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―中庭・試験場前―
[妖精族用の、花を模したデザインの小さなカップを用意する。
肩の水晶龍は、向けられる視線に、僅かに首を傾げつつ、ゆらゆらと尾を揺らしていた。
周囲に舞い散るのは、きらきらとした氷の粒子]
あー。
そういや、お前はまだ盟約龍を得とらんのだったな。
[問いを向けられた方は、こう呟いてやや真面目な面持ちに]
盟約に関しては、言葉でどう、と表せるもんでもないな。
繋がり、結びつき……抽象的な物言いだが、『絆』が生じる、とでも言えばいいか。
ここらは、実際に体感してみた方が早い。
もう一つの方は、異界龍との『出会い方』にもよるが……他者から譲り受ける、というケースを除くと、大抵は相互の魔力波長・精神波長などの同調・共振などに基づいて異界龍の方から姿を見せる事が多い。
……まあ、それで騒ぎになったりもするんだがな。
『……そうねぇ、あれは凄い騒ぎだったわ』
[水晶龍、何やら思い出すようにしみじみ呟いた]
……その話はするな、ラヴィ。
とにかく、そういう前提があるから、『見て惹かれる』というのはある。
召喚の魔方陣による儀式で呼び寄せる場合も、結局は先にあげた相性に基づいて引き寄せるから、同じことが言えるな。
[説明しながら、茶を淹れる。
その辺りの一式をどこから出した、というのは*突っ込み無用*]
─中庭・試験会場前─
[大きな瞳の先、水晶龍の周囲に舞う氷の粒子をじっと見つめる。
背の翅がはたりと動き、魔力の粒子が散った]
ええ、まだ儀式もやってないんで。
他から譲ってもらうってのは無いからー、やっぱり喚ぶことになるのかな。
喚んでも相性が良いのが引き寄せられるんですね。
だったらあんまり難しく考えなくても良いのかな。
性格相性が悪いのが来たら嫌だけど。
[ぷー、と膨れながら用意された一式の傍に座る。
直後くるりと表情を興味ありげなものへと変えて]
えー、えー、騒ぎって何ですかー?
異界龍の方から姿を見せるのって珍しいんです?
[興味津々の眼差しでゼルギウスを見た。
茶が用意されると「ありがとうございまーす!」と元気にお礼を述べて、専用のカップに口をつけるのだった]
―中庭・試験場前―
性格的相性に関しては、なんとも言えんな。
傍目仲が悪そうでもその実、というケースも結構ある。
まあ、全くソリがあわない、という事は、そうはないようだし、焦るつもりがないなら、身構えずに楽観視しとけ。
[なんて呑気に返しながら、自分も茶を一口。
興味津々の眼差しには、何故か、ふ、と遠くを見た]
……ソレ自体は、珍しくもないが。
こいつは、出てきた場所とタイミングが、な。
『……あら、あれはあなたが転んだからでしょう?』
[どんな状況だったのか]
ふぅん、イザと言う時はー、ってやつかな。
そう言う心配が無いなら良いや、そのうち見つかると思っておきます。
[どこか安心したように翅を動かしながら、にこぱと笑った。
それから遠くを見る様子に首を傾げて]
場所とタイミング?
転んだ?
潰されでもしたんですか?
