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― 集会所一階・広間 ―
[辿り着いた広間は騒然としていた。
静かな混乱。漣のように広がる、ざわめき。
人狼の存在を、疑う言葉。
やはり、確証がなければ。
無意識に、左手を押さえた]
何故、か。
……現実に、あった事がある、と言えば、納得するか?
[ゼルギウスには、低く問いを投げ。
危険を問うイヴァンには、一つ、息を吐き]
……見出すものがいる、と。
隠れていたいものが、それを知ったなら、どう思うか。
それを考えれば、容易に思い至らんか?
[イヴァンのゼルギウスに対する様子にそちらに意識がいきたしなめるように]
イヴァン、あまり事を荒げるような言い方はやめておけ。
ゼルギウスもとりあえず疑いあうよりは、信じてみてもいいんじゃないか?
話半分程度でもな。
[とそこへ、こちにらよってくるライヒアルト、その視線はエーファに向いており頭を撫でる手を止める]
みかた…
[笑いかける男の顔をやはり不思議そうに見上げた時、ベアトリーチェの声が届く]
………判らない。
[そして、近づいてきたライヒアルトの問いには、こくりと頷く]
………知っている。
イヴァンこそおかしいんじゃね?
居るかどうか分からんものを判断するとか。
俺が疑ってんのはお前だ。
変なこと言って脅かそうとしてんじゃないだろな。
俺のことが疑わしいってんなら、お前が持ってるっつー判別する力で調べてみろよ。
お前の言ってることが事実なら、俺が人狼なのかどうか分かるんだろう?
どうせ違うって出るだろうけどな。
エーリッヒさんは、人狼ではない。
生ける者を、識る者?
真実だというのなら、……迂闊だ。
[非難の色合いの、濃い台詞が呟かれた]
さてと。
話は人狼が居るかどうかという所からか。
[ようやく動揺も収まってきたか]
ゼル、脅かしてイヴァンに何の得があるんだ?
―厨房―
むしろゲルダが居てくれないと、連中が食問題で騒動起こすぞ。きっと。
[そう真顔で言い、噴出して肯定された言葉に、こちらもくすくすと笑った。]
やっぱり、な。
[自分にしてみれば、ゲルダが笑う様は彼女の叔父の次くらいに見ていることが多く。
その変わらない様子に心がほんのり温まっていった。
窘める様子には、ややあって。]
いつ何が、か…。
[その言葉に、胸がちりと痛んだのは、木箱を上に置いてきたからだ。
不安を覚えるなら持ってくれば良かったと思いながら。]
そう、だな。
何があってもすぐ対応できるようにしておく。
…あ、そろそろ出来たか?
何だか向こうが騒がしいから、早めに持って行った方がいいかもしれん。
[と、ここから少しだけ聞こえる広間の声を指し。
こちらも食器を盆に乗せ広間へと。]
[ライヒアルトの言葉に]
ああ、成る程な。
俺がすべての人狼を見いだすまで生きてはいられないということか。
そういえばそうだ。
[ぼんやりと、他人事のように呟いた]
現実に?
それが本当かも俺には分からないよ。
[ライヒアルトへの返答はにべもないもの]
信じるって、何を信じるってんだ。
はっきりとしたことが分からない限り、俺は信じることはしないよ。
信じて欲しけりゃ物証か何か突き出せ。
[マテウスへの言葉も頑なになって来る]
[周囲が人狼と言う存在を信じ始めていること]
[それに恐怖を感じているとでも言うのだろうか]
[どうしてそんな恐ろしいものを信じられるのかと]
[悩む様子のエーファには]
まぁ、あまり深く考えるようなことではないさ。
俺が思ったから俺が言っただけ。
それだけ。
[そして二人の話に耳を傾けていたが]
いや、ちょっと待ってよ。
なぁ、ライヒアルトにエーファ。
今あんたら、人狼にあったことあるような言い方してたように聞こえたんだが?
