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[不審者だったから見てました。
なんて本人たちの一人に言えるわけもなく。
子供は、困ったようにしたままで。
そしたら、手を引いてくれる、その様子に、
なんだかうれしくて。]
僕はどうもしていません。
ええと。
[しかし表に出ると、青年と少年が、言い合っている。
なんだろう、なんだろう。
でも、ユリアンさんにはこれをあげなきゃと思って、
苺飴を持つ手、引かれた手、ユリアンの顔、ユーディットの顔
四つを見比べて、どうしようと悩むよう。]
[何か意地になってるような様子に。
あ、やっぱガキだな、とかさらりと考えつつ。
ユーディットに引かれて出てきたベアトリーチェに気づいて、よ、と声をかける]
今日は大荷物だなー。
[にぱ、と笑って声をかけ。相棒も挨拶するように、きゅ、と鳴く。
態度の温度差があからさまなのはまあ、必然か]
[生憎今日は馬を連れてはいないのだけれど。
少女の視線が此方を見上げるのに気付き、人より高い背を合わせるように片膝をついて笑みを浮かべた]
はじめまして、だね。
君はこの村の子かな?
[僅かに首を傾げるようにして問いかける]
[少女の保護者と認識している青年へと、少女をそっと押しやって。
少女が迷う様子には気付かずに、主の姿を見守る。
ふと。
元凶らしきネズミに気付き、焦げ茶色の瞳で見つめ。]
[女の人の微笑みは、やっぱり優しいなと思った。
子供は昨日の、彼女の様子を、微妙には知っているけれど。
それからユリアンにぺこり、小さく頭を下げて。]
大荷物、じゃないです。
ええと、昨日のお礼です。
[苺の飴を、子供は彼に差し出そうとする。
それから、馬の赤い人が、視線を合わせてくれる。
こくり、と小さくうなずいた。]
僕は、ここに住んでます。
ベアトリーチェ=ダルファーって、いいます。
よろしくお願いします。
[後から出てきたユーディットに気付き、つい、遅いと口を開きかけたが、使用人に八つ当たりするとは、主人として――男として、あるまじき事だと、またまた我慢。鼠飼いの男は無視決定。
彼女の連れてきた女の子を見て、という事もあっただろうか]
……………
[我慢すると、無口になる訳で]
[少女が頷くのに此方も頷いて]
私はダーヴィッド=ブラウンフェルズ。
祭りの間、暫くご厄介になるよ。
[その言葉には、もしかしたら迷ったときの厄介ごとも含まれているのかもしれない。
子供にまで助けられる可能性があるのか、騎士なのに]
お礼って……気にしなくていいのに、そんなん。
俺が好きでやってんだからさ?
[ベアトリーチェの言葉に僅か、苦笑して。ぽふぽふ、と頭を撫でてやる]
でも、ありがとなー?
[それから、にこ、と笑って飴を受け取り。
……肩の相棒はと言えば、向けられる視線に気づいてそちらを見返す。
じぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ、と。
妙に真剣]
祭りに、来たのですね。
馬さん、今日は、いないですか?
[名前を、しっかり、頭にいれる。
子供は、しかし、それより気になっていた。
何が……そう、馬のことが。
それから、ユリアンに頭を撫でられて、
うれしそうに目を細めた。]
いいえ、ええと、本当にありがとうございました。
でも、お金……
いくらですか?
[首を傾げて、尋ねる。食事のお金が分からなくて。]
[視線を先に逸らした方が負け。
そんな暗黙の掟を知ってか知らずか真っ向から見詰め合っていたが。
声の聞こえなくなった主の様子の方がそんな勝負より遥かに大切な訳で。]
…ご主人様?
遅くなって…すみません。
[後ろでちょこんと。小首を傾げて。
独りじゃありませんよと言うように、にこ、と笑んだ。]
馬は今、宿の馬屋で休んでいるよ。
[己の纏う装具とは対象的な青毛の馬を思い出す。
今頃どうしているだろう、などと考えながら]
て、お金?
