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[こちらのことをわかっている相手には接するのが気安い。
言葉を返さない様子に気を良くしない人も少なくはないから。]
……(こくり
[キャロルに腕につけた銀の輪を見せられると小さく頷いて返す。
自分はあまり女性らしいアクセサリーというものを身に着けないので少し興味があった。]
―広間―
[届いた飲み物を皆に勧めながら、自分も飲み物を手にして、掛けられた言葉に一口飲み込んでから]
あぁ、そういや見かけたことがあると思ってた…
俺も、荷物届けたらすぐ帰る時があるし、他の客人とはあまり話す機会ねぇし。
[そう返すと、丁寧に優雅に名前を告げられて、ほんの少しだけ驚いた様子になる]
へぇ…そうか、あんたがキャロルさんか。
アーヴァインの旦那から話を聞いたことがある。
[そう言ってから、思い出したように自分の名前と仕事を告げる。
多少無礼ではあるが、相手が誰であっても変わらないのが長所でもあり欠点でもあった]
[もう一口口に含んで、広間にやってきたシャーロットを目に留めると、一応はきちんと頭を下げて]
お久しぶりです、お嬢さん。
[一言だけ挨拶を。
彼女の事情を知っているから、必要以上に離しかけることもなく。
キャロルとのやり取りをどこか微笑ましく見ながら]
[風が強い、というセシリアの言葉に、碧の瞳は再度、窓の向こうへ]
本当に。
荒れる前につけて良かったというべきかしら。
……雨と糊って、何か関係があるの?
[続いた言葉に浮かぶのは、疑問。
それをそのまま言葉と変える]
[閉じられた窓がかたかたと揺れる中、骨張った墓守の手は乱れることなく頁を捲り続ける。
やがて最後の一文まで読み終え、本は閉じられた]
[窓の外で揺れる白花の中、動かない黒石に少しの間目を遣る。
それから窓に背を向けて、書庫へ向かう為に、部屋の扉を開けた]
[キャロルに頷いてからセシリアと名乗った少女からかけられた言葉に窓の外に視線を向ける。
起きたときよりも窓の外の様子は思わしくない。
きゅっと胸元の服をかすかに握る。
普段ならばもう雨くらいでそんな気分になることもないのだが、夢のこともあったせいか雨のことを思うと気が落ちる。]
……
[少し暗い面持ちで小さく頷いて、それから視線は一度本に。
そういえば着た時に何かしていたなと思い出す
この少女は何しに屋敷にきたのか、そんな疑問も少しだけ沸くが特に尋ねる気は起きなかった。]
[それから、碧は再び青を捉え。
頷きの肯定に、ふふ、と楽しげに笑む]
これは、私にとっては仕事道具、というべきなのだけれど。
[言いながら、舞の型を軽くなぞるように腕を動かす。
銀色の輪が触れあい、音律にも似た響きを織り成した]
常に、楽師の伴奏があるわけではないから。
こうして、舞に彩りを加えているの。
……勿論、装飾品としても、とても気に入っているのだけれど。
─階段─
[廊下へ出ると階段へと向かい。
その中頃から手摺りに張り付き階下を見る。
広間に居た者が廊下に出ていないか警戒してのことだった]
……………。
[広間に向かわないとは言え、鉢合わすのは気まずいと言うか怖いと感じる。
見える範囲に居ないことを確認すると、再び階段を降り始めた]
[そういえば、ギルバートに挨拶していなかったことを思い出した。]
あ、えーっと、先ほどはお騒がせしてすみませんでした……。
セシリアといいます、しばらくお世話になることになりました。
よろしくおねがいします……。
[入れたての紅茶を受け取り、椅子に座る]
えっとー……雨が降ると空気が湿気ちゃって、糊の渇きが悪くなっちゃうんです。
あんまり乾かないとカビの原因にもなっちゃうし……はやくお天気良くなるといいですね。
わたし、この本戻してきます。
随分作業がはかどっちゃって……今日はこれを戻して終わりにします。
[紅茶のカップをテーブルに置き、積み上げていた修繕が終わった本を抱えて立ち上がり、そのまま廊下へ]
[ギルバートがこちらを見る様子に一瞬だけ意識がいきちらりと視線を向ける。
それはほぼ無意識にだったかもしれない。
すぐに視線はキャロルの方に。]
……
[楽しげに笑む様子にはつられるように小さく笑みを返し、
かけられた言葉に視線は銀の輪と腕の動きに。
広間に響いた音色にしばし耳を傾けてから]
……(ほふぅ
………
[感嘆の吐息を漏らしてから、きれいと声にならない口の動き、キャロルに頷いて。
装飾品としても気に入っていると言われたその銀の輪は綺麗だと思った。でもきっとそれが似合うのはキャロルだからだろうとも思った。]
[セシリアが早く天気がよくなるとという言葉には心の中で同意をしていた。微かに頷いていたかもしれない。]
……
[本を戻してくると廊下に出るセシリアを見送った。
自分にはその背中にかける言葉はない。
セシリアが出て行くと再び視線は今の話し相手のキャロルに向ける。]
―階段上―
[本を片手に携えて、階段の方に歩いて行く。
丁度その真上に来た時、青年が階段の中程から降りて行くのを目にした]
[声を掛けようとして止め、その場で足を止めたまま、青年が階段を降りきるのを待つ。
相手が振り返ってしまえば丸見えではあるのだけれど]
─ 一階・廊下→厨房─
[ユージーンの気配には気付かぬまま階段を降りて。
こそこそと、移動する使用人すら避けるようにしてラッセルが向かったのは厨房。
そこで水か何か、直接貰うつもりで居た。
厨房の扉から中を覗き込むと、何人かの使用人が食事の準備をしている。
その手にはラッセルが取って来た作物もあり、思わずしばらくの間、扉の陰から調理の行方を眺めていた]
[音の余韻が消えた後。
セシリアの説明に、ひとつ、ふたつ、瞬く。
そちらの方面には余り詳しくはないのだけれど]
……雨と、相性がよくないのね。
[理解した部分を口にして、行ってらっしゃい、と広間を離れる背に声をかけ]
[シャーロットの唇の動きと、表情。
ふふ、と笑んでありがとう、と言葉を返す]
シャーロット嬢も、良いお年頃なのだから、もう少し飾られてもよろしいのではないかしら、ね?
