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[オトフリートと、エーリッヒのやりとりにやれやれと苦笑いを漏らし、パンに手を伸ばす。
そのまま囓るとカリッとした表面の歯触りが楽しい。
さらに口に運べば、フレッシュオイルとガーリックのほんのりとした香りが立ち上ってくる。
もう一つ手に取り、今度はチーズを絡めてみると、スープに浸った箇所がややしんなりとし、チーズもほどよく絡んで、そのまま食べるのとは別の触感で舌を楽しませる。]
そっから派生したっつーかなんつーか。
乳製品は一回全滅したんだけどな。
[ごちそうさま、と手を合わせて]
……まだダメなのあるけど、これでも頑張ったんだよ。
[ぼそ、と呟いて食器を片付けに。
水に触れて手が冷えたのか、暖炉の前に陣取って掌を火にかざしている]
そりゃまあ……そう、だけど。
……別に、何も食べないとは言ってないつもりなんだが。
[ぼそぼそと、苦しい反論。左手は相変わらず右肩に]
[ユリアンの言葉をきいて]
それは、偉いですね
[良い子だな、というようなほほえましいような顔で]
[それからエーリッヒを見て]
じゃあ、食べるの忘れたりしないようにしてくださいね?
[にっこり]
[ガラスボウルに浮かんでいるのは、蝋で象られた白い花。その先端に、短い芯。どうやら、アロマキャンドルの一種のようだ。其処には淡い色のビー玉が沈んでおり、窓から差し込む光を受けて煌めいた]
……窓、少し……開ける、ね。
寒いかも……しれない、けど………
[断りを入れてから窓を開け、容器を窓辺に置いて、キャンドルに火を燈す。仄かに甘い香りが漂い始めた。外の風は柔らかく吹いて、焔が消える事は無さそうだった]
[冷たい目で、エーリッヒを一睨み]
[ものすごくあきれたらしい]
[ユリアンは、やっぱり子ども扱いかもしれない]
[ほほえましそうだ]
[窓を開けるイレーネに、うなずいて]
綺麗ですね…
[すっかり空になった食器を前にし、手を合わせごちそうさまと挨拶をする。]
さて……と。
[食器を持って流しへと移り、調理に使った鍋やパンを片付け始めた*]
[冷たい目で睨まれてもなぁ、と思いつつ。
取りあえず、食べないと持たないのは察知しているが、大して食べられないのも承知している訳で。
適量、自分で用意しよう、と立ち上がった所に甘い香りが漂って目を細め]
…………。
[僅か、表情が和らいだ]
……………の、代わりに……ね。
[無意識の呟き。視線は、雪で真白に染められた窓の向こう。
“供える花の代わりに”。
そう聞こえたのは、傍にいた者くらいだろうか。]
[香りに微笑が浮かぶ]
[エーリッヒはやっぱり縛っておいたほうがよかっただろうかと考えつつ]
[一応、成長したんだろうしと放置決定]
[ああ、そうだ、ワインを供えようか]
[暖かな飲み物]
[スープ]
[少し考えて][*目を閉じる*]
[イレーネの声は微かな風に乗って。
けれど、明確には届かない]
[改めて墓標を彫ろうと思っていたんだった。
思い出しはしたけれど、何を彫るかも思い付かず。
今は誰かに聞く気もせず]
[黙って火が爆ぜるのを見ている]
[しばし、その場にたたずむものの、それでまた忘れたら違う意味で生命が危うい。
そんな考えが過ぎったのかなんなのか。
厨房で片づけ中のザムエルに失礼、と声をかけつつ、明らかに成人男性の食事量には不足している食事と、ついでにココアを用意して居間に戻り。
どことなく、ぼんやりとしながら、少しずつ食べ始める。
……器の中に、人参がやたらと多いのは多分、*気のせいじゃないはず*]
[不意に蘇るのは、昨晩 聴いた誰かの歌声。恐らくは、エルザだろうか。明るく可愛らしいマザーグース。
それなのに、彼女が思い出したのは、]
――Who killed Cock robin?
[そんな、詩の一節]
[誰も言い出しはしないが、もう“終わり”だなんて、きっと――無い。寧ろ、あれは始まりで]
[陽は次第に暮れ始め、雲の合間に覗く光は、やがて白を朱に染めて。そうして、ほの暗い夜がやって来るのだろう]
[Who killed――誰が、殺した]
[そう。誰かが殺したのだ]
[寒さの中、外に居た彼らを。
野生の狼たちを操って]
[恐らくは、この中の誰かが]
[ああ、アーベルは怯えてたのかな。
火に温められ、ぼんやりとした頭でそんなことを思う]
[視線が、暖炉の前の男へと向けられる]
……あなたは………どう、思う………?
[主語の無い、問いかけ]
[幼馴染に対して問わなかったのは、ブレーキが掛かったのか]
[彼は、しばらくぼんやりと火を見つめていたが、やがて夢から覚めたように立ち上がる]
着替えてくるね!
[元気に言って二階へ。テーブルの上の人参入りの何かは*見ていないったら見ていない*]
[誰かへと投げられた問い。
振り返れば視線は此方を向いていて、自分への問いと気付く]
…さぁ。
狼の統率の取れ具合からすると、誰かが、とは思うけどな。
[手を後ろにつき、少しだらけた格好。
本当にそんなことを考えているかも怪しいような]
………誰かが……、ね。
[目を伏せる。問題は、“誰が”]
[何時ものように、ランプを膝の上に乗せ、撫ぜて]
…解らない、以上……どうしようも……無い訳、だけど……
そもそも……何が、目的……なのやら…
[自衛団を壊滅させたいだけなら、もう、それは達されている筈。
なのに、ざわつくような、嫌な感覚は収まらない]
目的、か…
[食事目的というのも考えたけれど、それでは狼を使った理由がわからず。
快楽殺人というのも何か違うような気がして]
……でも、もう暫く、続きそうだよな。
[左胸。正確には其処よりもう少し左。
懐に持っているそれが、疼いているような気がした]
[交わされている会話。
それに、思うところはあれども、口にする事はなく、食器を片付けに厨房へ]
……。
[難しい面持ちで食器を片付けた後、居間に戻って窓辺に寄る。
広がる白。それを見つめる瞳は、いつになく厳しいもの]
………そう、だね……
[微かに、首を上下させて頷く]
[続くという事は、即ち、]
…………コエ…
[ランプの持ち手を、強く握る。
エーリッヒが動くのには気付いたろうが、視線を動かす事すらなく]
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