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[背筋を伸ばして歩み、視線を遠くへと投げる。
とは言えど、祭り近くの今は人波はいつにも増しているし、音を拾うと言っても限度があった。
大通りを真っ直ぐに抜けて、広場へと向かっていく]
─広場─
[ライくんを探して少し早足で広場までやってきたわけだが]
(きょろきょろ)……あれぇ、ライくん居ないのかなぁ
[そう呟きつつ、自分より背の高い(とはいえ並の男性程度なのだが)のライヒアルトを探す
ちなみに、その頭の上にアーニャが乗ってきょろきょろしているので、こっちの居場所は目立ちまくり]
―広場―
やっぱり、来ていないか。
[もしかしたらと思って戻ってみたはいいが、やはり姿はなく。
歩き詰めで疲れたのか、軽く息を吐いて]
…あれ。
[ふと露店の方を見る。
先程別れたばかりの高身長な女性の姿が目に入る。
しかも何か無茶な注文が耳に入った気がする]
……どっから聞いたんだよ、それ。
[ベッティから投げられた言葉は予想外で、思わず眉が寄った。
個人的には、強制参加という時点でかなり不名誉な話だったりするのだが]
[さっきの今で目を逸らしかけるが。
ふと動きを止めて瞬く]
この香りは…?
[食べ物のものとも違う、花にしては少し強い香り。
元を探すように首を巡らした]
[納得したように頷く]
あ、そっか、悩み事があったの!わかった!
じゃあ、この広い街で3回会った縁があるんだから、
このローザが相談相手になってあげ…なんか出たー
[吐き出された骨を目で追う]
あ、失礼だったの!ごめんね!なんかこう…
御飯の食べ方とか、大きさとか、元気そのものだし!
元気なのはいいことってとらえてもらえれ、ば…
…うひゃーダイタン…
[胸を掴む様子に、同性なのにどぎまぎとしたが、続く言葉には首をかしげた]
んー?全然知らない。というかそんな事件あったんだ!
知らなかったの!
……毎年思うけれど。
どこにこれだけの人が収まっているのかしら。
[喧騒の中でぽつり呟く。
人、人、人。
幾ら経っても、慣れる気はしなかった。
音を選別するのだけは上手くなったのだが]
[ひとまずはと、迷わぬ足取りで広場の中央――噴水へと向かう。
流石に、人探しをしているからと言って、レナーテのように中央で叫ぶつもりはなかったが]
―広場・露店―
そんなことはないさ。
[満面の笑みで言われればそれ以上を返しようはなく]
もう歌う機会もそうないからな。
趣味でしかないし。
[眉を寄せるアーベルに笑いながら]
[こちらも軽く返してみせた]
─広場・噴水傍─
[手巻きタバコをふかす間]
[隻眸は周囲を見回す]
[丁度そこは露店の見える位置]
[見知った顔が集まるのが見えて居た]
……実行犯は二人。
これだけの人数が集まる街でその二人を探すのは、砂浜に落とした胡麻を探すようなもんだよな。
時間はかかるが消去法で探すつもりで居た方が良いのかもしれん。
[それならば身近な者の潔白から行った方が良いだろうか、と]
[思考を巡らせながら辺りを見回し続けた]
へぇ、そうなんだ。
[ベッティの言葉に驚いたようにアーベルを見てから
隣の露店から、串に刺した甘い飴をコーティングした果実を買い、かりと齧る。]
まぁ、爺っちゃに聞くのと噂とはまた違うしなぁ。
ん、ありがと。
[言いながら、ハンスを見上げて]
おじさんも歌、うたうのか?
…………あっ、居た!
[ライヒアルトの後姿を捕捉
何やら露店の方へと向かっている様子]
どうしたんだろ、ライくんあんまり買い食いとかしないはずなんだけど
[そう呟きつつ、人の間をするすると抜けてたどり着いてみると]
…………うわぁ
[目の前の豚の丸焼きにドン引きした]
悩みっつうかなんつーか……。
[ローザの言葉に、少しだけ考え込みながら]
今言った連続失踪事件の犯人を捕まえるっつう仕事があるんだけど、どうやって見つけたもんか、いまいちわかんねえってことなんだよな。
頭使うのはどうも得意じゃなくてよ。
[苦笑しながら、豚足ガジガジ。
事件を知らないというローザには]
んー、そうか。
あまり広まってねえのかなぁ。
[と、守秘義務とかそういうのを全く考えずに、頭ぽりぽり]
まあ、何か情報掴んだら教えてくれよな。
あ。ちなみにアタイの名前はレナーテ。
フーゴーとかいうおっさんの宿屋に出入りしてるからよ。
えーっ、もったいないですよ、師匠ー。せっかく上手なのに。
……お客さんを呼び寄せるのに使えないかしら。
[結局は発想がそこに行き着く]
あ、うん。昨日、閉店間際に薬を買ってくれた髪が長くてふわふわの女の人ー。
またお店に遊びに来てくれるって言ってたよー。
[身振り手振りを交えて、ローザの説明を]
[噴水の近くに目的の人物はいなかったが、代わりに目に入ったのは他よりも背の高い男。先に思い浮かべた女性とどっちが高いか、などと考えた。
辺りを見回す視線が自身を捉えたような気がして、ぱち、と瞬く]
……ええと、こんにちは?