…なに、他人事のように言ってるんだ、お前も。
[ぼんやりとしているイヴァンの近くへ]
しっかりしろよ。
そんな様子じゃ、それこそ危険だろう。
そう、か。
[返したのは、短い言葉。
知っている。
ならば力ある者か、それとも、同じように渦中にあり、生き延びた者かのいずれか。
どちらであるかは、問わずにおいた。
見極める者が表立った状態。
それ以外の存在を迂闊に知らせてはならない。
過ぎったのは、そんな思い]
……なんにせよ、お前は、この状況を理解している、と。
そういう事なんだな。
…ゼルギウスさん。
信じずに、事が起こってからでは、遅いのでは。
[一歩進み出て、諭すように吐く、短い言葉]
最悪の事態を考えるのは、それ程、悪いことですか。
なにも人狼を信じて動けとは言ってないさ。
でも、全部が全部疑ってかかってぎすぎすするのは俺としては嫌だね。
そんな感情が何を生むか、ゼルギウスもいろんな各地回った経験があるんだ、わかるだろう?
[セルギウスをなだめるようにして]
ライヒアルトたちの話聞いてみないか?
なぁ、ライヒアルト、ゼルギウスもこんな状態だし俺も正直人狼とか言われてもぴんとこねぇ。
話を聞いて信じられるのかって言われると微妙だが…、
まぁ何も聞かないよりはましなんじゃないか?
……他人事のように言うな。
[イヴァンの態度に、呆れたように息を吐き。
頑なな態度を見せるゼルギウスに、僅かに眉を寄せる。
それでも、知らぬ者にとしては、それは普通の反応と知っているから。
言葉を重ねる事はせず]
……ああ。
確かに、俺は、人狼と遭遇した事がある。
[マテウスの問いに、一つ、頷いた]
[わたしはエーファちゃんに近づくと、その手を握って隣に立った。]
[なんとなく、大人の人たちの目が怖い。彼らの間に、視線の中に、この子をひとりで置いちゃいけない。]
[そんな気がした。]
[ゼルギウスの言葉には困ったように]
俺の眼が力を発揮するそのタイミングで俺の正面にいればいやでも占われることになるけれど。
[マテウスの方に向き直り]
多分、色々嫌なことになると思う。兄貴のような人がここにいてくれるのは……ありがたいな。
―厨房―
うん、でも。
ライヒアルトさんも作れるし。
[有無の問題以外、当人にとっては騒動の種だと思えなかったようだ。
やっぱり、との言葉に、こくりと頷いて肯定を]
ポトフは、うん。出来た。
…食器、割らないでね?
[エーリッヒのように毎回ではないと分かっているが。
小箱を懐に仕舞うと、大鍋を持って広間へ]
―厨房→広間―
[疑念]
[実在するという][人狼]
本当、に?
[この中に]
[言葉は][誰に向けたか]
…痛い。
[頭を押さえ][拳を握り][呟く]
そうやって否定してれば。
何事もなく終わると、本当に信じている?
[ゼルギウスに向けた声は冷たい。
そして少しだけ哀しみの色を帯びていた]
ライ。
[マテウスに答える同居人を見て、小さく名を呼ぶ。
だがそれは静止の力を持つまでには至りそうにもなく]
[ベアトリーチェの手が、その手に触れると、子供は、小さくびくんと身体を震わせた]
………エーファ………
[掠れた声で、小さく小さく呟いて、ゆらりと顔を隣に向ける]
………ベアトリーチェ、おねえちゃん。
[目に入った金髪の少女の姿に、吐息をつくようにして、その名を呼んだ]
[ゲルダとナターリエが広間にくるのを見つけるとすぐに]
ほら、皆飯がきたぞっ!
食おうぜ飯、飯。
ゲルダが愛情こめてつくってくれたんだ、皆でおいしく食べようぜ。
[その場にいる者たち全員に聞こえるように勤めて大きな声でそう告げて、
ゲルダの方に寄って]
手伝うぞ。
[大鍋を運ぶのを手伝いながら]
他にもってくるものはあるか?
[一歩進みでたウェンデルとその言葉に言葉を詰まらせる]
…………。
[何かを言おうとして、言葉は出て来ない]
[ウェンデルへ向けていた視線が逸らされる]
[その逸らした動きのまま、背を向けるようにして足が広間の出入口へと向いた]
……頭冷やしてくる。
[マテウスの言葉も聞こえていたためか、誰に言うでも無い言い方だったがそう言葉を紡ぎ]
[広間を出ようと歩を進めた]
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