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貴族 ミハエル に 1人が投票した。
召使い ユーディット に 6人が投票した。
読書家 ミリィ に 3人が投票した。
召使い ユーディット は村人達の手により処刑された。
次の日の朝、読書家 ミリィ が無残な姿で発見された。
現在の生存者は、貴族 ミハエル、騎士 ダーヴィッド、職人見習い ユリアン、ランプ屋 イレーネ、未亡人 ノーラ、少女 ベアトリーチェ、青年 アーベル、学生 リディ の 8 名。
[銀色の光がふわりと、舞う。
場に居合わせた者には、青年の背に銀色の翅が閃くのが見えたろうか。
生じる光。
それは静かに微笑む少女へと飛び、その身を柔らかく包み込んだ]
[少女を包んだ銀の光は、広場の上空へと向かい。
それから……ふわりと。
妙に優しく。
夜空へと、消えた。
弾け飛ぶ、銀色の粒子が。
星さながらに、空を飾って、消えて]
[子供は、その光を、
直接は目撃しなかった。
ノーラの方を見ていたから。
ただ、銀色の光は、
月の白い光とは違って、
視界の端でも、すぐにわかった。]
……あれ?
[その中に、
誰かの姿が見えた気がするけれど。]
[興味はないとばかりに、
ノーラを見上げた。
昨日までなら、
きっと、騒いでいただろうけれど、
今の子供はそんなことどうでもよかったから。]
[目と目で通じ合うユリアンとミリィを見ていたが…
突如自分の近場で銀の光源が発生する。]
…………なっ…!?
[光源に目を向けると…そこには、銀の翅を背負うユリアンの姿。
眩しさに目に手を翳す…その隙間から見える光景は…]
…………ミリィ…?
[昨日みたエーリッヒが攫われるそれに似た
…けれどそれよりも柔らかい光り…
さっきユリアンが言っていた言葉を思い出す。]
……これが……作戦……?
[――私が、妖精だから]
[ユーディットの声が耳に残って]
[その直後、その姿は小さな人へと変わる。
驚きに目を見開いているうちに、首に巻いたタイを解かれ――
声をかける間もなく、何時もののんびりさが嘘のような俊敏さで、窓を開け放つ]
…
[銀色の光が空に…消えるのが目に見えて…]
…そう…王様の力じゃないのに…か。
[小さくポツリと呟くと、視線を落とし…]
…ユリアンとも、話さなきゃ…ダメ、かな…?
[その呟きは祭りの喧騒へと消えて]
[そして、叫びに応えるかのように。
エーリッヒの時と、同じく――否。今度は、金色の輝きのみだったが――
ふわりふわりと、月の雫の如く降りてきたひかりが、少女を、包み込む]
[見上げていた目を戻すと]
[駆けて行く少女の、赤いお下げが跳ねるのが見え]
[銀の光が包み込んで]
…あ…
[ふわりと夜空へ]
[それだけで言葉を失ってしまったから]
[その先にいる少年の姿には、気付く事なく]
[すうっと。
彼の手から逃れるように、ひかりは、ふわり。
浮かんで、天に昇り、月と同化するようにして、――失せる]
[残されたのは、呆然とした彼と、普段の微笑を消して、母のみで]
[ユーディットの姿は、何処にも無い]
[広場の中央、天を仰いで。金の珠の飛来を待つ。
……待って、居たのに]
………ふざけるな…っ!!
[此方の姿など目もくれず遠く飛び去り、そして天に還った金に。
低い悪態が口を突いた]
[フィリーネが天を仰ぎ、首を振って――窓を、閉める]
[ぱたん、と言う音]
……母上?
[漸く、声を発して]
[天のひかりを受けて、彼女の金糸の如き髪と、胸元の翡翠のブローチが、柔らかな輝きを放つ。小さく、息を吐いて。何時か見せた、困ったような微笑を浮かべる。
彼と違って、驚きの色は其処には無い]
[青年は目の前の光景に呆然と…していたら
赤髪に緑の該当がよく目立つダーヴィットが悪態をついていて]
………あ…ダーヴィット…どうか…したのか?
[ふわりと駆け出したミリィの背を追うように視線を向けて
――――瞬間、友人を包む銀の光。
昨夜エーリッヒを包んだ光と類似して、それでも違うもの。
それでも。 "連れて行かれてしまう事"にはきっと変わり無くて]
―――…っ、ミリィ!
[反射的に伸ばした手は届かずに、空を]
[ふぁさ。
そんな音を立てて、翅が消える。それに合わせて、瞳の色彩も、いつもの青に。
それから、アーベルの疑問の声に、一つ頷いて]
結界同士の継ぎ目……そのもろい所に、あり得ない衝撃を叩き込んで、ぶち破る。
それで、どーにか状況打破できねーかと思ったんだけどね。
……こういう事になるとは思ってなくて、な。
[ふと向けた視線の先には、髪を短くした金髪の少女がいて。
……そちらからはすぐに、目を逸らす]
やー、ほんと…お前さんのご主人様も色々アレだねぇ。
[自分がそれと同じ扱いを受けているとは露知らず、
いつもの酒場で二足歩行の黒猫と呑んでいる。]
[昼行灯とかバカ親父とか何処かの誰かが言っていた悪態がぐるぐると頭の中で浮かんで消える事無く溜まっていく。
もう一言口に出そうとして]
……あ、あぁ………こんばんは。
[アーベルの声に漸く我に返るも。
口から滑ったのは妙に間の抜けた気がする挨拶で]
[ダーヴィットに声をかけた耳に届いたユリアンの説明]
……思ってなかった…と言うことは不発…なのか?
…………ミリィは…何処へ
[クレープ全体が机が落ちたのにも気がつかず呆然と。]
「しょうがないやっちゃにゃー、あの誤爆親子はー。」
[にゃんこがぽつり。]
…親子?
「いやいや、わては何もいってへんにゃりよー」
[ひゅーひゅーと口笛を吹いて誤魔化すにゃんこ。]
今のは、不発じゃねーよ。ミリィが……自分で……俺に。
他の……誰かを送るなら……って……。
[ぎ、と唇が強く噛み締められて。
酷く悔しげな表情が一瞬、過ぎる]
ミリィがいるのは、隔離結界の中だ。
団長と、エーリッヒも一緒にいるはず。
[あともう一人、いるような気がしたけれど。
それは、はっきりとはわからないから、口には出せず]
[フィリーネは、黙り込んだ儘、我が子を抱き寄せて、その頭を撫でる。
何とも言えない表情で、ただ、ユーディットは大丈夫だから――と述べる]
……母上は、何か……御存知なのですか?
[その問い掛けにも、曖昧な笑みを浮かべるばかり。
けれどその反応を見る限り、ユーディットの事も、あの金のひかりの事も、知らない訳では……いや、彼よりもずっと、知っているようだった]
少なくとも、私は。
ユリアンにお願いして、こちらに送ってもらいましたから。
こんばんは、エーリッヒさん。お怪我ありません?
大丈夫。
少し、ぼんやりしてただけだか…
[言いかけて]
……如何かした、って…。
[少女も今目の前で起こった光景は、見ていない筈が無いのに]
[まるで何事も無かったかの様に話す姿]
[青年は自分で呼びとめたダーヴィットも、零れ落ちたクレープも気にせず
席を立ち机越しにユリアンに詰め寄る。]
……なんだ、それは……
ミリィが結界の内から綻びを作る役目なのか?
もう一人って言うのが単にミリィなのか?
なんで…
[彼女の叫びは”王”へと届いたのか――
ふわり
月の雫のような柔らかなひかりに包まれて。]
[気が付けば――黒猫さんとの宴会場、の、よう、な?]
……申し訳ありません、母上。
[それだけを告げて、失礼します、と部屋を後にする]
[漸く部屋から出て来た彼に、イザベラが夕食はどうなさいますかと問うて来るも、首ヲ振って。乾いたばかりの外套を受け取って、……タイが無いのは、どうせ下になって見えないのだからと其の儘に、コートを羽織ると、外へと出る]
[心配そうな顔でノーラを見上げる。]
なんともないですか……?
[それから、問われたことには、
少し考えた。]
あんまり見て無かったですけれど。
今度は銀色でしたね。
[ぴくり、と身体を震わし…]
…そう…ユリアンは、あっち、ね…
[軽く頭を振ると、出店にはCLOSEと貼り紙を貼り…周りの出店の人々に]
お先に、失礼します…
[と頭を下げ…妖精が示した方向へと向かう]
ユーディットさん?なぜここに…て、妖精王の力で、ですね…
でも…それじゃあ、妖精王さんは、確かに誤爆だわ…
[少女は溜め息をついた]
[詰め寄るアーベルに、静かな調子は崩さないで]
もう一人がミリィなんじゃなくて。
……理由はよくわかんねぇけど、ミリィも妖精の影響を受けていて……。
妖精同士の、意識の会話に加われた。
それで、話し合って。色々、どうするか。
その結果……なんだよ。
[すたすたと、再び、通りを歩く]
[今日見たのは、金のひかりだけだった。ならば、銀のひかりは何処に?
……相変わらず宛てがある訳では無かったが、昨日、エーリッヒの消失を目撃した者達なら、何か知っているかもしれない。そう、思って]
[彼女にとっては、黒猫が飲んだり立ったりしゃべったりするのは当たり前の事で。
それよりも、ミリィがなぜいるのかわからなくって、混乱する。
今の自分の姿(1m弱)が二人の知ってるユーディットとは違う事も忘れて。]
…ええ。
[戸惑いながら、頷く]
[やはり可笑しいと思う]
そう…だけど。
…また、連れて行かれちゃった、みたい…よ?
[淡々と話す姿に、もしかして気付いていないのか、と]
[言いながら、ミリィの消えた場所――リディの居る場所へと、目を向ける]
――――……なに、
[数刻の間、呆然と立ち尽くして。…漸く発した呟きも、雪へと落ちる。
視界の向こうに、ユリアンとアーベルの姿が入って
…ゆっくりと、其方へと歩み寄る。
――――彼らが何を話しているのは、良く判らないけれども]
[友人の名前が聞こえれば、自然と意識は其方へ]
……ふざけるな……
[低く…怒りを押さえようと抑揚の無い声で呟く]
…………理由はわからん…どんな話しあいかも
けど、お前は自分の親子喧嘩の尻拭いも一人じゃ出来ないのか…
妖精同士のいざこざに、人間巻き込まなきゃ片がつかないのか…?
[ぐっと…机上の手が拳を作る。]
[とりあえず、座れ、呑め、喰え♪とばかりに、黒猫はにゃっにゃと二人を加えて宴会の支度。
酒場には客も店員も居たような気がするのに、今は薄れて気にもならない。]
[ところで子供はあまいにおいに気づく。
どうやら近くに、何かあまいものがあるようだ。
きょろきょろとあたりを見回す。
と、苺の屋台(ちょっと違う)の前の、
金色の、髪の少年を見つけた。]
あ、ミハエルさん。
連れて行かれたんですね。
銀色のに。
[誰が? とも聞こうとはせずに、
子供はそう言って。]
やっぱり、悪い妖精がさっさとつかまらないのが悪いです。
[――既にへべれけな団長さんはほっといて。
ミリィの言葉が理解できずに、瞳を何度も瞬かせる。
自分が”悪い子”であるという思い込みのままに。]
誤爆って…?
