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―広間―
[指遊びにも退屈して、広間を見回すと、片隅で瞑想しているマンジローの姿を発見する。
ちょっと近づいて、気付いてくれたら笑う。]
ねぇ、シラヌイさん。
僕ね、あの女の子を見つけたけど、多分ここを出たら、僕も要らないって言われると思うんだ。
だから、どこか遠くに逃げるんだけどね。
シラヌイさんのおうち、どっちの方?
[行ってみたい、と笑いかける。]
─館内─
では、参りましょう。
蔵書に関しては……素晴らしい、というべきなのでしょうね。
あの書庫を目当てにここを訪れる、という者も、少なくはないと聞いていましたから。
[書庫の方へと歩き出しつつ、以前聞いた事を話す]
読書にふける余裕はないかも知れませんけれど、気を紛らわす程度ならば問題ありませんわ。
……読み込みすぎて、周囲がおろそかになってしまうといけませんけれど。
[冗談めかした口調で言いつつ、たどり着いた書庫。
扉の向こうからは、複数の人の気配]
あら、なにやら賑やかな様子。
―書庫―
[シャーロットが首を横に振る。断られてしまった]
そうですか〜、わかりました〜。
[笑顔には笑顔で返して。
目的の本がどこにあるのか把握しているのかもしれない。
それともそもそも特定の本を探していないのか。
彼女が断った理由はわからないが警戒が溶けたということはないだろう。]
[手に持った本をパラパラとめくって見る。
バリエーションは豊富だが大体の流れはどの話でも似たようなものらしい。
人狼が現れ、被害が発生し、人狼は退治される。どれも結末は同じ。
人狼が生き残るということは、村が滅んだということ――話を伝えるものが居ないから伝わらない。
そういうことなのだろうか]
―広間―
ここがこうなってなかったら、僕がヘンリエッタという子に見つかってなかったら大丈夫だったんだけどね。
知られちゃったし。
困っちゃうよね。
[それから、ちょっと首を傾げる。]
ヘンリエッタっていう子ね。
捕まってたんだ。捕まえられてた、のかなぁ。
逃げられるはず、なかったのに、逃げたの。
僕は見てたんだよ。ぜんぶ。
殺したがってたのに殺せないとかも言ってたし、いったいなんでなんだろう?
隠しとく、とかも。
――僕にはわかんないことだらけだけど、でも、ヘンリエッタっていう子もわかんないこといっぱいだね。
[そんな事を話したら、ようやくおなかもすいてきたようで、お茶と一緒に出されていたお菓子に手をのばす。
たべたことのない味で、はしゃいだ声を*上げた*]
[トビーの問い掛けにはパチリと目を開け、振り向く]
要らなくなる?
[用済みということか。ますますもって胡散臭い奴等のようだ]
ふむ。我の国か…
ここから何年も何年も東に歩き、海を越えた先にある島でござるよ。
童っぱの足では、たどり着くのはちと難しいでござろうな。
[セシリアが近くにいなくなると自然とほっと緊張を解いたため息を漏らす。
彼女は何をしだすかわからない、そんな怖さがあった。
問題を越さなければいいけどと思いながら、目的にそった本を見つけるとそれを手にした。]
……
[振り返るとユージーンとセシリアは本を探している。ハーヴェイはどうだったか。]
─広間─
…うん、一緒が、良い。
[迷惑ではないかと心配していたため、返って来たギルバートの言葉を聞くと少し嬉しげな、安堵する表情を見せた。
抱えていた膝を伸ばして床に足を下ろす。
ギルバートの袖を掴んだまま、急くようにして外へと向かった]
そう珍しい存在ではありませんからね。
[頁を捲りながら少女に答える。
視界に養女が口を動かすのが映れば、微かに笑んだ]
過去の御客人の中に、見たと言う方もいたそうです。
[次の頁を捲り、手を止める。
人狼を題した短い話が記されていた]
─ →庭・菜園─
[菜園へ近付くと、風除けとして設置した板の上から中を覗き込む。
いくつかの苗が倒れてしまっていたが、浸水の被害も然程無く。
成長に問題無い程度であることが確認出来た]
……良かった……何とかなりそう……。
[安堵の息を漏らして、早速風除けの板を取り外して行く。
それらを横に置くと、今度は倒れた苗の立て直しをして。
ぬかるむ土の中でラッセルは一生懸命菜園の整備を始めた]
うーん、全部読むのは骨が折れそうですね?
[違う本を手にとって中を確認。
細かな差異はあるものの、やはり似たような話が載っている。
その中で、ひとつだけ異色ともいえる話を見つけた]
[霊視――死者の魂を見る力を持つ男の下に美しい女が嫁入りする。
女は人狼だったが男はそれに気づかず、やがて2人の間に男児が生まれる。
男児に父親と同じ力があると知った女は男児を殺そうとする。
男児は逃げ延び青年となって故郷へ戻り、女を殺して父を救う。
死の間際、女は青年に呪いを掛けた。
「狼に近づけば、おまえは魂を病むだろう」
青年は答える。
「ならばそのたび、私は狼殺しましょう」]
―書庫―
わざわざ訪れる方が在られる程素晴らしいものなのですか。
それも教えて置いて下されば良かったのに。
[母の話に其処は無かったと苦笑う]
嗚呼、それなら一冊か二冊お借りしてみたいです。
知識も得ておきたいですし。
熱中し過ぎない様に注意をしてですね。
[冗談めかした口調に笑い扉の前まで辿り着く]
お邪魔しても宜しいものでしょうか。
[中の会話までは聞き取れない。
小首を傾げてキャロルを見上げた]
[呪いは青年の子供、孫、ひ孫……子孫へと続いていく。
彼らは狼から人を守る英雄になった。
遠い西の地に伝わる、古い古い話]
貴種流離譚、でいいんですかね、これも。
[人狼そのものではなく、それを退治した者に焦点を当てた伝承。
妙に印象が残った]
話には良く聞きますけど、実際に見たことはないので実感が。
[ユージーンに短く答えて、再び書架を見上げる]
―広間―
[安堵の表情を浮かべるラッセルにこちらも笑いかける。
何より、少しでも元気を取り戻してくれたことが嬉しかった]
それじゃ、行こうか。
[立ち上がるラッセルに引かれるように立ち上がって。
急ぎ先を行くその後をついて行く]
─書庫─
ええ、かなりのものですわ。
……行ってのお楽しみに、という事だったのではないかしら?