[一瞬言われた意味がわからなくてきょとん、と瞬き。
それから、ああ、と気づいてぽんと手を……打とうとしたけど、手に飴があったのでやめといて]
別にいいって。昨夜のは、奢られとけ。
[そも、一緒に、と言った時点でごく当たり前に奢る気だったらしい。
一方の相棒は、視線が外されたので、きゅ、と短く鳴いた。
状況的に勝った気はしていないらしい。ちょっと不満気]
[ユーディットに声を掛けられ、瞬きをするも]
……別に、何も言っていない。
[微笑む様子に、こういうときばかり、その意を悟ったのか。
むすっ、と擬音の聞こえてきそうな程の、顰めっ面]
[不満気な鼠の声が耳に届いて、ほんの少し、気は晴れたか]
[ダーヴィッドの言葉に、こくり、とうなずく。
子供は色々考えて]
きっと、疲れているのですね。
[それから、ユリアンの不思議そうな声と、
続いた言葉に、目をぱちくり。]
でも……
お金、貰ってます。
ユリアンさんに、悪いです……
[困ったように、子供は見上げた。]
[周りでは和やかな会話だったり水面下(?)の戦いだったりが行われているが、昨日の事もあって何となく入りづらい]
[不満げに肩の上で鳴く鼠に何気なく目が行き]
祭りまだこれからなんだし、金は取っとけよ、な?
[笑いながら言って、頭をぽふぽふと]
んー、別に俺は悪いとは思ってないんだけど……。
[実際、そうなんだから、こうとしか言えず。
それでも困ったような表情に、無碍にもできず]
あー、じゃあさ。
今度、川原に石拾いに行く時に、それ手伝ってくれよ?
先払いの手伝い賃って事でさ?
[にぱ、と全開の笑顔で提案する。
相棒は相棒で、また視線を感じてそちらを見やり、きゅ? と首傾げ]
[少女に問われた言葉にきょとんとして]
いや、私は大丈夫だよ。
充分に休めたし、あれくらいなら大して疲労もしない。
馬は存外デリケートだからね。
[ミハエルの顰めっ面に、あわあわと両手で口を覆い。
それでも穏やかな瞳のままで、静かに見守るつもりで。]
[ネズミの不満げな声に、一瞬だけ視線を向けたけれど。勝負はまた今度、とすぐに元に戻した。]
[また頭を撫でられて、子供はやっぱりうれしそう。
続いたユリアンの言葉に、こくこくとうなずいた。]
わかりました。
いっぱい、お手伝いします。
僕、がんばります。
[にこにこと笑う。
それから、その頬笑みのままで、
ダーヴィッドの言葉を聞いた。]
疲れてないですか。それならよかったです。
[妙に酒場に入ってくるのが遅かったことは知っているけれど、
まさか道に迷っていたなんて、思いもしないから、
そのことについては言わなかった。
知っていたら、疲れてないのに、驚いただろう。]
[青年と少女の様子に笑みを浮かべていて。
此方を向く少女に変わらぬ微笑みを返す]
これでも騎士だからね。
丸一日山奥を歩くようなことがあっても耐えられるよ。
[その丸一日も迷子の結果なんてそんなこと言わない。
言わないったら言わない]
んー、期待してるからなー?
[こくこく頷く姿に、楽しげに笑う。
なんか、妙に和むらしい]
[肩の相棒は同じ方向に首を傾げられたのに気づいて。
かく、と反対方向に首を傾げつつ、また、きゅ?]
[皆の話に加わるでもなく。彼の眼は通りへと向けられて。
賑わう声、行き交う人々、立ち並ぶ店。辺りを包む陽光に、自然の香りは、柔らかい。高き蒼穹に、冷たき空気は、何処までも澄んでいる]
[未だ彼には馴染みのないものだったが、昨日よりは慣れた所為もあってか、落ち着いて眺める事が出来た]
[徐々に動かしていった視線は、一度ノーラを認めて。
鼠と見詰め合っている様子に、何をしているのかと思った。
無論、彼はときめく筈もない]
[丸一日……ダーヴィッドの言葉を聞いて、とても驚いた。
子供はそんなことできない。]
すごいです。すごいです。
騎士さんってすごいですね。
[騎士=丸一日山奥を歩ける人だと認識したようだった。
誤認かもしれないが気にしない。
それから、ユリアンの言葉に、にこにこ笑顔。]
いっぱい、がんばります。
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