だって、私が…妖精なのに舞姫をやってしまったから…王様が怒ったんでしょう…?
[今にも泣きそうな顔で、見上げて。]
[苺一年分とは、どれだけなのだろうか。そもそも、一年保つのか。
というか、そんなものを貰って、一体誰が喜ぶのだろうか。
そんな、既に先人の通った道――もとい、思考をしながら]
……ベアトリーチェ……、に、ノーラか。
[かけられた声に、其方を向く]
[会釈をしようとして、聞こえた、単語に。]
銀色の、に? ……また、出たのか?
[なんだか目立たない屋台だった。
茶色くて、黒っぽくて。
よくみてみれば白い文字で、
ショコラ
と書いてあった。
それがチョコレートのプレートだと子供が気づくのは、
まだだいぶ先の話になるのだけれど。]
[ミリィの問いには、きょとん。]
……だって、私、妖精だもの。
[気付いてたんじゃないの? と小首を傾げて。
花火の時とか、妖精が見えた、とかですっかりばれてると思っていたらしい。]
そうみたいです
[ミハエルの言葉にうなずいて、
子供は苺に視線を戻す。
あれ、あたるひとはいるんだろうか。]
銀色の光でした。
誰かいなくなったみたいです。
[ユーディットの言葉に、少女は目を丸くする]
あら…あなたも、妖精だったんですか?
それじゃあ、そのせいで、妖精王が勘違いしてしまったのね。
可哀想に…
[黒猫が、酒を奨めてきたが、未成年ですから、と丁寧にお断り。ふと、思いついて]
もしかして、エーリッヒさんも妖精さんなんですか?
…
[歩いていけば、見覚えのある集団が目に入る。
…その中に、騎士の姿も…]
…ダメ、だったのかな…?
[頭の中で、妖精が凄く困っていたが、気にする様子もなく、その集団に近づいていく]
……ああ、情けねぇけどな。
[怒りに震える姿には、気づいていたけれど。
それを受け止める様子は、あくまで静かで]
……巻き込みたくて巻き込んでるんじゃない、なんて、言い訳はしねぇ。
誰かが悪いとか丸投げする気もねぇ。
悪いのは俺と俺のバカ親父だ。
[わかっているから、タチが悪いとも言う]
[尚、淡々としている少女。興味などないとでも言いたげに]
[…少し、怖くなって]
…え、ええ。
あの赤い髪の子……ミリィちゃん、だったかしら…
[ミハエルの問いには、小さな声が答えた]
や、俺は違うけど……、
[返答しかけて暫く考え込んで…]
どうも、妖精から干渉しやすい人間なんだとさ。
元々魂がこっちに半分ハミってたとかなんとか。
…俺は覚えてねーんだが…どうもガキの頃に一回連れて行かれかけたらしー。
今度はほんとに連れて来られちゃったわけだが。
……そうか。
[ベアトリーチェの言葉に、静かに頷く。
部屋で見せていた狼狽した様子は既に無く、冷静に。
次いで、ノーラの紡いだ名前には、僅かに眉を寄せた]
ミリィが? ……どういう、基準なんだ。
[ユーディットは兎も角――理解が出来ない、と首を振る]
[ミハエルが気づいていないのには何も言うことなく、
それからノーラの言葉に、
子供はようやくそれがミリィだったと知った。]
じゃあ、ランプ返さないといけませんね。
[エーリッヒの返事に、少女は少し考え込んで]
あの…もしかして…お祭りの始まる日に、妖精の輪に近付いたのがいけなかった、とか?
私、起こしてあげられなくて…ごめんなさい!
[ぴょこんと頭を下げた途端赤いお下げが跳ね上がる]
[ぐっと…机上の手が拳を作る。]
…………………
[ユリアンの淡々としたモノ言いに…むしろ殴られたがっている気がして
そこで思惑通り殴るのも癪ではあったのだが]
[妙に納得している様子のエーリッヒには気付かずに。]
あなた、も?
ミリィさんも…妖精なの?
全然、気付かなかった……。
[実際、彼女が気付いたのは、石に封じられた小妖精と、ネズミと馬…の姿をとっている同族。
いわば、彼女と同等かそれ以下の力を持つ存在で。
妖精王の息子とか騎士とかはレベルが違いすぎて、看破出来なかったらしい。]
[近づいてみれば、ユリアンはアーベルと対峙していて…その様子は、少し…険悪な雰囲気を漂わせていた。
…何があったのだろう…少なからず、不安な表情は隠せず…
近づいてみる。さりげなく、近くの出店に入り…ガナッシュを一つ買った]
…起こして?…えーっと……何の話???
[やっぱり消しゴムでごしごしされたかのごとく、その辺の記憶はさっぱり。]
[同じ様に、分からないと首を振って]
今日は銀色しか、見ていないけれど…
[昨日エーリッヒを連れて行った金色の光を思い起こして、ぽつりと]
[ユーディットの言葉には首を振る]
いいえ、私は妖精じゃないわ。たまたま動物さん達の声が聞こえるだけ。
おじいちゃんから受け継いだ力なんだけれど…多分妖精王さんが近付いたせいで、妖精さんの声も聞こえるようになってしまったみたいなの。
……っ!
[放たれた回し蹴りを、両腕をクロスさせてガードする。
ここで吹っ飛べば、屋台の破壊に繋がるから……なんて無意識が働く辺り、案外冷静なのかも知れない]
……取りあえず、腕だけは、無事をたもたねーとなっ……。
最後の細工、仕上げられねぇっ……。
[問題はそこなのかと]
[2人の数歩手前で、ゆっくりと進めていた歩みを止めて。
聞こえてくる話の内容に、いぶかしむ様に眉を寄せる。
"妖精同士のいざこざ"?"巻き込む"? ―――それでは、まるで]
アーベルにぃ、ユリアンに―――…
[問い詰めようと声をかけた瞬間。
華麗に繰り出される回し蹴りに、言葉が思わず停止]
ええと…二人にはいろいろ…判らないことばかりよね…何から話したらいいかしら?
[少女は考え考え、二人に説明を始める。妖精王に追われていたのがユリアンとダーヴィッドであること…彼らが結界を壊すために、自分をここに送ったこと…もしかすると一晩では*話し終えられないかもしれないが*]
[ガードで弾かれた足を戻し…]
大切な女一人守れず利用する腕なんざ…いらねーだろっ!
[その戻る反動を利用し、
蹴りつけた足とは逆の腕をユリアンの胴体に叩き込もうとする。]
[それから、ふと、子供は視線を回す。
なんだか、キックが見えた。
……やっぱり脳裏に浮かんだ言葉は、
あの花冠の騒動と一緒の言葉で。]
[顔を掠めかけた蹴りを避けつつ息を吐く。
一般人に注目させてどうする、とか思わなくもなかった]
[ふ、とリディの姿が近付いていたのに気付いて歩み寄り]
リディ、少し離れていた方が良い。
[少し彼らから遠ざけようとするように]
[ガナッシュを囓り…その様子を見ていたが…]
…!
[回し蹴りを入れるアーベル。
ソレを腕で受け止めたユリアン…]
な…!?
[思わず絶句する。
…周りで見ていた人も、何が起きたのか分からなかったのではないだろうか?]
[エーリッヒの言葉には、絶句。]
それは…その、ご愁傷様で……。
[たまに、子供を攫う妖精も確かにいるわけで。
取替えっ子になりかかったのかな、と。
まさか、妖精王の光源氏計画とは思いもよらない。]
……僕は、金の光を見た。
[それだけを告げ――
ベアトリーチェの視線の先を見て、きょとり]
何をやっているんだ……
[少女の呟きは聞こえていたか否か。
兎も角、それが見知った者だと気付けば、其方に歩んで]
[その「馬鹿」な光景の向こう側、
目当ての人を発見する。
ノーラの手を離して、
そちらに向かう。]
イレーナさん、こんばんは。
[子供は完璧にスルーしている。
おきている事柄なんてどうでもいいらしい。]
………そー、ですね。
[ダーヴィッドが近づいてきたのに気付けば其方へと視線を遣して。
距離を忠告されれば、素直に頷いて。
促されるままに、更に数歩距離を置く。]
よく、判んないけど。後でも出来そーですし。
……事を整理するのも、問い詰めるのも。
うるっせぇ!
惚れた弱みで押し切られちまったんでいっ!
[無意識なのかなんなのか。さらっと飛んでもない事を叫びつつ。
胴に叩き込まれた腕を、押さえ込み]
…
[…どういう経緯でそうなったのか分からないため、止めようもなく…
呆然と見ていたが、ふと、声をかけられるとそちらの方を向き…]
ぁ…こんばんは…ベアトリーチェちゃん…
[何も気にせず接す少女に少し戸惑いながらも、挨拶を返した]
あ、きぱっと決定的な台詞がでましたねぇ、黒猫さん。
「せやにゃー。そないなこといまさらゆーんにゃったら、なしてさっさと花輪わたさへんのにゃ。
じれったくも執念深いとこはお后さまにそっくりにゃ」
……見た?
[ミハエルの言葉に、動きが止まる]
[その間に、少女は繋いでいた手を離れ]
[ミハエルも其方へと向かうのを見て、追う様に後へと続く]
惚れてたんならなおさらだろっ!!
それこそ…どんな手段つかってでも
お前にとっちゃ守らなきゃいけねー奴だろうがっ!!
[腕を押さえられたままの青年が…立て続けに吠える。]
[ベアトリーチェも同じく歩む――髪が短くなっている事に、今更気付いた。
とは言っても、少女の目的は異なるようで。声をかけた先は、ランプ屋の女性]
[彼はユリアンとアーベルに、巻き込まれない程度の位置まで近付いて]
[溜息。]
[額のかかった髪を、くしゃりと、掻き上げる]
[リディが素直に距離を置いてくれたことに安堵して。
疲れたような息を吐きかけて、止まる]
…そうだな。
[ぽつり、呟いたが。
飛んで来たユリアンの叫びに振り返って]
……当人の前で言え。
[思わずそんな言葉が零れたり]
これ、お返しします。
僕はお金を払っていないので、ミリィさんにあげてください。
銀色の光につれていかれたみたいですけど。
[子供はさらりといって、
ランプをそのまま手渡した。
受け取らないならその場に置くだろう。]
それじゃあ、おやすみなさい。
[ちらりとも男たちのおばかな戦いを見ることはなかった。
この間から男=馬鹿の認識が、
子供の中には広がっている。
おそらく、覆すのは相当な困難だろう。
そして子供は、ノーラに一言、コエを投げて、
おやすみなさいと、一人、
*施設に帰っていった*。]
ぇ…ミリィ、さん…が?
