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[枝の上で、呼吸を整えていると、肩のラウルが視線をどこかへと向け、ぴぃ! と甲高い声を上げた]
……どしたい、ラウル?
[突然の事に相棒の視線を追えば、そこに浮かぶは白の翼と]
……狐の旦那か……散歩かい?
―施療院―
[オーフェンとロザリーと別れ、施療院へ戻れば、カルロスや先生に事情を伝えた。
エリカの眠る様子を見、伝えられた言葉を聴いて。カルロスの提案した最善を取らなかったことを今更悔やむ]
私、どうして、広場に行ってしまったんだろう。翠流と、翠の翼と聞いたから、なのか。
[首を振ると]
……伝えるのはロザリー一人いればよかった。私は、こちらについているべきだったのに。任せてすまなかった、カルロス。
[診療所の仕事がひと段落着いた後は、アヤメの部屋で、ベッドの脇の椅子に腰掛け、じっと彼女をみつめていた。ベッドで眠る姉貴分は、エリカと同じように、ひどく消耗しているようで。時折、浮いた汗を手ぬぐいでぬぐう。エリカとカルロスの様子を見に行きながら、カルロスに休む方がいいと提案しては断られ。朝方、浅い眠りにつく。部屋からアヤメが出て行ったことには気がつかないまま]
散歩だな。
[鳴いた鳥に目を向け、それからアヤメを見る。]
お前は?
実でも取りにきたか?
[近づいて、尋ねる。
四枚の翼に関してはなにも言わない。]
そりゃまた、優雅な事で。
[さらりと言いつつ。
実の話にああ、とそちらを見やり]
天将の素質を見極める実、か。
さて、どうだろうねぇ?
[はぐらかすように言いつつ、手近な実をつつく。
揺れる実は、特に変わる様子もなく、ただゆらゆらと]
とくべつに疑うひともいるまい。
[そばの枝に足をのせ、翼をおちつかせる。
彼女のように捥いで、己のものはぼろりと崩れるのを見せる。]
さて。
お前は素質があるようだな。おめでたいことで。
[逸らされず受け止められた視線は居心地が悪く、すぐに自分から外した。
告げられた内容をよく咀嚼する。都合が良いと考えてしまうのは、さてどうしたものかと]
俺は…アイツは人間だと思うがね。
言えはしないが、理由も一つだけある。
[嘘にはならない言葉を選び、告げる。
窓の外へ視線が動いても、自身は俯いたままで気付かず]
…いや、アイツの考えてる事は、簡単だよ。
理解できるかは、別だろうけどな。
―回想―
あは、いいよ〜
[と、ショートカットの意味がわかっているのかいないのか。
だが崖から飛び降りるようなルートも特に苦もなく楽しげに着いていった。
そして診療院の扉を開けて、そこの主であろう人とカルロスが喋っているのを見て]
うん。動かないのはつまんない。はやく楽しくなってね
[カルロスがエリカを運ぶのを見送れば、去ると告げることもなく診療院を後にした]
―回想終了―
ま、こんな時期にこんなとこに来てりゃあ、ねぇ……。
[さらりと言いつつ、崩れ落ちる実を眺め]
さて、めでたいのか、はたまためでたくはないのか。
どっちだろうねぇ?
[小首を傾げつつ、笑う。
向ける視線は、艶笑とは裏腹の鋭い眼差し]
さァ。
俺は知らないが、ふつうはめでたいんじゃないか。
[くすりと哂い、狐はただアヤメを見る。]
めでたくないとしたら、知られたくない場合か?
――なァに、俺には口外するつもりはない。
― 回想 ―
[ カレンたちと別れた後、とりあえず家へと戻ることにした。]
調べてみると言っても…。
[ そう言って頭を抱える。
ここ連日の外出はやはり自身の体力を奪っているようで。]
……とにかく、眠りましょうか。
リディアが封じられたなど…悪い夢なのかもしれません。
[ そう言ってベッドへと倒れこんだ。]
[窓の外へ視線を向けたまま、カルロスの言葉に耳を傾ける。
全て聞き終えてから、目だけ動かして青年を見た。
俯いた顔は見えない。その背の翼胞の内も見えはしない。]
理由は言えないか。
……それでは信じるのは難しいな。
まあいい。お前がヤツを人間だと思っている事は判った。
[理解については鼻に皺を寄せ、淡々と事実だけを告げる。
聞くべき事を聞けば長居する気はなく、青年に背を向けた。]
……………邪魔したな。
[向かうはアヤメの所。
抜け出したと聞き、馬鹿娘と呟くのは*少し後の事*。]
……普通は、ね。
[くすり、笑う。表情の変わらぬ狐の意図は読めない]
隠し事は、知られたくないからするモンだろ?
ま、好きにするといいさね。
アタシは、もう逃げも隠れもしないと決めたからさ。
[ 朝、目が覚めてから身支度を整える。
夢見がやはり悪かったからあまり眠れなかった。
家に閉じ篭っていたい気持ちもあったが、リディアのこともあり。
それから気になることもあり、家を出る。
羽根を羽ばたかせ移動する途中、
スティーヴと会い少し話をした。
エリカのことを気にしていたようなので、
恐らく施療院にいるだろうことを告げた。
彼とは、そこでそのまま別れる。
昨日のこともあり、少しばかり許せぬ気持ちもあったが。
それ以上に気になることがあった。
羽根をまた動かしその場所へ向かう。]
― 回想終了 ―
― 森の中 ―
嗚呼、ここみたいですね。
[ そうしてまた降り立つ。
結界樹の範囲の外。
種のような何かがあった。
心成しか空気が淀んでいる気がする。
気配に聡いのはある種、左目のお陰でもあるか。]
といっても、私にこれが何か判断する能力はありませんからね。
[ そう言ってから左目を抑える。]
……まあ、ね。
[翼への問いには、さらりと返して。
ゆらり、四翼を揺らめかす。
零れる紫星の力がふわりと舞い散り、粒子となって風に流れた]
…分かってる。此処で俺の言葉を全部信じるような相手じゃないって、事くらいさ。
[俯いたまま、スティーブが立ち去る様子に顔を上げもせず。
先程エリカが言いかけ、止めた言葉に思い至れば息を吐いた]
とりあえず…先生にエリカちゃんが起きた事、伝えてくるよ。
んで、俺も…少し寝て来て良いかな?
流石にそろそろ眠たいや…。
[茂みの中から顔を出す。
寝てたからだ。木の葉などを体につけながら、川。湖。そこにある結界樹を思い、そちらを向く]
あは、いってみよ〜。いってみよ〜
[と、駆けようとして、一旦止まる。
光球を見たからだ。それをじぃと見て、寄ってくるのに触れて]
うん…あは…そう。うん。楽しいね。
[ぱっと霧散する光球。それを見届けるでもなく。走って。向かう先は結界樹]
隠した所で、いずれは知れる。
そして、隠していては何もできない。
……それならどうするか、なんて一択だろう?
[くすり、と笑って]
ま、旦那辺りは隠しとけ、って言うんだろうけどねぇ……。
あははは〜。とうっ
[と、結界樹が見える位置まで走って。湖を幅跳びの要領で飛ぶ。
が、飛びきれるはずがなく]
とどかな〜い♪とどかな、あぶぁっ…
[ざぱぁんと水しぶきを立てて豪快に湖の中に突っ込んだ]
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