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―浴室→一階廊下端―
[ヘルミーネに投げつけられたタオルは水をたっぷり含んでおり、びたん!といい音を立てて後ろ頭にへばりついた。
女性の入浴をうつかりとはいえ見てしまったというのに、まるで鬼の行水に出くわしたみたいな顔をして。どこをどう走りまわって気がつけば、廊下の端にたどり着いていた。]
……はぁはぁ。
死ぬかと思った…。
[むしろこれから殺されかねない人物に目撃された事には全く気付いていなかった。]
…にしても凄い刺青だったなぁ……趣味かな。
あんな墨入れてる人の事を…姐さんっていうんだっけ。今度からそう呼んでみるか。
………いやいやいや。殺られる俺。
[ぶつぶつ言いながら、来た道をもどっていく。走ったせいか、喉がひどく渇いていた。]
……水。
[勝手口に再び向かうハインリヒに、そう言えば、外に出た当初の目的って、それだったような、と。
思い出したが、今更出られる体力はない]
……そちら、お任せしますね。
俺は、ちょっと……広間で、休みます。
[は、と短く息を吐いて。
ふらつく足取りで、広間へと向かう]
─ →広間─
それが本当なら、よかった。
[少年の口から、素直な「よかった」という言葉は出なかった。
続く答えには、あまり信じていなさそうな様子で、ふぅん、と返すだけ]
……オトせんせい、嫁の貰い手がいっぱいみたいですね。
[己の頭を撫でるハインリヒの手を見上げはしても、それ以上の反応はない。
傍を通り抜けようとして、]
なら、誰が、人狼かな。
[漏らした呟きは、引き返しかけたハインリヒには聞こえる大きさ。
足は止まらず、薪小屋に向かって行った。
既に幾らかの薪が積まれており、新たに斬る手間はかからなさそうで、抱えて戻ろうと腰をかがめる]
─広間─
[浴室へと向かう二人を見送って。広間には淹れた紅茶の香りが漂う]
あれ、オトさん何でそっちから。
[先程まで居なかったはずの台所からやってきたオトフリートに縹色を瞬かせた]
―浴室―
じゃあお邪魔します。
[ほっとした様子で言って、扉を開ける。
ユリアンの様子をじっと見て、首を傾げる]
……大丈夫です?
[自分は、とりあえずハンカチを出したり、上着を脱いだりしつつ]
あ、それと。
あったかかったですか?
─広間─
[広間に入り、椅子に崩れるように腰を下ろす。
気配に気づいたのか、着いてきた後、広間の隅で丸まっていた猫が近づいてきて足元にすり寄った]
……ん、ああ。
大丈夫ですよ、ユエ。
[苦笑しながら言うものの。
猫は物凄く物言いたげにじぃ、と見上げてきた。
音がしそうなくらい、じぃぃぃ、と]
……ん、ああ。
ちょっと、外に出てたので。
[そんな猫を撫でながら、問いかけるイレーネにも苦笑を向ける]
あ……お茶、いただけます?
―浴場―
[中に入るとユリアンによぉと手を上げて]
広間じゃなくて結局こっちであうことになった。
[自分は服は脱がずに袖を肘までまくり手を洗おうと]
ああ、ウェンデルか。
それにエリ兄。さっきはどうも
ぁあ…心配させて悪いが、大丈夫っていったら嘘になる。
半々ぐらいかな
[首かしげるウェンデルに答え]
そういやウェンデル修道士目指してるんだっけ?エルザ埋葬したんだが、なんか正式に祈りとかしてくれるか?
[なんとも適当な言いかたに、詳しくないのは丸わかりだろう]
いや、冷たいぞ
―台所―
[桶を取るすがら、ローザの頬にまだ冷たい自分の手を当て]
だいじょうぶか?なんか赤いぞ?
熱でも…あるのか?