[嘘…小さく呟いて…思わず、ランプを受けとってしまい…]
…おやすみ、なさい…
[呆然と少女の背中を見送り…二人…いや、ユリアンを見つめる…
彼女が好意を寄せていたのは…
そして、彼が…好意を寄せていたのは…?]
…なんで…?
[小さな呟きが漏れた]
ああ、そうだよなっ!
そのくらいわかってらぁなっ!
[だけど、という言葉はややかすれて。
意識の上で交わした言葉。
約束。
それらに、迷いは、ないから]
……それでもっ……ただ、自分のためだけにやった訳じゃねぇし、ちゃんと……迎えに行くって、約束してんだよっ!
[怒鳴るように言いつつ、抱えた腕を突き放すようにして態勢を崩し。
そこに、肘討ちの一撃を叩き込み]
[同じように眺めるダーヴィッドとリディに気付いて]
何やら、ややこしい事になっているな。
[事態は把握出来てはいないものの、落ち着いた様子で、声をかける]
……ミリィが銀色の光に攫われた、というのは本当か。
……まぁ、あれですけどね?
事を整理して、問い詰めて、……事と場合によっては制裁を下すのも
あたしの予想が、本当だと判ってからでも良いんですけど
[何となく釈然としないらしい。憮然とした表情と辛辣な言葉を、
2人―――正しくはユリアンに向けつつ、ダーヴィッドへと言葉を返し]
……本当、本人に言えば良いのに。
[続くユリアンの言葉が聞こえれば、
ダーヴィッドに同意しつつも、何を思ってか小さく溜息。]
[膝打ちを状態を捻り浅く留め、
軽く息を詰まらせながらも…状態をもどすバネの勢いを借り
胴体を狙い渾身の力を込め中段蹴り]
何が…約束だ!!
自分の親父を説得さえ出来ないアマちゃんの癖に!!
つーかアレだな…。
[ユリアンの言葉に更にずずーんと落ち込みつつ。]
…やっぱ俺、そういう星の元に生まれたわけなのね…。
[ふと、ミハエルの言葉に気付けばそちらを振り返って。
続く言葉に、あぁと小さく声を上げる]
まぁ…多分"王様"とは違うと思うけど、
――――…ミリィがつれてかれたのは、本当。
そして、その八つ当たり?の機を待ち構えている最中。
[最後の言葉は、別に聞かれても居ないのだけれど。]
[とりあえず、ミリィの説明は聞いてるようであんまり聞いてない。]
フィー姉さんにしろ…ノーラちゃんにしろ……まー、仕方ねぇなとは思ったんだが…。
そっか、一目で気になっただけでもそーなるとは…。
ええ…随分と。
[ミハエルの声に視線を向けて。
続く言葉にはゆるりと首を横に振る]
…私は見て居ませんでしたから。
[そうして、天上を見上げた]
[…ノーラに気付くと、会釈をし…]
…
[手に持つガナッシュを口に含むと、その場を後にする]
…
[ユリアンの叫んでいた言葉。
その言葉に、偽りはないだろう、と…
話をしなくても、良いか。
小さく思ったのだとか。
…それよりも、あの騒ぎで二人が謹慎にならないように…自衛団に言っておいた方が良さそうだった。
その足取りは少し速く…自衛団…祭実行委員会の詰め所へと*足を向けた*]
[ガードするか否か。
一瞬、迷いが生じたけれど。
「腕を傷めたら、細工を仕上げられない」
そんな思いが、ガードを捨てさせた]
[ついでに回避も]
[蹴りは見事に決まって]
[今度は勢いを殺しきれずに、吹っ飛んだ]
[蹴りの直撃が放った衝撃は、力の行使で消耗していた身体に大きく響いて。
意識が、沈んで行く。
それでも]
甘ちゃんは、甘ちゃんなりに……。
覚悟、決めて……らぁ、な……。
[切れ切れにでも反論するのは、*忘れなかった*]
ユーディットちゃんもいとしのご主人様のモノだしなぁ…。
ほんっと…なんなんだろうね、これ。
「にゃんのはなしにゃー?」
[きょとんと聞いてくる黒猫に返答。]
…いや、あれなんよ。俺さ、女を見る目には自信があるんよ。
そりゃぁもう。
「にゃにゃ?」
…俺が惚れる娘ってさ、
大抵既に誓った相手が居たり…居なくても近々あっさり結ばれちゃったり、するわけ。
…制裁、か。
ユリアンに、ならば…もう随分と受けているようにも見えるが。
[まだ終わらない攻防に何度目かの溜息。
憮然とした表情に気付けば苦笑して]
……まぁ、色々とあるのだろうな。
[リディの溜息の理由は解らずに僅かに瞬いた]
[ノーラの会釈に気付けば同様に返して]
[返って来た二人の言葉――主に、リディの方に、そうかと頷いて。
自分の見た事を伝えようとした矢先、]
[騒動は終わったようだった]
[派手な音を立てて吹き飛ぶユリアン…辺りの物を巻き添えにしながら]
…………たくっ……
覚悟決まってんなら親父とタイマンしてこいっつうの…
[既に意識が落ちているユリアンに悪態をつく。
青年は肩で息をつきながら、肘打ちが当ったあたりを擦る。]
…あ。
[吹っ飛ばされるユリアンに呆然としつつも]
[頭の片隅で青春ならほぼ同時にダウン→健闘を称え合うのが基本だろうに、などと思ったとか思わなかったとか]
[終わったと知るや否や、アーベルの傍にすたすたと近付き]
何が、あったんだ?
[ぶしつけに問い掛ける。
自分を抑えている為に、些か感情に乏しくも見えるか]
アレは制裁じゃなくて―――……青春?
[ダーヴィッドの言葉に、こてりと首を傾げつつ
一段落したらしい騒動に小さく溜息を吐いた。]
アーベルにぃー。
…ちょっと、そこで伸びてる人の代わりにお話聞かせてー?
[アーベルへとひらりと手を上げつつ、
ユリアンに視線を送らないのは、実はちょっと怒ってるらしい]
[飛んだユリアンを見届けて。
彼が起き上がらないのに気付けばやれやれと息を吐く。
リディたちに目礼をしてから、其方へ近付いて]
…完全に飛んでるか。
[ユリアンの様子を見て、ぽつり。
何処に避難していたか鼠が彼の肩に駆け上がり、頬をてちり]
…………ミハエル……?
[ノーラの電波に、倒される言われがないし〜と目を逸らしながら
突如湧いて出たかのようなミハエルに目を丸くし…
どう答えれば…どこまで答えれば良いか迷い、途惑う。]
……え…と…
ユリアンが…親子喧嘩に自分の女を巻き込んで…
それに腹が立ったから…
[……嘘はついていない……多分。]
[リディの様子に…何故か生存本能が恐怖を告げる]
……ユリアンの替わりに…か?
[こちらにもどこまで話して良いものか…
ミハエル以上に難しい…なにせ殺しかねない気がするから]
[手にしていたランプは彼の腹に乗せ、鼠は一旦己の肩へと移し。
腕を差し入れ掬い上げるようにして抱き上げる。
所詮姫抱きと云われる抱き方だが気にしてはいけない]
[そうして、皆の意識がアーベルに向いている内に。
その場から姿を*消していた*]
うん、そう。ついさっき伸びちゃった人の代わりに!
[えへー?といつも通りの笑顔を向けつつ
固有名詞が出てこないのは何故だろうか。]
まぁ、別に…何でミリィが、とかそんな詳しいところは
この際どうでもいいの。今はね。
一つだけ教えてくれればいーよ。
……ミリィを送ったの、ユリアンにぃなんだ?
…
[この意気地無し、などと良く分からない電波が発されたかもしれない…のはまあ置いておいて]
…親子?
[今度は昼ドラ?とか首を傾げつ]
確か記憶喪失だったんじゃ…?
[伸びているユリアンに目をやり…]
[と思ったら、既に其処には姿は無くて]
[青年は自身に周りの視線が集中していることに気づいていたが
青年自身はダーヴィッドが気になって目で追いかけ
彼がユリアンを横抱きに抱えたあたりでリディに問われる]
……………
[青年は迷った末に…一つだけ小さく頷いた。]
[けど、これで両KOは、俺殴られ損な気分だし
…と、ボソボソ電波を飛ばしつつ…ノーラの言葉に]
…記憶は…戻っていたらしい…
[と、短く告げ…膝打ちの時の余韻で軽く咳き込む]
[ミハエルの言葉に困ったように頭をかき]
……ミリィに関しては合意の上…らしい…し
正直親子喧嘩…のようだから…
”悪い妖精”と言うほど悪ではないのかもしれない。
けれど、じゃあいいのかと言えば違う…
金色も銀色もどっちもどっち…だ
[と、ポツリ、ポツリと]
ふーん……そっか。
[アーベルの返事に、何かを思案する様に短く言葉を返して。
ふとユリアンの方へと視線を戻せば、忽然と姿は無く。
眉を顰めるものの、ダーヴィッドの姿も無い事に気付けば
彼が律儀に介抱する為だか連れて行ったんだろう、と結論付けて]
[どっちもどっち。その言葉に、]
……ああ。
件の金色だが、ユーディットを連れて行った。
彼女自身が、志願して。
[息を吐くのと同時、呟くように言う。額に、手を当てて]
[ぇー、と不満気な電波が送信されつつ]
[リディの問い、アーベルの答え]
[ミリィを連れ去ったのは銀の光]
……妖精?あの子、が?
[ミハエルの言葉に続けて呟く]
…そう、なの。
[親子喧嘩とか、何かのイメージとかけ離れていたがとりあえず頷いて]
あの子が…志願?
[如何いう事だろう、とミハエルに目を向けて]
ユーディット…誰だ、それは?
[青年はメイドの名前がそう言う名前とは知らず]
……けど、今日は…二人失踪したんだな…
[志願して届くなら…妖精王は見ているのか?
