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[ウェンデルが鼻を鳴らす様子に、そうだな、と頷き]
…仮に、そうだとして。
そんなことの為に、人を殺す…酷い、話だ。
[ゲルダにこんな話を聞かせるのは心が痛んだが、黙っておくべきでもない話だとも思い、話すことはやめず。
ゲルダの声には、あぁ、と肯定の言葉を告げた後。]
クロエに直接、聞いたわけじゃないが。
ライは、嘘をつくような奴じゃない。
[ほんの少しだけでも、ユリアンの纏う空気が柔らかくなったのを感じながらも、その言葉にそうだな、と頷いて]
御伽噺なら、どれだけ良かったか。
―広場―
[人を殺す、と言う言葉に僅かに動揺を見せる。
軽く拳を握って耐える。]
そっか……ライヒアルトは言葉が少ない分、嘘は言わないもんね。
でも、クロエが……そうすると、狙われるんじゃ、ないの?
[はっと思いついたように、おろおろとした。]
―宿屋前―
[おびえたような表情のまま立ちすくみ、ことばを待つ]
あたくしは…ヘルムート・フォン・ティークは、作家だから。
ものがたりに関することは、詳しいの。
[いいわけめいた口ぶりで、つぶやき。
誰に、と、示されなかった部分は、作家らしく想像でおぎなって。
かんがえたぶんだけ、沈黙がおちる]
人狼が実在するなら…、あの組織、も。
[呟いて、その結論にいきおいよくフーゴーを見る。
声には、だしはしないが]
――……。
ほんとうに、覚悟が決まってる、のねぇ。
[恥じ入る如くに、顔を伏せた]
[フィールドワークの為に草むらへと分け入ったところで、
背後に聴こえる絶叫。
無表情のままではあるが、驚いて少女を見やった。]
…――いえ、別に置いて行く気はないのですが。
[自分のペースを乱されることを厭う学者は、
一つ溜息を吐いて、それでも少女の元へと戻る。]
私も、調べるのが仕事ですから。
良くは分かりませんが、不安なら傍についてきてください。
疲れたら云ってくれれば、足を止めます。
[昨晩幼馴染に見せたと同じように、精一杯の譲歩を見せた。]
─宿屋─
[唐突に変わった口調に、きょと、と瞬く。
航海の話は、島から遠く離れた事のない身には、今ひとつ実感はわかない、けれど]
悪い事、考え、ない?
明るい明日……。
[それは多分、今まで考えの及ばなかった事で。
「考えすぎるな」という言葉と共に、どこかにすとん、と落ちるよな気がした]
……そりゃ、ちいちゃい頃から知られてはいるけど、さ。
[調子を戻し、向けられた言葉に返すのは、やはりいじけたような声]
大きなお世話。
どぉせ、可愛げの欠片もありゃしませんよーだっ。
[素直じゃない、との評価にこんな言葉を投げ返しつつ。
そこには、はっきりそれとわかる、安堵が込められて]
─宿屋前─
ああ……そうだったな。
物書きなんだったら知識が豊富でもおかしくは無い。
[ヘルムートの職業をすっかり忘れていた自分に自嘲の笑いを浮かべる。結論に至ったらしい相手に気付くと、少しだけ表情を柔らかくした。それは苦笑にも似た笑み]
覚悟は15年前から決まってる。
そのために俺は戻って来たんだからな。
[ウェンデルとクロエと学者先生、に何か思い当たったのか]
ああ、あれだ。
クロエなら俺が出るときに酒場にいたぜ?
学者先生って、あの難しい顔した?
なら、なんかおやっさんたちと随分難しい顔で話してた。
[まだいるかな、と呟きながら]
クロエもあれ、見たんだっていうしな…相当なダメージだろ。
まあアーベルがついてるみたいだったけど。
[アーベルに止められても後で顔くらいは見に行くか、などと考えつつ]
あぁ、……全くだ。
[ヴィリーに同意を返し]
本人の真偽はともあれ。
確かに先生の言なら、そう名乗ったって点についちゃ確実……か。
[続く言葉にも頷いて。
ふと何か思い出したかのように、眉を寄せた]
そう、言われれば…
[ゲルダから問われた言葉に、目を見開いて。
言われるまで思いもよらなかった自分の浅はかさに、内心舌打ちをしながらも、何と言えばいいか迷い。]
そう…だが。
少なくとも、島の連中や自衛団の奴らから、人狼として責められることは、なくなるはず、だ。
[フォローになるかはわからないが、少しでも心配する事項が減れば、と。]
[皆の話を聞きながらも、どこかそわそわと落ち着かないのは、幼馴染が心配だから。]
でも……クロエが霊能者だとしたら……人狼を見分ける力を持つ人も、やっぱりいるってこと、だよね……
[それは誰なんだろうと、思案するようにこの場に居る人々の顔を見やる。]
それはそうかもしれないけど――
[信じてくれるかどうかわからない、と言う言葉は飲み込んだ。
手放しで人を信じることをしない女はクロエが本当に霊能者だとしても、周囲の人間が疑心暗鬼に落ち入ったときに、ソレを信じるとは思えなかった。]
……クロエに、あとでお守りでも、わたしておこうかな……
[気休めかもしれないけど、と小さく呟く。]
[ユリアンの証言を聞けば、少しだけ表情が和らいで]
アーベルが側にいたなら、クロエを一人には、しないだろう。
…おっさん達と、ライもいた、のか。
[その時に聞いたのか、と思いながら、ライと港で会ったことを考えれば、結構時間が経っているのだな、と。
眉を寄せるウェンデルには、どうした?と声をかける。]
耳に入ったなら、確かに狙われっだろうな。
クロエが本物なら。
……奴らが死後のコトを気にしない、ってのなら別だが。
[眉を寄せたまま]
[痛い。
心が痛い。
もう、何がなんだか分からない]
───もういい!
