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娘ッ子が調べるねェ…。
[ミリィが調べるとかいう話に失礼にも大丈夫なのかという目で見ていたが、エーリッヒが必要なら手伝うらしいので口は出さずおく。どうも婆からは診療所の娘ッ子は危なっかしく見えて仕方ないのだが、動く箒の事を知らないのだから当然だ。それだけ診療所に用が無い、つまりは元気だと言う事なのだが]
あァ、ざっと見ただけだがなかなか粒揃いだったさねェ。
あれならいい渋皮煮を作れるよゥ。
…盗まずにちゃァんと交換条件すればいいのに、困った子さねェ。
おやおや、随分と褒めてくれるじゃないか。
[ティルが約束を守った事に安堵した様子のエーリッヒにそう告げて、珍しい褒め言葉に顔全体をくしゃくしゃにした]
はいよ、お口に合ったなら何よりさァ。
…ユリアンも親方さんも熱い内に食べてくれてるといいんだが。
[美味しかったと言うアーベルに笑って、去るエーリッヒを見送る。ユリアンの消えた店の方を見やってから視線を戻し、問われた内容に首を傾げた]
ァん? なんじゃィ、また夕食をかね?
あいにく今日は出歩いてないので知らないが…茸のシチューなら食べたいもんじゃなァ。あれは量を作らんと味が出ん。
あァ、さすがに二日連続でシチューは坊に気の毒じゃし茸も採ってないから明日以降で当てがなかったら、でいいんじゃがなァ。
おっと、持って来てくれたようだねェ。
ありがとよ、ユリアン。
[肝心の本日の夕食の手助けにはなっていない話をいくらかした所で、戻ってきたユリアンの手元に先程までと違う鋭い視線を向ける。
値踏みする目は年を重ねた分だけ厳しく、示される品に注がれた*]
― →店―
[息せき切って店に駆け込んだ。
預けていた品を受け取り、だがすぐには出て行かない。
少し考えた後、部屋の隅にある棚の引き出しを漁る。
ややあって見つけたのは、澄んだ音を立てる硝子の鈴。
以前作っておいたらしいそれに糸を通し、首輪に取り付けた。
ついでに空腹もあったか、台の上に置いてあった籠に手を伸ばした]
[暫く後、少し軽くなった籠を奥に持って行く。
親でもあり師でもある人と2、3言交わし、籠を手渡し。
自分は首輪を手に店を出、元来た道を駆ける]
―広場―
[広場に舞い戻り、息を整えながら、ヨハナに品を渡した。
丁寧に磨いた甲斐あって、表面は滑らかで、石であった時よりも透き通った色に見え。
だが首輪の形そのものは多少歪な部分もあるかも知れない。
流石に、サイズが小さくてツィムトの首が絞まる、などということはないだろうが。
厳しい視線が注がれるのを、こちらもやや緊張した面持ちで*見つめた*]
…面白いもん作ってきたねェ。
[しばらく見つめての第一声は興味を多分に含んだ声。
手を伸ばして輪を取り、光に透かすように持ち上げる。表裏、軽く振って涼やかな鈴の音を確かめ、そうしてようやくユリアンの顔を見て、にんまりと笑った]
ちょィと歪な所も在るが、あの大きさの石からくり貫いたんなら上等さね。ツィムトもあれ以上は大きくならんじゃろうし、まァ大丈夫じゃろ。
首輪分の色付けは期待しとくといいさァ。
―― 森 ――
[朝の見回りの続きを始めて、暫く。
“不審者”は見当たらず、代わりに見つかったものはと言えば――]
……ちょっとは歳考えて大人しくしてろよ、爺さん。
[小さく溢した悪態は聞き逃されず、今日こそは、拳骨を食らった。
腕の怪我の追求から始まった年老いても元気な自衛団長の説教は、普段は森番の仕事だと訪れる事も少ない場所に来た理由を訊ね、なんとか遮ることに成功した。
予想通り、祭り後の異常を調べに、とのことだったが]
[いつもとは異なる森の雰囲気と見かけた人物の事を話すと、ギュンターは眉間に皺を寄せて唸り始めた。妖精の祝福を受けた村では災厄に見舞われたことは殆どなく、若い者よりも内心の不安は強いらしい]
もし妖精が原因なら、好物を餌にして罠仕掛けるとか、どうだろ?
