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うん、全然違っててびっくりしたよ。
まあ遊ぶとこもそうないけどね、向こうじゃ。
[のほほんと返しながら、差し出された皿に礼を言って受け取る。
纏わりつく違和感は黙殺した。]
だって、なんか楽しかったんだもん。
そういえば、森で迷子になって後で怒られた気もするなぁ。
[少し恥ずかしそうに俯きながら、適当な席についた。]
[イレーネが来たのは10年も前だら、そのとき、すでに僕はいない。
小さく笑う彼女の言葉に、ありありとそのさまが想像出来た]
……やりそう、やりそう。
はしゃぎ過ぎて、アーくんに叱られるんだ。
森の中を不用意にうろつくと、危ないんだから、って。
[右腕をゆっくりと動かす。
作業をする分には、支障はなさそうだ。ここで出来ることは限られているし、激しい動きがあるわけでもない]
[陶芸家に分けてもらったオムレツを口に運ぶ]
・・・美味しいわ。
何ていうか、素朴な味。
癖がない分、きっと飽きがこないわね。
[一口を噛みしめるように食べ]
[若い子たちの昔話などを微笑みながら*聞いている*]
すごいな、ジティ。
なんか別の人みたい。
[ユリアンに指示する様を惚けたように見た。]
だーかーら、たまにだってば。
[続く言葉には訴えるが。]
・・・・・。
[止まった言葉の先を想像するのは容易で、無言で立ち上がり、歩み寄って彼の頭をはたこうとした。
高くて届かなかった。]
私は、本当に手伝っただけだけど。
[皿越しでも触れた瞬間に違和感は大きくなる。
けれどやはりそれは押し殺すようにしてやり過ごし]
遊ぶところ、少なかった…?
[一度小さく首を傾げ呟いたが]
それは分かる。私も楽しいって思ってたもの。
どんどん先に行っちゃうから誰も追いつけなかったのよ、あの時は。
でも一番綺麗な花を見つけたのもリディちゃんだったよね。
あんなところに咲いてるだなんて知らなかった。
[ユリアンにも向けて言いながら、当時のことを思い描く。
そんな感じでどこか和やかに*食事を続けていた*]
・・・・・・
・・・ばぁか。
[背後にどんよりとしたオーラが見えたかも知れない。
そこで殴らず悪態のみに止めた辺りは、先程見た怪我が効いているのかも知れない。]
[いくら平均より低いとは言え、リディよりは高い。
にっこりと笑みを浮かべて、見下ろす。
伸ばされた手に合わせるように、手を持ち上げた]
どうかした?
リューは可愛いねって、それだけだよ。
[何がどう可愛いか、はさて置くとして。
とは言え、からかい以外の意味も十二分にありはするが、冗談めいた声の中に消えてしまうだろう]
……本当、楽しそうだよねえ。
羨ましい。
[幼い頃は僕がいた場所。いなくなった後には、イレーネがいた。
そんな気がして、少しだけ複雑な気分にはなったけれど、それは押し隠す]
・・・・・
どーせちびですよーだ。
[言葉に一瞬詰まるものの、結局はからかいと受け取ったらしい。
胸にタバスコの決意を秘めつつ席に戻ったのだが、オムレツを口に運べばあっさりと解消された。]
あ、おいしい。
[にこにこと笑う。]
町にはこっちみたいに森も野原もないからね。
遊ぶとこも作られたとこばっかりだしさ。あれはあれで面白いけど。
[意外な褒め言葉には瞬いたりして、会話は和やかに*進んだ。*]
先生じゃ…。
[まるで医者のようだと、首を勢い良くぶんぶん振って。]
[とかやってたらリディにも似たような事を言われて。][ほんのり顔が赤くなる。]
すごく、ないよ。
これしか出来ないから。
[他の生き方なんて知らないからと。]
[むしろ。][きちんと学校に行って、文字の読み書きの出来る彼らの方が。]
[何だか凄い人たちに見える。][沢山の、可能性を持った。][自分とは、違う。]
[自分とは―]
[考えがほんの少しだけ悪い方向へと傾きかけた所で、ユリアンの声に我に返る。]
あ、うん。
頂きます。美味しそう…。
[イレーネと、アベルに感謝しながら。][残っていたオムレツを嬉しそうに*食べ始めた。*]
[手帳から、朽ち掛けた一枚を破り取り、手向けの花を折って捧げる。
むせながら火をつける、キツい銘柄の煙草。
揺らめき立ちのぼる紫煙は空へ。]
…ここに眠ってんすね…。
あんたが師と仰いだ二人と…巻き込まれた無数の人々が。
[石碑の最初に刻まれた、当時の自衛団長の名。
石碑の最後に刻まれた、富豪だったらしい老人の名。
その間の幾多の名前は、上の方からしばらくは姓名がはっきりした男性のものが多く見え、刻まれた年齢も2〜30代中心。
後ろの方は年齢もまばらで、幼いものも。
名字の無い名も見かけられる。]
やっぱ、祟られてたんじゃねっすか?
