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[きょとり。
セレスティンに、さっきとおんなじようにされて、それから、手には温かなぬくもりを感じて。幾度かまたたいて、それから、こくんと頷きました。]
……うん。
[丸みを帯びた緑の眼から、しずくが零れそうになりました。
理由はちっとも、わからないのですけれど。]
[愛し仔の無邪気な問いに、小さな小さな笑み。
なれどそれは直に消えて、たしなめるよに目を細めて]
例えそうでも、まずはオト殿に謝るが先にござりまする。
――そなたが心配を掛けたのは変わりがないのですから。
本当に、無事でようございました。
[ほぅと息を吐けば、残るのは慈愛に満ちた眼差しのみ]
[広間に現れた疾風王の気配と笑い声は届いていたが、それには驚く風もなく、ただ僅かに苦笑を浮かべて]
麒麟殿、詫びを言わねばならん。
[諸々の説明は端折って聖獣へと頭を下げた]
やあ、氷破。
慣れない姿を保つのは、なかなかに難しいね。
それなりに気配を抑える事は出来るようになったものの。
[腰に差した扇を口許に添える姿も昔と変わらず。
とは言え、今回は態と洩らすところも多かったが]
[しばし、動きが止まったのは、そこにいる少女の事を「知る」が故か]
……いや……まさか。
とはいえ……。
[時空間の歪みが、複数の界に影響を与えるならば。
決して、ありえぬとは言い切れない、けれど]
……ったく。
[零れ落ちたのは、小さなため息。
それでも、一団の向こうに見知った姿を認めれば、一度は止めた歩みを進める]
[少女と青年の様子に疑問符を浮かべながらも。
唐突に届いた謝罪に、獣の耳はぴんっと大きく跳ねて]
…っ、その、何故にそなたが――…?
[連帯責任、とかいう言葉が脳裏を掠め、訝しげな声が途切れる]
[ハインリヒの包み隠さぬ様子に好感を持ったのか、すこうしだけ瞳を細める]
何、あれのじゃじゃ馬振りには俺も手を焼いているのでね。
[特に意識されるつもりはないと小さく肩をすくめ、姿を漸く現した疾風の王に少しだけ眉を跳ね上げる]
まったく、どちらがお遊びが過ぎるのかわからんな疾風の。
[クインジーの残していった言葉に小さく肩をすくめるにとどまり]
何、どこも一緒だろう。
家庭を持つと、昔のままではいられんさ。
[軽く苦笑すると、ウェンディのほうをちらりと見てからセシリアへと視線を戻し、どこも一緒とばかりに視線で訴える]
…ああ、あれは相変わらずだ。
下手をするとソフィーより悲惨かもしれん。
[女子とでは分かり合えないものがあるとばかりに事あるごとに火炎の王は遊びに来る。
もっとも、妻に先立たれ子供もすっかり独り立ちしてしまったが故に玉の気晴らしにはそれなりに楽しいものではあるらしいが]
あ、どうも…おひさしぶりっす!
[父親の呑み仲間らしい片目の偉丈夫にぺこりと頭を下げて。]
父が、皆様によろしくと言っておりました。
[あちこちに精霊王ごろごろとか、ありえないから…うん。
かなりびびってる。びびってる。]
遊んでいたのでしょう?
気配を抑えても、――そうですね、鈍くなければ気付くのではないかと。
雷撃の行動は、さすがといわざるを得ませんね、疾風。
[くすりと笑った。]
――それは。
対の一人が失礼なことを。
[暫し、口を止めたが、やがて陽光に言ったことはそんなことだった。]
ソフィーからの言葉も、かなり大変そうであったのですが。
それ以上とは、予想していませんでした。
……お疲れさまです、ギルバート。
あまりに大変でした、懲らしめてやってください。
[対の一人であれど、攻撃を推奨した。]
[困り切っている内に、青年の姿は通り過ぎて。
今度は聞き覚えのある焔竜の若君の声に、また獣耳が跳ねた]
…ダーヴ殿、おひさしゅうございます…。
その、こちらの御方とお知り合いなれば、どうか頭を上げていただくようお口添え願いまする。
[子供達に注目される様子に、涙目やもしれぬ]
解ってくれなければ、
随分縁が薄いものだと嘆くところだ。
皆、付き合いが好いから困るね。
[やれ、と肩を竦める所作]
雷撃は、磨きがかかっていると思う。
[顔を上げると、焔の若竜の姿も目に入る]
ああ、これは久しいな。父上は息災か?
[懐かしそうに声をかけてから、前に並ぶ三者からの微妙な空気に、漸く気付いた]
楽しみを奪うような真似はしたくありませんから
[疾風に笑いかける]
何であんなにおかしな行動が出来るのか、私には理解できません。
素直というか――
反抗期を起こされてもし仕方ありませんよね。
16人目、未熟影 ブリジット がやってきました。
―どこかの街―
ええと。
[裏路地の前で一瞬悩む。
でも今回は出る先も見えているからきっと]
…平気、だよね。
[間違いなく近道なのだ。すぐそこまでなのだ。
それが以前の思考と変わり無いことに気づくことはついぞ無く]
……きゃうっ!
[踏み込んだ薄暗い道の途中。
石畳の隙間に足を取られ、見事に転んだ影精一つ]
セシリアの謝ることでもなかろうに。
[軽く肩をすくめて、扉の向こうに感じる懐かしい三対のひとつの気配に僅かに表情は緩む]
ソフィーはソフィーで大変だろうよ。
相変わらずやきもきさせられているのだろうな。
俺などは力が近いから良いようなものの…火と水では、な。
クインに少しは説教してもらうべきだろうか。
[三対であるにもかかわらず攻撃推奨の言葉に、軽く苦笑して、考えておく、というようにうなずいた]
家庭ね。
それなりに苦労しているようだ。
[此の場には不在の王の近況を聞きつ、
無縁の其には想像もつかぬか、広げた中啓で顔を半ば覆う]
斯様な時くらい、来れば好いのに。
そうもいかないか。
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