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……まあ、外での転寝は程ほどに。
[返って来た答えに、何となく諦観めいたものを感じて。
自身の日常を良く知る者が聞いたなら、説得力皆無な一言をユリアンに向けた。
ちなみに、白猫をどこで見たかはまだ思い出せていないらしい]
[エーリッヒの言葉に、少しだけ頬を膨らませた]
もー。だから、難しいって言っているんじゃない。
エーリッヒさん、意外に人の話聞いているようで、ちゃんと聞いてないことあるんだから。
駄目だよ。そんなんだから、いっつもユーディットさんを困らせてるんだよ?
[最後の言葉には少しだけ顔を曇らせて]
……あー。うん。
分かってるんだけどさ。
でも、1年も何の進歩も無いと、やっぱ才能無いのかなあって思っちゃうわけよ。
これも芸術家に家に生まれた運命ってやつ?わはは。
[見つめ返してくる白金をしばし見つめて]
…………。
[不意に手を伸ばし白猫の頭を優しく撫でた。
何を言うでもなく、ただそれだけを何度か繰り返す]
― 広場 ―
[筆入れやらノートやらを縛った物を小脇に、ゆらりとした足取りで店や家が並ぶ沿道を歩き、女性はそこへ辿り着く。赤茶けた地面、中央に噴水のある開けた場所――もとい広場]
……。
[入り口で立ち止まり、ぱらぱらと人のいる周囲を見回す。その瞳には険しい色があり]
ありゃ。猫ちゃん。今度はユリアンさんのほう向いた。
移り気の激しい子は持てないよ?
[フフッと小さく笑う。
そして、ユリアンに向き直り]
お礼は、ティッシュの件。
罵声は、驚かせた件。
全て一緒にしちゃ駄目。そんな大雑把なくくりで宝石細工なんて出来るの?
[カルシウムが足りないという言葉には、少しだけ考え込んだ]
カルシウム。小魚とか牛乳ね。後、卵のカラもいいとか言ったかな。
んー?カラはともかく、他のはそんなに嫌いってわけじゃないんだけどなあ?
[言葉の言外にある嫌味には気づかなかった様子で]
[さらさらとメモにペンを走らせながら]
なるほどねえ…感性と感覚と夏の木の上で寝る事の危険性と井戸端と雑談…ね。
[ふぅとため息をついてメモをぱたりと閉じ]
俺が言えた義理じゃねえが…おまえら平和だよな。ホント。なんかこうおもしれー話はねえのかよ。俺の詩の題材になるよーなよ。
[頭をポリと掻いてから]
ああ、お袋なら今日は落ち着いてるみた…落ち着いてるぜ。お陰で俺はのんびり散歩できるってこった。
それじゃ、戻るとき、一緒に行こうか。
一人で行かせたら、途中で倒れかねないし。
[半ば冗談めかして言った後、タイミングよく思い出したらしい女将からの頼まれごと。支度を終える間の、待ち時間の暇つぶしを兼ねて改めて引き受け、*奥へと向かった*]
……いや、そこでユーディを引き合いに出されても困るんだけど。
[言ってからふと、思う。
朝からの行方不明は、また色々といわれるなあ、と。
取りあえずはその程度なのだが]
……ん、取りあえず、「難しい」と考えるのを止めてみる所から始めるのをお勧めする。
そういうところから変わることって多いしね。
運命、かぁ。
その点では、俺は楽してたのかも。
両親ともに、芸術とは無縁だったから。
平和が何よりでしょうに。
[ハインリヒの言葉に、思わず苦笑を浮かべつつ]
詩の題材、と言われましても。
自分が、自分の音作りに苦しんでる時に、人の方までは中々手は回せませんて。
[続けた言葉は、冗談めいた響きを帯びる]
[日中。出かけたきり帰ってこない主人のことは気にしないよう精一杯努めることにして、ユーディットはとりあえず家の用を片づけることにひたすら専念することにした。
屋根裏から貯蔵室まで隅々の掃除・整理をひと通り終えると、幾分か気も紛れた。
綺麗に磨かれた玄関の床を、ふぅ、と汗を拭って満足げに見渡す。]
うん、こんなものかな。
これならもし今日突然国王様がいらっしゃっても自信を持ってお迎えできる!
[気持ち、えっへんと胸を張ってみた……後で苦笑いして]
まぁ、うちのご主人様はこの力作に気付くこともないだろうけど。
[でも気付く気付かないの問題じゃない、そうだ自分の気持ちの問題なんだから! と励ますように独り言を続ける。]
[皆の前で見せるポジティブな姿勢は、一人になれば途端にパワーが弱まる。だからこういった独り言は欠かせない。
この辺り、まだまだ自分は治りきっていない、と感じる。]
……強くならないとなぁ。
[一人きりの家の中、小さな声がやけに響いた。]
そか。良かった。
おばさんには、昔可愛がってもらった覚えがあるからさ。少し心配だったのよ。
[題材云々には]
うん。おじさん。
それは、感性が足りないのよ!
考えるんじゃなく、感じるってことが大事なのさね!