ならば、ユリアンとかよくみつからないな…とか思いつつ]
[ノーラの言葉に頷く]
……あんまり…今この場にいる人以外には広めないで欲しいが…
特にベアトリーチェには…
…ええ。
[アーベルの言葉に一つ、頷いた]
[そうでなくても、彼女には何処か違和感を感じていたから。エーリッヒが連れ去られたその後から]
[妖精の正体を知ったら、如何なるか…]
僕付きの侍女……だった、者だ。
[アーベルに対しては簡潔に答えるも、過去形には多少の躊躇いがあったか]
“自分は妖精だから連れて行け”……という事、……らしいが……
[説明不足気味に――言葉少なに、言う。瞳は伏せて]
……主として、失格だな。
[ぽつり、俯き加減に。言葉が零れた]
…変…なのかまではわからないが…
妖精に酷く怒っていたから…
へんに騒ぎ立てて、逆にベアトリーチェになにかあったらな…
[ノーラの頷きに安堵しつつ]
……ああ、あの茶色の髪のメイドのこと…なのか
あの子も妖精なの…か
[ミハエルの後ろにいたメイドを思い出しつつ
続く言葉には…ただ黙ってミハエルの頭を撫でた]
[そんな風に青年は落ち着きを取り戻し話すが
クレープ屋の屋台に出入り禁止を言い渡され
ユリアンを怨むのは*明日になってから*]
……だから、撫でるなというのに。
[アーベルの手を払いつつ返す声には、覇気が欠けていたか]
妖精など……信じていた訳ではなかった、が……
……目の前で、見てしまっては……な。
[言いながら、片手は首元に。
外套の下、タイが巻かれていないのが、少々違和感だった]
全く……
[続きは言葉に成らず、吐息を小さく零す。
話を聞きながら、*瞳を閉じて思考に耽り始めた*]
[部屋の中の誰も、
子供が目を覚ましたことに気づかない。
茶色の熊の瞳だけが、子供の動きを見守った。
部屋の扉の隙間は、
すぐに子供を飲み込んで消えた。
寝静まる建物の中、
階段をそっと、
裸足でかけのぼる。]
[三階には部屋がひとつ。
何があるのか。
子供は扉を開けて、
中に小さな体を忍ばせる。
真っ暗なそこに、マッチをこする音。
二、三度で火はともり、
子供は手探りで、
ろうそくを探して火をつけた。]
[部屋の中には、がらくたにも見えるものばかり。
子供はその中の一つの山に、
荷物を崩さないよう近づいた。]
…あった。
[母の、渡してくれたもの。
古びたバック。
古びたコート。]
まだ、入るかな
[吐く息は白い。
子供は軽くコートをはたいて、
それに袖を通した。]
[ぴったりのコートに、
子供は満足する。
これで大丈夫。
そう思って、
とりやすい位置にそれを置いた。]
外に出られたら
また一緒にいようね。
[そして胸元の指輪をも、
チェーンごとそこに置いた。]
[誰も目をさましていない。
布団にはいり、冷えたからだを暖める。
熊のぬいぐるみと
飾られたティアラを見て、
少し悩んだ顔になったか。]
『君はつれていけないよ』
[心の中で呟いて、
子供は*まどろんだ*]
[あの後、皆と別れ別荘に帰り着いて、ベッドに入ったのだとは思う……が、茫としていた所為か、記憶は定かではない。
眠りについたのは遅い時間だった筈なのに、目覚めるのは早かった]
[朝食を、ひとり、黙々と食べる。
フィリーネは、まだ休んでいる。ユーディットは、いない。何時もはお喋りなイザベラも今日は静かで、食事を運んで来ると、朝の支度があるからと早々に立ち去ってしまった]
[静寂の中、そうしてひとりきりで食べるのは、随分と久しぶりのような気がした。向こうにいた時は、当然の事だったのに]
[食事を済ませ暫しぼんやりと過ごした後、陽も大分高くなってから、イザベラに一言告げて外へと出る。
向かった先は、ロックフェラー家――祖父母の家]
……こんにちは、お祖父様、お祖母様。
[老夫婦は、突然訪問に謝罪の意を示す孫を、喜んで迎え入れた。
フィリーネは遅くに生んだ子だそうで、二人とも、元は金であっただろう髪は、殆ど銀に変わっていた。並んでみれば、親子というには違和感があったかもしれない。あたたかな雰囲気は、よく似ていたけれど]
[済ませなければならない仕立屋の仕事があるから、あまり彼に構えない事を夫婦はすまなさそうに言う。
お気になさらずにと彼が答え、代わりに、是非に読みたい本があるのだと告げると、勤勉なのを褒められ、祖父の私室でもある小さな書斎に案内された]
[以前に来た時に、どのような書籍があるかは、知っていた。二人が去った後、くるりと周囲に視線を巡らせて]
……さて。
[並ぶ本の一冊を抜き出すと、その頁を*ゆっくりと開いた*]
[目が覚めて、最初に感じたのは気だるさ。
蹴りの痛みは、相棒の治癒で静まっていたものの、それとは別の疲労は残っていたようで]
……だりぃ。
[思わず、ぽつりと呟く。その頬を相棒がてちり、と叩いて何事か訴えてきた]
何だよ、ヴィント……?
……ま、過ぎた事は言っても始まらねーし。
[呟きが言い訳がましいのは、気のせいではないだろう。
はふ、と息を吐いた彼は、じぃ、とこちらを見つめる相棒を軽く撫でてやりつつ、ベッドから起き出す]
さて……細工、しあげねぇと。
……ここに、いられる間に。
[小さく、小さくこう呟くと、作業台にむかって*道具を手にとった*]
それにしても、まーまー…
[いたずらを思いついた悪ガキの様な笑み]
おうじさま、ねぇ。アレが、ねぇ。
[再会したら絶対からかってやろうと思っていることは言うまでも無い。]
[ほぼ一晩かけて、ミリィの話を聞き終えて。]
………消えてしまいたい……。
[――別の意味で。
と、自分の勘違い振りに恥じ入って、小さくなっている
妖精が一人。]
ま、過ぎたことはしゃーないしゃーない。
あれこれバレたっぽいしあっさり片付くんじゃね?
…親子関係がどーなるかはしったこっちゃねぇけども。
[更にちっこくなってる茶色の妖精さんをぽふぽふなだめ]
それにまー、お前さんは結構必要とされてるっぽかったし、すぐ逢えるって、うん。
[王様の夫婦喧嘩がすさまじいのはいつもの事…という噂だし、それに発する親子喧嘩も多分…どうにかなるんじゃないかな、とは、彼女も思う。
――けれど、それとこれとは別で。]
でも…でも………。
[ぽふぽふされて、うるうるとなりながら見あげて。
もう、かえれません。と、ぽつり。]
ん、まぁ…見てりゃ判ると思うぜ?多分。
[ぽふぽふなだめながら、遠い目でぽつり]
なんっつーか…俺は別に帰んなくてもいいかもなーとか思ったけども。
……見てれば…?
[その言葉にようやく、この空間がかなり広く――鑑賞は出来ずとも、色々と見られることに気付いて、目をぱちくり。
それと、なんだか遠い目のエーリッヒにも、ぱちくり。]
帰らなくても、いいって……?
[ミハエルとの契約が破棄されて帰れない彼女とは、微妙に違うようなニュアンスに、小首を傾げて。
ミリィの話に夢中になってた彼女には、その理由など見当も付かないのであった…。]
…なんっつーかさぁ。
俺居なくても世の中回ってるんだなー、と。
別に居なくても、いいんだよな、うん。
[窓の外では数日前と同じような祭りの景色。]
…サニーなんかはさぁ、居なくなってだいぶ立つけど、いまだに話題にあがるし…なによりノーラちゃんが帰りをずっと待ってる。
でも、俺なんか二晩でこれだもんな。
[たはは…と情けない笑み。]
一週間…長くても半月くらい経てば、居なくなったことすら忘れられて、最初からいなかったように思われちまうのかな…。
ま、いいけど。
離れたくないとか強く想う相手もいねぇしさ。
[みょ〜に、達観した様子に不安になって、ふるふるふると首を振る。
泣きそうだった事は、すっかり記憶の彼方。]
そんなこと、ないですっ!
村の人達が気付かないのは、王様の力…多分、暗示とかのせいで……。
皆様、すっごく心配してましたよ…!
困惑の方が強くって…わかりにくかったかもですけど。
[だって、何処に連れて行かれたのか、どうすれば助けられるのか、わからなかったから…と眉根を下げて。]
……はぅ。
私、妖精なのに…みつけられなくて、すみません…。
[……なんだか、また泣きそうに。]
[たはは…と無理して笑う様子に、ぎゅぅと服の端っこを掴んで、]
そんなこと…絶対に無いです!
暗示が解けたら、きっと皆いないことに気付いて大騒ぎになるから、暗示かけられてるんです…!
だから、暗示が解けたらきっと…!
それに、きっとまだ、運命の相手に出会ってないだけです…だから、そんなこといっちゃダメ…。
[…暗示が解けて皆が心配し出す時=彼も解放されていて蛸殴りコース、とかには気付いてない。]
[一晩かけて、事の次第を説明する間、少女は向こう側の様子を見ないようにしていた。ちらりと聞こえてしまったユリアンの「声」は、気になったけれど、見てしまったら、心が揺れてしまうのは判っていたから]
[ひと通り話し終えるとひどく疲れて、結局、そのまま眠ってしまったので、その後のユーディットとエーリッヒの会話も聞いていない]
[目覚めると、回りは静かで…とても静かで…それが、まだ自分の回りを包むように漂っている銀の光の残滓のせいだと気付いて、泣きたくなった]
[泣く訳にいかないのは、解っていたけれど…]
しっかりしないと…!
[ぎゅっと胸のペンダントを握りしめる。エーリッヒとユーディットを無事に連れて帰るのは自分の役目だと少女は考えていたから]
[祖父母に礼を述べ、ロックフェラー家を後にして、別荘にて食事を済ませる。
言葉少なに、母と幾らかの会話を交わして、再び出掛けて来る旨を告げ]
御心配なく。
[そう淡々と述べる言葉には、あまり感情が見られなかっただろうか]
[再び外に出た時には、夜闇が辺りを覆っていた。
幾人かが消えたというのに、祭りの様子は変わる事なく。
今宵もまた、星よりも明るいランプの灯が照らす通りを歩く]
よしっと……もう少し、だな。
[手の中の紫水晶を見やりつつ、呟く。
それを、そっと、作業台の上に戻して一息。
作業台の上には、翼持つ者の意匠──象られているのは、天使だろうか。何かをかき抱くような姿のそれが、しずかな煌めきを放っていた]
さて、一息、入れるか……あと、もう少しだもんな。
[ベッドの上でじい、とこちらを見ている相棒に笑いかけつつ言って、ゆっくりと立ち上がり。
何か、飲み物を、と思って台所へと向かう]
[窓の外を見る子供は、
まだ騒がしさの残った夜の外を見る。
知らず、口をつくうたは、
子供のソプラノの声に乗り、
部屋の中に小さく響いている。]
Wir genieBen die himmlischen Freuden,
Drum tun wir das Irdische meiden.
Kein weltlich Getummel
Hort man nicht im Himmel!
Lebt alles in sanftester Ruh.
Wir fuhren ein englisches Leben,
Sind dennoch ganz lustig daneben.
Wir tanzen und springen,
Wir hupfen und singen,
Sankt Peter im Himmel sieht zu.
[大通りへと辿り着くも、今日はオカリナの音色は聞こえない。
けれど既に工房の在る場所は知っていたから、迷わずに其方へと向かう]
Johannes das Lammlein auslasset,
Der Metzger Herodes drauf passet,
Wir fuhren ein geduldig's,
Unschuldig's, geduldig's,
Ein liebliches Lammlein zu Tod!
Sankt Lukas, der Ochsen tat schlachten
Ohn' einig's Andenken und Achten,
Der Wein kost' kein' Heller
Im himmlischen Keller,
Die Englein, die backen das Brot.
Gut Krauter von allerhand Arten,
Die wachsen im himmlischen Garten,
Gut Spargel, Fisolen
Und was wir nur wollen!
Ganze Schusseln voll sind uns bereit!