[苦笑する様子に、笑いながら返して]
問題ないのではないかしら。
そう、深刻な様子でもないようですし。
[見上げながら問われたなら、軽く、返す。
複数の者がいるという事は、よほどの事がない限り、危険はない、と。
そんな判断は、表情には出さず]
お邪魔いたしますわ。
[常と変わらぬ口調で扉を押し明け、中へと踏み込んだ]
[扉の開く音と、女性の声。
書架の影からひょいと顔を出して声をかける]
お2人もいらしたんですかー?なんだか大賑わいですね。
―→庭・菜園―
[足早に菜園の様子を見て回るのを、近くで見守る。周りの様子に気をつけながら]
どうだ?大丈夫そうか?
[畑の事はよくわからない。思ったより被害は少ないと言うラッセルに安心したように頷いて]
よかったな。
何か、俺に出来ることがあったら言ってくれよな。
[そう声をかけて作業を見守る。下手に手を出してだめにするわけにも行かないから。
もちろん、必要があれば手を貸すだろう]
―広間―
[あっけらかんと話を続けるトビーをポカンと見つめ続ける。
―捕まえられてたんだよ
―殺したがってた
―隠しとく
頭の中に、次々とまとまりのない言葉が入り込んで来るような感じだ。彼女はどこかに捕らえられていて、そこから逃げ出してここまで来た…?
だが、殺せないから隠しとく、とはどういう意味だろう?
彼女には何か秘密があるとでもいうのだろうか]
童っぱ、お主はどうやら随分な面倒事に巻き込まれておるようでござるな。
[トビーに対してはようやくそれだけを返す。多少は声がうわずっていたかも知れない。
彼が本当のことを言ってるかどうかは確かめる術はないが、もしそうならば確かに、トビー自身やもしかすると関わった我々すらも危ないかも知れないのだ]
―書庫―
そうだったのかも知れません。
聞いていたら直ぐにもお邪魔したくなっていた気がしますし。
[キャロルの笑みに笑いから苦味が抜ける]
お邪魔させて頂きます。
はい。教わった本も気になりましたもので。
[続いて扉を潜り書架の影から覗いたセシリアに微笑んだ]
―書庫―
[『以前、僕は人狼を見た。』
話は告白めいた一文で始まっていた。
墓守が片目を細めたところで、書庫の扉が開く。
頁に指を挟み、本を閉じて、見えた二人に一礼する]
本を御探しですか。
─書庫─
[声に応じて顔を出したセシリアの言葉に、周囲を見回す。
改めて言われると、確かに賑わっている、と思えた]
エッタ様に館内をご案内しておこう、と思って。
この場所の事は、知っていて損はないと思うから。
……調べ物のお邪魔なようなら、早めに退散してよ?
―書庫―
[ユージーンの案内で書庫に入る。
何度か訪れた場所であり、粗方見ていたものでもあったが、もう一度読み直す。新しい本もいくつかあった。
見たことのない本の一つを手に取り読みはじめる。
読みながら途中、シャーロットの姿が見えれば、おやと思うものの、休めなかったのかなと思い軽く手を降る。
ついでちらとセシリアの方を見て、何かを熱心に読み耽るのが気になりちらと覗き込んだ。
中の記述は見た事がある。霊視。死んだものの魂を色分けるともいわれる力。
ふと、彼女の母の力はこれだったろうかと、過去の記憶を辿る。氏はなんと言っていたか。
ずいぶん昔の事で、思い出すに苦労していた所で、人狼の話題になると、ぽつりと。]
生きた人狼を見た事なら…あるかな。
[そう小さく呟いて、自身も本を開き中を見た。]
[聞こえてくる会話によると人狼に関するものを探しているらしい。
事件の直後、アーヴァインは人狼に殺されたんだってそんな話だった。
だからこそ調べてるのだろうとは思う。ユージーンがセシリアに過去に見たものと言う。
きゅっと自分の身を抱いて震えそうになるのを抑える。]
……
[扉を開かれる音ともに声がかけられた。
そちらに視線をやるとキャロルとその傍にはヘンリエッタの姿。
手に本を持ったまま二人にぺこりと頭を下げる。]
─書庫─
ふふ、お母様なりの気遣いだった、という所ですかしら。
[苦味の抜けた笑みに、こんな言葉を返し]
私は、今は案内役、ね。
一応、調べたい事がないわけでもないけれど。
[墓守の言葉には、軽く、肩を竦めてこう返す]
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