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……行ったか。
[遠ざかる足音と声。
再び路上へと出る]
会話してたな。
ってことは、人だったのか……?
[振り返るが、確認しに戻ろうとはしなかった。
やはり判断の余裕はなかったが、片方に苦手意識があるという意味で正解だったかも知れない]
……っつっても、家帰れねーんだっけ。
どーするか。
[思案しつつ、足は中央広場へと向いていた]
むー。
うちは戸締りなんてしないから、分かんないよ。
[開けっ放しでも取られるようなものはなんにも無かったりするという意味がでかいが、神社に盗みに入るという不届き物が少ないという理由もあった。
まあ、精々盗まれて困るのは下着くらいだろうか]
ふぃ〜。やっと落ち着ける場所に着いた〜。
[独り言のように零しながら、一直線に寝床のある場所へと歩いていき、それに包まるようにして、即座に神楽は寝付いた。
疲れがひどかったのは分かるが、正直、女性としても、司としても無用心すぎると*言わざるを得ない*]
そう、なのか。
でも何で、オレにそれを言うんだ?
あのおばさんも言ってただろ、迂闊に話すのは良くないって。
[巫女が紅を纏う女性に注意されていたこと。
それを繰り返しながら幼馴染に訊ねる]
─自宅─
そこは、威張るところかっ!
[戸締りしていない、という言葉にやっぱり突っ込み入れて。
直後、真っ直ぐ寝室へと歩いていく様子に、さすがに戸惑った]
て、おい、おま……。
[止める間もなく、ベッドは占領されて。
感じたのは、頭痛]
……お前。これ、俺じゃなかったら、どーなってたか、知らんぞ……。
[無用心ここに極まれり、とでも言えばいいのか。
正直、女としてそれはどうなのか、とか、突っ込みたい事は山ほどあるのだが]
……まあ。いいか。
[結局、追求は投げた。突っ込み疲れた、とも言う]
すみません。一つ忘れていたことがあるのを思い出しました。
氷雨さんもお詳しいようですし、これで失礼させてください。
隠れ鬼は得意でしたし、おまじないもあるからきっと大丈夫。
気をつけて戻りますから。
[ごめんね、と千恵の手に軽く触れて立ち上がる。
後半は百華に言うと、雪夜と両方に小さく頭を下げた]
伽矢くんのこと信じているから。
[笑いかける]
私は千恵ちゃんと伽矢くんを守りたい。
そのために、『憑魔』を浄化しないといけない。
でも、私に何かがあったときは伽矢くん、千恵ちゃんのこと守ってあげて。
……で、だ、な。
[寝室から、リビングへ戻り。ぐるり、室内を見回す]
……史さんは史さんで。
なに、遊んで行きやがった……。
[微妙に色々と変わっている配置に、ため息をつく。
一通り、復元が済むと、また、窓辺に寄って煙草に火を点けた]
『司』と『憑魔』……か。
……龍先輩。
あんたの『力』をあの場で継がなかったこと。
……少しだけ、後悔してるよ、俺……。
[小さな呟きは、立ち上る紫煙と共に、*大気に溶けて消えてゆく*]
きみゃく…?
[百華の言葉に首を傾げる。
どこかで聞いたことがあるような気がしたが、思い出せない。
綾野があやねえちゃと同じかどうかは、わかんないと首を振る。綾野の名前は覚えていなかった。
黒江が突然、戻るというのでちょっと心配そうに見て。]
くろえねえちゃ、きをつけてね。
[そう言ってうさぎの耳も揺れる。]
ちえ、お見送りするー。
[ひょこひょこ、入り口の方までついていった。]
[笑みかけられながら信じてると言われ、何となく下を向いた。
ハンチング帽でまた表情が隠れる]
……勿論、千恵をそいつらの手に渡すつもりは無い。
オレの大事な繋がり、渡すもんか。
[下を向いたために口元がマフラーに隠れ、くぐもったような声になる。
それでも、声が揺らぐのは隠せなかったか]
不意に、響く、鈴の音。
最初に現れた時よりも、高い枝。
天により近い、枝の上。
桜の小袖の童女は、同じ色の瞳を天へと向ける。
[千恵ちゃんが言う、
『ひょーまとつかさがおうちにかえれなくしてる』というのは、
素直に考えたせいか妙にすっきりとしていて、
私は姪に少し笑顔を見せた]
うん、確かね、きみゃく……って。
おばちゃんも何の事かさっぱりわかんないよ。
って黒江さん!
