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─翌朝 / 集会場・広間─
[夜が明けて、最初に向かったのは、広間。
ノブを最後に見たのは、その場所だったから]
……ん?
[広間に近づくにつれ、感じる違和感──血の臭い。
確かに、広間は連日流血の場となってはいるが。
昨夜のそれが残っているにしては、濃いような気がして──]
……まさか……?
[誰かが、と。零れる呟き。自然、足は速まる。
広間の戸を開けて駆け込み、最初に目に入ったのは、ひび割れたモニター。
それから]
……ノブ……くん?
[モニターの下。一見すると、座り込んでいるようにも見える、影。
それが彼と気づいたのは、近くに朱を帯びて砕けた眼鏡が落ちていたから]
…………。
[ゆっくりと近づく。血の臭いが濃い。その源は、青年の額に穿たれた穴。
それを穿ったものは、モニターに突き刺さり、それを沈黙させていた]
……額を一撃……ですか。
[冷静な呟きと共に、突き刺さる銃弾を見る。
銃器の知識は乏しいが、連日目の当たりにしているせいか、思う所は──なくも、ない]
……父上。
正しい選択をできなかったら……すみません。
[不意に零れた呟きは、いささか唐突なもの。
けれど、瞳に宿る光は真摯。
しばし、その場に佇んだ後、近くに落ちていた毛布をノブの亡骸に掛けて瞑目する。
誰かがやって来たなら、冷静な様子で、見たままの状況を説明するだろう**]
─集会場・広間─
…あっちもだけどな。
[マイルズの発言>>13が聞こえると低く呟いた。
死にたがっているとまでは見えないが、何かが足りないようなそんな気分になって]
お願いだからさ。
司書さんが…原因だってんじゃないなら、そんな今にも死にそうな顔しないでくれよ。
[絶望に彩られた顔を見て、苦く呟くように言う。
サイキッカーとは何故だか言えず、その部分は言葉を濁した]
俺だってできるなら犠牲は減らしたい。
…死ぬ奴は少ない方がいいに、決まってんだから…。
[直接の死因ではなくとも、殺そうとして死んだ作家。
恐怖が引き金となって殺した友人。
その顔が浮かんできて強く目を*瞑った*]
─集会場・広間→治療室─
本当ですよ…!
演奏会、皆様楽しみにしていらっしゃってたのに…。
[この傷の深さでは、一週間で完治はしないかもしれない。
ほんの少しだけ怒ってから、だが主の顔をみればなるべく急いで治療室へと向かおうと広間を出た。
出る間際一瞬だけ振り返り、死んだ者、彼女を運ぼうとする人達、主を撃った人を確認するように見。
治療室にたどり着けば、昨日と同じように肩口を消毒し、少し強めに布で巻いた。]
縫うほどではないと思いますが…熱が出るかもしれませんね。
化膿止めも飲んでおいて下さいませ。
その前に何か口にしていただかないといけませんが。
[食欲はあまりないだろうが、薬だけ飲むのは逆効果だ。
主をそこに残したまま一度広間に戻る。そこはまだ混迷していただろうか。
居る人らには何も告げず何も見ず、隅のほうに置かれっぱなしの袋を漁りパンとパックの飲料を見つけるとそれを手にして再び戻った。
一口だけでも食べるように促し、終えれば水と薬を渡してそれも飲ませた。]
―集会場・治療室→広間―