捕まえたら、何かわかるかもよ。
[言いながら、袋の中身を見せる。その数が減っているのは、実行したのか誘惑に負けて食べたのか、眼前の人物の知るところではないが。
この村に長く生きる老人は、妖精に対しては“善き隣人”の印象が強いのか、首を縦には振らず、表情を崩しもしなかった。冗談、と青年が笑う]
ああ、そう言えば、妖精の環が出来てたんだ。
でもいつもと違って、近寄ると「危ない」らしい。
[曖昧な言葉ではあっても、不安に駆られる老人の興味は引いたらしい。
寄せられた眉の下の瞳と視線を合わすと]
……よくわかんないけどね。
ミリィが違和感調べるって言ってたし、そっちに聞くほうがいいかも。
とりあえず、立ち入り禁止の看板でも立てて置く?
[首を傾げ、問いかけた。
途端、情報を得た自衛団長が、水を得た魚の如く大股で歩み去って行くのを、呆気に取られて*見送ることになるのだった*]
[示されていた金額を払い、丁寧な手付きで首輪を前掛けのポケットに入れる。現金で渡したのは、もちろん指一本分のみ]
あァ、そういや何かリクエストはあるかい?
今ならいい栗があるがねェ。
[特に無いなら渋皮煮にしようか、それを使っての菓子にしようか考えながら無口な青年に問いかけた]
─広場/少し前─
んん……そんなに大掛かりな事にはならないと思うから、大丈夫ですよぉ。
[手伝う、というエーリッヒの言葉に、思案をした後、こう返す。ヨハナの視線には、菓子へ意識を持っていかれていた事もあり、気付いてはいなかった]
それじゃ、ボクは一度診療所に戻りますね。
雑貨屋さんのお薬、用意しないと。
ちょっと、待っててくださいねぇ?
[菓子を平らげた所でアーベルに向けてこう声をかけると、足早に診療所へと戻ってゆく]
─診療所─
[診療所に戻ると、出迎えたのは何やら落ち込んだ様子の箒。それを訝りつつ、中に入って薬の準備をする。
その辺りの手際の良さだけは、普段の暢気さとは大分かけ離れているのだが]
これから、寒くなって、必要になる人が増えるといけませんし……。
少し、多めに用意しておきましょうかぁ。
御師匠様も、いつ戻られるかわかりませんしねぇ……。
[ふう、と小さくため息をついて作業を進め。
一回分に小分けした薬の包みを袋に詰め、色違いのリボンで口を結ぶ]
これでよし、と。あとは……。
[頼まれものの薬をバスケットにいれ。
その横に、色鮮やかな液体を満たした硝子の瓶を何本か入れる]
……試薬は、このくらいで十分かしらぁ?
[試薬って、なんですか]
ちぇー、しけてるにゃ。
―― 村の中 ――
[ぱりぽりぽりと固いクッキーを齧りながら、ぷらぷらと歩いている。ちなみにちょろまかして来たのは仕事熱心の余り留守がちな自衛団長の家からだったりするのだが、固くて(文字通り)湿気りかけたその味は、ヨハナの家の焼きたて菓子とは比ぶべくもない]
[ともあれ、用意した薬を持ち、再び、白い鳥と共に外に出る。
まだ落ち込んでいる箒を宥め、不審者に気をつけるようにと注意してから、再び広場へと]
─診療所→広場─
はぁい、お待たせしましたぁ。
こっちの、青のリボンが解熱剤、赤のリボンが咳止め薬になりますから。
それと、後でお邪魔しますから、と、雑貨屋さんにお伝え下さいねぇ。
[広場に戻ると、アーベルに薬を渡し、ついでに伝言を頼んで]
……それじゃ、ボクはちょっと調べ物に行ってきますねぇ。
[場にいる人々に手を振り、森の方へと歩き出した]
[シュトルーデルで満たされたお腹の筈なのに、栗のことを考えればまた口の中に唾が広がる。]
ウェーバーさんはいいなぁ。
あんなお菓子をいっぱい作れるなんて、魔法使いみたい。
[そう呟くと、呼応するように聞こえるのは隣で同じお菓子を頬張る青年の申し出。]
アーベルさんも魔法使いか……って十年も旅してるの?
すっごーい!
[ひゅうと口笛を吹いて、ミリィと対して違わないように見える相手をまじまじと見た。]
以外と年寄りなんだね。アーベルさん。
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