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[ふるふる、と強く首を振る。
その仕種は、何かを強く拒むようにも見えるか]
……ん、わかった。
[ヴィリーの指示に、頷いて動き出す。
とにかく、動いていたかった。
でないと、なんだか崩れそうな気がしたから]
えっと、旦那。
水桶とか、タオルとか、どこだっけ?
[一つ息を吐き、声をかけるのは、フーゴーの方]
さ、さらっと、アル先輩、怖いこと言うのね…?
[喧騒のなか、となりに居たひとの声はまだよく聞こえ。
それにぶるりと身を震わせた]
アル先輩は…、
[人狼がいることを信じているのか、聞こうとして、止めた。
それは叫ぶリディの声が聞こえたから]
う〜〜〜〜!!
[涙目になりながらも、団員の拘束が緩むと、招きよせられるままに、一目散にライヒアルトの元へと駆けていった]
私、貴方嫌い!大っ嫌い!!
[団員にそんな捨て台詞を残すと、ちょこんとライヒアルトの膝の上に座った。
小さな子供というには少しばかり大きすぎて、膝には余ったがそれでも、少女はそこが自分の居場所だとばかりに陣取った]
ともかくだ。
容疑者として集められた以上俺らには道が一つしか無いっつーことだろ。
俺らがやらなくても、自衛団が手を下す。
誰もやらんっつーなら、最悪のパターンも考え得る。
……戸惑う気持ちは分かるが、覚悟は決めておけ。
[騒ぎを起こした自衛団員が自衛団長に連れて行かれた辺りに声を発す。酒場全体に通るような大きな声。その声が覚悟を既に決めているというのを感じ取れるものは何人居たか]
[相手を買って出てくれたダーヴィッドには、感謝の意を込めて小さく頭を下げ。
リッキーから布団の準備ができたと言われればカヤをその部屋まで運んでいく。
リッキーにはそのまま様子を見てくれるか、と頼んで皆のいる所まで戻り。
幼馴染の膝の上を陣取った少女の姿を見れば、何故か懐かしさを感じて表情を和らげる。]
…リディ、だったか。
[椅子に伏したままの娘、少女の悲鳴に]
……いい加減にしろよ。
こんな戯言にこんな女子供まで集めてよ。
てめえらのやってることの方がよっぽどひでえ。
[険しい表情を隠そうともしない]
[カヤが倒れたことに心配するような視線を向けても、混乱が収まらないうちは動くことすらできない。
ふとアーベルと視線が会えば、その忌ま忌ましそうな様子に歯をかみ締める。]
冗談じゃない……
昨日の嵐だけでも十分厄介だったのに、なんだってこんな目に――
[ふるふると首を振り。
宿に居る人々に視線を向ける。]
洗面所の傍にある棚に置いてある。
行けばすぐ分かるぜ。
[クロエの問いには端的に返し。リッキーはヴィリーに言われた通り布団の準備をしに行く。フーゴーは、左腕を握り込んだままカウンターに立ったままだった]
[リディのほうにも、カヤのほうにも、男が手を貸すことは無かった。
元からそういうことにはあまり動かない男ではあるが]
……人狼、ねぇ。
[テーブルを指でこつこつと鳴らす]
[リディが膝の上に収まれば、吐息を一つ。]
私は、あまり騒がしいのは得手ではないのです。
できるならば、もう少し、大人しくできますか?
…――私の片頭痛を悪化させるのが、
貴女の復讐の一つならば止めませんけれど。
[そして少し首を傾げる、
膝の上の重みが思ったより軽かったが故に。
しかしながら、傾げられた首は、
騒動を納めようとしてくれた人々を視界にとらえると直され、
その後、学者は目礼で感謝の意を示した。]
[覚悟を、という言葉。
小さく身体が震えた。
それでも、今は、それを押さえて]
ん、わかった……。
[教えられたとおり、洗面所へと向かう。
多少、足取りは覚束ない、かも知れないけれど]
……そんなん。
簡単にできんよ、ウチ……。
[洗面所で桶に水を張り、タオルを腕にかけ。
向かうのは、カヤの寝かされた部屋]
[覚悟を決めろ。
そう言ったフーゴーの声に眉を寄せるも、やはり俄かには信じがたい話で。
だが、実際に嫌疑をかけられた以上はその通りだろう、そう思い頷いた。]
……おっさん?
[しかし、その声色が普段の彼と様子が違うように、何故か思えて。]
難しいこと言うな、親父さん。
俺らはともかく、クロエやカヤ、それに…。
[視線が向くのは騒ぎの元になっていた少女と、同い年の誰か]
……避けようはないだろうけどさ。
[グラスの中身をまた干した]
神父さん。こういうのって教会の得意分野じゃねーの?
団長もそっちで調べ物してたんだろ。
[コツコツという音にウェンデルの方を向いた]
[目礼が済むと、視線は隣のヘルムートへ向けられ]
……なにか?
