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6人目、雷撃王 クインジー がやってきました。
[霧の彼方より、一閃の雷光]
ほう、何やら懐かしい気配がするな。
[隻眼で森の奥を見透かす巨躯は、常とは違う黒皮の上下…皮鎧と言えばそう見えなくもないが、機鋼の力及んだ先の人間界で言うところのライダースーツと呼ぶ方がしっくりと来るだろう。その出で立ちに相応しく、彼が跨がるのは以前の雷獣ではなく、鉄の馬]
さて、まずは、館の主殿にご挨拶せねばな。
[その身に溢れる雷撃の力が、鉄の馬に直接に動力を流し込む。機鋼界産まれの二つの車輪を持つ馬は、獣の咆哮に似た嘶きをあげ、*霧を裂くように走り出した*]
7人目、翠樹王 ウェンディ がやってきました。
[私はこの『貴婦人の館』を訪れ、まずは旧知であるマーガレットと再会の挨拶を交わした。
私が最後に彼女と会ったのは界の狭間でのとある事件から暫く後、私の王位継承の折のことだったと思う。つまり、もう随分と彼女に会っていなかったものだから、私は彼女からこのティーパーティーの招待状が届いたとき「マーガレット」が誰かはすぐに思い出すことが出来なかった。
いざ思い出してみれば彼女とはつい昨日にでも会ったような気がしてくるのだが、時空の働きなどは私の与り知るところでは無いので実際のところ、どれだけ振りに彼女に会ったのかがよく分からなくとも私には全く問題は無かった。]
[そして、どうやら館の周辺には時空の歪みやら何やらが発生していたようだが、それもやはり私の領分ではないので私は気にも留めなかったし、もし気付いたところでそれはネリーや虚の落し子あたりの管轄だからやはり私は何もしなかっただろう。
そんな事より重大な問題に私は直面していた。]
ハーヴェイのいれたお茶が飲み放題だって言うから急いで来たのに……。
[(いずれ知る事だが)私の興味の外で発生していた時空の歪みとやらの影響で身の丈が子供のそれまで縮んでしまっていた私は、館の中の食堂のような場所でテーブルについていた。身の丈の所為で椅子から床に届かない足を、思わずばたばたと動かしてしまう。
さてマーガレットが言うには、影輝王ことハーヴェイは何やら様々の支度に追われているようだ。つまり私が到着するのが少し速すぎたということだろう。]
……それに、お菓子はカミーラのが良い。
マーガレットはご飯。
――…パーティ?
[不思議そうに呟いて、銀狼は招待状を眺めた。
全員を集めようと思っているのだろうか。
しばらく悩んでいたセシリアは、やがて起き上がり、人の姿に変ずる。
あの時と寸分違わぬ姿に。]
行きます。
どうしますか?
[小屋へと問いかけ、そして少しの間を経た後、セシリアはその空間にたどり着いた。]
8人目、影精 ラッセル がやってきました。
はい、向こうの部屋ですね。ありがとうございます。
[相手からの返答に軽く頭を下げて。
館の中を進む影が一つ]
失礼します。
王、じゃなかった、ハーヴェイ様。
こちらをお届けするようにと言付かってき…。
[ノックしようにも扉の無いその部屋の前。
一声掛けて中へと入り。
……絶句]
…ええと。
ここは店じゃない、ですよね?
[そう、我らが影輝の精霊王は。
何とも板に付いたエプロン姿で。
フライパンとフライ返しを握ったまま振り返られたのだから]
お茶会に来られてると聞いたのに。
何で王が裏方やってるんですかー!
[思わずツッコミ、ガクリと肩を落とす。
人間界にいる王の姿を知るが故、他の者よりは衝撃も少ないはずだが。それでも涙が毀れそうになった]
お久しぶりです、マーガレット。
変わりないようで、なによりです。
[軽く挨拶をかわし、周りを見る。
どうやら酷く面倒なことになっているようだ。
しかし関わるつもりもなく、歩を進め――聞こえたわがままにため息を吐いた。]
いらしていたんですね、翠樹の。
[しかしその姿に、それ以上の言葉は*重ねない*]
9人目、旅人 ハンス がやってきました。
はて、さて。
[霧の最中に立ち尽くす男がいた。
丸っこい小さな眼をぎょろつかせど、乳白色の彼方は霞んで見えない。常人には、森の深きに到達することなど、到底出来ぬと思われる程だ。
顎よりやや下に拳を置き案げな仕草をした後、男は、下から掬いあげるように緩やかに手を動かした。
起こる風、渦巻く霧。数瞬で白の海は戻る。
何かを解したかのように目を瞬かせ、口元に笑みを張り付けると、土を踏みしめ進んでいく]
もし、そこの御二方。
すみませんが、道に迷ってしまったのです。
しがない旅人、目的地などはありませんが、
御一緒させては頂けないでしょうか。
――… いつのまに小さくなったんですか。
そうしていると、本当に子供のようですね。
[言いながら、嗚呼この翠樹王はもともとこうであったと思い出す。]
雷撃王はいないのですか?
マーガレットがお茶飲み放題だって言ってたから急いで来たの。だから分からないけど。
皆のところにお手紙が行ってるならクインジーもきっと来るわ。
[そう言う間にも私の腹は声高に空腹を主張した。
マーガレットにハーヴェイの居場所を聞くと台所だと言うので、何だか嫌そうにも見えるセシリアと連れ立って挨拶へ行く事にした。
私は、椅子の下から藤編みの籠を取り出して持っていった。]
ね。久しぶりねセシリア。
おみやげもあるの。
[私は、何だか楽しい気分になってきて、藤編みの籠を掲げて見せた。
籠の中には若草色の風呂敷包みが入れてあったが、風呂敷にはそこはかとなく生々しい以下略な色が滲んでいた。*]
わざわざ招待状を出すということは、皆を呼んだのだと思っていましたが。
そうですか、別に来たのですね。
[少女姿の王の腹の音は、かなり大きく響いた。
そんなに空腹だったのかと思いながら、マーガレットと話す様子を眺める。
挨拶はしたいが、火も大分慣れてきたが、どうにも気が乗らない。]
お土産、ですか?
[取り出された籠の中身を、覗き込む。]
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