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〔ふぅ、と、紫煙を隣人に当てないようにそっと吐く〕
〔視線は相変わらずカウンターの向こうに当てたまま、黒猫を撫でている人へと囁くように言葉を投げる〕
…この前は、問い詰めてすまなかった。
そのせいで、嫌な事思い出させちまったみたいだな。
家族の死は辛いのは俺も良く知ってるから…。
〔かちり。また新たな煙草に火をつける〕
[不意に声をかけられ目を丸くしランディを見上げる。それからゆるりと横に首を振り]
ううん…気にしないで。
ノブの言う通り、いずれ言わなきゃならなかったことだろうから…。
人狼が出たとなれば、僕の力の説明をするために、明かさなきゃならないことだった。
…ランディも、家族を?
[俺も、その言葉に少し驚いたように。しかしすぐに、ああ、と言葉を繋げ]
言いたくなければ、言わなくても良いよ。
…そうだ。
この間はありがとう。
倒れた時に僕を運んでくれたんだってね。
[誰から聞いたとは言わず。頭を下げて礼を言って]
〔ディーノの詫びと、気遣いに、気にするなよと言わんばかりに苦笑する〕
…俺の連れ合いは、村の入り口の崖、あそこから、…転落して、死んだ。
死体の発見が遅かったせいだろうか。…獣による、傷も、あったらしい。
だが、そのあと獣に襲われて死んだ奴は居ない。
…だから…人狼とは関係ないだろう。
奴らは、一人喰らったくらいで満足しないんだろう?
〔前半は、ぽつり、ぽつりと呟くようだったが、後半は、確認するかのように力強く言い放つ〕
[明かされたランディの過去には黙って耳を傾け]
そう、だったんだ。
転落しただけじゃなく、獣にも…。
[可哀想に…、と視線を落とし小さく漏らして。後半の言葉には顔を上げると一つ頷く]
一人じゃ、留まらない。
奴らを村から駆逐しない限り、奴らは襲撃を繰り返す。
その腹を満たすために…。
被害を食い止める可能性は、無いことには無いけど…。
この村でそれに対抗出来る存在が居れば。
[かつての村に存在した人物のように。しかしこの村にも居ると言う確証は、無い]
人狼に対抗できる存在…か。
居るか居ないかもわからない存在にかけてみるよりは、もっと確実に奴らと対峙する方法ってのが…。
〔ここで、ごくりと唾を飲み込む。手のひらにはじっとりとした汗〕
…あるんだろう?
…僕には、その術も知識も無い。
あるのは、本質を見極める力だけ。
……でも僕がそう言っても、信じるかどうかは皆次第。
人狼と思しき者が見つかったら、手にかけるのが、確実ではある。
でも、その見つけるまでの間、奴らに対抗する術は…。
[分からない、と視線を落とす]
[ふらりと階段をおりて酒場へとでると、
カウンターで真剣に話し込む二人の姿が目に入ってきた。
出来るだけ気軽に話しかける。]
よぉ、お二人さん。
なにやら深刻そうだが、何の話をしてるんだ?
殺すか、殺されるか…か。やっぱりそれしか方法はないんだな。
〔また新たな煙草に火をつけようと取り出したところで、カルロスに声をかけられる〕
よぉ。色男。
せっかく村に来てもらったのに、災難だったな。
こんな騒ぎじゃ、休む事もままならんだろ。
あ、あぁ・・・。そうだよな。
いま真剣に話すことって言ったら、それぐらいしかねぇか・・・。
[人狼という単語に、
納得したという顔で頷いて近くの席に座る。]
まだ、いるかもしれないみたいだしな・・・。
残念だけど、ね。
前の村も、そうだった。
[ランディに小さく頷いて。話している間、食事は全く手に付かず。おそらくスープは冷め切ってしまっただろう。近くに座ったカルロスにも頷いて]
人狼がどれだけ紛れ込んでるのかは知らないけど、1匹ってことは無いと思う。
少なくても2匹は、居るかもしれない。
もしリディアがそうだって言うなら…あと1匹は、居るのかも。
[昨日命を散らした少女の名。ノブが言うには、彼女が人狼。自分にはそれが分からないから、仮定の話でしか出来ないが]
〔宿の主人にジンジャーエールを3つ頼み、カルロスに向かって問いかける〕
俺は村の外に殆ど出ねぇからわからんのだが、お前さんは人狼って奴の事、何か知ってるか?