[受け売りの言葉をそのまま伝えようとしたら、最後ちょっと噛んだ]
[何冊めかの本を読み終えて、新しい一冊を開く。
どうにも薄暗くて読み難い]
…………あ。
[気が付けばもう陽も山に隠れようかという時間である]
忘れないうちに食事しておきますか。
[夜は酒場で食事を取る事にしている。
会わなかった村人たちの様子も知ることが出来るように。
名残惜しそうに手にした本を置くと上着を羽織り外に出た]
……全部混ぜ込んだ顔しながら言ってたのは、そっち。
礼が礼に聞こえなかった。
………まぁ、そこまで感謝されることでもないだろうけど。
…宝石の加工には関係ないし。
[ミリィが思っているほど大雑把な加工はしていないが、いちいち説明するのも面倒なのでそれだけしか言わなかった]
……体内に蓄積してないってことだな。
理解した。
[含んだ厭味は理解されなくても、気にしないどころか更に厭味を含めたり]
[エーリッヒの言葉に少しだけ勝ち誇ったように]
わはは。
ユーディットさんが優しいから言わないことを代弁してあげたのよ。
天知る地知る人が知るってね。
―――うーん。そうか。
なら、難しいって言わないでおこう。空の色なんて簡単、簡単だー。
……うん。すごく無理があるような気がしてきた。
…何もおっさんのために日々を過ごしてるわけじゃないし。
題材欲しけりゃ、親方のところで宝石の加工でも見れば?
[足しにはなるだろう、と白猫を撫でながらハインリヒに視線を向けて言い]
…腹減った。
飯食ってくる。
[その場に居る者に端的に告げて、その場を離れようと]
[メモを再び開いては「なのさね」とペンを走らせて]
っはは。「なのさね」ねえ。
感じるのが大事…か。男と女のアレみたいなもんか?
[下品な笑いを浮かべた後で]
…平和がなによりってもな。
味のねー飯喰ってても死にはしねーが退屈だろう?
ちょっと味が濃かったり、スパイス効いてるのもたまには喰わなきゃつまんねーのと一緒だよ。
ああ、おまえんとこのメイドが作る飯は除外だけどな。
[とエーリッヒに向かってニカと笑う]
[宿がある方、反対側の教会に続く方と交互に見てから、一度俯き、すぐにさっと顔を上げ]
――道行く諸君! 同じ星に住む同胞達よ!
私は今驚くべき……
そして慄然たる事実を諸君らに伝えねばならない!
この世は……明日にも! 滅亡するのだ!
[空いている方の掌を天に向け、仰々しく予言じみた事を叫ぶ。表情は至極深刻げに]
あっ、はい。
それじゃ、これ着替えてきます。
[冗談を断る理由が無いので、素直にこくりと頷いた後、まだ少しゆっくりとした足取りで部屋へと戻っていった。
薬は少しずつだが効いてきているようで。ここに戻る間に味わった痛みは大分薄れてはいたが、怪我が急に治ったわけではないので、無理はしないよう心がけながら。
着ていた服を脱ぎ起き普段のものに替え、出て行こうとした所で一旦テーブルの上に置いてある小さな袋を上から撫でた。とても大事そうに。]
……左様ですか。
[勝ち誇られた。
でも、反論は自分が不利だと思ったので止めておいた]
いきなり切り替えようとしても、無理でしょうに。
まあ、あんまり身構え過ぎないように、ね?
[苦笑混じりの最後の言葉は一部、自戒も含んで]
[立ち去ろうとするユリアンへ]
宝石の加工なあ…おまえの親方のって…おまえのは見ても参考にはならねーって事かそりゃ?
で飯喰いに行くのか。もうそんな時間だっけか。
ま、おまえが喰うのは飯だけじゃねーかもだがなー?
[メモに何やら書き込みながらニヤニヤ笑う]
[ゆっくりと道を歩く。
前方から女の叫び声が聞こえて足が止まる]
…今日もお元気そうで。
[軽く伏せた睫の下で翠が翳る。
見ない振り聞かない振りの村人たちに混じり再び歩き出す]
[離れようとするユリアンの言葉。
そう言えば、今日もまともに食事をしていないなあ、と。
一度は忘れかけた事を再び思い出し]
ん、まあ、刺激が必要なのは、否定しませんけど。
……って、そこでユーディを例えに出さんで下さい。
[ハインリヒの言葉に、零れるのはため息一つ。
他の事は任せて安心できるのだが、どうにも台所だけは、というのは、わりと切実な悩みの種だったりする]
[ユリアンの言葉に、にひと小さく微笑んだ]
むむう。
こやつ、このやうな顔して中々根に持っておりまするわい。
殿ー。この顔に騙されないように注意してくだされー。
[彼方に向かって声をあげる。
その後の言葉には]
んー。蓄積されてないのかなあ。
人によって、体内に摂取できる量は変わるって話だからなあ。
でも、これ以上食べたら、お腹がピーゴロ言っちゃうし、無理っぽい。
[やっぱり嫌味を理解してないようで。
頭が良いと言う割には、意外にぼけてます]
……俺のを見るよりは、親方のを見た方が手際とかは良いだろ。
…ああ、刺激が欲しいってなら、俺のを見た方がハラハラはするかもな?
──あんたが怪我するかもしれねぇけど。
[常の無表情から、ほんの少しだけ口端が持ち上がったかもしれない。
そんな顔をハインリヒに見せてから、続く言葉にはちらりと視線をやっただけで、直ぐに背を向けて宿屋へ向かおうとする]
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