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―宿屋 食堂―
そうだったの。
お互い災難だったわね。
[ユリアンの返事に肩を竦めてみせる。
ライヒアルトとミハエルと、他の者にも今更ながら会釈を返して]
全員?
[アーベルからの返答に、今一度周囲を見渡して]
たしかに、パーティなんて雰囲気じゃなさそうだけど。
随分とバラエティに富んでいるわね。
[はっきりとした共通点の見当たらない面子。
頬に手を当て、首を傾げた]
─工房『Horai』/寝室─
かもしれないわ。
理由、教えてはくれなかったのだけど……。
[ただ急いで欲しそう―というか急げといったような顔の
自衛団員を思えば余り時間をかけない方が良さそうだと判断し。
朝が苦手な夫を、少々無理に起こして促した。
自身も準備をと、身を翻しかけて、
かけられた大きな声にどうしたのかと振り返ると、
自分も半ば忘れていた、朝の支度への謝罪があり
旬と垂れた頭を両手で挟むと、一つくちづけを落とした。]
仕方ないわ、二人して眠ってしまったんだもの。
カルメンさんとミハエル君は先に帰ったみたい。
ごめんなさいは、また会った時にしましょう。
[だから大丈夫と、夫に微笑みそう言ってから、
ふと完成した銀の守り刀を思う
自衛団の呼び出しなら、ギュンターもいるだろうかと、
なら折角だし届けようかと一度工房へと向かい
完成した銀で傷つかないよう、身長に布で包んで、小さな篭鞄へとしまっておいた。
もう一つ、作品棚の方に置かれた、白い布に包まれた燭台をみる。
昨日のうちにライヒアルトに渡しておけば良かったかなと一瞬思ったが、
どの道雨の中、荷物になるような物は持たせられなかっただろう。
教会へ持っていくのはまた今度にしようと、そちらは諦め棚のままに。
そうして身支度を終えると、待っていた団員に一言謝罪をいれてから、宿の方へと向かっていった。
身重の身故か、手荒に扱われる事はなかったが。
道中での気まずいような、張ったような空気には、多少不安を覚えて隣の夫の手を強く握り締めた。]
―→宿屋―
[クロエがゲルダの手首を冷やす頃
漸く青年はゲルダたちの傍へと寄る。
ゲルダの言葉>>246に瞬き細い手首へと視線を向けた]
掴まれただけなら膿まない。
否、転んだ拍子に膝とか手とか擦りむかなかったか?
手首のその痕だけなら、冷やして……
[傷がないか如何かを念の為問う。
一応女性ということもありみだりに肌に触れようとはしない]
手、貸してみろ。
[清潔な布地に生薬を塗りつけながらそう彼女に言った]
ええ、そうよ。
あなたも、そうらしいわね。
[ゲルダに答えながら、被ったままだった帽子を脱いだ。
不安そうな眼差しを受けて]
大丈夫?
顔色が優れないようだけど。
[眉を下げて問う。
手首を掴まれた、などと他に話すのを聞けば、表情はますます心配そうなものに]
……ま、それはそうだが。
ほら、クロエが甲斐甲斐しく世話やいてたろ?
女性の事は女性に任すのが無難だと思わんかね。
[女性を診る時にはかなり気をつかうようで
ユリアンの言葉>>249に苦く笑う]
……って、矢鱈に触ろうとしたのかよ。
ま、説教されるような事が無いなら良しとするか。
[やれやれと肩を竦めてみせた]
─翌朝・宿屋自室─
[もぞもぞと布団に包まり、転がっている。]
むぅぅ………………
[ごろごろごろごろ……]
…………あと、3時間んみゅぅ……
[彼女はひたすらに朝に弱かった。]
―宿屋・食堂―
[押される事はなかったが、
夫と共に促されれば、大人しく宿の中へと足を進める。
中には既にもう何人もの人――ほぼ顔見知りの住人たちがおり、
その顔ぶれに、何度も目を瞬かせた。]
……みんな、自衛団の呼び出し……?
[おそらくそうだろうとは思ったが、
確認も含めて少々首をかしげて尋ねた。
人死に云々の話は、タイミングを逃して耳には入っていなかったが
各々が纏う雰囲気に、困惑の色は濃くなった。]
─宿屋・自室─
…………むくりなう。
[そう言いながら体を起こすと、ぐしぐしと目を擦る。
そうして、きょろきょろと周りを見渡し、]
……おはよう朝ごはん。
[ポツリそう呟くと、ずるずる這いながら洗面所へと向かうのであった。]
―至る宿屋―
[しゅんと項垂れた頭は、妻の接吻一つでむくりと起きる。]
うん。そうだね。
じゃあ、急いで着替えるよ。
[2人に逢ったら謝ると、脳裏に刻んで準備を整えると
妻と共に迎えの自衛団に謝罪を入れた。]
…、……―――。
[けれど、何やら不穏な空気に、オロリとしてしまう。
無駄に口を開かなかったのは、
傍らにある妻を不安がらせたくない一心で。
言葉より傍に居ると示すことで不安を減らそうと、
強く握ってくる手に返す握りも潰さぬ程度に強く。]
アーベル君――――…其れじゃあ何?
