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[食事をゆっくり愉しんでる様子で、女は話すことよりも耳を澄ますことに集中する。
今宵ばかりは宝石の獣にも気を惹かれぬらしく、その主の様子もチラリと視線を投げるだけで、特に問おうとはしない]
…ァラァ、これは随分と美味ですわネェ。
ギュンター様はいいシェフを抱えてらっしゃいますわァ。
[ローテグリュッツェを一匙口に運び、こればかりは本心の賛辞が零れ落ちる。
それがシェフの手によるものでなく、流れるように手配する執事が仕上げた品と知れば、重たげに半ば伏せていた瞼をぱちぱちと数度だけ瞬かせ驚きを示した]
[ある時は料理を運び、またある時は飲み物を運ぶ
かくして、その正体は……ただの召使いなわけで
まあ、そんなことはどうでもよく
彼女は働く。一心不乱に働く。まるで何かを忘れようとするかのように馬車馬のごとく働く
しかし、それをお客様に見せることなんてない。もちろんつまみ食いなんてするわけない。それがメイドの(ry]
や、ちゃんと食べてもいますよ?
[ナターリエに返す言葉は、どこか冗談めいて]
一応、自分の身体の事は理解してますから、ご心配なく。
[にこり、と微笑みつつ。
やり取りに気づいたのか、大丈夫なのかと声をかけてくる邸の主にも、同じ笑みを向ける]
大丈夫ですって、御大。
せっかく、あれを見せてもらえるんだし、倒れたりしませんよ。
と、いうか、御大。
見せたくて、うずうずしてません?
[それから、話題をすり替えるようにこんな問いを投げれば。
主は、図星を指された、と言わんばかりに決まり悪げな笑みを浮かべて]
[幾度目かにホールへと舞い戻り、空になった器を認めれば、
酒を注ぎ足すのではなく透明な水の入ったグラスと置き換える。
先に断りも入れずというのは、本来ならば失礼な事だが]
レーヴェ様、差し出がましいようですが、
普段よりペースが早いのではないかと。
[他者が口を出しているためか、それ以上は何も言う事なく。
主に呼ばれ、失礼致しますと客人に会釈をしてそちらに足を運ぶ。
どうやら、お披露目をいつにするかの相談のようだった。
タイミングを計り兼ねているらしい]
本来ならばお食事の後にすべきですが……
[言いながらも、待ちきれない様子は容易に見て取れ、微笑する。
客人に向けるものよりも、それは何処か柔らかみを帯びているか]
[黙々と食事を続ける。
皆の姿や、話し声も気になると言えば気になるのだが…視線を向けるだけで、特に何も言わないようだ。
…何故なら、皿の隅に…器用に野菜が退けられているからであった。
エーリッヒの事を言える立場でないのは見てすぐに分かるだろう]
…?
[ふと、ユリアンに見られていたのに気付いたのか、ユリアンに向かって軽く首を傾げて見せた]
自慢してる訳じゃないんだけどな。
[俺だって初めての時は圧倒されたしな。と肩を竦めつつ。
続く同意に、深く頷いて]
つまみ食いがこういう美味い食事とか、最高じゃね?
労働しないならこの環境も恵まれてると思うんだけどなー。
[つまみ食いも駄目だし、そもそも仕事なら働けと。
しかし、エーリッヒの言葉を聞けば、小さく溜息を吐いた。
ユリアンがエーリッヒの変化に気付いていないのは気付いていないが]
…手厳しい、じゃなくてそれだけ心配だって事。
飲みすぎると、その内潰れるぞ。
大丈夫、なら、…良いけどさ。
[よくよくブリジットを見れば、しっかりと食べるものを区別している。
それを見て、好き嫌いってここまで背の大きさに影響するのか。と勝手に得心。
やっぱりブリジットの年齢詐称は気づいていない。
軽く首をかしげ見るブリジットに]
ちゃんと野菜も食べないと、ずっとこのままだぞ。
[と、頭をぽむぽむ。
でも内心、ちょうどいい位置にあるからそれもいいかとか勝手なことを思っている]
それなら良いのだけど?
でも心配をかけるということは、あまり食べてないということだわ。
理解しているのなら良いけれど。
[エーリッヒの言葉にはそう返して。
ふと視線をずらした彼女は、そこに、主と執事の姿を見る。
口元がほころび。]
ようやく、お披露目かしら?
……俺、そんなにアルコールに弱くはないんだけどな。
[潰れるぞ、という言葉にはさらりとこう返して]
でも、心配かけてたなら……すまない。
[それでも、心配、という言葉はさすがにこたえたようで、真面目な様子で言いつつ、軽く頭を下げる]
……執事殿にもとめられたし、切り上げとくよ。
[置いていかれた水のグラスを見やって、苦笑しつつ。
それから、主が執事を呼ぶ様子に、タイミングあわせかな、と小さな呟きを]
[ユリアンの呆然とした様子に気付き、女はくすりと笑みを零す。
少年の期待に反し、押し切る事は叶わなかったものの。
それだけ皆に待ち望まれているのだと、邸宅の主の自尊心はくすぐられたことだろう]
ゥフフ、食事が終わってのお楽しみネェ…。
そのような事おっしゃるからァ、皆様今宵は小食でいらっしゃるのですわァ。
[手の込んだ美味な料理達がそれほど減らぬ方をチラリと見やり、ネェン?と使用人に艶やかな笑みを向ける]
…!
[頭ぽむぽむ。
そして、(少女にとっては)衝撃的な発言に、少しだけ皿の端に退けてある野菜を見やるが…
ユリアンに視線を戻すと]
き、きっと、伸びるもんっ。
食べなくても、生きていけるもんっ…!
