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[牧師様を信じるなら少なくとも”屋敷内に幽霊はいない”わけで。
ナサニエルの少しずつ頑張ればいいとの言葉に勇気付けられ、お下げの少女の背から離れる――小さな呟きを残して。]
…あの、ごめ…ありがとう…。
[牧師様の顔色が戻ってから離れたのは、まだほんの少しだけ頑張り始めたからなのだと信じたい。]
[微笑む姿を見て、わたしは少しほっとする。
それから、皆に頭を下げて、名を告げた。]
どうぞ、ローズ、と呼んで下さいな。
数日は、滞在することになると思いますし。
[知り合いに似ていた、とのこと。それにしては尋常ではなかったような、と少し疑問は残ったものの、気のせいかと結論づけた。
聞こえてくる会話に、頭の中で牧師と女性、それに先ほど呼ばれた少年の名前を記憶する]
[ ナサニエルの言葉に軽く肩を竦めてみせるも、寄って集って頭を撫でられるトビーを見れば、顔には微かに苦笑めいた表情が浮かぶ。
ローズ、と自らの名を告げる女性へと視線を移すと、未だ緑髪の女性らには名乗っていなかった事に気付き、]
……嗚呼。俺は、ハーヴェイ=ローウェルです。
此処には、本を読ませて頂く為に来ていまして。
[宜しくお願いします――と再び形式的な礼。其れから今度は全員に向け、]
取り敢えず、広間にでも行きませんか? 立ち話も何ですから。
……とは云っても俺は、屋敷の主でも何でも無い訳だけれども。
[終わりは些か砕けた口調で述べる。]
[会話の中からそれぞれの名前を拾い上げる]
そっちのおねーさんはローズマリーって言うのか?
で、こっちの少年がトビーで良いのかな?
挨拶が遅れたな…俺はナサニエルって言う。
好きなように呼んでくれて構わないぜ。
[ようやくというか、少女の背後から出てきたトビーの様子に、くす、と笑んで]
がんばれ、男の子っ!
[言いつつ、ばん、とその背を叩く。
それから、ローズマリーに向き直って、一つ、礼をして]
ええと……メイ=エアハートです。
どうぞ、よろしく。
[形式的な挨拶になったのは、祖母の言葉のせいだろうか。
橋を渡る彼女に、余りかかわるなという、ややきつめの戒めの]
わかりました。改めてよろしくお願いします、ローズさん。
[トビーの方へ視線を向け]
……誰も教えてあげるつもりはないようですね、『幽霊』の正体。
[くくっと、声を殺して笑う。]
[ハーヴェイの幽霊なんていない発言には『やっぱり』と思うも口では(も)勝てないので、むぅと唸るだけで。
ナサニエルの諭すような言葉には、なっとくするよーなしないよーなびみょーな表情を浮かべて、頷く。]
うん…いなければいいなってボクも思うけど…。
『……みちゃったんだもん。』
[皆にいないと言われればそれ以上の言葉は飲み込むしかなく。
メイやルーサーに撫でられるまま、拗ねたように口を尖らせた。
メイ自身も怖がらせてる元凶というか加担してるとかは知らない。]
[白い薔薇の茂みの中に、枯れかけた一輪を見つけ、それを手折った。]
…手入れが行き届いているはずなのに、珍しい…。
[僅かに眉をひそめ、それを隅に集められた落ち葉の上へとそっと置く。]
…戻りますか。
[一度振り返り、館へと。]
ハーヴェイ……?
[名前には聞き覚えがあって、あァ、あの子じゃないと思う。
でも尋ねることはしない。彼女もここで言われたくは無いだろうし、わたしもあまり言いたくない。
それでも立派な子なのねと、ほほえましく思った。
ついで聞こえた、青い髪の、村の外の男性の声に、わたしは頷く。]
えぇ。わたしはローズマリーと申します。
ナサニエルさん、ですね。
素敵なお名前ですね
[つい口から零れてしまう言葉は、不自然に思われないように笑って言って。
少しぎこちないメイの反応に、知っていることが判った。]
[少年の呟きには小さく瞬いて、微笑んだ。
それからローズマリーの言葉に、こちらが名乗っていなかったことに思い至り]
ああ、ええと。
…ネリーとお呼びください。
[慌てたようにファーストネームだけを告げる。改めて会釈をした]
[外にもいないという牧師の言葉と笑みに、素直に頷く。なんてったって、幽霊が出た時の頼みの綱だ。
そうして、皆が自己紹介?してるのに気付いて、ぺこんと頭を下げて名乗る。]
あの、ボクは…トビーです。トビー=カワード。
牧場の手伝いしてて…チーズの配達にきました。
あっ、今日は配達じゃなくていちごのお礼にきたんですけどっ!
[頼みの綱と苺の関係なんて当然知ってるわけがない。]
[名を褒められて意外なほど嬉しそうな笑みを浮かべる。
親から貰った唯一のものがこの名前だから]
ありがとうな。
ローズマリーって言うのも綺麗な名前だよな。
あんたに似合ってると思うぜ?
[ハーヴェイの「広間へ」との言葉に頷いて移動を。
そこにコーネリアスが通りかかるのを見て、ちらりとトビーの様子を伺う]
[ 彼の名前を繰り返すローズマリーの声には疑問の響きが含まれていたように感じられ、其の場から去ろうとした間際振り向けば母に似た色の濃い茶が僅か揺れる。]
……俺の名が、如何か、しましたか?
[ 母の仕事を知らぬ訳では無かっただろうが、“職場”での人間関係が如何であったかなんて事まで聞き及んでいる筈も無くてそう問いを返す。
視界の隅を銀色の髪が通り過ぎて行くのを目に留めれば会釈を。]
[メイに勢いよく叩かれ、たたらを踏む。相変わらず痛い激励に、もぅと文句を言おうと顔を上げて。
運悪く牧師の言葉は耳に入らぬままに、それを見てしまう。
――そう、声も無く通り過ぎるコーネリアスを。]
煤@でたぁーーーーーーーーっ!!!
[*ばたんきゅぅ*]
おや、新しいメイドさんですか?
慣れない内は大変でしょうけど、他の使用人さんたちがフォローしてくれるから大丈夫ですよ。
それでもストレスが溜まるようでしたら、週に一度の出張懺悔室にどうぞ。
愚痴なら聞いて差し上げますよ。
[悪戯っぽく笑いながら。]
ネリーっていうんだ、よろしくね。
[名を告げた少女ににこ、と笑いかけ。
悠然と通り過ぎるコーネリアスと、その姿に半ば予想していた通りの反応をしたトビーに思わず笑い出す]
……ほんっとにもう……素直すぎだよっ……。
ネリーさんとおっしゃるのね。
[新しいメイドさんを雇ったという話はまだ聞いていないけれど、きっとあとで聞けるだろう。
自分も広間へ行こうとして、ナサニエルの言葉に、ほんのり、甘く微笑んだ。]
有難うございます。
[振り返るハーヴェイには、少し悩む。
わたしがここで、言ってしまってもいいかしら。結局、考えて、一つ、言った。]
綺麗な髪ね。お母様に似たのね。
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