[そうして一通り治療の世話を終えれば、主が使っている部屋まで送り届ける。]
今日はゆっくりお休み下さいませね…。
私は……ジョエルさんが居る部屋にいますので、なにかあったらそこに。
[自身は個室は取っておらず。
主の目印に何処に控えようか迷って、結局見分けのつきやすいだろうそこにした。けれど部屋には戻る事はなく。
暫く外に控え立ったままで、主の音を含め周囲の音を探る。
物音が立たなくなってきた頃合を見計らい、広間へと向かった。
広間には、主を二度続けて撃った人が居た。]
[運んだアヤメの元へはついて行かなかったのか、それとも戻ってきたのか。
暫くの囁きの後
パンッという音と、人が崩れ落ちる音がした。]
―集会場・個室―
[広間を出てジョエルが眠る部屋へと向かうと、銃を手にしたまま空いた椅子に腰掛ける。
すこし疲れた様子でぎしりと深く腰掛けて、手にした銃を自らの額に当てた。
目を閉じ、そのまま引き金を引こうと。
したが指は動かない。
頭の中で『Verbot』の文字が走り、アラートが鳴っていた。]
[目を開け銃を降ろせば、アラート音は消えてゆく。
やっぱりというような表情で、微かに息を付いた。]
………ズューネには死ぬ自由もない。
死ねないのなら、生きるしかない。
[手にした銃はホルターにしまい、再び目を閉じ身体を休めた。]
─昨夜/集会場・個室─
[やることがなくなると、兄の持ち物から銃の取り扱い説明書を引っ張り出して読んだ。
兄がやっていたのを思い出しながら、説明書を確認しいしい整備らしきことをやってみる。
いつもと勝手の違う作業は楽ではなかった]
あ、ふ。
[欠伸が出る。
ずっと警戒し続けることなんて出来ないから、と眼を閉じた。
考えた以上に深い眠りとなった]
─翌朝/集会場・広間─
[目が覚めても暫くは動かなかった。
誰かがみればぼんやりとしているようにも、考え事をしているようにも見えたことだろう。
ようやく動き出したのは腹から小さな音が鳴ってからだった]
あー。そういや昨日もマトモに食ってないもんな。
こんな時でも腹って減るんだな…。
[持ち込まれた食料については知らず、ただ書置きのようなものを残すなら広間だろうと思って覗いた。
食事の前に、することが増えてしまった]
…どうしたんだ、モニター。
[頭まで覆うように掛けられた毛布は人の形に膨らんでいる。
理解はできてもつい逃げるような発言が先になった]
─翌朝/集会場・広間─
……そうか。
[伶人の説明を一通り聞き、毛布は捲らずモニターへと近寄った]
ここまでの威力。
扱うにも楽な銃じゃないはずだ。
[虹彩が縦に切れた瞳でじっと睨む。
同じ弾頭かまでは分からないが、兄に残されていたのもまた高威力な銃特有の弾痕だった]
……マイルズ。
お前の銃、見せてくれ。
[配給品以外も調達できる状況では確証とはなり得ない。
それでも確認するために伶人を見て*言った*]
─回想・昨夜 集会場・広間─
─…そうね、何、やってるのかしらね…
[マイルズを撃った銃をみて、レッグからエネルギー切れを指摘されると、弱々しげに微笑み。
アヤメを抱きかかえたまま動けない自分に声をかけてくれたのも、レッグだった。]
レッグ、くん。
…ありがとう、─…お願いして良い?
