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[賑やかに話す少年らを見ていたけれど、
前からの声に再びそちらを向く、
と同時に頭を撫でられて、
紅い睛を一度瞑ってから、
柔らかく細めた。]
うん。みんなで、行こう。
ぼくもヘンリエッタも、みんな、いっしょに。
[前を行く男性の案内に、
きょとりと瞬いて。]
暴れ、馬……
[聞こえた単語を繰り返す。]
ハーヴェイさんは、私よりも年上でいらっしゃいますから。
お爺さまが撫でるには、流石に少々大きいでしょうか。
ひ孫さんも、ご一緒に来る事が出来ればよかったのでしょうが。
[お忙しいなら難しいでしょうね。
軽い口調で返される言葉に、くすくすと声を漏らして。
コーネリアスの説明を耳にすれば、そちらへと視線を向ける。
遠い記憶と混じって、少しだけ眉を寄せて]
[レベッカと会話をしていれば、銀色の髪の声が聞こえ。
指し示された回転木馬に、娘のほうは目をきらきらさせた]
暴れ馬…?
それは大変ね。
[くすくすと、木製の暴れ馬を眺めて、楽しそうに案内を受ける]
次は、観覧車。仕掛けを回すのは、我がサーカス団一の怪力の巨人です。
あの巨人は実は、さる国の王子が魔法をかけられた姿だとか。
お嬢さんのキスで元の王子に戻るかもしれませんよ?
[少女の言葉に、再び、小さく笑みを向ける。
リックの促しに、うん、と小さく頷いて、
一歩、その広場へと足を踏み入れた。
僅かに、音楽が大きくなった気がした。]
[エレノアとシャーロットの会釈に柔らかな笑みを返し、リックとハーヴェイの小気味良い会話にくくっと喉の奥で笑いを噛み殺す]
ああ、やはりあの子は賢いのですね。
リックくんの言葉が鋭いのは、年上の人とたくさん会話をしているからなのかな。
[ラッセルの感想に同意しつつ、リックの言い直された呼び方に笑みを深める]
おやおや、せっかくここにも仕事道具を持ってきましたのに。
…嘘です、ちゃんと呼んで下って嬉しいですよ。
それと男性の成長期はもう少し先ですから、焦らなくても大丈夫。
[鞄を軽く叩くも、またすぐに元に戻して。
背を気にする少年に、そんな言葉をかけた]
[逃げるリックの様子にくく、と低く笑って、特に追う様子も見せず]
もやしを馬鹿にすると、成長できんよ?
[代わりに、冗談めかした口調でこんな言葉を投げかける]
まあ、この年齢になってまで、撫でられるのはちょっと、というのもあるしね。
……親父も義兄さんも手がかかるから、中々そうも行かないって訳。
[だからさっさと身を固めろと言われているのは、いつもさらりと流しているのだが。
流されている方は、どこかでそれを愚痴として零しているかも知れない]
[笑いながら足を踏み入れた広場。
……入った瞬間、黒猫がふるりと身を震わせたのは、何か理由があったのか。
コーネリアスの説明に回転木馬を見やれば、それに手を伸ばす娘の姿が目に入るだろうか]
[??!!
少女はびくりとして母を振り返る。
これは、回転木馬とは、木製の馬のそれではなかったろうか]
どうしたの?シャーロット?
[母のほうはおっとりと娘を見るばかりで]
[皆が回転木馬の方を向くのには気がつかず、夢中でいろんなところに忙しく視線を送っている。
駄洒落を考える暇もないように。]
ハーヴェイさんですね、どうぞよろしく。
[ハーヴェイの自己紹介には、おやと眉を上げただろうか。
この町に多い姓かもしれないと、あえて問いはしなかったが]
ほう、暴れ馬ね…それは気をつけないといけません。
今日の私は客ですからね。
[急患は出来るだけおやめ下さい、と笑んで馬に乗る人達を見守る。さすがに男が乗るには抵抗がある――もしくは眺める方が好きなのか]
おれはもやしっ子にはならないっての。
もっと健康に育ちますよーだ
……って、そういう冗談はいらないから、ヴィンセントさん。
ま、お医者のあなたがいうんだから、ハーヴェイさんを抜いてみせるよ。
…………って、ミス? 何やって
[広場へと入ると、、
朗らかな旋律が増したように思えて。
幻想的にも映る周りの光景に
紅の睛を煌やかせながらも、
ぎゅうとテディベアを抱き締め、
*しっかり風船の紐を握った。*]
[娘は、大慌てで戻ってきて、母の背中にかくれてしまった。
まわりの者に何事か伝えようとするが、
身振り手振りで伝えられるような内容ではなく]
……今、何か……?
[振り返った娘の様子に、小さく呟く。
黒猫が肩から飛び降りてその側に近寄り、案ずるように声を上げた。
傍目には、猫が好奇心で飛び出したようにしか見えぬだろうけれど]
奥に見えるのが、ミラーパレス。鏡の宮殿です。
永遠へと続く回廊が、あの城のどこかに隠れているとか。
遠い未来を覗き見ることもできるかもしれませんよ。
[何も気付かない様子で、案内を続けている]
こちらこそ、よろしく。
[微かに眉を上げるヴィンセントの様子に、やや、首を傾げる。
家の前を通りがかられた事などは当然知る由もなく、理由には思い至らずに]
……健康的に成長するなら、栄養価の高いもやしを侮るな、という事ですが?
[それから、リックにはこんな言葉を投げて]
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