Gut apfel, gut Birn und gut Trauben,
Die Gartner, die alles erlauben.
Willst Rehbock, willst Hasen,
Auf offenen StraBen
Sie laufen herbei!
Sollt' ein Festtag etwa kommen,
Alle Fische gleich mit Freuden angeschwommen!
Dort lauft schon Sankt Peter
Mit Netz und mit Koder
Zum himmlischen Weiher hinein,
Sankt Martha die Kochin muB sein.
Kein Musik ist ja nicht auf Erden.
Die unsrer verglichen kann werden,
Elftausend Jungfrauen
Zu tanzen sich trauen!
Sankt Ursula selbst dazu lacht!
Kein Musik ist ja nicht auf Erden,
Die unsrer verglichen kann werden.
Cacilie mit ihren Verwandten,
Sind treffliche Hofmusikanten.
Die englischen Stimmen
Ermuntern die Sinnen,
DaB alles fur Freuden erwacht.
[工房に辿り着いて、建物を見上げ。白い息を吐く]
此処か。
[扉の傍らには、銀製のベル。
可愛らしくリボンまで付いている紐を引き、鳴らす]
聞いてもいいことないよ?
[子らに見られ、子供は苦笑する。
しかし子らは顔を見合わせ、
子供に近づいた。]
「なんか変?」
そんなことないよ、僕はいつもと変わらない。
[しかし、
昨日のノーラの様子を思い出して、
子供は、少し考える。
だが、自分はやはり今までと変わらないと、結論づけた。]
[黒猫さんは呑めと言うけど、お酒はさすがに遠慮して。
果汁を湯で割って花の蜜を入れたものを、ちびちびと飲みながら、これからどうしよう…とぼんやり考えていた。
――はず、だったのだけれど。]
……あれ? あれれ…? [きょときょと]
[気が付けば、ソファーに寝かされていて。
一晩中、話を聞いていたせいもあって。そのまま、こてり。夢の中だったらしい。]
歌…
[どこから聞こえるのだろう?と、少女は辺りを見渡す…ソプラノの響きは、澄み渡って遠く…手を伸ばしても触れることの出来ない風のように、擦り抜けて消える]
「それじゃあ一緒に祭りにいこうよ」
「まだ屋台は出てるし」
[口々に子らは子供にいう。
子供は頬笑んだ。]
うん、いこう。
[楽しみ、と、別段思ってもいないけれど、
その声には、子らを心配させないように
頬笑みを、十分に含ませて。]
[台所でふと物思いに耽りつつお湯を沸かし、ハーブティを淹れていた所に、ベルの音が響く]
……ん?
師匠目当ての客かぁ?
[村の者であれば、ベルを鳴らすよりも声をかけてくると知っているから、こんな事を呟きつつ。
火が消えているのを確かめてから、玄関へ]
はいはい、どちら様?
細工師ハロルド=グリューンはただいま不在で……お?
[投げやりな口調で言いつつ開けた扉の先。
そこに立つ、予想外の人物の姿にきょとん、と瞬いた]
[声にこめられた感情は、
わからぬほどに交じり合って、
そのまま冷たい空気に溶けた。
早くと呼び立てる声に、
子供はそのまま、歩を大通りの方に向ける。
どうせすぐにはぐれてしまうだろう。
子らは知らないから、
とても楽しんでしまうから。]
[かけられた鈴のような声に、焦げ茶色の瞳を瞬かせて。]
ぁ…おはようございます…。
[ぺこり、頭を下げて。
それからもう一度、きょときょとと辺りを見渡した。]
おはようございます。
[にっこりと挨拶を返す。外にはもう月が輝いていたけれど。少女も今しがた起きたばかりだったから、これも正しい挨拶だろうと思う]
[ひかりに包まれる前と同じ、けれども、どこかがずれた空間は、夢ではなくて。]
やっぱり…捕まえられたまま、なんですね…。
[ちょっとだけ、しょんぼり。
団長さんやエーリッヒさんが帰って来なかったのだから、きっと自分もそうなるだろうとは思っていたけれど。気落ちするものは仕方が無い。]
[扉が開かれれば、現れたのは青髪の男で]
……ミハエル=フォン=エーデルシュタインだ。
ユリアン=フェーダ、君に話があって、こうして来た。
少々時間を頂けるだろうか。
[何時も通りと言うべきか、些か横柄な態度。
ユリアンの反応を気にした様子もなく、つらつらと述べる]
[しょんぼりしたユーディットの様子に胸が痛む。思わず、ごめんなさい、と言いかけて唇を噛んだ。謝れば済むわけではないから]
きっと、すぐに帰れるから。元気を出して、ね?
俺に……話?
[ほんの一瞬、戸惑うものの、すぐに理由には思い至る。
昨夜、波動は感じつつも視覚では捉えなかった、父の力。
……そして、少年が一人で来た事]
まあ、作業一段落して、休憩しようとしてたとこだから、構わないけど。
[いつも通りの軽い口調で言いつつ、ここ、寒いから、と中へ招き入れ]
そうか。ならば、上がらせて貰う。
[一つ、頷く。玄関先でするべき話とは思えなかったから。
ユリアンに従って、中へと付いていく]
はい…心配おかけして、すみません…。
[こくり、素直に頷いて。
それから、ミリィは一番事情に詳しい(妖精王はまだ見かけてないので)という事をようやく思い出して。
かけられていた毛布を畳んで置くと、ソファーからぴょこん、と飛び降りて、ミリィの傍に駆け寄った。]
ミリィさん…私にも手伝える事はありますか…?
先に言っとくけど、片付いてないからな。
[冗談とも本気ともつかない口調で言いつつ、自室へ向かい。
余り使われていない小さなテーブルと揃いの椅子を少年に勧めて、自分はいつもの作業台前へ。
……室内を見回せば、作業台の隅。
銀色の光の粒子をちらちらとまとう花冠が目に付くか]
狽氈c!
[慌てて駆け戻って、大切そうに拾い上げる。
紙に包んだ片方の靴と靴下があることも確認すると、ソファーの上に丁寧に置いて。
タイだけ手にミリィの元へと戻った。]
本当だな。
[さらりと肯定する様子には、一切の遠慮がない。
勧められた椅子に腰掛け、ユリアンの視線を追うように視線を巡らして]
……渡さなかったのか?
[花の冠を視界の端に入れて、問いかけ]
ううん。あなたが謝ることなんて、何もないのよ?
あなたは、巻き込まれただけなんだもの。
[笑みを消さないままに、少女は言って、手伝えることは、という問いには首を傾げる]
どう、かしら?多分、ユリアン達が結界を壊す時には、こちらでも何かが起きるとは思うのだけど。
私は妖精の魔法が使えるわけではないから、具体的にどうすればいいのかは判らないの。
ユリアンは、結界の繋ぎ目に衝撃を与えるって、言っていたけれど。
[遠慮のない言葉に、大きなお世話、と呟いて。
投げられた問いに、ああ、と頷く]
……渡せなかった、って言うべきかな。
色々と、自業自得ではあるけれど。
でも…私も、勘違いして……こっちに来ちゃったから。
[ミリィの微笑みに、ふるふると緩く首を振って。
手伝える事が無いという言葉に、申し訳なさそうに眉根を下げる。]
……ほんとうは、ダーヴィットさんが来て、結界を壊すはずだったんですよね…。
私が…余計なことしちゃったから……
[……すみません、と言いかけて、余計に困らせる気がして口を噤んで。]
上手く…いくといいですね。
[きっと、目の前の少女も早く帰りたいのだろうと――
そう呟いた。]
[そうか、と返す言葉は短く]
昨日の台詞を言えばよかったものを。
[ちゃっかりと聞こえていたらしい。まあ、大声で叫べば当然か。
尋ねはしたものの、大して興味もなかったのか、とん、と机を指で叩くと、翠玉の瞳をユリアンへと向ける]
……さて。
アーベルに大体の話は聞いた。
その様子だと、何の用でここに来たか、大方、察せているとは思うが。
ユーディット――僕付きの侍女が、金色の光に連れて行かれた。
気楽に言ってくれるよなぁ、ほんと。
[思わずグチるように呟けば、相棒が『自業自得』と言わんばかりにてち、と頬を叩く。
それに、黙ってろ、と短く返してから、翠玉の瞳に向き直り]
……あの子が。
同族なのは、知ってたけど……。
[瞳の青が、す、と銀を帯び]
すまん。謝ってどうなるもんでもないのは承知してるが……親父が、迷惑かけてる。
[静かに言いつつ、頭を下げて]
[少女は、ふるふると首を振る]
ううん、ダーヴィッドさんがどうしようと思っていたのかは、私には判らないから。ただ、他の人を送るのが嫌で、ユリアンに我が侭を言っただけだもの。
でも…ええ、うまくいくといいわね。出来るだけ、傷つく人が少なければいいと思うわ。
[もう、かなり手遅れなのは、判っているのだけれど]
[石垣にちょこんと腰掛けたまま、どれぐらい時間が経過したのか。
ぼんやりと、蠢き続ける人の波を見つめて。
ふいに顔を上げれば僅かに躊躇って…それでも、ポケットへ手を伸ばす。
細いチェーンが、シャラリと小さな音を立てた。]
[昨夜ミハエルの話を聞いた事によって、
"向こう"に連れて行かれた人が更に増えていた事を知って。
きっと今、コレを首にかければアイツがまた一つ、教えてくれるんだろうけど。
―――それでも、何故かまだ身に付けられないでいた。]
[何となく。 ―――理由は漠然と 判っていて。]
[部屋の中にはオルゴールの音だけが響く]
[目を閉じてはいたが、決して眠ってはおらず]
[鼠と戯れていた少年、金髪の少年の後ろにちょこんと控えていた少女]
……妖精。
[「嫌い」という少女の声]
[タイを見て不思議そうに首を傾げて問う少女に、何処か困ったような笑みを浮かべて。]
……はい。お別れに…いただいて…きました……。
[ミハエルにもらった(むしろ奪っちゃった?)タイに視線を落とし……思わず滲んできた涙を慌てて袖でくしくしと拭う。
よく見ると、一晩中しっかりと握りしめていたそれは、くしゃりと皺になっていた。
あわあわと手で伸ばしてみるも、修復は絶望的で――
しばし迷った末、長い栗色の髪を一つに結い上げて。]
……これでもう、なくしたりしません…から……。
[……だから、大丈夫です、と。にこ、と微笑んだ。]
[今日は灰色の鼠の相手をする気はないらしく、視線はユリアンに向けられたまま]
……知って、いたのか。
[異なる色彩を帯びる瞳に片眉を寄せるも、小さく息を零して]
別に、謝罪を求めに来た訳ではない。
君が僕に謝る事で、事態が好転するのならばともかくとして。
[ユリアン自身が言うように、そんな訳はなく]
……それに、ユーディットが連れ去られたのは……
彼女自身と、僕の責任もある訳だから、な。
[涙を拭う小さな妖精に、思わず手を伸ばして、そっと栗色の髪を撫でる]
ミハエルに逢いたい?ここは、村と重なっているそうだから、きっと様子を見ることは出来ると思うわ。
―通り―
Moi je vis sans foi
(神様も信じない)
Je suis sans loi
(決まりも気にしない)
[青年はいつもの唄を唄っていた。]
Rien ne peut m'...
