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……、わ。
[急に引き上げられて][小さくあがる声]
[重みのある右足が持ち上がるのが遅れて]
[バランスを崩しかけたが、体勢を立て直す]
ん、平気。
[覗き込んでくる鋼色へと視線を返す]
[自分には感知出来ない何かを皆感知している。ブリジットには優秀だと言われたが、自分の方が余程出来が悪いのではないか]
『人間と精霊の違い、かねぇ。
ま、俺の力なぞ高が知れてるもんな』
[仕事で探査の力は使っているが、元々得手としているのはそれではない。感知出来ぬのも仕方が無いか、と思う]
で、何が動いたってんだ?
[良く分からない様子でブリジット達に訊ねる。彼女達の様子を見れば、探査し直すにもタイミングを逃して居るのは目に見えていた]
そうか、良かった。
[にこりと、次の瞬間には屈託なく笑って、手に巻いたバンダナを再び頭に結び直す]
先に戻っててくれるかな?
僕はちょっと用事が出来た。
[笑顔のまま、屋敷を指し示して、自分は中央塔へと視線を戻す]
ダーヴさんも干渉できない。
オトフリートさんは…今日はどうだったんだろう。
でも、間違いない。動いた。
あんまりいい感じしなかった…。
[顔を上げる。深呼吸]
私の勘違いじゃなければ。
オトフリートさんの所に来てた機鋼の精霊が、どこかに消えたの。
その時に動いた力は…どうも捉え損なったんだけれど。
[ハインリヒにそう答えて]
戻った方がいいかも。
んー…うまく説明できねぇんだけど…捕まえて閉じこめる…っぽい風味?
…前もこんな感じのあったし。
ぁー…誰か欠けてたり、しない?
[結界術式には多少詳しくなってきたが、相変わらず気配の関知は苦手。]
[恐らく、時空竜は、何が起こったのかを正確に感知している…他にも感じた者はいただろう。彼等がどう動くかは、判らなかったが]
とにかく、この目で確かめないと。
[自分の目で、見る事。そのためのこの姿なのだから]
あの機精が?
消えたっつーのは穏やかじゃないな。
何かの力が動き、機精が消えた。
その力により消えたと考えるのが妥当、か?
[最後の言葉は自問するように。戻る、との言葉には少し考えて]
…そうだな。
ブリジット達が感知したんだったら、他の奴らも何か感知したかもしれねぇし。
…ぽい風味、だね。
一応、昨日直接会ってるから…。
[炎竜の溜息にコクリと頷く。
揺れる力。微妙に崩れ始めた均衡]
うん、誰か分かる人がいるなら。
その人にも聞いた方がいいと思うの。
[ハインリヒにも頷いて、周囲の皆にどうする?と首を傾げ]
―広間―
[居並ぶ者に軽く挨拶しながら、なるべく対から遠い席に座ろうとして、怯えたように見えるセレスに気づき。]
どうかしたの?
[さっきのアレのせいなのだろう、とは薄々感じながらも問うた。]
とりあえず…一端戻って合流した方が良さそうな…。
[鋼の馬を目覚めさせる。ブルル…と低い唸り。]
…腹も減ったとこだし。
[むしろそれがメイン。]
捕まえて、閉じ込める?
[風味、に突っ込もうかと思ったが、現状そんな空気ではないために止めておいた]
前にも?
体験したアンタがそう言うなら、そうなんだろうな…。
[欠けてたり、の言葉には一旦周囲を見回すも、この場では欠けた者は居らず。ブリジットの言う機精がそれに該当するのだろうかと思考する]
……。
[機精の纏っていた「声」が、ふるりと何処かへ消えた。
結構目立ったから、他にも判った人がいるかもしれない。
現にオトフリートは、察知しているようだし。
それに干渉する力の声は、捉え損ねてしまったけれど。
少しだけ聞えた――機竜の『声』が混じる気配。]
あれを、探せば、いい?
[ぽつりと、窓の外へ視線を向けながら、問う。
自分の底から返ってきた言葉に、小さく*頷いて*]
動いたって……えーと。捕らえたとか、側近とか、ってつまりはあのオトフリートさんのところに来た精霊が捕まって消えたってこと?
何でまた。
[そう言って小首傾げ。いったん戻るという話になると、同意して*ついていくだろう。*]
…先に戻ってて?
……でも甘いもの残しておいて?
[ダーヴィッドの傍から離れる。
鋼馬の傍も嫌だけれど、また食べ損なうのも嫌なんです]
[じっと見つめる顔に、首を傾げて、思い当たったように]
ああ、そうだ、オトさん…さっき会ったって言ったろ?
彼に僕が中央塔の様子を見に行ったって伝えて。
それと、バンダナを取ったのは、誰にも内緒にね?
[しーっと人差し指を口元に当てて笑う]
[獣たる私には、事態の根源は判りはせぬものの。
腕に抱いた仔が震えるならば、それを慰めるがのみに心を砕く]
セレス…どうか落ち着いて……
[昨夜と違い今は在る腕(かいな)に労わりを込め、幾度も撫でて。
彼の竜が戻り結果を告げるまで、ただ彼の仔の側に*あるだろう*]
……?
[つられて左の人差し指を口許に動かす]
[暗に戻るように促されたのは解ったようで]
…………ん、
[間を置いて、][頷きひとつ]
わかった。
言う。
言わない。
[まるで御使いを頼まれた子供だが。]
ん、よろしく。
[いい子だね、と思わず言いそうになったとか]
気をつけて!
[ひらりと手を振って、地を蹴る。闇を貫く雷光のように、忽ち、その姿は遠ざかった]
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