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-Kirshburm:北の宿泊部屋-
[ふぅ、と息をついてベッドに腰掛けた。
こんなに人と喋った事なんてなかった。
否、あったとしても、記憶にはなかった。
色んな人の気配がゾワゾワしたと感じたが、それが属性たるゆえんや人外たるゆえんであることを、彼女が気がつく事はない。]
うん、町の人。
ハインリヒも、同じだよ。
[イレーネがきちんと片附けて上ってゆくのを不思議そうに見ましたが、ブリジットにつられて、ベアトリーチェももっとかおを輝かせます。]
この町は、素敵な場所が多いんだ。
広場の時計は巨きいし、森は緑に茂っているし、
北の遺跡にはなにかが眠るのだというよ。
好きになって呉れるとうれしい。
[ごちそうさまをすると、ひょいっと椅子からおりて、お代を払います。]
[しばらくそこで苗床は、自分に住まう花を見あげながら、時が過ぎるのをただ感じる。
ただただただただ、そこにある。
やがてゆうるり ゆうるりと。
その右の手を、かたまりはじめたその手を、持ち上げて。]
宵の闇の時間が訪れる前に、影の王の下へゆくよ。
戻っておいで、はな。
[ふわり 舞った三ツ花は 額にアザとなり消えて]
[座っていてもイマイチ落ち着かず、窓を開いて煙草に火をつけようと、燭台に火をともす。
火は好きだ。
そのゆらめきは、生命のそれに似ている…]
ブリジット。
ハンカチをありがとう。
明日、きちんと返すことにするね。
[他のみなにも一人ずつ挨拶をすると、勢よくお辞儀をしてお店の扉を開いて、月の煌めきの下を*歩み始めたのでした。*]
[ハーヴェイはそれを困ったように聞いたが一応頷いた]
[丁度お勧めセットを食べ終わったタイミングで彼女の所にパフェが届く]
うわぁ、凄い!
ありがとうございます……ハインさん!
[瞳はいっそう輝いて、注文してくれた人物に礼を言う。
少し遅れたのは昨日の会話から名前を思い出していたためか]
素敵な場所がいっぱいって素敵ね。
明日はもっと色々な場所を見て回ってみるわ!
どこかで会えたら色々教えてね。
[椅子から降りたベアトリーチェにはそう答えて手を振り見送って。
スプーンを手に巨大なパフェに挑戦し始めた]
そうだな、この町にはいい場所が沢山ある。
何より平和だからな。
……探偵業が何でも屋になっちまうくらい。
[からからと豪快に笑い飛ばす。]
またな、ベアトリーチェ。
暗い夜道は気ぃつけるんだぞー。
[店を出るベアトリーチェに声を掛け。]
―Kirschbaum―
[ドアの外で、少女が通りすぎる。
金の色の少女だと、思った。
それからドアを開けると、カランカランと鈴の音。
影の王は苗床を見て、苗床は小さく苦笑する。]
ごめんなさい、ちゃんと、抑えているよ。
[それから、中で食べている人たちを見る。
右腕が触れるなといわんばかりに、少し痺れて、久しぶりに感じた感触に困ったような顔。]
―東部・図書館―
[決して規模は大きくは無いが、蔵書は豊かである。
鍵の書に関する情報を求めた者達が、一般の客以外に相当数居るようだった。交わされる囁きは皆、それを求めていた。
通常はもう閉館となる時間なのだろう。
司書が、困ったように旅人たちを諭して歩いている。]
…もうそのような時間か。
すまなかった。すぐにでも辞するとしよう。
[収穫無し。
読むでも無く眺めていた本を司書へ押しつけ、図書館を出た。]
[通りには夜だというのに何処か賑やかさがあった。]
俺の奢りだ。たんと喰いな。
[余ったら喰ってやるよ。とは言わず。
ま、多分半分かそこらで根を上げるだろう。
先に運ばれていたオススメメニューとブラックコーヒーを平らげ、
自身も特大ベリーパフェと『ストロベリー七変化』に手をつけ始める。]
えっ、いいんですか!?
[ギブアップの予想をつけられているなど露知らず。
嬉しそうにパフェを口に運んでいる]
ハインリヒさんもこの町の人なんですね。
随分と活気に溢れていますよね!
[丁度ドアの音に気が付いて見れば昨日の少年が]
こんばんは!
[スプーンを持ってない手の方をひらりと振った]
……
ねえ、影の王。
あのぱふぇ、なに?
[昨日も見たはずだったが、しかししかししかししかし。
あんまりにもすごくなかろうか、苺が。]
[こちらを見る少年の顔がどこか引き攣っているのを見ればきょとんとした表情で首を傾げ]
美味しいですよ?
[苺をパクリと頬張った]
俺はこの町で探偵やってるんだ。
ま、事件なんざ起きやしねえから基本的に猫探しやら
失せモノ探しが中心だけどな。
何かあったら格安で引き受けてやるよ。任せときなっ。
[食事の手を止め、どんと自分の胸を叩く。]
おう、今晩は。
どうしたティル、元気ないな。
[再びパフェに手を付け。
引きつった笑いの理由に気付いてない。]
─???・路地裏─
[光の届かない路地裏
そこに響くのは可憐な少女の甘い吐息と、じゅるりと何かの液体を啜り飲む音のみ
まるで蛇のように少女に絡みつき、服を肌蹴け、晒された首元に深紅の接吻を繰り返すのはその眼を紅く染めたナターリエ
抱きかかえられた少女は、そう、教会のミサで見たことがあった。確か、商店街のパン屋の娘だったか
数刻ののち、満足しぷはっと口を彼女の首元から離すと、いまだ焦点の合わぬ恍惚とした表情を浮かべる少女の顎をくいっと持ち上げ、少女の眼を見詰ると]
ふふふ、気持ち良かった? でも、このことを憶えていて貰ったら私も困るし、貴女もこれなしじゃ生きられなくなっちゃうからね
忘れなさい
[キンッと彼女の紅く染まった眼が、少女に魔眼による記憶操作を行なう
少女が虚ろな瞳で「……はい」と呟いたのを確認すると]
ふふ、よろしい。じゃあね
[そう言って、スッと手を離し、立ち去ろうとするが、ああそうだと振り返ると]
それでも寂しくなったのなら教会にいらっしゃい
違う愛し方をしてあげる♪
[それだけ告げると、上機嫌に路地裏をあとにした]
うん、すっごくいっぱい。
とっても幸せ♪
[にっこり笑ってそう返す]
[影の王その人は小さく首を振っているかもしれない]
困ったことがあればハインリヒさんの所に行けばいいんですね。
[同じパフェを食べている人にもにっこり]
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