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[その視線は降り、墓石の下の地面へと向けられる]
この時期は、土の中の方が暖かいのでしょうかね。
[問い掛けのような口振りで、骨張った指先で、掠れた文字をなぞった。
それから軽く石の曇りを拭いた後、手を離して、背筋を伸ばす。
墓守は来た時と同じように、白花を踏まずに館の玄関に戻って行った]
― 玄関→広間 ―
[玄関先で脱いだ外套を使用人に預け、墓守はその足で広間へと向かった。
扉の前で二度ノックをしてから、その中に足を踏み入れる。
客人の姿を認めれば、先のように一礼をする]
これは失礼。
御主人にはもうお会いになられましたか。
[扉の脇に立ったままで、そう言葉を*掛けた*]
文学少女 セシリア が参加しました。
[強い風に細いつり橋が揺れる。
大きく揺れるたびに足を止めロープに掴まりながら少女が一人、ゆっくりと橋を渡って行く。]
や、やだ……どうしてこんなところに家なんて建てる……の……!
[少女は涙目になりながらようやく橋を渡り終えた。]
[館の玄関で、少女はドアノッカーを鳴らす。
重い音が4回。少しの時間を置いて扉が開かれた]
あの、私セシリアといいます。
こちらのお屋敷の方に「ウールヴヘジンの左手」という本があると伺ったのですが……。
[使用人は怪訝な顔をし、主でなければ本の所在は分からないと告げる。
主への面会を許され、少女はやや緊張した面持ちでアーヴァインの部屋へ足を踏み入れた]
―アーヴァインの書斎―
あ、あの、はじめまして!セシリアといいます!
えっと、あの私、「ウールヴヘジンの左手」という本を探していまして……えっと……ふもとの村の古物商の方がこちらのお屋敷の方が10数年前に買われたと……。
[少女は言葉につまりながら、なんとか己の目的を説明する。
館の主は微笑ましそうに少女を眺め、
しかし目的の本を所蔵しているかどうかは覚えていないという]
えっと、あの、さ、探させていただいてよろしいでしょうか?
やっと見つけたんです……!もう何年も探していて…!
[アーヴァインは少女の必死な顔を見やり、書庫への立ち入りを承諾した。]
―書庫―
[窓のない部屋に、大きな書架が立ち並ぶ。
その高さは少女の2倍はあろうか。
使用人は終わったら声をかけるよう言い、少女を残して退室する]
……すごい……こんなに大きな書庫初めて見た……。
[本独特の埃っぽい臭いが鼻を掠める。
大量の書籍は塵は積もっていないものの整理されているとはいいがたく、机の上に積み上げられ放置されているものまである]
端から確認するしかない、かな……。
[書架に並ぶ背表紙を端から順に確認する]
……なんとなーく著者名で並べてあるの……かな……。
[きちんと整理するものは居ないらしい。
大体は著者名順で並んでいるものの、ところどころ別の棚の本が紛れている]
父さんの筆名……わからないしなぁ……。
[少女は紛れている本を見つけては正しい位置に戻し、少しずつ*作業を進めていく*]
─大浴場─
[この時間帯なら誰も居ないだろうと、身体の泥を落とすために大浴場へと向かう。
予想通り大浴場には人影は無く、ラッセルは安堵の息を漏らして支度をし、中へと入った。
身体の泥と汗を流して湯船へと浸かり、ようやく一息つく]
……どうしよう。
挨拶くらいしないと、アーヴ怒るかな。
[世話になっている以上、家主であるアーヴァインの意向に背くことは出来ない。
考えを巡らせながら、息を止め、頭まで湯船に浸かる。
数秒もしないうちに顔を出すと、顔に張り付いた前髪を右手で掻き上げた]
…部屋に籠ったら籠ったで引っ張り出されるし。
ホントにどうしよう……。
[無表情のまま、口調は困ったように紡がれる。
両手を投げ出すように湯船の縁に凭れた。
しばらくして身体が温まったなら湯船を出て身体の水分を拭き取り。
着替えた後に頭の水分はそのままに大浴場を*出て行った*]
―広間―
[古く分厚い本を数冊抱え、少女がそっと広間に現れた。
ユージーンとキャロルの姿を見つけると、丁寧にお辞儀をした。
その拍子に抱えていた本が滑り落ちそうになる]
わ、わーわー!!
[なんとか抱えなおし、改めて挨拶をする]
あの、えっと、はじめまして!セシリアといいます…!
えと……その……このお屋敷の方……ですか……?
[本を持つ手が疲れたのか、相手の返事を待たず抱えていた本を広間のテーブルの上にトンと*置く*]
─ 一階廊下─
[肩にかけたタオルで粗雑に髪をかき混ぜながら、ラッセルは廊下を進む。
広間に行けば客達が居るのだろうか。
向かわずに部屋に引っ込んでしまおうか。
考えを巡らせていたが、喉の渇きを覚え一度廊下で足を止めた]
……んー……。
[広間に行って客のために用意された飲み物を失敬するか、厨房へお邪魔して飲み物を貰うか。
どちらを取っても誰かしら顔を合わせなければいけない。
どちらの方がマシだろうか、と少しばかり考え込んだ]
―アーヴァインの書斎―
お久しぶり、おじさま。
少し御挨拶がしたくて……ごめんなさい、連絡も無しに。
私ね、村に帰って来たの。おばあ様は亡くなってしまったけれど、家は未だ残っているから。細々と稼ぎを探すつもりよ。……うん、ちょっと都会の空気はあんまり肌に合わなかったの。
[そんなとりとめのない会話を交わし、館の主の部屋を離れる。
紅茶の一つでも呑んでいきなさい。その言葉に少しだけ救われたような気がした]
―廊下―
……雨、降っちゃうよね……
[再び廊下の窓から、灰色の空を眺めて呟く]
雨が降る前に、もういちどお花さん達を見に行こうかしら。
雨が降ったら、きっといくつかは散ってしまうだろうから。
[紅茶はその後に頂こう、と呑気に考えて。
玄関の方に向って足を進める]
吟遊詩人 コーネリアス が参加しました。
[風に攫われた声が 崖の岩間に響きあう。]
我が口にする言の花は 史実を飾り散らし
我が奏でる弦の葉は 人々の哀愁を優しく包む
可憐を愛で 慈しむや ひとの心
踏むや足先の その重さも知らず
何時しか失ったか それすらも已む
[それは来訪の合図。屋敷の主は顔を顰めるか。]
─ 一階廊下─
……勝手に持って行けば良いか。
[広間ならば既に用意されたものもあるだろうと、目的地を広間に定める。
足を動かし落としていた視線を前に向けると、玄関へ向かおうとするソフィーの後姿が見えた]
…ぅ。
[人が居るとは思わなかったために、驚き呻くような短い声が漏れる。
足も再び止まってしまった]
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