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こまる。
こまるのは、こまるわね。
こまるのは、いや、ね。
[オトフリートの言葉は判り易かったので、
呟いて手を片頬へと持って行き、
思案する形に。]
ああ、噂…なんだけど…なんか俺だけ誤解してたっぽいような
[エルザがきょとんとしている。エルザは知る限り騙すようなタイプではなくて
気まずさに和みを求めてエルザの頭をまた撫でて]
ぁは…やっぱ違ってましたか…って…ぇ……えーーーー!?
[オトフリートの額に青筋が浮かびかけてたのにも気づかず驚く]
絵師が持つ絵筆って。なんかとても重要なものでしたよね。確かだけど
[とはいて具体的にわからず驚いていたけど]
ああ、飯を食っていないようなら、
家に行くついでに料理を作ってやろうか。
[潜めていた声の音量を上げ、言い足した。
ちなみに。
調合の腕前と料理のレベルは全くの別物である]
[アーベルに撫でられて、
また嬉しそうに目を細めながらも]
うわさって、なぁに?
[興味津々といった風に
じっとアーベルを見つめた。
周りの空気なんて勿論気がつかない。]
いや、だってよ。なんか噂してんなーって思ったら。ミリィ先生が逃げたとかなんだとかばっか聞こえたし…
[気まずそうにミハエルに。ちょうど噂の上下関係が覆った直後に来たのだとか。だがそんなの...にも知る由もない。
話も終わってこちらに注視が来たミリィやエーリッヒに気づいて気まずい思いが更に加算されてる]
…えっと。
勘違いが起こってたみたい、です。
[ミリィや兄が問うのに、アーベルに目を向けつつ答え。
直後の驚きっぷりに思わず目を見張った]
いや。
重要だからこその、大事なんだが。
[アーベルが上げた素っ頓狂な声に、思わずこんな突っ込み一つ]
……はい?
[それから、薬師の申し出に一つ、瞬き]
……いやいやいや。
そこまでお手を煩わせるわけには。
ぅっ
[エルザの純粋な眼差しと問いが精神衛生上とても危ない。
隠すのもエルザに悪い。ついで両親に怒られる。でも自分が思ってたのって]
あーっと、噂だからな。あくまで噂。真実じゃないぞ
[とりあえず前置きして]
オトフリート先生とミリィ先生が、仲がいいって噂
[これなら大丈夫だよな。過度でもないし嘘じゃないよな。とか色々思ってる]
まあ、…無理はないですね。
[アーベルに苦笑を向け。
広場で交わされる会話の中にも、確かにそんな言葉が混じっていたようで。
それが原因で、初めにミリィと出くわしたのだし]
仲がよいのが、うわさになるの?
仲が良いのは素敵ね、すてきだわ。
[アーベルの答えに満足したらしく
にっこりと、満面の笑みを浮かべた。]
……私は逃げてない、逃げてないぞっ
[アーベルの言葉を耳に留め、思わず言った。
しかし、オトフリートの顔を正視出来ないのは、
理不尽な行動をしたと認識しての後ろめたさゆえ]
[エーリッヒに対しては、無駄に自信ありげな笑顔]
気にするな。
私も久々で、腕が鳴るぞ。
[むしろ、それが問題だった。
普段は母親か助手が料理を作っているわけで]
えっと、で、ですよねぇ〜
[あはは。と乾いた笑みで頷くが、なんで重要かいまいちわかってない表情
思いを繋いで絵師が絵を描いて。そして心の力を集めてみなで空へ向かう…だったっけか。とかの知識はあるが。絵筆のほうの知識はなくて]
だよな。そうだよな。ミハエル。俺のせいじゃないよな。きっと。
[色々な気まずさがあったからミハエルの言葉にとても助かった]
[交わされる会話に、頭痛がするようで、眉間に皺をよせたまま沈黙していたが]
ともかく、今重要なのは絵筆の行方だ。
[無理矢理話題を集中させようと口を開いた]
何か見聞きしたものがあれば絵師殿に知らせろ、いいな。
あ、ああ。まあそういうこと。仲が良いことは良いんだがなぁ。
[笑みを浮かべるエルザに、それに対しては同意。誤解だったらしいけど]
いや、俺が言ったんじゃなくて聞いた話ですよ。
[と、ミリィに。それがなかったら誤解することもきっとなかったのにとかぶつぶつ]
……いや、ほんと、真面目に大丈夫なんでっ。
[無駄に自信有りげな笑顔がなんだか怖いのだが。
普段の不摂生からすれば、説得力は皆無なのは明白]
って、あのねぇ。
……まぁ、仕方ないが。
[大げさなため息は、自身の運命にか、それとも、アーベルの表情を見たためか。
ともあれ、『絵筆』に関しての詳細は、滅多に外には出さない以上、わからないのも無理はないのだが]
タイミングもありましたしね。
[アーベルにはやはり苦笑を向けて]
…で。
盗まれるまでの間、一体何をしてらしたのですか。
兄さん。
[ぐるり。
傍観体制の兄に向けるのは、ちょっと種の違う笑顔。
と、普段彼に対してだけは使わない筈の敬語]
[オトフリートの言葉に、アーベルから視線を移して
こくり、頷く。]
はぁい。
お仕事場でも、みんなに言った方が良いのね?