[更に続いた言葉は、冗談めかした響きを帯びる]
[紅茶を飲みながら、声をかけてきたセシリアに向き直り、名乗るのにこちらも笑みを返して]
初めまして、だな。
俺はギルバート…麓の村の雑貨屋のもんだ。
暫くいるんなら、そっちの…作業に必要なもん、言ってくれれば用意するぜ?
[名前を告げながら、しっかりと営業までして。
本を抱えていくのを見送って]
……手伝った方がよかったかね、あの量。
[ぽつり]
―広間→書庫―
[まだ糊の乾ききっていないものや明日もう一度手を加えるものなどは机の上に。
背表紙の修繕だけですんだものを元の棚へ戻す]
…1割くらいは確認できたのかな……。
[改めて書庫を見渡すと、暗闇の中に大きな書架が整然と並んでいる。
なれないものが見れば不気味だろうその光景が、セシリアにとってはとても心地の良いものだった。
たくさんの記憶がここに収められている]
[ゆっくりと大きな呼吸をして、満足げに部屋を出た]
[ギルバートの呟きに、抱えてきた時の様子をふと思い起こし]
そうねぇ。
エスコートしてあげていい場面だったんじゃないかしら?
[返すのは、からかうよな口調の言葉]
[キャロルにありがとうと言われ、続いた言葉に少し驚いた表情、
そして微かに首を横に振り、困ったように赤くなり俯き加減に。]
…
[冗談めかした響きとはいえ自分が歳の割りに子供っぽいことは屋敷の来客達と比べれば感じること。
ハーヴェイに会ったときに先ほど言われたこともあり気恥ずかしい気分になっていた。
ちらりとキャロルに視線を向けてから改めて自分との違いを大きく感じた。]
……
[浮かべるのは困ったような笑み、自分にはやっぱりそういうアクセサリー等は似合わないと思ったから。]
―廊下―
[ここに来てからもう何度も往復した廊下を歩く。
ここをまっすぐ。次を右へ。
ふと左手からいい香りが漂ってくることに気づいた。厨房だろうか?
そちらの方向を見ると、ラッセルの姿が見える]
(顔をあわせたら会釈するだけ!
向こうが気づかないならそのまま通り過ぎよう…)
[廊下を通過するだけ。
それだけのことがまるで綱渡りのように感じられる。
息を止めて足音を殺し、そっと通り過ぎる]
― 一階廊下 ―
[青年が振り返ることは無く、その姿が見えなくなった頃、墓守もまたゆっくりと階段を降りて行った。
足は当初の目的通り、書庫のある方向へ向けられている]
孤児 トビー が参加しました。
[お金を貰った。だから付いてきた。
言われたことは、目を離さないということだけ。
だからいつだって、ただ見ていただけ。]
出て来ないなぁ
[握ってるお金を取り返されたら、また偶然を待たなきゃいけない。
スリは何度もやったけど、殴られたり蹴られたりもするから危険。
死んだ人の荷物は漁ったけど、バレたらやっぱり殴られた。
全部没収。割に合わない。
偶々「目を離さない」ように言い付けられたのも、バレたら殴ったり蹴られたりしたんだろう。
運良く気付かれる前に、離れられたから良かったけど。
割の良い仕事っていうのは、どうしても危険だ。]
仕方ないや。中行こうっと
見られちゃ駄目なんて、言われてないし
[そうと決めたら行動開始。
細い吊り橋を渡って、大きな戸を叩く。
目を離しちゃいけないんだから、しかたない。]
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