[きょときょとと大きな瞳を瞬かせる]
5人目、月闇学科2年 ロミ がやってきました。
─学院寮・自室─
[祖先より受け継いだ中央に猫目石をあしらった由緒正しき首輪、黒く艶のある毛並み、金色の目。
今その目が捉えるのは一枚の封筒、中には手紙が入っており前足で器用に抑えて中身を取り出し]
試験が近いから激励とかかな?いや、あのお師様に限ってそれはないか。
でもお師様、毎回思うんだけどどうやって手紙届けてるんだろう。
[疑問を口にしながらそこに書かれていた内容は…]
ええ、よりによってゼルギウス導師の試験受けろだなんて。
しかももう試験届け出したって、どうなってるのお師様実は近くにいるんでしょ。
今私のこと見て笑ってるんでしょ。
[部屋の中には今、相部屋の相手もおらず自分一人]
お師様…、呪ってやる、夕飯でお腹を壊す呪いをかけやる。
[暗くした部屋の中、蝋燭やら怪しい髑髏やらを部屋に配置して呪いの言葉を呟いている。きっとあの人はその呪いは届かないけど。
そんなことをしている間にもゼルギウスの元に一枚の受講届けがひらりと届いているだろう。]
──────
■氏名:ロミ(romi)
■学科・学年:月闇学科2年
■種族:魔猫
■取得魔法:古代語魔法(首輪媒体)
■その他:人語を介し喋ることができる黒猫。人型になることも可能。
はるか昔、魔女の使い魔だった猫が魔女が死んだときにその力をすべてうけつぎ魔猫となり、その子孫がロミだ。
その身に宿した禁呪の力を制御できるようになりなさいと、お師様と仰ぐ人物により異世界からつれてこられて今に至る。
首輪と呪の言葉を媒体にして主に呪術やまじないと称されるような力を使い、相手に不幸をもたらす作用を引き起こしたり遠見をしたりする。
他に地形に作用を及ぼし攻守に使うことも可能だが時折制御しそこなうらしい。
さらに長い時間と多数の触媒などをつかえば天候をあやつったり大掛かりな地殻変動も起こせると自称している。
使い魔はいないが動物と会話などはできたりするため特に取る気はないらしい。
学院内では魔法園芸部にも所属しており呪術の触媒になる植物の栽培などもしている。趣味は薬作り。
──────
ま、あれだな。
留年の危機が生じる前に契約できりゃ、上出来だろ。
[なんか笑えないことをさらっと言いやがりました。
首を傾げながら投げられた問いには視線を戻して、ふっと笑って]
……昔の話だ、気 に す る な 。
[なんか一瞬、オーラっぽいものが立ち上った。
かも知れない。
水晶龍は、面白そうに尻尾をゆら、ゆらり]
……っと。
[不意に、ひらりと舞い降りてきた受講届け。
ぱしり、と受け取り、内容を確認する]
……ほう。
これはこれで、面白い所からのが来たな。
[にぃ、と口の端を僅かに上げて笑った後。
ぴん、と弾いたそれを、リディ、フーゴーの受講届けの隣に固定した]
う……。
肝に銘じておきます…。
[カップで口元を隠しながら、上目遣いで返しておいた。
現状で盟約出来ていないのは結構危険ではあるために]
……えー。
[一瞬立ち上がったオーラっぽいものと浮かべられた笑みに、ビク、としたが不満の声は上げた。
気になるものはしょうがない。
口を尖らせながら茶を飲んで居ると、ゼルギウスの元に届く受講届けが目に入る。
それを見て口端を持ち上げる様子に、また何か企んでる!?とか思ったがそれは心の内のみに]
面白い所ってなんですー?
[カップを置いて翅を動かし、宙を舞って受講届けを見に行く]
……動物だらけ?
[並んだ受講届けを見ての感想がそれだった]
─学院寮・自室─
[無駄な徒労は寮母からの注意によって終わった。
怒らせても得はなにもないので急いで片付ける、尻尾は力なく垂れていた]
突破すればいいんでしょ、突破すれば。
[開き直りような言葉、後ろ足で立ち、右前足をぐぐっと握る様は人間っぽい仕草のそれ。]
ようは勝てばいいんだよね。受験者全員に体調を崩すように呪いをかければ楽勝じゃん。
[寮母の冷たい視線を感じて]
冗談です。はい、おとなしく試験会場いってきます。
[逃げるように部屋を出て、試験会場のある中庭へと向かった。]
……好奇心は、知識探究の上では最重要の要素だが。
程ほどにしておかんと、見なくてもいい世界が見えるというぞ?