[そうだよな・・・と、ディーノの言葉に頷くと、
カンディのほうに目を向ける。]
いや、流石に職業柄話は聞いたことあるが、
詳しいことは知らないな。
バケモノみたいに強いって話だが・・・。
〔ディーノが発した、リディアの名前を聞くと、重苦しい気持ちになる〕
俺は、ノブも、リディアも、よく知ってる。
リディアは今、村の外で暮らしているが、時々戻ってきては両親の畑仕事の手伝いをしてた。
村外れの丘でよく絵を描いていた。
人間を喰らうなんて想像もつかねぇ。
ノブも…あんな物言いしか出来ねぇ奴だが、嘘はつかねぇ。
あいつがはぐらかしたりもせず、言い切ったんなら、それは真実だ、とも…思う。
…こんなことばかりずっと考えてたら、キリがねぇ…。けどよ、それ狙ってんだよな。人狼ってやつは…。
〔よそ者なら人狼でも納得いくかのように聞こえる口ぶりになってしまったため、最後の一文はフォロー的に付け加えた〕
バケモノみたいに強い…か。
そんなバケモノみたいに強い奴に対抗できる奴…。
占い師が現れたんだ。この村にも居るかもしれねぇな。
〔不安を打ち消すように、あえて、希望を口にしてみる〕
[ランディが紡ぐ2人の普段の様子。確かに自分はよそ者で、彼らはおろかランディについてさえ詳しく知らない。だからなのだろう、彼らを疑うことについての抵抗がそこまで強くないのは。しかし村の者にとっては──]
…人狼は、人の油断を突いて来るからね。
よそ者が真っ先に疑われるのは仕方が無いと思うよ。
僕も、そうだった。
[それ以上は言わず、小さく息を吐いた]
若いな。レッグ。
こんなところで昼過ぎまで寝られるなんざ、いつまでも出来ることじゃねぇよ。
〔ちょっぴり羨ましいと思いつつ苦笑。宿屋の主人からジョッキを3つ受け取ると、ディーノ、カルロス、そしてレッグに振舞った〕
〔自分の分の飲み物を追加する〕
…どーも寝てたっぽい…。
[袖の跡が付いてしまっているほっぺをくしくしさすりつつ、まだ寝ぼけているようで。]
ぁー、ありがとオッサン。
[ジョッキを受け取って、まだぼんやりしている。]
あぁ、人狼とやりあえるって奴も確かにいるしな。
俺の師匠がそうだった。
いまはどーしてんのか知らないが、
俺なんか、足元にも及ばないほどの腕だったからな。
そこまで強い奴が、ここ村にいる・・・か。
そうなりゃ、もう血を見なくても済むかもしれないな・・・。
[同じく、希望を込めて答える。
自分の力では、そこまでのことは不可能だろうから・・・。]
まぁ、その時は俺も出来る限りの事をするけどな。
[ランディからジョッキを受け取ると、
軽い笑顔でそう付け足した]
〔ディーノの言葉に罪悪感を覚える〕
わ、悪りぃ!
そんなつもりじゃなかったんだが…。
〔膝上の黒猫が、にゃぅ、と鳴いた〕
リエータにも怒られちまったみてぇだな…。
親父は頭が固くなっちまって、いけねぇやな。
〔黒猫の眉間をそっと撫でてやる〕
[ランディからのジョッキを礼を言って受け取り、一口つける。飲み慣れないその味に少し苦戦しつつ]
そんなところで寝てたら風邪引いちゃうよ。
気をつけないと。
[グレッグの様子に小さく笑って]
カルロスのお師匠さんがそうだったんだ。
腕っ節強そうだもんね、カルロス。
あ、いや。
村の皆が今まで一緒に暮らしてきた仲間を疑いたくない気持ちは分かるよ。
僕ももし村の一員だったらそうだったと思うから…。
ランディが謝ることはないよ。
[ふるふると首を横に振って]
んー?
まぁ一応傭兵だしな。
師匠には散々しごかれたぜ・・・。
[ディーノに苦笑混じりで返す]
まぁ何年も昔の話なんだけどな。
遠くの方で仕事が出来たとかで別れてそれっきりだし。
少しでも師匠に近づこうと旅をして鍛えてたんだが、
まだまだ全然届いてねぇんだよな〜。
[なのに人狼とは参ったぜ、と冗談交じりに肩をすくめた]
―宿屋2階・昼―
ん…。
[目を開く]
[窓から差し込む太陽は]
[眩しいほどで]
あれ?
こんな時間……
……店っ!!
[慌てて部屋から飛び出し]
[階段を駆け下りる]
[最後の一歩が]
わっ!!!
[宙に浮いた]
[カルロスの言葉には、そうだったね、とクスリと笑みを漏らし]
ねぇ、そのお師匠さんってどんな人だったの?
もしかしたらどこかで会ってるかも。
僕も色々渡り歩いたからね。
[そう訊ねたところで派手な音が階段から聞こえた]
わっ!
何!?
[驚いて振り向くと、階段の下でしゃがみ込んでいるフランの姿]
…フラン?
大丈夫?
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