俺らの分まで生きなきゃ承知しないって。
[数多い死線を乗り越えて、長く生きた彼の人を想う。]
[誰が植えたのか、慰霊碑の傍らには大きな木。
風が枝から柔らかな雪片を散らす。
たんぽぽの綿毛のように、ひらり。]
どこかで根付いたんでしょうかね?
ここから飛び立った【希望】は。
[かつて、そうでありながら
律に縛られず、血脈に流されなかった月の娘。
盟約からはぐれた特別な獣は、盟約を打ち壊す希望の鍵になれたのだろうか。
それをずっと気に掛けていた、亡き師を想い*しばし佇む。*]
[しばらく広間での歓談を聞いていた]
[やがて立ち上がる][食糧の備蓄を確認する][沢山あるようだ]
・・・どうやら、しばらくここに滞在することになりそうね。最初からそのつもりだったのかしら。
そのわりに、自衛団は取調べをするつもりはないみたい。これじゃただの軟禁状態ですわね。
[広間に戻ってくる]
[空いた食器をキッチンに下げ、洗って片付ける]
[階段や廊下、台所、浴室の*掃除に向かう*]
[まだ食事をしていない皆のための準備を整えて。
ブリジットによるユリアンの手当ての様子に、蒼の瞳は険しさを帯びる]
……やっぱり、早めに診てもらって正解だったろうが……。
[呆れたような言葉は、ほんの少しの怒りと心配とを滲ませて。
そちらは任せて良さそう、と判断した所でキッチンに戻り。
道具を片付けた後、昨夜紅茶に入れたブランデーを瓶ごとこっそり確保する。
カラスはまだブリジットの側にいたから、無理に呼ぶ事はせず、二階へと]
─二階・自室─
……ふう。
[確保してきた瓶をことり、とサイドボードに置いて。
開け放った窓枠に腰を下ろし、外を見る。
白の中、黒々と広がる森。
養父はどうしているか、という不安が過ぎる]
Ich werde Schnee fur Sie bringen.
Diese Erde, alles.
Es gibt es viel, um fahig zu sein, aufzuhoren, es in einem weisen Schleier zu decken…
[不安を振り払うよに、口ずさむ歌。
父が好んで歌っていたそれは、父方の祖母が創った歌だという。
より正確に言うならば、祖母の学生時代の研究仲間がよく口ずさんでいた歌。
未完成だったというその歌の原詩。
オリジナルの作者が若くして死した後、祖母が彼を偲び、自分なりに完成させたのがこの歌だと聞かされていた。
だからなのか、この歌は。
最後の部分に、ある祈りが込められているらしい。
再会、巡り逢い──そんな願いが]
[一しきり歌い終え。
持ってきた本でも読もうか、と荷物を開き]
……っと、これ、何だっけ?
[鞄の内ポケットに入っていた小さな袋に目を留め、一つ瞬く。中に入っていたのは、丸い、黒い粒]
あー……前に、クレメンスさんにもらったやつ。
[ここに入れたまんまにしてたんだっけ、と軽い口調で言って。
ひとまず、それはそのままに。
出した本を手に再び窓辺に戻り、そのページを*開いた*]
ユリアン君、そんなになっても放っておいたんですか?
[オムレツを食べながら、その手を見た]
[声が呆れたように聞こえたかもしれない]
男の子でもやせ我慢はいけないんですよ。
[それから穴に目をやるのは…金の猫を見た後に]
[教育の話を聞きながら、食べ終えて]
ご馳走様でした。
いやぁ、アーベル君は本当に料理上手です。
食べられて嬉しいですよ。
[一度出て行き、戻ってきたノーラが食器を片付け始めるので、自分も幾つかを重ねて持っていった]
[どうやら今回は、無残なことにはならなかったようだ]
おっと。
[窓の外に自衛団の姿]
ちょっとご飯について聞いてきましょうかね。
ノーラさん、お願いします
[笑って、彼女の邪魔をせぬように外へと向かう]
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