[それから、エーリッヒに向うミハエルを
目を丸くして、見た。]
……ああ、そだね。
じじ様に知らせるとうるさそうだし、俺にこそっと教えてくれると助かるなぁ。
[幼馴染の言葉に乗るように、皆に告げる]
何事もなく、戻ってきてくれれば、俺はそれでいいから……うん。
[長はそれですむかというかも知れないが。
絵筆の『力』が無闇に使われるのでなければ、実質、実害は全くない。
それ故に、強く咎めるつもりはなかった]
え……なに、って?
[唐突に、弟から投げかけられた問いに、きょとり、瞬く。
口調が丁寧なのが、妙に怖いのは、多分、気のせいじゃない]
ああ、ええと。
採取に、行ってた。
わすれもの?
わかりましたー!
[にへらと笑って、受け取った本を見る。
ついぺらぺらと捲ってしまうのは、学生なので仕方ない。]
はへ?
[いきなり呼ばれて、少女は彼を見上げる。
言いかけてやめられて、きょとんとしたまま、撫でられた。]
はーい。
[気まずいのとか色々合って、オトフリートの意図に気づいたので返事したが]
ぁー。でも絵筆が盗まれたってことらしいですけど
[ため息をつくエーリッヒを見てやっぱり重要なのだろうとか思うが、重要さがいまいち実感もわかないとかで]
絵筆なんて他にもあるし、なんか他と違う特徴とか…ぁ、それに変わりのじゃ駄目なんすか?
「リディ、ちょっと、聞いたの?」
んー、なにを?
今本読んでるのー
「自分のじゃないでしょ、さっき言われてたやつでしょ。
で、絵筆が盗まれたんだって。」
絵筆?
絵筆なんてそこらにあるんじゃないの?
「違くて! 絵師様の!」
[そんなわけで情報収集はちょっと遅かった。]
僕の記憶が正しければ。
あの時、「逃げるな」と。
言った筈なんですが。
[妙に区切りつつ、変わらず笑顔で。
言外に「逃げたんだ?」と問いつつ]
採取に行って、肝心の絵筆盗まれてちゃ、元も子もないじゃないですか。
代わりというか、つがいの一本は、俺の手元に残ってる。
[アーベルの問いに、視線をそちらへ向けながら答える。
弟の視線から逃げてるなんて、そんなことはない。きっとない]
でも、一本だけじゃ、だめなんだよ。
二本はつがいの一対、揃っていないとならないんだ。
だよな…そうだよな。不可抗力だよな
[気まずい思いをしたりとか全部それのせいだーとか内心八つ当たりしつつも、やっぱりそういう噂はあまり関わらないほうがいいな。と昨日からの連なりで思った。…とはいえ今思うことは後々忘れることなど多々ありつつも、ミハエルのいつもとは違う雰囲気にきょとん]
[区切りながらの問いかけに、視線はどこかを彷徨ったまま]
ああ、まあ、そうだけど。
絵の具が尽きてたからなあ。
どうしても、青色はすぐになくなっちまうし、気がついた時に補充しとかないとならないから。
[この辺り、嘘は言っていない。
空への願い、祈りを込める絵であるが故に。
背景には、空の青を使う事が多かった]
……というか、普通、盗まれるとか思わんって。
正直、そんな事を考えるやつがいた事自体、驚きなんだから。
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