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『アーベルは───求めていた』
[幻影は続ける]
『見失ってしまったものを』
[白い羽ばたきはゆっくりとアーベルの周りを旋回する]
『なくしてしまった翼を』
[少女の問いかけに]
『アーベルにとって写真は呼吸なの』
『撮るということで”探し続けた”』
『見えなくなってしまった風を』
[ベアトリーチェと、こちらを心配げに見るノーラにも、笑み。]
大丈夫、死なないから。だって、一緒に帰るんだから。それより、固まってたら一網打尽にされかねないよ。
[目の前、散った、いろ。
交差したのは、過去。
風にさらわれるよに、そらへ消えた──]
……ばか、やろっ!
問題が、違うだろうがっ!
[たいした事ない、という言葉に>>210。
口をつくのは、怒鳴るよな、声]
視える事が…
見る事が全てじゃない。
[周囲を旋回するカインに言葉を投げる。
自分はナターリエの方へと歩く事も出来ない。
少しだけ離れた場所。]
例え見えなくても…
風は感じる事が出来る。
揺れる稲穂の写真を見て
空に舞う鳥の写真を見て
風を感じる事は出来るわ。
[ライヒアルトの怒鳴るような声に、笑みは苦笑になる。]
ごめんなさい。でも、あたしが悪いのかな。
[転がるベアトリーチェ。傍にブリジットが行ったからほっとした。]
[恐怖――恐れ。ないわけではない。
それよりも、己を突き動かす
ぎりぎりで立たせるたった一つ。
己に課した責。
いばらは咲く。――いばらは咲く。]
なくした 風…
[“――― なら、 風が 見えるかな”
あの時、彼は何と謂ったのだったか。]
●業務連絡●
村立て遅くなってすみません。
でもほとんどお任せ状態になります。
で、さすがにきつい!であれば、これよりメモ打ち合わせ解禁します。
本当に村立ての無茶ぶり、みなさんありがとうございます。
……ああ。
どうやら、ほっとくのは多大な間違いらしいからな。
[感じた眩暈を振り払うよに、頭を振って。
それから、ブリジットの言葉>>213に、頷く。
鎮静剤は未だ、ジャケットのポケットの内に、ある。
忘れかけていたけれど]
……どっちもどっち、だ。
まったく。
[向けられた苦笑に、零れるのは、嘆息>>216]
……とにかく、少し、下がるぞ。
[嫌だといわれても、抱えて連れて行く気ではあるが]
[風の流れた方向から血の匂い。
妖精の風が、ナターリエを切り裂いたらしい。
ナターリエの生きる事を放棄した、と言う言葉は違うなと思った。
昨日、ヘリの中で鎮静剤を巡るブリジットとアーベルのやり取りを聞いていたから。だが、ヘルムートも、一番最初にアーベルが薬を拒んだ時に同じ事を考えた。
アーベルから聞いた言葉はとても少ない。
彼は無口だった、と改めて思う。]
風を?
[楯を杖代わりに身体を起こす]
なくした翼って、何?
でも。
[なくしたものは戻ってこない]
じゃあアーベルさんは、いつまで探すつもりだったの?
もう、探すことは、やめてしまったの?
写真に風は写らない。風は、心に映るものだから。
風が吹くと、判る。
その風が運ぶものが。
でも、アーベルさんが探してた風は、そういうものじゃないんだよね、たぶん。
[傷ついた右肩より、服が裂けて見える腕の変色の方が痛々しいかもしれない。]
あたしを聞き分けがない子供と思ってる。
[ライヒアルトが眩暈でふらついたから、下がると言うのに素直に頷いた。そうすれば、彼も休めるはずで。]
[少しの間、考え込むような沈黙の後、]
──ライヒアルト。
ナターリエと一緒に、部屋の奥にある機械類を調べてくれないか。ゼルギウスがプログラムなら、何処かに稼働を止められる場所ある。
此の手の施設に一番詳しいのは、
この中だとライヒアルトだ。
[此処までの道のり、書類を見る時、あの施設で実験器具を扱う時、少し視界が悪そうに見えたから、]
ナターリエに手伝ってもらえ。
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