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え、あ、あの。
なにか、可笑しなことでも…
[一瞬冷静になりかけた、らしい。
しかし剣先を目の前にして、きょとんとした顔で数秒経過]
きゃああぁぁあッ!?
や、やっぱり貴方も一味の仲間なのね!?
この子は渡さないんだから!
[いまいち話は聞いていなかったようです。
ポケットから出した銀灰色の球体を、両手で包んで庇うように]
何だろうね?私も知らない。
ただ、ここに居ると…そうだね、血が騒ぐ、かな。
[相変わらずの笑顔。
少女の言葉と警戒する動きに頷くでもなく]
勇者、とか言ってるのが聞こえたから。
少しは強いのかな、って思ってさ。
[剣を持ち上げて刀身に残る手を添えて。
その瞬間に表情が変わる。
凍るような、冷たい笑みに]
しばらくやってないからこの子も機嫌が悪いんだ。
[手の内の剣を軽く撫でる]
あ……危ない人だーっ!?
[勢いで引き抜いた剣を正眼に構える。
動悸も息切れも、剣越しに相手を見据えれば鎮まるような気がして]
勇者とかいうのは、勝手に押しつけられただけっすから。
あたしはふつーっすよ、ふつー。
[しかし、『ゆうしゃのつるぎ』と銘打たれたそれの輝きは、確かな切れ味を誇るようでもあり]
それで? あたしと戦ったらそいつの御機嫌とあんたの性格が治るっすか?
[笑みの冷たさに耐えるよう、向ける視線は厳しいもの。
剣を握る右手がぎりと鳴った]
ええ、貴女の百面相が。
[面と向って言いやがりました]
どなたと勘違いされているかは存じませんが、貴女から何かを奪うつもりはありません。
どちらかと言えば、それよりも貴女の方が興味がありますからね。
[庇っているものを指差しつつ言い放つ]
貴女の趣味や好み、普段は何をしているのか。
そして──。
どんな戦い方をしてくれるのか、とね!
[言いながら、繰り出すのは牽制の突き]
いやあぁッ!?
[ぎりぎりで躱したのは奇跡なのか、相手が手を抜いてくれたのか。
ちょっと切れた白衣を見て涙目になりつつ、後退りして距離を空ける。
離れたところでジョエルに向かってびしっと指を突き付けて]
そ、そっちがその気なら仕方ないわ!
行きなさい、球状生命模倣体自在変形型(試作03号)、略してきゅーたん!
[やたら長い名称を叫ぶようにしながら、銀灰色の球体を思いっきり投げ付けた。
顔に向かって]
ありがとう。最高のほめ言葉だ。
[危ない人、に口元だけで笑う。もちろん目は笑っていない。
話を聞きながら少女の顔と剣を交互に見比べる]
その割りにいいモノ持ってる気がするけど?
そうだな、直るかもしれないし、直らないかもしれない。
直したいなら相手をしてくれるよね?
[口調は軽く。
剣を撫でた手にいつの間にか小さな傷。
そこから流れる緋を剣に刻まれた紋章に押し付ける]
『古の盟約により我は命ずる。今こそ目覚めよ我が封印の鍵』
[言い終えると剣は白く光る。周りの空気を凍りつかせるように]
さあ、はじめようか?
[牽制であるため当てるつもりは勿論無く。距離が開いたことにエストックを構え直した]
ふむ、自在に変形する球形の生命体、ですか?
模倣と言うことは……っとと。
[顔面に向かって来たそれに対し、反射的に右側へと飛び退る。打ち返しても良かったが、エストックの形状からしてそれは向かない]
と言うことはアレが相手になる、と言うことでしょうか。
……やる気が削げますが、致し方ありません。
[はぁ、と溜息をつくと通り過ぎた球形へと向き直った]
ほ、褒めてないっす!
[ぶるぶると首を振る。意味のない否定だけれど肯定だけはしたくなかった]
だ、だからなんで武器で人を判断するっすか……どいつもこいつも……
[笑っていない目元に射竦められそうになりながら、それでも逃げ出すことはせず]
――でも、あんたを放置してはいけないと、あたしの血が叫んでいるっす!
[呪のような言葉と共に、白い光を帯びる剣]
うにゅ……いくっすよ!
[その冷気の中心へ向けて、少女は剣を振り上げ駆け出した]
[相手のやる気が削がれたなんて、必死な女は知らない。
避けられた球体は勢いよく跳んで行く。
そして地面に落ちるかと思われた瞬間、]
UNFOLDING TYPE-W!
[女が叫ぶと同時、球体が膨張して形を変える。
色は銀灰色のまま、ちょうど成人サイズの狼の姿に。
狼は四つ足で着地し、その勢いのままジョエルに向け跳躍した]
それは残念。
[少しも残念そうじゃない口調で零して]
武器は持ち主を選ぶからね。相応しくない者の手には残らない。
ねぇ、「氷閃華」?
[口にしたのは剣の名前]
勇者の血が、って言うやつかな。素敵だね。
それじゃ……
[駆け寄る少女に向き直り剣を構える]
暴れさせてもらおうか!
[その声に先程までの面影はなく。
好戦的な笑みを浮かべて、向かってくる少女を左から横薙ぎに切り払おうと]
ほぅ、なるほど。
[女性の声と同時に変形する球体。それは獰猛にして誇り高き狼の姿を取る]
模倣とはこう言うことですか。
さて、獣型ならば急所は心臓と言うのが定石ですが…果たして通用するのですかね。
[自分の常識が通じるとは限らない。けれど知識はそれしか持ち得ぬため、こちらへと跳躍してくる狼に対しエストックの先を向ける。まずは動きを封じるために己に到達せんとする前足に対しエストックを横に薙ぎ払った]
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