ライヒアルトのことは分かった!
いらないなら……最初から優しくしないで!!
もうライヒアルトとなんか一緒にいない!!
[涙を流し、胸を押さえながらも、無理やりに近い形で立ち上がると、少女はこけそうになりながらも走って、その場から立ち去っていく]
ばかあっ!!
[足がふらつく。でも、その場にはもういたくはなかった]
[不安げにそわそわとしだしたゲルダの様子に、もう一度頭を撫でて]
…そろそろ、宿に行くか?
ここで顔を合わせていても、茶の一つ、飲めないぞ。
[そして、ゲルダにだけ聞こえる程度の声でこう囁いた]
疑うことは、誰にでも出来る。
…お前は、信じたいものを信じろ。
―宿屋―
[深い調子の声と共に、クロエの顔に掛かっていた髪を払った]
俺だって……前の船長とかにはよく笑われたもんだ。
[下を向いたまま笑う。
宥めるよな言葉には少しだけ間が空いた。
瞳が翳ったのを見たのは、足元の猫だけだっただろうか。
文句にはクックと笑い顔を上げて]
ほら。騒いでないで少しは休めって。
誰か様子を見に時にダウンしてたら、また心配かけちまうぞ?
ん、……あぁ、いや。
[ヴィリーに尋ねられ、ふるりと一度首を振る]
昨日の晩、学者先生が言ってたのを思い出してな。
……人狼を見たコトがある、とか。
[昨日は曖昧な話だと流してしまったのだが]
[頭を撫でられて不安げにヴィリーを見上げ。
提案にこくり、と頷いた。]
うん、そろそろ、宿にいくよ。
[囁き声で告げられた言葉に僅かに瞬き。]
ヴィリー兄……あたし、あたし……
ヴィリーのことは、信じてるから……
[手を伸ばして、シャツの裾を掴みながら、小さく答えた。]
あぁ、そうなるか。
[ゲルダの言葉に小さく頷いて、矢張り他の面々をちらと見遣る]
ま、確かに。
ここで突っ立ってても、どうにもならねぇな。
[ヴィリーに同意して、辺りを見回す。
島民が遠巻きに視線を向けているのが見えた]
─宿屋─
[髪を払う感触に、少し、目を細める。
翳りは、見えなかった、けれど。
間の空いた言葉に何か、いつもと違うようなものを感じた気がして、不思議そうに一つ瞬いた]
……なら、騒ぐようなこと言わなきゃいいじゃない、の。
ホントに、もう……。
[ずるい上に、意地悪い。
言葉にはしなかったけれど。
声にはしっかり、現れていた。
……ぶち猫そんな様子に、また呆れたように欠伸をしていたりする]
[頷くゲルダに、ユリアンとウェンデルも行くか、と視線を向け。
弱くシャツを掴まれ、そちらを見ればゲルダから小さく声をかけられ瞬きをするも、そうか、と頷き。]
…ありがとう。俺もだ。
[その表情は、ゲルダへの無条件の信頼が見えただろう。]
[無表情の中に、唖然としたような色が一瞬見え]
…――良く分からないな。
[先程とは逆になるか、立ち去る少女の後ろ姿を見送る。]
そもそも、彼女は私に復讐をしたいのではなかったろうか。
[首を少し傾げて、追いかけるでもなく、
フィールドワークに戻るのは、
――ライヒアルトがライヒアルトであるから。
頭上でさえずる鳥の声。
ふっと下を見ると、翼を傷つけた小鳥がもがいていた。
碧の眸は瞬いて、そしてそっと優しく指先が伸びる。]
嵐でやられたのかな…――。
[両手で包みこんで持ちあげると、
手当をしようと自宅の方向へと足を進めるのだった。]
―宿屋前―
……おとこのひとの、そういうわらいかたは、卑怯だわ。
[警戒とは、べつの方向に眉をしかめる]
そういうの、きらい。
[きゅ、と、べにを塗った唇をかむ]
ずるい。
本当に、人狼と相打ちにさえなれるか、解らないくせにっ!
[言い捨てて、宿屋の中へと駆け込んで行く]
[皆の言葉に頷き、歩き出すのならその後に続くだろう。
ヴィリーの返答に小さく嬉しそうな笑みを浮かべ。]
うん、ありがとう、ヴィリー兄。
[そしてあとは皆の話を聞き、宿へと向かうのだった**]
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