[言葉が途中で途切れていたことに気がついていたらしく、先を促す。
その傍らで、フーゴ―の決意が秘められた言葉を聴くも、
頭痛が少し治まった今、やはり表情は変わることなく、
この騒動に対してどう思っているのかは、
外からは伺い知ることは難しいだろう。]
[ライヒアルトの言葉を聞けば、口をとんがらせて]
私のせいじゃないもん。
あっちが勝手に来たんだもん。
私はおとなしくデザート食べてたじゃない。
何よ。あれ。
まるで山犬の集団みたいに、威張り散らして。
[なんだか、少しばかり微妙な例えだ。
まあ、相手が生物学者であるライヒアルトならば、分かりやすい例えなのかもしれないが]
…とりあえず、だ。
皆、飯を食え。
腹が減っている時は、何を考えても、碌な事がない。
おっさんが、美味い飯を作ってるんだ。
ダーヴィッドも、飯を作って持ってきた。
冷める前に、食え。
自衛団の奴らも、腹が減ってるなら、食ってけ。
[いらついた空気を無視するように、この場にいる者皆に届くような声でそう言い。
フーゴーには、皿を出してくれと頼むだろうか。]
[自分の様子を見て訊ねて来るウェンデルとヴィリー。ち、と言う自分に対する短い舌打ちは口の中だけで。何かに耐えるような苦笑を二人に向ける]
…ちぃと、船乗り時代の古傷が、な。
皆に覚悟しろと言っときながら俺がこの様じゃさまになんねぇなぁ。
[右手が握り込むのは夏でも長袖で居るフーゴーの左腕。おそらくはそこに古傷とやらがあるのだろう]
おじさままで、早々に…!
[いっそそれは、覚悟をひめたような声に対し、咎めるのにも似たひびきをもっていた]
これは、ものがたりじゃないんだから…。
本当に、その…だって。
[怖いと言いつつしがみつきたいけれど、ライヒアルトはリディの対応をしているから。
みずからの手で両腕を抱いた]
[幼馴染の膝の上に座る少女には、微かだが柔らかく笑いかけ]
リディ、だな?
俺は、ヴィリーだ。
ライを、あまりいじめないでやってくれ。
[代わりに、これをやる。と、昨日貝で作ったブレスレットをその手に乗せて。]
…そうか。
あまり、無理はしないでくれ。
[フーゴーに、古傷が痛むと言われれば疑うこともなく。
自分に手伝えることがあるなら、いってくれと伝えるだろう。]
─宿屋・一室─
[水桶とタオルを運び込んだ先には、ヴィリーに側にと頼まれたリッキーの姿]
カヤにはウチ、ついてるから、大丈夫。
なんかあったら呼ぶから、戻っても、平気、だよ?
[精一杯、笑いながら言うものの。
何かしら、無理をしているのは窺い知れるか。
それを、彼が他者に告げるかは、知る由もないのだが。
ともあれ、リッキーを酒場へ戻らせると、ため息をつきつつ、濡らしたタオルをカヤの額に]
あー……着替えとかも、必要かなぁ。
…ルーミィ。
人狼が居ようが居まいが、自衛団も覚悟を決めてんだ。
俺らが動かなくても奴らが動く。
その先に待つのは何か…分かるだろ?
[人狼と言うものがお伽噺だともそうじゃないとも言い切らない。ただこの先に待ち構えているだろう可能性の一つを示し、諭すように言葉をかけた]
ん、ああ。
今持って来る。
[ヴィリーに皿を、と頼まれると承諾の意を向けて厨房へと。カレー用の皿を持って来て皆が食べれるようにした]
[覚悟は決めておけ、という言葉に小さく溜息を零す。
女王に剣を捧げた騎士として、戦場に立った事もある。
数日稽古をしていなかったので多少体は鈍っているが、それでも僅かな素振りで少しは勘も取り戻せた気がする。
けれど。将でも騎士でも兵でもない人々と殺し合いをしろ、という言葉には素直に従える筈が無い。
ゲルダとヴィリーは恩人なのだから、尚更だ。
そんな事を真面目な表情で考えながらも、手と口は思考とは切り離されたようにカレーライスを食べている。]
あ?
[アーベルのほうに視線を向け、手をひらり]
専門分野っつっても、俺が読んだ限りの伝承はどれも似たりよったりだったぜ?
特に対策面ではほぼ同じだ。
銀が効くとかはよく聞くが――……あぁ、
[ふと虚空に目を滑らせて]
そいや、能力持ちが現れる、なんて話もあったな。
真理だな、ヴィリーさん。
ダーヴィッドってのはその人か。
[既にカレー皿を手にしている青年を改めて見る。
最初は訝しげに、それは少しずつ方向を変えて]
…王国騎士?
[式典でそれなりに目立っていたような、と。
過去の記憶を手繰り寄せて疑問符を投げた]
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