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―三階・廊下―
[動き出した者たち。
後を追おうと踏み出した足元から、かさり、と異質な音が響いた]
……ん?
[白に埋もれる、それとは異質な褪せたいろ。
天鵞絨が瞬く]
……まさ、か……。
[掠れた呟き。
膝をつき、手を伸ばす。
目に入るのは、見覚えのある――]
……『天上の主』たちの……。
[それは、置き去りにできなかった、自らの『過去』]
……ロージィ……。
[知らず、口をついた、名。
そらいろを、陽と月を求めたのは、石の病に目を病んだ幼馴染。
しかし、彼女はその完成を見る事なく光を失い、絶望からそらへ身を委ねた。
一方的な『約束』を残して。
それに絡め取られたまま、続けた研究。
完成に至る前に、彼女と同じ場所を病んだと知らされ。
『約束』のために、ここへ来て、そして――]
……ちっ……。
[舌打ち、ひとつ。
囚われぬ、と決めた彼女の記憶。
振り払うよに頭を振り、見回した空間。
散らばる資料。
実験室の方を見やった後、それらを拾い集め。
霞みのやや強くなった目で、文面を追う]
……これは……。
[記された名。
真白を咲かす少女の、父の名。
それは、自身に取っては、研究への出資者の名として、記憶に止まっていた**]
[小さな電子音、おそらく少女の耳にも届いただろう。]
…
[現れた一角獣。毒をも癒す角。
Unicorn と心で呟いた。]
[かちり、そのアイコンをクリックした。]
……
[かちかち、とダブルクリックした。]
…導いて。
[キーボードを確認しながら 一文字ずつ入力する。]
[ P e g a s u s ]
[――― Enter を最後に、かちりと。]
[冷たい水底。
起こす体はひどく軽い。
降り注ぐマリンスノーは、花弁のように、白い羽のように。
もしくは、崩れていく白い塵のように。
降り積もる白は、思いの破片。
その静寂の中を歩み彷徨う。]
【RP】
[Enterと同時に、しばらく、カラカラと作動音、
やがて、画面全体が黒くなって………]
[__________会話しますか? Yes No
そんな選択肢が現れる。]
[暗くなる画面に、文字が現れる。]
会話…?
[誰と、と思って繋がるのは1人しかいなかったから
一度、扉を開いて外に向けて声を響かせる。]
ゼルギウスと…――通じたかもしれないわ!
[声を聞いて誰かが来たのなら室内に導いて
それから―― Yes を選んだだろう。]
…理解していない。
副作用による変質の苦痛、衝動に突き動かされるなか。
ピューリトゥーイを殺す。
そう明言した、私の側に居て、
お前が、どういう気持ちだったか。
お前が、どういう人間なのかも知らずに、ひとり救われていた。
使命感にずっと突き動かされていられたのは、お前が隣に居た所為だ。
それが殺人者でもかわりはしない。
[と、ダーヴィッドと並ぶようにして隣の椅子に座る。痛んだ表情が少し緩むのを見て、自分の肩に相手の頭をもたれさせるが、拒まれるようなら無理強いはしない。目を伏せながら、]
ヘリ8人に、ピューリトゥーイ2名は多過ぎる。
だが、今でも私はベアトリーチェに言ったよう。
お前をヘリに乗せたいと考えているよ。
[乗れないと再び、拒まれるのだろうが。]
不正の真実を突き止め、正す。
法を改まらぬままなら改め、民を救う。
此処から出て生き延び、ゼルギウスと対決する。
ピューリトゥーイにこれ以上殺させない。
──なすべきことは、多くあるが。
[伏せていた目を上げて、ダーヴィッドを見詰めた。]
と、ダーヴィッド。
喉も渇いているの か?
―― 彼岸 ――
[ゲルダの名前を呼ぶ。
気がつけば、意識は彼女の石像の前にあって。
彼女の魂は、どこだろう?]
[探す。その前で、告発が、為された]
…ピューリトゥーリ
[薬の名前を、呟いた。自分にとって、それは症状の名前。
皆で協力して、助けるべき対象]
[決して、排除するものではなくて]
[ただ、その後の、場所を移した彼の殺人の告白に、瞑目する]
[生者と死者の狭間。彼岸と此岸の狭間。
空間を、聖歌が満たす。
聖歌のたゆたう海を、真っ白な花弁がはらりはらりと舞っている]
[死を、想う]
[甘い安寧が、自分の肉体の数センチ先を覆って、ぐるぐるまわる。見えもせず、聞こえもせず、触れられもせず。ただ、そこにそのまま在るのだと、分かる常世のベール。まるでニンフの集団みたいに、甘く、やわらかく、それでいてどこまでも冷たく誘ってくる]
[その感覚に、覚えが、ある]
[座り込んで、さよならを言う彼をじっと見た。
まっすぐに彼だけを見て、嘲うカルメンを、じっと見た]
[なされた凶行の動機は、とても理解できるものではない]
……生命は、ただ、生きているだけでこんなにも美しいのに。
[理不尽に刈られた、エーリッヒとイレーネの魂を、見る]
……………。
[無言で十字を切る。そうして、片隅でただじっと立って。
無に溶けるまで与えられた猶予期間の片隅で。
彼らの選択を、神の意思を、ただ見ている**]
/*
ゲルダ、エーリッヒ
こんにちは。
ヘルムートは、でも、ちょっと前からかなりらぶというか、友情を感じているみたいだったからなあ。頑張れ。
らぶだったら、すごく複雑なことに。
何より、アーベルがんばれ。めっちゃがんばれ。
こう、アーベルが来るころにはイベントが何も残ってない予感が。
/*
オトフリートさんは、珈琲で良いんですかね?
ミルクと砂糖はご入用ですか?
[にこにこ。]
……他人の泥沼を見るのは、楽しいです。
いいぞ!もっとやれ!!
[黒い微笑み。いや、(半分)冗談ですが。]
アーベルさんは……
うん。頑張れとしか云いようがないですね。
この村、昼繋げる人が思いのほか多くて、
しかも、繋げる人は多弁さん……。
[紺青の眸は伏せられて…
暫くすればまた眸を上げて。
その繰り返し。]
[碧の眸に気付くと、そちらを見る。]
[その姿に、やるせなさを隠しきれない笑みが浮かんだ。]
/*
ヘルムートのダーヴィッドラブは今に始まったことじゃないさ。
アーベルは…、頑張って欲しいな。
[カフェオレを啜った。]
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