連れ戻ってくれば
ユリアンの部屋まで彼らを案内し後を頼んだ。
其れを頼んだゼルギウスやミハエル達が未だ其処に居るなら]
立ち話も何だ。
食堂ででも座ってゆっくり話せば良い。
[体調が悪いゼルギウスを案じての言葉。
彼らを促し、青年は一足先にその場を後にする。
階段をおりるたび、首に掛かる銀の十字架がシャラと鳴った]
―宿屋・アーベルの部屋―
[直球だなとその言葉に微かに笑みを浮かべて]
細かい探りができるようなやつに見えたか?
[そう言葉を返した後、向こうから返された返答、
それは意外なものであり、同時に隠していたことを納得する言葉]
ああ、そうかアーベルは…生きてるもの……ってことか…
[納得したように小さな呟き、それから疑問のような推測のような言葉]
人数の割りにすぐに見つけられてないとこ見ると何回も見れるもんじゃないのか……
―朝 宿屋 ユリアンの部屋前―
[何とかゲルダを立たせれば、食堂よりは一度彼女の部屋へと促す。]
ゲルダちゃん、夜着のままじゃ……
[流石にその格好であまり人前には、と。
それに血塗れたままでは良くないだろう。
それでも休ませる方が先だと言われれば、それに同意し食堂へと促すのだが。]
─宿屋・自室─
見えねぇし、思ってねぇ。
ついでに、すぐに突っ走るヤツだから、危なっかしくてカード持たせられやしねぇ。
……ま、それがお前のいいとこでもあるが。
[褒めてるんだか貶してるんだか、わからない言葉を返し]
ああ。
一回やる事に、おっそろしく消耗するからな。
一日に一回、一人を視るのが限度だ。
……っつーか、全員一度に視れるようなら、こんな騒ぎになってねぇ。
[軽く、肩を竦めつつ。
瑠璃のダイスはポケットへ。手首を裂いた短剣は、鞘に収めて懐へ]
……で、話、それだけか?
俺、ちょいとユリアンに急ぎの相談ができたんだが。
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