他に何かがあって、其れで団員さん達はあんなにピリピリしてるの?
[聞こえてくる言葉の節々は御世辞にも良い話には聞こえない。村でひとが死んだと云う事実、自然死では無く、事故死とも呼べず、得体の知れない何かを娘は感じていた育ちの良さそうな少年とも話している彼らには自然と目が行き。はたりと眸を瞬かせた。]
うん…カルメンさんは何とも無かったんだね
其れなら好かった…ほっとしたのだよ
[胸に手を当てて息を吐き出す。
そも、抵抗を見せなければ痛い目には逢わなかったのだが、
運悪く娘は彼ら自衛団の癪に障る返答をしていたようで。]
大丈夫だよ…ちょっと不謹慎かもしれないけど、
こうしてカルメンさんや他の人達と話せたからさ…
[一人で何処かに閉じ込められでもしたら、それこそ不安になったのだろう。
他の人の存在がある今こそ落ち着いていられるのも不思議な話で。]
─宿屋・食堂─
[顔を洗って下りてきた食堂。
そこには見知った顔が並んでいるわけで、]
おや、これから会いに行こうと思っていたのだが。
手間が省けたと考えていいのかな。
[洗顔後に火を点けた煙草を銜え、そう言う彼女は平時の通り。
スイッチのオンオフはしっかりと出来ている様子。]
崖崩れだけでも厄介だってのに
橋も掛けなおしってことだよな。
……今頃村中てんやわんやの騒ぎだろうよ。
[夏以外は閉ざされてしまう村だから
夏の物流と人の流れは特に大事なこと。
ただでさえ悩ましい事態に溜め息まじりの吐息が漏れる]
『訳』……ねぇ……。
厄介なことになりそうだな。
[アーベルの言葉>>256に不安は強くなるが
表情には余り出さぬまま。
イレーネとゼルギウスの姿>>259が見えれば]
……昨日は世話になったな。
ん、……こっちも呼び出されたクチだ。
─宿屋・食堂─
[来客を告げる音に視線は出入り口へ。
イレーネとゼルギウスの姿が見えると、これまでと同じように頷くような仕草で挨拶をする]
……この全てが自衛団に集められたと言うのか?
統一性が見えん。
[呟きながら眉根を寄せた]
…そうなのかい
えと、昨日足首を草で切ってしまった位なのだよ
其処は薬を塗っておいたのだけど…如何かな
[何処かかしらは擦り傷は有るかも知れないが、冷やしても尚ジンとする手首に娘は意識が向かっていた。恐る恐るライヒアルトに訊ねるのは診断の様子を伺いたいが為。治療との事で前もって手を貸せと青年に云われれば娘は頷き、其れに従うだろう。実際に自分で見えないところを治療する訳でも行かず。]
うん
何から何まで済まないよ、ライヒ君
僕も、もう少しあちらさんを覗うべきだったかもしれないね
[そう言って、娘は自身の愚行を恥じた。]
そうして自衛団に呼ばれた人々は集まった
会話の成立しない赤毛男が最後に押し込まれただろうか
入口と裏口、両方を自衛団の者が閉じる
団長がゆっくりと前に出て
集った者の顔を確認するように見ていった
[新たに来た二人に手を振って。
投げかけられた言葉に答えようとするのと、自衛団の訪れはどちらが先だったか]
じいさま、か。
……よーやく、ご説明ってわけ?
[ぽつり、と呟いて。
緊張感を増した空気に身を震わせる蒼鷹を、そう、と一撫でした]
―宿屋 食堂―
ああ、昨晩はお世話になりました。
あなた方も?
[開いた扉の先にはイレーネとゼルギウスの姿。
問い返すことで肯定の代わりとなるか]
ふふ、それは残念ね。
機会があればお願いしようかしら。
[エスコート云々には冗談めかして言った後で、表情を笑みから戻して]
そうね。
今のところはみんな若いこと、くらいかしら。
[アーベルに対して上げた共通点に己が入っているかは定かではない]
集まったようじゃの。
橋の話はせずとも既に皆知っていよう。
もう一つ、大切な話があって集まってもらった。
今朝、崩れた崖の近くで遺体が一つ見つかった。
この夏に村へとやってきた旅人のものじゃ。
嵐に巻き込まれて死んだのではない。
普通ではない殺され方をしておったよ。
[心臓とその付近が「食い荒らされて」いたことを告げる。
そうした習性を持つ獣は村の周囲ではまず見られないというのに]
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