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それはまだ、始まりの前でした。
始まる前の、ささやかな日常。
おや、噂好き ホラント が来たようです。
森の奥で、妖精の姿を見た、って噂があるんだ。
『銀の月が昇る夜には、妖精たちが宴を開く』なーんて言い伝えもあるし、ちょっと楽しそうだよね。
……調べてみようかと思うんだけど、一緒にどう?
おや、少年 マリオン が来たようです。
……あれ?
こんな所まで来るとか、珍しいねー。
……もしかして、妖精とか探してる?
[にこにこと、楽し気な様子で笑う一人の少年。
木の葉色の瞳には、姿かたちに似合わぬ大人びた光も浮かんでいるけれど、気付いたものはいたかどうか]
それならさぁ、ちょっと手伝ってほしい事があるんだけど。
……妖精に会いたいんなら、絶対損はしないよー?
[こてり、首を傾げて問う少年に、誰よりも早く答えたのは噂好きの青年。
なんでも手伝うよ、というその宣に、少年はにこりと笑った]
(これなら、何とかなるかなー)
[にこにこと笑って話をしつつ、少年──否、少年の姿をしたソレは内心で息を吐く]
(ほんっとに、王と来たら肝心の所は無計画なんだから……。
いや、そういう方なのは知ってるけど。知ってるけど)
[ああまったくもう、と思いつつ、ソレはふと、自分がこうしている理由に思いを馳せていた]
─ 妖精界 ─
……今、「逃げられた」って言いました?
「聖夜を無事迎えるための力をこめた大事なきのこ」に「逃げられた」って言いましたね?
[畳みかける問いかけに、玉座に悠然と座る王はうむ、と頷いた]
…………女王にバレたら、どうなるかわかってます?
[ぼそ、と声を低めて問いを重ねると、王は気まずげに目を逸らした。
あー、そこはわかってんだなあ、と。
そんな事を考えながら、落とすのはため息一つ]
……わかりました。
きのこに逃げられたままじゃ、聖夜を迎える事もできない。
……集めに行って来ます、けど。
[不意に途切れた言葉に、王は不思議そうに瞬いた]
……ぼくだけの手に負える事態じゃありませんから。
他の誰か……ぼくらが普通に見えそうな人間たちにも、手伝ってもらいます。
…………文句、ないですよねぇ?
[にっこり笑っての問いに、王はしばしの沈黙を経て肯定を返し、そして。
齢三千までもう少し、というヤドリギの妖精ミステルタインは人間界へと赴く事となったのだった]
─ 森の広場 ─
……ん?
あー、っと、ごめん、ごめん。
[ふと遠くへ飛んだ意識を引き戻し、少年は目の前の噂好きの青年へと木の葉色の瞳を向ける]
ああ、名前?
あーと、ぼくの名前は、マリオン。
マリオン・ミステル。
[にこり、笑って向けられた問いに答える。
告げた名前は、姿を借りた少年の──妖精にとっては掛けがえない友のそれ。**]
おや、森防人の孫 ギュンター が来たようです。
……あぁ、あの噂か。
うちの爺様の爺様が見たって話もあるよ。
なんでもそれ以降、うちは家督を継いだら森防人(もりさきもり)になるって習わしも出来たとかで。
僕もいつかは継がなきゃならないんだけど、いまいちピンと来ないんだよね。
本当に妖精はいるのか、って。
[ホラントの話ににんまりと笑って、ギュンターは森の奥へ行くことに決める。
あれこれと荷造りをしたのは万一を考えてのこと。
森防人の孫として、この辺りの教育はしっかりとなされていた。
肩掛けのカバンをぶら下げて、ホラントらと共に森の奥にある広場へと足を踏み入れる]
[陽も高く、木漏れ日で煌く広場にいたのは見慣れない少年>>2]
……君は?
[疑問はホラントが少年の問いかけに答えた声に掻き消える。
不思議そうなギュンターと対照的に、ホラントは少年のお願い事に二つ返事で返していた。
村で見ない子が居ると言うことを疑問に思わないのかこいつは、などと半目になりながら心で呟き、小さく溜息をつく。
少年が瞳に宿す大人びた光を無意識に違和感として受け取っていた]
[結局、少年の手伝いをすることになり、ギュンターも異は唱えずに受けることにした]
それで……マリオン、だっけ。
何を手伝えば良いんだい?
[問う声を少年 ─── マリオンへと向ける**]
おや、使用人 ドロテア が来たようです。
あら、こんにちはホラントさん。
今日はどのような噂をお聞かせになってくれますの?
……森の奥で妖精の姿を見た? それは素敵ですわ!
実は私むかーし、言い伝えが本当か気になって森の奥まで行ってみたことがあるんです。
結局道に迷っちゃってそれどころじゃなかったんですけど。
あの時はほんとうに―――… え、一緒にどうかって?
もちろんご一緒いたしますとも♪
[お庭の手入れをしていた時にやって来たホラントさん。
彼が話した噂を調べるために森の奥に行くことにしました。
サボりではありません。お勤め先からの許可はいただいております。
使用人がこうなら主も主で言い伝えに興味がおありのご様子。
そもそもむかーしの私に件の言い伝えを教えてくれたのも主でしたし。
道に迷わないように、などなど言い含められてしまいましたが。
ホラントさん、他の方々にも声をかけているようですし。
はぐれちゃわなければ大丈夫……ですよね……?]
[野草や木の実などの採集のため森の中(奥ではない)に行く機会は多いですが、
お見かけするのは森でふつー見られるものばかりです。
自然と好奇心が刺激されていきます]
楽しみですわね♪
さて、その……、「あるもの」とはいったい何なのでしょうか。
[少年――マリオン様にお尋ねいたしますとふとそわそわと辺りを見回します。
その“不思議なもの”は案外近くにあっちゃったりするかも……と思ってのことです**]
おや、老女 ゼルマ が来たようです。
おや、お揃いでどこへお行きだい?
[ふらりふらりと森の道。
若者達が集い歩くを見つければ、やんわりとした声を掛け]
ああ、そんな話もあったっけねぇ。
たまには大勢でというのも良い。
ひとつ、この婆も混ぜておくれだよ。
[のんびりと、だが足取りは矍鑠と。
木漏れ日揺れる広場までついていった]
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