[唄が止まる。青年の歩みも止まる]
……信じねぇのも、気にしないのも自由だが……
”ヨソサマ”に迷惑かけんじゃねーよ……
[青年がそう呟く相手は誰なのか。]
[4人もの失踪を飲み込んでなお賑やかな祭りに薄ら寒いモノを感じつつ]
…、……っもー!
何か色々考えてたら、結局ムカムカするっっ!!
[ポケットの中で、小さな石をぎゅうと握り締めれば
ガバリと頭を振って立ち上がって]
とりあえずあれだっ!
判ってることだけ、先に済ませるっ!
[ぱしぱしとスカートを叩いて、簡易的に砂埃を落とせば
うん、と何か決意したように。一人小さく頷いて]
ああ。俺は最初、感覚を閉ざしてたから気づかなかったが、ヴィントがな。
[下げた頭を戻しつつ、静かに答え。
無視された方の相棒も、場合でないと理解しているのか、対抗意識を出す事もなく]
取りあえず、謝るくらいはさせてくれ。後で、当事者にも詫び入れさせるつもりだが。
[妙に真剣にこう言った後、一つ、瞬いた]
責任……?
単に、親父がボケただけじゃ、なく?
[一人で考えていても埒が明かないからと、家を出たは良いものの。結局行く宛てなどある訳もなく]
[少女にこえをかけるのも何となく躊躇われて]
[大通りに着いても、暫くは屋台を見るでもなく地面を見ながら黙々と歩いた]
これも結界の力…てやつかね
[普段のこの村なら4人もの失踪…は大事件だろう。]
………………………
こんなの、楽しいとかいわねーよ…
[自分の知る子供達の表情を思いだし
…それは”楽しい”とは遠い表情で。]
[それに、連れ去られた団長やエーリッヒ。
自ら志願したらしいミリィやユーディットは…
はたして”祭りを楽しむ”ことが出来たと言えるのだろうか?]
…ありがとう…
[代金を受けとると、ランプを手渡し…ゆるり、ろ振り返り…]
…
[少なくなってきたランプの数に、小さく息を吐き…
空を見上げる。冬の空は澄んでいて…]
…どうするんだろ。
[その呟きは喧騒に消える]
[先の言葉には成る程と頷きつつも、真剣な言葉には首を振り]
不要だ。第一、この状況で謝られても誠意が見えない。
[きっぱりと言い切った]
[問い掛けには、幾度目かの溜息を吐いて]
……当人が望んだ事だからだ。
[簡潔に、昨夜の出来事を説明する]
[誠意が見えない、という言葉には反論の余地ナシ。
故に、それ以上は言わずに]
…………。
[昨夜の出来事を聞かされれば、しばし、沈黙し]
そっか……そんな事、が……。
[深い、深い、嘆息。右手がぐしゃ、と前髪をかき上げつつ、額に当てられた]
[金の光に包まれて――消える前に見た、悲痛な視線を光の珠へと向けている、緑の外套を纏いし赤髪の騎士。
だからきっと、彼が金の光を――引き受けようとしたのだと思ったのだけれど。
上手く行くといいという言葉に、こくり、頷く事しか出来なかった。]
[祭りを楽しむ気にはとてもなれなかった。
だから、一日中ずっと宿に居た。
合わせる顔がある筈がなかった]
[それでもこの時間は、出なければならないと]
[緑の外套を纏い、誰とも顔を合わせないように俯いて。
一人、賑やかな祭りの道を往く]
[屋台通りを抜けて。見知った建物の前でその歩みはぴたりと止まる。
じ、と見上げれば。小さく、深く息を吐いて。]
もっしもーし、ユリアンにぃー?いるー?
[いつもと変わらない声色を響かせて、工房の扉を開ける。
右手を握り締めたまま、中へと頭を覗かせて。]
[髪を撫でる優しい手に、甘えるように頭を垂れる。]
逢いたくない…わけじゃないれけど……合わす顔がありません…。
[――様子を見たいかという問いには、ゆるゆると…わからないというように、頭を揺らす。
もし、怒っていたらと思うと……怖くて頷けなかった。]
正直。
君がどうなろうが、妖精王がどうしようが、僕の知った事ではない。
迷惑千万極まりないだけだ。
なので、どちらに協力する気も一切無い。
……アーベルも似たような事を言ったらしいが。
[酷く不機嫌そうな表情になり、腕を組んで。
言葉を続けようとした矢先に、入り口の方から少女の声が聞こえる]
……来客か?
…
[もう一度溜め息をつく。
その視線の先には…昨晩、少女から渡された一つのランプ。
…ユリアンの銀の光で運ばれた少女の物だと。
その場は受けとってしまったが…どうすればよいのだろうか]
…全ては妖精の気の向くままに、か…
[小さく呟くと、マフラーをまき直す]
こんな情けない騒動に、進んで協力してもらえるほど、世の中都合いいとは思ってねぇよ……。
[額に手を当てた状態で、もう一つ、息を吐いて。
階下から聞こえた声に、顔を上げる]
あの声は……リディ?
[小さく呟いて。ちょっと見てくる、と言いつつ、玄関へと向かう。
……こちらも、来るべくして来たな、という感覚はあったりするけれど]
……見つけた奴と…話しはしたのか…?
……ターヴィッドかユリアンと……
[往来だと言うのに気にせず本題を告げる。]
[ダービッドの名を入れたのは・・・昨日、ユリアンが気を失った後
ミリィがいなくなったことや、その他を気にとめていないように見えたから。
ユリアンを抱えて消えた彼が…妖精なんじゃないかと言う、
推理と言うには稚拙な堪。]
[ユーディットの言葉に、少女は僅かに目を伏せる。彼女の本当の気持ちは、きっと自分と同じなのだろう、と、そう思った]
大丈夫、きっとミハエルは怒ってなんかいないわ。
[話は未だ終わっていないのだが、と思いつつも。
待つようにと言われたのだから、其の場に待機して]
[部屋の中を見回せば、作業台の上に置かれた紫水晶の細工が目に入る。
それは天使のようにも見える――翼を持つ者]
…
[アーベルの言葉には、少しだけ目を丸くしたが…首を動かし…]
…ダーヴィットさんとは…ね。
彼は…王様に、連れて行かれる…つもりだった…
でも、王様は…
[ソコで言葉を切り…]
…ユリアンとは、まだ…ね。
昨日、あんな事があったし…
[とりあえず思いつく場所へと足を運んだだけだったから
実際に居るかどうか、不明確だったのだけれど。
目的の人物が姿を現せば、あぁと小さく声を上げて]
ユリアンにぃ、いたいたー。良かったっ!
………あー、もしかして忙しかったりした?
[忙しいなら出直すけど。と
未だ、扉から半分頭を覗かせた状態のまま問うて]
[雪の上に腰を下ろす。
冷たいけれど、雪は気持ちいい。
苺を忘れるように目を閉じた。
幾度も繰り返したその唄を口ずさむ。]
ん、まあ……ちょいと、来客中だから。
[ちら、と部屋の方を振り返りつつ言って]
……んでも、恐らく、お前も同じか近い用件なんだろ?
[リディに向き直りつつ、問いと共に、小さく息を吐いた]
[天の国のことをうたうその唄は、
子供のまわりにだけ漂っているようで。
目を閉じた子供は気づかないけれど、
その背に、寄り添うような
薄い光があった。
祭りから少し離れた、静かな場所だから。
子供と、ひかりは、
ぬくもりをわけあうように]
……やっぱりダーヴィットでビンゴか…
[イレーナの反応に息を吐く。]
…………昨日は…ミハエルのメイドのユーディットが…
自分から志願して金の光りにさらわれたそうだ。
ユリアンとは、俺が話しを聞くことが出来た。
[そこまで行ってから、店の扉をさす。
”中の方が良いか?”と、言うことらしい。]
[鮮やかな緑の外套、それを纏う長身。
その姿は恐らく非常に目立ちはするのだろうけど。
当人はまるでそれに気付かぬまま、通りを過ぎて広場へ]
[天から金が下りてくる時間にはまだ早い。
珈琲をひとつ買って。
休憩所と銘打たれた空間の椅子に腰を下ろす。
ぼんやりとしたその様は、傍目から見れば奇妙だろう]
…ユーディット…あの子、が?
[舞姫の子が志願?
…理由を考えてみるも、思い当たる節はなく…]
…そう…
[…殴り合っていたのを見れば、話は聞けたのだろうと。
逆に、聞けていなかったら何をしていたのだろう、と言うことになる。
…指差された方を見て…あるのは店の扉。
小さく頷くと、周りの出店の人に頭を下げた]
[ひかりがすっと薄くなった。
子供はきょろきょろと、あたりを見回す。
懐かしいコエが聞こえた気がした。
だれよりもたいせつな。
だれよりも]
[少年が、紫水晶に目を止めたこと。
部屋に残っていたネズミ、それに気づいて]
『それ、フェーンの、意地』
[大気を振るわせる声で。人の言葉を発した]
…あっちゃ、来客中かー。
[ゴメン、と小さく謝罪を告げれば
続く言葉に、一瞬僅かに目を見開いて。]
…まぁ、誰が来てるかわっかんないけど…近いかも?
簡潔に用件を尋ねちゃえば
ユリアンにぃが"ミリィをあっちに送った"のか、って事を
…今一度、ご本人に確認しに来たんだけどさ。
[いつもの口調で問いつつ、目の前の本人をじぃと見上げて]
[思い出しかけたことは、何だか全部すっ飛んでしまって]
[妙に凹んだ気分で、また黙々と。気付けば足は広場のほうへ]
…ん。
[見覚えのある緑の外套が、人波に紛れて見えた気がした]
[確か昨日、いつの間にか居なくなっていた騎士が身に着けていたものだ、と思い至る]
[少女は、何かを決意した顔で、立ち上がり、ユーディットの手を引く]
それじゃ、確かめに行きましょう。
[言った途端、周囲の風景が変わる…目の前には、ミハエルと、リディ、そしてユリアンの姿も見えた]
[投げられた問いは、予想していた通りのもので。
知らず、苦笑が浮かんだ]
……ああ。
俺が、送った。
[それから、表情を引き締めて。簡潔に。問いに答える]
[昨日も通された店内に入る。そこはほとんど昨日とかわらない空間で。]
……なんでも、ユーディットも”妖精”だったんだって…
自分が妖精だから連れて行け…と言ったそうだ。
[多種多用なランプが置かれた店内は静かで、
大きな声で話しているつもりはないのに声がよく響く。]
……ミハエルが…「主として、失格だな」…とも言っていたな。
[その時のミハエルの表情を思い出し、青年は俯く。]
[屋台のどこかで見つけたはず、と、
大通りを子供は歩く。
そこの中の、そのお店。
スープを売っているけれど、
一緒にホットミルクも売っている。
当然、購入。]
[男は天を仰ぎ、微かな声で旋律を紡ぐ。
緩やかな音の流れは雑踏に紛れて消えていく]
[ふと、誰かの視線を感じて。
自然と顔を其方に向けた。
誰とも顔を合わせないようにと思っていたのを、一瞬、忘れて]
……こんばんは。
[ノーラが此方を見ているのが判れば、薄らと笑みを浮かべる]
[…椅子を勧めると、自分も椅子に腰掛け…近くにあった緑を基調としたランプに火を灯す]
…あの子が…ね。
なるほど…だから…あんなに。
[初めて出会った時、あんなに寒そうな格好で。
あんなに、人見知りをしていた仕草で。
物珍しそうに目を向けていたのだろうか。
軽く視線を落とし…]
…多分…舞姫、妖精自身が踊っちゃったから、王様が…
怒った、って。思ったんじゃない?