[不満げな様子には、にっこりと笑った。
うん、傍目にはとっても穏やかに、にっこりと]
面白い云々は、見ての通りだ。
[飛んで見に行った、その後の感想には肩を竦め]
ま、この学院じゃ珍しいことでもなかろう。
―中庭・試験場前―
[たどり着いたそこにはゼルギウスの姿の他に、受講者と思われる数名?数匹?の姿が見えた。]
ゼルギウス導師、この度はお手柔らかにお願いします。
[とててっとまずはそっちに走っていき、足元でぺこりと頭を丁寧に下げて挨拶。]
他の皆もよろしくね。
[続けて周りの皆には人懐っこい声で頭を下げて挨拶をしていった。
第一印象は大事、知り合いもいたかもしれないけど。]
……はーい。
[裏の見えるゼルギウスの笑みに観念せざるを得なかった。
どう見ても冗談には聞こえない]
(ぶー、これで裏が無い笑顔なら最高なのに)
[ついでに自分勝手な感想を心の中で一つ]
確かに珍しくはないですけどねー。
わんことにゃんこかぁ。
[どっちも古代語魔法の子だなー、と確認をしてからまた茶の場に戻った]
あ、にゃんこ。
[挨拶をして回る猫──ロミを見つけて近くをふわり]
リデュナンテーアだよー。
リディって呼んでね。
[にこぱとロミに笑いかけた]
ん、来たか猫っこ。
[とててっ、とやって来て頭を下げるロミに気づくと、真紅をそちらに向ける]
手柔らかにできるかどうかはわからんが、ま、多分退屈はせんだろうから。
今の内はのんびりしとけ。
[何やら突っ込みがいのある事をさらりと言って]
お前も、何か飲むか?
[お茶のセットを見やりつつ、呑気に聞いた]
[リディの内心には気づいてない。多分。
気づいていても気にするかは怪しいが]
まあ、普通だろ。
去年だか一昨年だかにはもっと凄まじいのもいたからな。
直立二足歩行する、サボテン人とか。
[どんなだ]
…誰が作ったんですか、そんな魔法生物。
[若干呆れ気味に言った]
そもそもサボテンである意味が分からない。
植物使うなら可愛いお花とかにすれば良いのにー。
[そう言う問題でもない]
よろしくね、リディ。
[挨拶を返された近くに浮かぶ小さな女の子に視線を向ける。とはいえ今の自分より少し小さいくらいだが。
人型だったら笑い返していたかもしれない。]
えっと…。
[固定された受講届けを見ようと上を見上げて]
見えない…。
退屈…ですか?
[きょとんと首を傾げながら、脳裏に嫌な予感が浮かぶのはこの導師が相手だからだろうか。
そんな思いは心の内にお茶を薦められて]
それじゃあお言葉に甘えて。
温めでお願いします。
[宙で反転、ぽふんと音を立てて少女の姿に*なった。*]
……いや、魔法生物じゃなくてな。
個別に繁殖する能力を得て、種族として確立した、アルラウネの変種なんだ。
多分、まだどっかの学科に在籍してるはずだぞ。
『確か、頭の上に大輪の花が咲いていたわねぇ……。
とても、可愛らしいこだったわ』
[呆れ気味の言葉には、さらりと。
水晶龍が、どこか懐かしむようにそれに付け加えた]
そう、退屈。
探求者にとっては、最大の敵だな。
[ロミに返しつつ、口元に浮かぶのは楽しげな笑み。
温めに、という要求には、やっぱり猫舌か、などと納得しつつ、白いカップに茶を淹れる。
水晶龍がはたり、と尾を振って冷気を送り、茜色のそれを適度な温度に冷ました]
わ、人になった。
[茶を飲むために人型へと変わるロミに瞳をぱちくり。
獣人かー、と一人で納得している。
間違っているのだが]
…え、えー。
アルラウネにそんなのが増えてたなんてっ。
うわぁ、見てみたいなぁ。
どの学科に居るんだろう。
[最初こそ驚きの表情を浮かべていたが、好奇心が芽生えてわくわくとした表情で話を聞く]
そーいえばサボテンの花って結構綺麗なの多いですよねー。
常にお洒落出来て良いなぁ。
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