[口を抑えたかと思うと、黒江さんは突然席を立った]
おまじないもあるからって……
[所詮おまじないでしょう、と。 私はそう思っている。
彼女についていくべきか、子供達のそばにいるべきか。
私は少し*躊躇った*]
「くれないちりて。
いのちははじける。
うつわはいずこへ?
たましいはそらへ。
こころはいずこへ?
おもいはどこかへ。
ひびく、ひびく、ちからのたまゆら。
ちからあるこら。
いずこをめざす?」
[千恵のことを語る伽矢の態度、
二人は特別だからそう思っても少し心にちくりと痛い。]
伽矢くん、私……、
これから、いっぱい危ない目に会うと思う。
もしかしたら…、
[その先の言葉に少し詰まって、うつむく伽矢の傍に寄っていく]
伽矢くん、私がいなくなったら、伽矢くんは悲しんでくれる…?
―中央広場―
[静まり返った広場の中央、静かに聳える満開の桜]
……やっぱ、夢じゃなかったんだ。
[入口で暫し立ち尽くした。
そろりと辺りを見渡してから、大樹の下へ歩いて行く]
あの人もいねーな。
[赤い服の女が既に死したものとは知らず。
花降らす桜の枝を見上げた]
ありがとう。
鍵をお願いできるかな。
[瑞穂が施錠していたのは見ていたから、千恵に頼んで。
雪夜の言葉にまっすぐそちらを見た]
…はい。
[唇の端が少し上がる。
普段を知る人には珍しく、他者からも笑みのように見える形で]
…………。
[問われて、しばしの沈黙。
この先ここに居る全員が生き残れるかどうかは疑問だった。
ましてや司は憑魔を呼ぶ。
幼馴染が言いたいことは、痛いほど解った]
……近しいやつが居なくなって、悲しまないやつなんて──。
[言葉を紡いでも、顔は俯けたまま]
どうしても気になるので。
[大丈夫、ともう一度百華に言うと玄関に]
瑞穂さん、ご馳走様でした!
[姿の見当たらない瑞穂に声を上げ。
そのまま千恵に後を頼むと外へと出て行った]
[百華の嬉しそうな笑顔に、えへと笑い返す。]
ちえもわかんない!
[無知を恥じる事がないのは、子供だから。
心配そうにする伯母と、大丈夫だという黒江をきょろと見る。
そのまま思案する伯母をすりぬけ、黒江の頼みごとにこっくり頷いた。]
くろえおねえちゃ、おうかのところに行くの?
[鍵を開けながら尋ね。]
おうかに会いにいくなら、ちえもいきたい。
[うさぎといっしょにじーっと見上げる。]
―中央広場―
[瞬き一つ。
花の間に童女が1人]
……お前。
お前が……『桜花』?
[天を見る妖から応えはあるか。
片手で頭を押さえた]
呼びかける、声。
桜色の瞳は、ゆるりと下へ。
「桜花は、桜花。
うまれたときから、ずっと、桜花」
問いへの答えは、わらうよな響きを帯びて。
[しばしの沈黙、伽矢を見つめたまま返答を待つ。
紡がれた言葉にうつむいたままの伽矢の胸に頭を預けるようにして抱きついた]
ごめん、少しだけこうさせて…。
[伽矢にすがりついたまま体は震えていた。]
少しだけ…
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