[外とは違い、声は喧騒には飲み込まれず、沈黙を破る。
その落差は耳に声を通らせた]
ミハエル、さん…が、か…
あの子、そう言う所、ちゃんと気をつけてそうだからね…
…でも…今回のは。あの子の、決めたことだし…
色々と、重なりすぎた部分もあるし。
『そう、意地。
それを創り上げる事が意地。
『人として』残したいもの。
そう言ってた。
ぼくら、人と近しく交われても、人になる事は容易くない。
そして、フェーンは。
人になることを選べない。
だから、人として残したいんだってー。
まあ、考えすぎの大バカなんだけどねー』
[最後に、さらりと真理を言ってのけているような]
[急に立ち上がったミリィに手を引かれ、雫の散る睫毛を震わせて、決意に満ちた少女の顔を見上げる。]
確かめ…るって………きゃぁ!
[ふいに、ぐるりと景色が変わり、見た事のない部屋
――工房にいる事に気付く。
ユリアン、リディ、それから…ミハエルがいる事にも。]
ごしゅじ……っ。
[口を付いて出ようとした、言葉を寸前で飲み込む。
彼女にはもう、少年を主と呼ぶ権利も義務もないから。]
[やがて飲み終えると、子供は頬笑んで、
そのコップを、そっと店主に返す。
身体は温かい。
声はないけれど、
大切なひともいる。
なつかしいような気もして。]
色々、詰めないとなぁ。
[ぽつり、星を眺めて、呟いた。]
[誰がいても
誰がいなくても
そんなの子供には関係のないこと。
結局のところ、
さらわれた人をみても、
自分がかわりに出ようとしない妖精が、
子供にとっては一番悪いから、
後は気にしないことにしただけ。
誰が妖精だとかも、
もう、気にすることはなく。]
……そっか。
[それ以上、返す言葉も見つからずに小さく溜息を吐いた。
……その返答も、予想していた物だったのだけれど。
ずっと右手に握っていたそれを―――ぐ、ともう一度強く握り締める]
―――そっか、うん。そーか。
判った。納得した。
……――――っユリアンにぃのバカっっ!!
[勢い良く振りかぶって。
右手を離れたペンダントは、相手の額へと目掛けて]
[そして、その場から反射的に逃げようとして――彼女の手をしっかと握ったまま、ミリィが固まっている事に気付く。]
……ミリィ…?
[――思わず、心配になって、そっと声を掛ける。
そんな彼女は、実はユリアンとミリィの仲を、ちっとも知らないままだったり。]
…大馬鹿だな。
[こくりと頷いた]
全く。大馬鹿者だ。
[次いだ言葉は、ユリアンに向けられたものではなかったようで。
遥か遠くを見るように視線が僅かに逸らされる]
[店内が緑の光りに包まれるのをぼんやり眺めながら
勧められる椅子に、礼を言って腰掛ける。]
……色々重なり過ぎた部分か……
なあ、それだけで納得しちゃって良いのかよ…
ユーディットが舞姫を踊ったのは知らなかったが
もし、イレーナの考え通りなら…あの娘さんだって……
[続く言葉は飲み込んで。]
……ユリアンと話しはしたが、
親子喧嘩でここまで巻き込み、巻き込まれって…
……んなっ!?
[突然投げつけられたそれに一瞬戸惑うものの、反射的に手で受け止める。
伝わる感触は、知っているようないないようなだが、それは置いておいて]
……ああ。
バカだよな、どうしようもなく……。
[かすれた声で、呟いて]
[短くなった髪はさっぱりしている。
子供は、大人たちに挨拶をして、部屋に入り込む。
子らはきっとまだ帰らない。
帰ってくる前に……]
[少年が遠くを見た事など、特に気に留めた様子もなく。
ネズミが見つめるのは、銀の燐光をまとう花冠]
『ほんとに、バカで困るんだよねぇ。
……どうすれば、いいのか。
答えは持ってるのに。
ためらってる。
怖がってる。
他に方法がないの、知ってても。
なんで言えないんだろうね、「力を貸して」って、一言が』
[独り言めいた言葉は、僅か、苦笑の響きを帯びていたか]
リディ!やめ…!
[…て、と止めようとした言葉は間に合わず。しかし、ユリアンが傷つかなかったことに、ほっと息をつく]
ああ、もう…どうしよう…私…
[落ち着かな気に揺れた柘榴石色の瞳。知らず知らず、ユーディットの手を握りしめている]
[礼を言って、腰掛ける]
[何時もと変わらない賑やかさ。きっと、消えてしまった人のことなど知らないから]
[それとも、騙されているのは此方のほうか]
……如何して、こんな事になったんでしょうね。
[呟いて]
[繕われる違和は、もっと大きな違和に誤魔化された]
…あの子が決めたことだもの。
あたし達が…どうこう言える問題じゃないわ。
[アーベルの言葉にはポツリ、と…]
…あの子がミハエルさんを見て…嬉しそうにしてた。
それでも、彼女は決めたのよ?
多分…自分にも、非はあるのではないか、って。
そうじゃなかったら…彼女が、志願する…理由が、無いわ。
[じ、とアーベルの方を見つめ…]
この、舞姫の事がなければ…あの子は、ミハエルさんの元で働くこともなかった…
居なくなった今…
あたしは…それが、全て…無駄だとは、思わない。
[瞼を閉じると、瞼を開き、ユリアンを見つめ]
…ユリアンは…なんて、言ってたの…?
「…大馬鹿だな。」
[ふいに耳を突いたミハエルの声に、びくっ、と視線を向ける。]
「全く。大馬鹿者だ。」
[僅かに逸らされた視線は、見えるはずの無い彼女を見ていると同時に、何処か遠くを見ているようでもあって。
いたたまれずに、瞳を伏せる。]
[石を受け止められれば、ギッと睨む様に見上げて]
……っ、バカだって判っててやってるんなら、もー本当バカっ!
ミリィの事連れてっちゃう様な妖精の言うことなんて
一生信じない事に決めたんだからっ!
[肩で息をしながらも一気に捲くし立てて。
ミハエルが奥から出てきたのを見れば、一瞬きょとんとしつつ。
来客が彼だと判れば、あぁ、と頭の端で何処か冷静に納得して]
……あのな…あの子が決めたこととか綺麗事で済ますな。
あの子がそう決めようと思った要員が何かを考えろよ…
そう思ってしまった原因。
あの子に非があるかないかは…知り合いじゃないからわからない
けど、もっとその原因に関わっていたら変えられたんじゃないのか?
嬉しそうにしてたあの子がそんな選択をしないですんだかもしれない、
そうじゃないかもしれない…
ミハエルだってあんな表情しないで済んだかもしれない、すまないかもしれない。
彼女の選択が無駄だとは思わない。
むしろ、彼女の犠牲は他の人の否犠牲だ。
けど、毎回誰かが替わりに犠牲になるのか?
その原因がなにかを知っているのにアンタはまだ傍観を決め込むって言うのか?
[イレーナの目を射るような目で見る]
[問いに逸らした瞳は天を見て。
広がる夜を、彼らを飲み込んだ夜を見る。
結界に閉ざされた空間は、既に飲み込まれているのと同義だろうか]
…さぁ…どうしてだろうな。
何故この瞬間だったのか、此処でなければならなかったのか。
私に解るのは……私が原因の一端であることくらいだよ。
[空を仰いだままに言葉を落とす。
周囲には届かぬよう。彼女にだけ届くよう]
[出てきたミハエルの方を軽く、見やり。
それから、リディの方に向き直って]
一生信じねぇ、か……。
そういわれても、仕方ないよな。
それだけの事をやってる、自覚はある……。
……だけど。
それでも……約束……果たすために。
終りにするって、約束のために。
誰かをぎせ……じゃなくて。
[ここで一度、言葉を切って]
誰かに……あと一回。力を、貸してもらわなきゃならないのも、事実なんだよ、な。
[しかしそれも、つかの間で。
ミリィの叫びに、驚いて少女の方を見る。握られた手に篭る力、ユリアンが怪我をしなくて安堵した表情。
――わかるな、と言う方が無理というもので。]
そう…なの……ミリィさんは、ユリアンさんの事が好きだから…此処に来たのね…。
[それは、彼女にはひどく――近しい感情で。
ちょっと背伸びして、ミリィのあたま…には届かないので、その肩をそっと撫でた。]
なんっつーか、まぁ…。
「とりあえず呑めにゃ♪」
んだな。
此処で何かしようったってどーしよーもねぇしな。
…向こうと、強く引き合える想いとかあるってんなら別だけどさ。
それで。
ユリアン=フェーダ。いや、フェーン、か?
ともかく。もう一つ、話があるのだが。
[ユリアンとリディの話を聞いていたのか、いないのか。
翠玉の眼差しをすっと向けて、声を掛ける]
一端…
[眸はゆるりと其方に向けられ]
そう、ですか。
彼は…大丈夫でした?
[昨日随分と暴れていたから、と。何事も無かったかの様に]
[視線は広場へと戻される]
…
[アーベルの言葉を聞き…視線を落とし]
…終わってしまったことは終わってしまったことなの。
それは、もう、お終い…
仮に、あたしが動いていたとして…それは、"何のため"に動いてたの?
いきなり聞こえてきた頭の中の声を信じ切って、一緒に暮らしていた村の住人を疑うの?
最初に連れていったのは、話をこじらせてきた王様で、あたしの中に居る妖精はその遣いの者なのに?
それこそ…どうかしてるわ。
[その言葉には迷いはなく…]
…それに、妖精は教えてくれなかった。
悪い子、としか。
誰にとって悪なのか。誰にとって善なのか…
その線引きは本人の元でしか行われないわ。
[フェーンという、『本来の名』で呼びかけられて、ほんの一瞬びくりとするものの。
ゆっくりと、そちらを、振り返って]
ん、ああ……悪い、そっちも話の途中だった。
……贅沢を言ってよければ、そっちの『名』では呼ばれたくないんだけど、な。
[はふ、と息を吐いて]
それで?
親父の大ボケの話は、本題じゃないんだろ?
