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―――食堂
[食堂の入り口から中を覗いてみれば、なにやら、結構な人数が集まっているのが見えた]
あらぁ……。
また、みなさんお揃いで。
井戸端会議の真っ最中だったかしらぁ?
[順に顔を見つめていくと、その中に氷の姿を見つけて、少しだけ顔をしかめた。
焔ほど露骨に嫌がることこそ無い。
嫌いというよりも、氷は苦手な属性、というほうが当てはまるだろう]
……。
……私にも、お茶いただけるかしらぁ?
[ それぞれの反応に同意を示すかのように微かに頷き、]
……飴玉。
舐め終えないうちに飲み込むと、危ないですよ?
[影の放った言葉と言えば、そんなものだった。
一時、機鋼の竜を見ていた眼差しは手元に下り、少しばかりカップを傾けては、色付いた液体が揺れ、小さな波を起こす様を瞬きもせずに見詰めていた。]
えぇ、少々お待ち下さい。
[機鋼の仔竜に椅子を勧める月闇竜を見、次いで入って来た流水の竜に頷いた。既に底にしか残っていないポットを下げ、もう一度茶の花を開かせる。その間に仔竜用にミルクを温め蜂蜜を落した]
―食堂―
[水竜の随行者からの視線に気付くと、カップを片手に持ったまま会釈する。
顔をしかめられたのには気付き、普段よりも冷気を抑えるよう、気をつけた。
――最も、普段からも殆ど冷気は発していないのだが]
あらぁ。
よく会うわね。オトフリート。
そんなに広い場所ではないとは言え、これほど頻繁に出会うのは、運命的なものを感じるかしらぁ?
……あんなことまで一緒にした仲ですしねぃ?
[誤解されるような含みをもたせて、言葉を締めくくると]
精神の。ありがと。
[と、先程の話は無かったかのように、アーベルからカップを受け取り、ゆっくりと飲み始めた]
………
[ああ、ほんとに竜族らしい人たちだなあ、とか、そんなことが脳裏をよぎったかもしれません]
はい…騒いですみません。
[それでも氷破竜や雷撃竜の言葉を聞くと、ぽり、と頭を掻いて、月闇竜に奨められるままに、隅の方の椅子に腰を降ろした]
あ、飴…ご忠告、どうも…
[影輝竜の指摘には、僅かに頬に赤味が差し、慌ててガリ、と甘い飴を噛み砕いた]
―命竜王の宮殿―
[さて転移を使えばすんなり、命竜王の宮殿に戻れたのは幸いだったが。
中は実に酷い状況だった。
ここでは黙して*語るまい。*]
―――。
[こくこくと、お茶を飲みながら、ふと思いを馳せた。
―――そういえば、名簿をちゃんと眺めたことなかったから、あまり名前とか覚えて無いわねぃ。
ま。感じる感覚で属性は分かるから、それでいいかしらぁ]
こんにちは。
[なんとなく力の抜けた様子で、入ってきた流水竜に会釈をする。精神竜がミルクを渡しても、それに文句は言うつもりは無かった]
何もないのにそんな事をいうのは止めてください。
[恨めしそうに一度目を向けて、花茶へと落とす。
口に含んで落ち着かせ、]
もうあんなことはなさらないで下さいね……
噛まなくても。
折角なら、長く楽しんだほうがいいんじゃない?
[ 指摘に顔を赤らめる機鋼の竜に、影はゆるりと首を振る。]
……。
事故、だったらしいから。
[ 少し名残惜しげに水面から目を離し視線を周囲に彷徨わせると、疑問符を浮かべる氷破の竜を認め、一言添えた。しかしそれは明らかに言葉が足りない。]
[ナターリエは、オトフリートの言葉を聴くと、少しだけ含み笑いを漏らした。
―――その言い様だとまた誤解されるでしょうに]
―――ええ。
私としても、あのような形は不本意ですからねぃ。
今後があるとしたら、もう少し正式な形でお願いするわぁ。
[やはり、誤解を受けそうなセリフで返した]
事故です。
それ以上のなにもありません。
[影輝の竜の言葉に、しっかりと頷いた。
当然自分の言葉が誤解されうる可能性を含んでいると、考えてはいない。]
……遠慮します。
[流水を見る目は、やはり少し恨めしそうであった。]
[ その写しの侭、影輝の竜は一堂を見回して、口を開く。
闇竜と水竜の会話から意識を逸らそうとしている、という心遣いがあったのかは、甚だ疑問ではあるが。]
ギュンターが、恐らくは何者かの手によって結界の内に落ち、
竜王とも連絡が取れないとなると、ますます悠長にはしていられませんね。
次第に皆への混乱も広まるでしょうし。
竜都に留まる続けるが良策とも限らなさそうです。
[ 手遊びしているカップが、微かに高い音を奏でた。]
私は一度、郷に戻るつもりです。
[機鋼竜へもミルクを渡し終え、もう一度椅子に戻る。
なにやら妖しい遣り取りが気にならなくもなかったが、事故の話題にまつわる心の動きを感じ取れば当人同士にしか真実はわからないように思われた]
一度、領域を見に戻るのはいいかもしれません。
それぞれの見て来た事を持ち合えば竜郷の現状を正しく把握できるでしょうから。
私も一度戻ろうと思います。調べたいものもありますし。
[戻ると言い出した竜に同意し、青年も一度戻る事を告げる]
[ブリジットが少し引いて見る様子に目を細め
ナターリエとオトフリートの遣り取りには眼鏡の奥の目をパチパチと小さく瞬かせた。]
取り敢えずどう動くべきでしょうかね。
その「揺らすもの」とやらを探すべきなのでしょうか。
[呟きは誰に向けたものでもなく
独り言のように小さく]
[ 其処で言葉を切り、沈黙を置く。
他の返答があれば其方を見はしたものの、黒の瞳は大方、小さな泉の底、滑らかな磁器を映していた。或いは、水面に映る己の姿を。
憩いの一時とも話し合いの場ともつかぬ其処で、一人また一人と去ろうと、影は交わされる会話に耳を傾け、冷めていくカップを包んだ侭、*暫しの時を過ごす*]
…機鋼の砦はセキュリティが発動しています。俺は戻れなくもないですが、兄達がいますし、情報はこちらでも取れるので、ここに残ります。
[それぞれの領域に戻ろうとする竜達に、とりあえずそう告げる。事実には違いないが、それだけが理由ではないのだが]
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