[頬を軽く染め…一応、食事の席だからか、少しトーンを抑えてそういうと、ぅぅ、と皿の中の料理を見つめる。
…もちろん、料理を見ると、端にいる野菜達も見えるわけで…
フォークを持つが、動くに動けない状況らしい]
ま、自慢できるものではあると思うけどな
[料理や働きについてそう述べ、そして、初めてだと驚くのは俺だけじゃなかったってことか。とアーベルに言った後は]
だよなー。こういう場所でつまみ食いとかできれば最高だ。
そして、客人の俺らは本当いい身分だ。
[と、そのつもりもなかったが招待されたことに感謝の言葉をぼやきつつサボることもせず、的確に適切に仕事をしている、オトフリートやユーディットを見て]
ありゃ、すげぇ
[と呟く]
…いつもは弱くないだろーけどね。
精神でも身体でも、参ってるときに飲んだらすぐ潰れるから。
[小さく息を吐いて。
執事が差し出すグラスに僅か笑めば続く言葉に、
そうしとけ。と苦笑を返し。
呟きに気付いて主の様子を見やれば、僅か眉を上げる]
[執事とギュンターがなにやら相談するのを目に留めて]
もうすぐ、ですかな?
[そう問うて。
ヘルガの声に、そういう事もあるかと無言で頷く。
自身はしっかりと食べてはいるのだが]
[ヘルガが使用人に浮かべる艶の含んだ笑みは、やっぱり自分の普段の生活とはかけはなれているものだな。と思い見つつ、自分に向けられなくてよかった。と思う。
どう応じればいいのか皆目わからないから。
でも、皆が小食という言葉には首をかしげる。周りはそうかもしれないが。
料理の小山が着々と凹んでいるのは、きっと。多分。いや、かなりの確率で。
彼のせい。
だって、せっかくだし、おいしいし、食わないともったいないもの]
[食後のお茶――ミルクティーを楽しみながら、邸宅の主がついに耐えかねて執事に相談する姿を、長い睫毛に隠した瞳でそっと見やる。
それから、やはり気が急いているのか、一足早く食事を終えた様子のザムエルに、華やかに微笑みかけた]
…ネェン、いよいよですわネェ。
ザムエル様にとってはァ、今宵の喜びはひとしおではなくってェ?
[声は砂糖菓子のように甘く、物憂げな瞼に半ば隠した瞳は鋭く]
……だそうです、ヘル・オストワルト。
確かに、一理あるかもしれませんね。
[笑みを受けた執事は、主へと視線を向ける。
緩く首を傾ければ、さらりと零れる黒橡。
しかし主は折角の食事がと、渋る様子も見せようか]
私共の本分は、お客様にお楽しみ頂く事です。
件の品が気になってお食事を堪能して頂けないようでは、本末転倒。
それに、料理は逃げはしないのですから。
[無論、オルゴールも逃げはしないのだし、
料理のほうは冷めてしまうかもしれないのだが。
敢えてそれを言わないのは、主を納得するための話術。
暫くの間を置いて頷いた彼は、椅子から立ち上がり、客人達に声をかける。
食事の最中に申し訳ないがとの断りを入れながらも、小ホールに案内しようと]
……まあ、自分の身体を理解してなきゃ、旅暮らしなんてできませんから?
[ナターリエに返す言葉はやはり、軽口めいたもの。
それから、自分を見つめる真白のカーバンクルをまたぽふぽふと撫でつつ]
……そんなに、凹んでたりするように、見えるかな。
そんなつもりは、ないんだけど。
[アーベル言葉に、やや、大げさなため息をついて。
水を一口、口にする]
まあ…そりゃあ、死にはしないとは思うけどよ
[頬を赤く染めながら慌てた風にいうブリジットにそんな返答を返しながら、皿を。厳密には野菜をにらむように見ているのに、苦笑しつつ]
結局は自分がどうしたいかってだけだけどな
[背のこととか。と付け加えながら意地悪気に言った。そしてぽつりと]
ここの料理。野菜もうまいけど。
俺らは本当、良い身分だな…。
[ユリアンの言葉に、並んだ料理を見詰めながら真顔で頷いた。
…本当何しに来ているのか。
と、独りの召使に差し出されたワインに、受けるようにグラスを差し出す。
それを受け取れば、一つ礼をして去って行く女性を見送って。]
……確かに、スゲェ。
[働くのが凄いのか、つまみ食いの誘惑に負けないところなのか]
それもそうね。
旅は過酷ですもの。
だけれど、過信は禁物だと思うわ?
[小さく微笑みを。
それから声をかけてくる執事に、うなずいて。]
いくわ。
オルゴォル、見たいもの。
あとで紅茶をいただきたいけれど。
[アッサムがいいかしら、などと言って席を立つ。]
ぅー…
[じー。
野菜達をじっと睨みつけるように見つめ…]
た、食べたって、変わらないもん…きっと。
[美味しいという言葉には、ちら、とユリアンの方を見やるが…
渡りに船。
オトフリートの声が聞こえると、顔を上げ…]
…お披露目、みたい…
行こっ?
[イレーネとユリアンを促すと、ゆっくりと立ち上がり小ホールの方へと向かう]
だな。まあ、もてなしにはあんま慣れないけど。
[着々と食事を進めながら頷きつつ、もてなしについてはやはり不慣れなようだ。
といっても食事はおいしくいただいている辺り、やっぱ図太い。
そして、先程からきっと休まず働いているであろう。でもそのわりに英気が衰えている様子もない使用人たちを同じく見て、アーベルの感心に同意する。アーベルのいった凄いというその意味は言わずとも伝わっているようだ。]
俺には真似できねぇ。
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