[彼がアヤメを撃ったことは知らないが、躊躇いをみせるその表情に罪悪感を感じながらも手伝いを頼み。
空いている個室のベッドまで運ぼうと。]
─回想・昨夜 集会場・広間─
……そう、ね…ダメね、私。
皆、同じよね…。死んで欲しく、ないわよね…。
[無機質な音声が伝える無慈悲な事実に青褪めれば、レッグから苦い呟きが向けられて。
その言葉に、目を伏せて涙を堪え、頷いた。
もう誰も殺したくなくて、わざとエネルギーを補充しなかった自分を責められているような、そんな気がして。]
―集会場・個室―
[目を開けると時はどれくらい過ぎていたか。
視界にまず同僚の死体が目に入り、片方の目がゆっくり瞬く。
空調の風にでも流されたのか、同僚の前髪はすこし乱れていた。それを手を触れずに直した。
触れるのは、少し怖かった。]
…死体なんて、見慣れたはずなのにね。
[誰かの死を特別に悼むのは初めてかしら、などとぼんやり思っていた。
それから、広間へは行かずに外へ出る。]
―集会場外―
[死が満ちた静かな世界。
死体が作るオブジェは光と影をつくり地に佇み、鉄錆びと甘い肉の臭いが漂う静かな世界。
その光景を懐かしいと思いながら見ていた。
消された過去の大半は、PSIと一緒に戻ってきて。
自分が何をして罪人となったのか、今は大体思い出した。]
…この世の悪魔に鉄槌を。
我らは正義の剣となりて、
御エゥアハの名の元に、
築きあげよ、聖なる道を。大義の為の礎は、
やがて楽園への道とならん…
[歌うように呟けば、口元には普段からは似つかわしくない皮肉な笑みが浮かぶ。
そうやって作り上げたものは、聖なる道などでは無かった。
それに気付いたのはあまりに遅すぎたけれど。]
―回想・昨夜 集会場・広間―
[レッグともしも手伝ってくれるならノブの手も借りてアヤメをベッドまで運び。
二人が広間へ戻るなら自分がアヤメの元に残り朝までついて。
ノブが残るというなら二人のみにしてあげようと退室するが、広間に戻る気になれず、廊下の途中で座り込むとそのまま*眠りこけた*]
―回想・了―
……今更、殺した相手が一人二人増えようが同じこと。私の罪は変わらない。
…私が、私として生きられる為なら……
あは……はは…
あははははは…は、っ。
[冷たく掠れた笑いを浮かべかけて、片手で顔を覆った。]
…………っ。
…呑まれないように、しないと。
[力を持つものは力に魅入られ、驕りやすく溺れやすい。サイキッカーに犯罪者が多いのは、本能みたいな物だと思っていた。]
[落ち着きを取り戻したら、いつも通りに広間に集まり。そこにある新たな死体に悼むように目を*伏せるだろう*]
─回想・昨夜─
……そう、ですね。
[演奏会の話に、思い出したのは幾つかのメール。
ついこの間の、日常の様子。
この事件がどのような決着を迎えたとしても──二度と、取り戻す事は叶わない。あらゆる意味で。
医療室につくと、大人しく治療を受け。
渡された食料を少しばかり口にして、薬を飲んだ]
……ええ、わかりました。
[ジョエルのいる部屋に、との言葉に頷き、個室に入る。
先に言われた言葉の通り、傷が発熱しているのか、妙に熱いような心地がした。
起きているのが苦しく、横になると間もなく眠りに落ち──そして、翌朝。
広間で、探していた青年の、物言わぬ姿を見出す事となる]
─集会場・広間─
[ひび割れたモニターの前、佇む時間はいかほどか。
呼びかける声に、ゆっくりとそちらを振り返る]
……ああ、レッグくん。
見ての通り……ですよ。
何者か……恐らくは、サイキッカーなのでしょうけれど。
ノブくんを撃ち抜いた弾丸が、そのまま背後のモニターに突き刺さって、この有様……のようです。
[問いに答える声は淡々と。
冷静な響きは、冷たさも帯びて]
銃器には、明るくはないのですが。
相当に反動なども大きいかと思われます。
[威力の話には、頷いて同意した後、自身の銃──扱い易さに重点を置いた、自動拳銃を見せた。
請われるならば、無造作に手渡しもして]
もっとも、これだけでは物証足り得ないかも知れませんが。
……ある意味、彼を殺す理由は、ありますからね、私。
[殺されていたのは、自身を二度狙った相手。
他者からすれば、殺害動機としては十分なものと見えるだろう、と。
そんな考えから何気なく口にしたその言葉が妙に引っかかるような心地がした]
……理由。
殺す、理由……?
[呟いて、しばし、目を伏せる。
自分を狙われた事が動機となりうるなら。
同じものを動機とし得る者がいるのでは、と。
それは、最初にここの状況を把握した時に思い至った事にも繋がって]
…………。
[軽く、唇を噛んだ**]
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