[先の出会いを考えれば、なんとなく居心地悪く。
殆ど呟くように挨拶の言葉を発した]
[アーベルの問いには腰に手を当て胸を張って偉そうに]
ふふーん。アタシの情報網を甘く見ないことね。
なあんて。エルさんから聞いたよ。
……もしかして今、サボリ中?
[じーっとアーベルの蒼を見つめた]
─広場・露店近辺─
[歌う機会がない、という言葉。
彼が楽団を辞めた理由は、良くは知らないから、特に追求するでなく]
んでも、そのくらいで丁度いいんじゃない?
……やりたい時に、できるんだし。
[何気ない言葉。それには、額面通りでない意味も、ほんの少しだけ込められて]
そんなに驚く事、ないだろーが。
団長命令なんだよ。
[驚くカヤには、少しだけむっとしたように。
本意でない、というのは、態度に表れて]
─広場・噴水傍─
[隻眸を巡らす合間に視界に入った姿]
[髪を結ったままではあるが、その顔に見覚えはある]
よぉ、美人さん。
ハンスでもお探しかい?
[返す挨拶は軽いもの]
[何かを探す素振りを見せる相手に、以前見たことを思い出し訊ねてみた]
[そこで弟ではなく行商人の名を挙げる辺り、面白がっているのが分かることだろう]
[もちろん口元には笑みが浮かぶ]
[予測で動いた結果、追い越して居た様で後ろから掛けられる声にギギギと首を動かして]
アー、らいクン。ソッチニイタンダー
[アーニャっぽい口調でそういうと、逃げるようにライヒアルトの元へ]
……姉さんから、か。
[考えてみれば、自分から話したのでなければ自ずと情報の出所は限られるのだが]
……サボり、じゃねぇよ。
休憩中。
[実際の所は余り変わらないのだが。
ともあれ、投げかけられた疑問には、短くこう返した]
だってサボリ魔じゃん。
[アーベルがムッとした様子にはにんまり笑う。仕返しの心算。
ベッティの言葉にも笑顔を向けて]
相変わらずだなぁ、商売人。
孤児院居たころからその前向きってかひたむきってか変わってねぇな。
[ちょっと懐かしさを思い出し、目を細めた。]
[呼び掛けながら、彼自身も人形師のいるほうへと近付く。
そう高くない身長の彼は人に紛れて陰になり、離れた場所の友人には気付かない]
やあ。
丁度よかっ…どうかした?
[何やらぎこちない口調に首を傾げつつ、頭上にいる人形に対しても軽く手を上げて挨拶。
豚の丸焼きなどは視界に入れないようにしている]
エリザベート=クラヴィーアです。
[噴水のすぐ傍まで歩み寄り、男から数歩離れた距離を取る。
美人と呼ばれたことに対して謙遜するでもなく、眉を下げて共に名乗り]
ハンス?
彼を探すなら、もう少しお洒落をしているかしら。
……お知り合いの方ですか?
[本気とは取り難い軽口を叩き、問いを返した]
[真面目に聞いてます!という顔でふんふんと頷く]
すごいお仕事だね!そんな仕事するのかー…。
こんなに人が沢山いるのに犯人かぁ…。
…。明らかに犯人ですって顔してるわけないもんねぇ…。
[なんとなく、この間タバコを吸っていた隻眼の男の顔を思い出した。仮にあの人が犯人だったら、とっくに捕まってそうなきがする。いや、捕まらないようにここに居ないかも?]
あ、でも私来たばっかりだから知らないのかも?
ほんとは皆知ってるのに言わないだけかも?
知らなくてごめんね!
[名乗られれば頷く。]
うん、情報があったら教えるー。
なんかあったら逃げ出して、そんで全部喋っちゃう!
よろしくね、レナーテ!
…おじさんのフーゴーかぁー。
あれ、私が居る宿屋さんの名前ってなんだったっけ。
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