[何故かはわかっているのに敢えてそう問い、頬から手を離し頭を撫でた]
ああ、それじゃぁ水汲んだらもらうとするか。
こんな時でも飯を用意してくれるのは、本当に助かるよ。
ありがとう。
[朝食の話を聞けばにこりとして、そう返し、フォルカーの後を追って勝手口の外へ]
─広間─
そっか、外。
[オトフリートから返された言葉には納得するよに言って。お茶を、と言われると頷いて淹れたばかりの紅茶を差し出す]
オトさんが淹れるもの程美味しくないかもしれないけど。
[そんな一言をつけ添えた]
―勝手口から外―
[桶を手に、向かったのは井戸ではなくて薪小屋の方。
すれ違いにフォルカーが言った言葉はしっかりと耳に届いていて、
やや険しい表情で薪を取ろうと屈める背中を見ていた]
なあ、フォルカー…お前さんがあの修道士のにーさんをやったのか?
[投げる問いは、さらっと直球だった]
いや、いいさ。
[ユリアンには気にするなというように、手をひらひらと振ってから、
ウェンデルにお祈りを頼む様子には何も言わず。
冷たいと言われれば]
風邪…ひくなよ?
[そう返して]
沸かすか?
[ウェンデルにそう尋ねたり]
だね。さすがに裸の付き合いにはならなかったけどね。
広間はどだった?
[何人かいたのだけ見たが、どうだったのかまでは確認してないためなんとなはしに聞く]
嘘はつかないに越したことはないです。
[少しつっかえたが、普通に答えて。
ユリアンを見て]
正式、にはいかない、かもしれません。
僕が…ええと、本気で修道士の勉強を始めたのって、一年前なので…。
[眉尻を下げて]
それでも良ければ。
でも、後で、本職の方にやっていただくと良いと思います。
……冷たいなら、入らないで良いです。
ちょっと流すだけにします。
[上着を脱いだだけにとどめて、首を振った。
エーリッヒと同じように、手の方もちょっと捲り]
……冷たいのに入ったんです?
―台所―
[広間には行かずに、直接台所にたどり着くと、濡れたタオルは適当に置いて、水瓶から水を飲もうと柄杓をとった。中は大分減ってしまっている。]
あーまた汲みにいかないとか。
[すでにハインリヒが行ったとは知らずに呟いた。
広間には誰か居るようで、紅茶の匂いが漂ってくる。万一ヘルミーネが居たら流石に怖いというか顔をあわせずらいので、なかなか向こうへはいきづらかった。]
だいじょうぶ、です。
入らないで、拭くだけにします。
勿体ない、ですし。
[エーリッヒの気遣いに、ありがとうございますとお礼も言って]
─広間─
[納得するような言葉に、ええ、と頷いて]
そんな事ないですよ。
いつも自分でやってると、人に淹れてもらったり、作ってもらったりするのは、物凄く嬉しいですし。
優劣なんて、つけられません。
[付け添えられた一言に笑いながら返して、カップを受け取る。
一口口に含むと、温もりが冷えた身体に染み渡るような、そんな心地がした]
―外・薪小屋―
[背後からの声に、少年は顔を向ける]
はい。
[短く返す声に、躊躇いはない]
人狼だったかどうかはわかりませんが。
反撃もなかったから、違うのかもしれない、って。
確かめる術がないのが、歯痒いです。
[顔を戻し薪へと手を伸ばして、よ、と小さな掛け声と共に抱え上げる。
少年が貧弱なのは相変わらずで、一抱えを持つのも大分重そうにしていた]
─広間─
ああ、それは分かるかも。
ボクも家では自分でやってたから……。
[そこまで言って、一旦言葉は途切れた。何を思い起こしているのかは、容易に知れることだろう]
……だから、オトさんが淹れるお茶を美味しいと思ったんだろうな。
[そう付け加えて、自分の分には砂糖を二杯。溶かし入れて口をつける。イレーネ自身も起きてから何も口にしていなかったために、染み入る紅茶がとてもありがたかった]
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