[翠玉の瞳を見返しつつ、静かに問い]
[ユリアンの言葉に、俯きながらもしばし黙り込んで。
ミハエルの声が響けば、そちらへと視線を寄越す。
今まで彼らが、何を話していたのかは判らないけれども]
それに…見る事。言う事なら…誰だって出来るわ。
でも、手を翳すのは…誰にでも出来る事じゃない。
ソレも一緒に人に求めるのは…どうなのかしら?
[視線を閉ざすと、小さく息をつき…]
もう、あたしの見る力は意味がないわ…
それこそ。
あの二人がどうしたいのか。
それだけよ。
[投げかけられた言葉に、一つ、瞬いて]
……向こう……隔離結界に?
[確かに、後一度は衝撃を打ち込む必要があるのはわかっているけれど。
この申し出には、さすがに戸惑った]
わからないならききにいけばいい
[青年の答えは至極単純で]
別にいきなり妖精とやらを信じきらずとも、
それよりも知り合いで職人仲間のユリアンにでも、
騎士の称号を持つダーヴィッドにでも、
丁度祭りを見にきた妖精にもくわしそうなミリィにでも
「こんなことがあったのだけれど」と聞けば良い。
どうせ一人で考えたって結論が出る類じゃない。
妖精なんて非日常過ぎるもんなんだから。
聞いてから判断すれば良い。
聞いてから考えたって遅くはない。
[繰り返される言葉には頷くのみ。
追求が無いことに少なからず驚く。
彼女がもう全て解り切っているかのようで]
……ユリアンは、どうかな。
私は工房まで運ぶだけで何もできなかったから。
ああ、でも声が僅かに聞こえるから意識は取り戻しているようだ。
[彼女に向けていた視線を、彼女の視線を追うように広場へ]
[それから、店に飾られたランプに目を写し]
…イレーナは出来たランプは…出来たランプでもうそれきりなのか?
そのランプにどこか自分の思うようにいかなかった時どうしてだろうって考えないか?
そして、次の一つ作る時…それを反映させはしないのか?
[青年はそう言うとイレーナを覗き込み頭をポフリと撫でる]
[ユーディットに肩を撫でられ、少し落ち着いて…けれど、緊張したまま、やりとりを見つめていた少女は、ミハエルの言葉に、さすがに息を呑んだ]
ミハエル…
手を翳すのは…誰にでも出来る事じゃない。
そうかもしれないけどそうじゃないかもしれない。
実行に移す前にあきらめんのははやすぎないか?
ランプ作るのだって
「こんな難しいの作れないよ」では終らないだろ?
勘違いするな。
[戸惑うユリアンの様子にも、視線は外さない儘に]
先程言ったように、君に協力する気は、全く持って無い。
僕は、大馬鹿者に話をしに行くだけだ。
金色の光と銀色の光が行き着くのは、同じ場所なのだろう?
僕は自分の失態を取り戻しに行くだけだ。
……それで取り戻せる、だなんて、容易には考えていないが。
[其処まで言い切ると、ふっと溜息を吐く]
これは、僕の“意地”でもある。
[口許には僅か、笑みらしきものが浮かんでいたろうか]
[ミハエルが告げた言の葉は、予想も付かないもので。
あまりの驚きに、主と呼んでしまった事にも気付かず、必死で届かぬ声を張り上げる。]
あぁ、なんて事を…っ!
何を言ってるかわかってるんですかっ!
此処に来て、無事に帰る事の出来る保障なんてなにもないんですよっ!
フィリーネ様を…悲しませるつもりなんですかっ!?
お願いやめて聞かないでユリアンさんっ!!!
そこまでして――怒りにこなくってもいいですからっ!
此処から出ることが出来たら逃げずにちゃんと謝りに行きますからっ!
こっちに来ちゃダメーーーーーーーーーーー!!!
あ……。
[告げられた言葉。
それだけで、なんとなく。
意図は、つかめた気がした。
なんでこんな事には気が回るのかと。
相棒はため息をついていそうだが]
ああ、確かに。同じ場所……同じ、隔離結界の中だ。
団長、エーリッヒ、ミリィと……あの子も、間違いなくそこにいる。
[静かに、答え。
それから、こちらも微かに笑みを]
意地……か。
わかった。
意地を貫くなら、向こうに送る。
その『ついでに』、発生する力を、俺の親子喧嘩の収拾のために使わせてもらうぜ。
ふーむ、いっちょ前に漢だねぇ。
[なんとなく思い出したのは、幼い頃にフィリーネを連れに来た貴族のこと。
ねーちゃんをわたすもんかとかかっていくつもりが、コイツにはかなわないと、すんなり祝福する気になったっけ。
確かにミハエルはあのヒトの子なんだなぁ、と。]
―――ミハ君がいうなら、あたしは止めない。
[沈黙を守っていたものの。
2人の言葉に、小さく息を吐けば。ぽつりと]
―――…ユリアンにぃの言葉が本当なら、
…ちゃんと『終わり』にしたら、団長さんもエリにぃも、
ユーディットさんも、ミリィもミハ君も、…戻ってくるんだよね?
[“声”と言う単語に、僅か反応したけれど]
[…そうですか、と頷く。驚くのにはもう慣れてしまっていた]
[視線はずれて、暗い空へと]
ミリィちゃんは、合意の上だったって聞きました。
…エーリのほうは、如何して?
[金の光に崩れる様に消えた、銀の光を思い出して。気になっていた事を、淡々と口にする]
[呟くようなリディの言葉に、軽く、そちらを振り返って]
『一生信じない妖精』に言われても、アレかも知れねーけど。
帰って来る。
そして、それを成し遂げるのが、俺の『約束』だ。
…聞いても…ね。
あたしには、何の力もなかったわ…"見る事"しか。
ユリアンが…もし、悪い子だったら、何も出来なかった。
もし、協力を求められても、何も、出来なかった…
皆に教えよう物なら、可哀想だったでしょう…?
ミリィ…って子…ユリアンが、好きなんだから。
遠くに、行って…帰ってこれるかは、王様次第、って。
あんな、我が侭な王様で…それを期待するのは酷、よ。
[小さな声で囁くように呟く]
…リディにも、聞きにくかったしね…王様に対して、怒るのも、分かったから…
…結局…あたしは、見ていることを、選んだわ…
悪い子も、人攫いとか…罪を、侵すまで。
[ランプ、という単語に言葉が詰まり…]
…上手く、いかなかったランプは…何度も、作り直したわ…
大体…失敗していたら、すぐ…わかったから。
[頭を撫でられると、瞳を微かに濡らし]
…でも…あたしの、せいで…
全て、おかしくなったら…困る、じゃない…
ランプとは、違って…何度も、やり直せないんだから…
[少女は、どう言えばいいのか判らなかった。そもそも、ミハエルと同じことをユリアンに頼んだ身で、何かを言えるはずもない。けれど…けれど、感じ取れたことは、やはりあって…]
ユーディット…少し、あなたが羨ましいわ…
[小さく、小さく、呟いた]
一度決めたのならば、その意地は――貫く。
そうだろう。
[ふっと、笑みを消して]
何度も言うが。
君の問題は、僕にも、僕以外の者にも関係無い。
ここまで来た以上、きっちり事は収めろ。謝罪は後回しだ。
[何方の方が年上なのだか、解らない物言い]
妖精の王様も石に宿ってたそいつも、ミリィを連れてっちゃった妖精も、
皆一緒。妖精の言うことは、もー信じない。
……けど。
[小さく息を吐けば、ユリアンへと視線を移して]
……「戻ってくる」って、ミリィが言ったから。
ミリィと約束をしたのがユリアンにぃなら、
―――あたしは"ユリアンにぃ"を、信じる。
[ぽつりと]
そうだな。決めたこと、意地は貫き通すもんだ。
……ああ、わかってる。
俺の問題は、俺の手でケリをつける。
絶対に、な。
[物言いは気にした様子もなく……むしろ、らしいな、などと考えながら。
はっきりと、頷いた]
[ゆるゆると息を吐き出し、視線は更に下へ。
視線が辿り着いた珈琲は購入した時そのままの量を保っている]
…最初に、団長が消えたろう?
その時に妖精王の気配が彼からして、な。
……それだけといえば、それだけだ。
[言い訳にもならない、と心の内で呟いて]
[はっきり言い切られる言葉に、胸が詰まって――言葉も出なくなって。
(少年の言う『大馬鹿者』が、自分ではなくエーリッヒだったりして…なんて一瞬現実逃避しかけたりもしつつ)
ぼろぼろ泣きながら彼らの会話に耳を傾ける。
――ミリィと繋がれたままの手に力が入るのは、消して逃げようとしている訳ではなく。]
……リディ……。
[ぽつり、呟かれた言葉に、わずか表情が緩んだか]
……ありがと、な。
[小さな呟きには、安堵と、それから感謝の響き]
色々難しく考えすぎなんだよイレーナは。
先に回り込んで考えすぎて…動けなくなってる。
[青年はイレーナの”もし”が沢山ついた言葉に苦笑し
イレーナの髪をぐしゃぐしゃと撫でる。]
ユリアンが悪い奴かって言われれば、
大馬鹿だとは思うけど悪い奴じゃないって信じられないかな?
それに王様に期待できなくても
ユリアン自身が打破するかもしれないとかも
……俺はさ……ランプ扱ってないからかな…
ランプよりも人間の方が案外頑丈だって信じてるよ
……悪いことばっかじゃなくて、色々信じてみようぜ?
なんせ妖精がいるなんて信じられないことがある村なんだから
[ミリィの小さな呟きは、半分自分自身の嗚咽に紛れて聞こえなかったけど。
それでも、同意するように、何度も何度も *頷いた。*]
[リディとユリアンとの遣り取りを見れば、……小さく溜息]
僕はリディと違って、君が嫌いだし、信じている訳でもないが。
それは、君が人間だろうが、妖精だろうが、関係のない事だ。
[そもそも数日前まで、妖精の存在等信じてすらいなかったのだが]
……僕が見るのは、あくまでも個人だからな。
[髪をくしゃりと掻いて、両の手を腰に当てる]
で。此方は何もしなくていいのか。
モノの見方なんて、人それぞれだろ?
見んな違ってる。
んで、だからこそ、面白いんだ。
[さらり、返して]
ん、そのまま立ってれば大丈夫……。
……ああ。衝撃がでかいかもしれんから、それに対する気構え作っとくとかはしといた方がいいかも。
[ユリアンの言葉にふるふると首を振って。
小さく息を吐けば、ぺしりと自分の頬を叩く。]
…っ、はい!あたしの八つ当たりはこれにて終わりっ!
ごめんね、ユリアンにぃ。 多分、…八つ当たりなの。
――― ミリィに守るよって言ったのに、あたしが守れなかっただけだから。
[ごめん。と小さく謝罪を口にすれば、
投げてしまったペンダントへと掌を差し出して。]
[ゆっくりと席を立つ。
満たされたままのカップは椅子の上に置いて。
天を、睨みつける]
……今日こそは、連れて行ってくれるのだろうな?
[揺らめく銀の陽炎は、誰かの目に留まっただろうか]
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