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─住宅街─
[早足で住宅街の入口までやって来ると、その先が異様な明るさを示していることに気付く]
……なに……?
[あり得ぬ光景を目にして一度足が止まった。
しかし直ぐに足は動き、屋敷に向かって駆け出す。
玄関前までやって来ると声を張り上げた]
マイルズ様、ご無事ですか!
―集会場→アヤメの家 途中―
アヤメさ……良かった。
えぇ、逃げましょう、早く…!
[アヤメは数瞬放心したようだったが、こちらの呼びかけで我に返った様子に少しほっとして。
彼女が武器を手にするのを待って、ともに走り出した。
どこへ逃げれば良いのかはわからなかったが、とにかく喧騒のないところを探そうと。]
―集会場内―
[後輩の手当てしながら詳しい話を聞いていた。
きっかけはなんだったか、最初は小さな騒動だった。次第にそれは大きなものへと変わり。
後に残ったのは……
肩に埋まったままだった弾丸を摘出し、包帯を巻いて止血し、手当てを終え]
それで、サイキッカーはいたのか?
「中に一人いたみたいっす……。今はどうしてるか……。
すみませんパト先輩、自分……守ることもできず……」
[落ち込む後輩の方にぽむりと前足を乗せて]
いや、一人でできることは限られているかな……。
しかたがないとは言えないが、今はそのことを気にするよりどうするかだ。
[そう話しかけた矢先、後輩に突如突き飛ばされ、とっさに受身を取りながらも床に転がることになる]
─アルコデ家・玄関前─
[しかし、相手は冗談のつもりではないらしく。
再び響く、音。
慌てて避けた──というか、半ばよろめいた事で、頭を狙った一撃は、僅かに髪を散らすに止めた。
露草色の髪が乱れ、普段隠しているもの──右とは異なる色の左目が一瞬だけ、垣間見えた]
ん……ジョエル、ですかっ!?
生きてますけど、ちょっと危険ですっ!
[これはこちらも本気で行くようか、と思った矢先に聞こえた声に。
とっさに返した言葉は、どこか緊張感がないように聞こえたかも知れない]
―アコルデ家・台所―
[じりじりと寄ると、相手は気味悪そうにこちらに向けて何発か銃を撃ってきた。
一つは肩に、もう一つは足にあたるが、どちらも硬い音をたてるだけで、大事には至らない。]
(旧式銃なら、頭か胸に当たらなければ…)
[相手の武器を見定めた上での行動だったが、危険と隣り合わせなのは否めない。
それでも涼しい顔を保ちながら、相手に近づき。銃を奪おうと手を伸ばすと、再び発砲され、今度は頬を掠めた。]
この…大人しく武器を渡しなさ…
[ぐいと手を引けば、縺れるように転がり。
その反動でようやく相手の武器を奪えたと―――思うと同時に今度は別の発砲音が聞こえた。]
――――ぼっちゃま!?
[一瞬、意識が相手からそがれ、視線を外してしまった。]
―住宅街―
[眼が細まる。手の振るえが止まる。
そこから先の動きは冷静にすら見えるもの]
『サイキッカーを見たら排除するのが市民の義務』
[飛んでくる瓦礫は直線的。
妙な動きはしないと見て一歩横へと退いて避け]
……。
[無言で引き金を引く。光条が走り、相手の眉間を撃ち抜いた。
倒れる男。流れる血は実弾の銃よりずっと少ない]
―― 集会場→自宅へ向かう途中 ――
ごめんっ…!
[走りながらも放心状態だった事への謝罪を口にした。
はぁはぁ、とすぐに切れ始める息が恨めしい。]
っ… ほんっ、と
なんなのよ、これ……っ!!
[事態への悪態をつき、武器を持つ手を強く握る。
其れは取り扱いもろくにわからない旧式の大きな拳銃。]
ふざっ、 けてる……!!
莫迦じゃ――ないの!
[そんな事を口にせねば、居られない現状。
足は一先ずの安全な場所を探し、駆けて行く。]
―住宅街―
[遠くで何かの割れる音がする]
……なんなんだろ。
[眉を顰めながら、その方向に向かって走って行く。
と、何かが足に引っ掛かり、勢い余って転んだ]
うわっ!?
[打ち付けた部分をさすりながら、重量のありそうなそれを振り返る。
常ならば区画内で働く清掃ロボットもおり、そのような大きなゴミなど落ちていない筈だった。
けれどそのロボットも少し先で胴体を撃ち抜かれ、その機能を奪われており]
え……
[道に転がっていたそれは、ゴミなどではなかった]
―住宅街―
…は。ははは。
[男が動かなくなったのを見て銃を下ろす。
死体に滲んでいる緋は過去のそれと同じように鮮やかな色]
俺も、何やってん、だ?
[まだ気を抜いていい場面ではないのだが。
背後の壁に寄りかかって、ずると座り込んだ。
手が再び震えている]
―集会場内・医務室―
[激しい振動を感じ、何かがぶつかるような大きな物音が聞こえる。
立ち上がりながら視界に映ったのは、こちらを突き飛ばして反対側に転がる後輩の姿。
続いて先ほど自分達のいた場所に転がる机がひとつ床に突き刺さっていた。
部屋の入り口には、男が一人たっていてこちらの様子を楽しそうにみている。
その周囲にもうひとつ机が浮いてるのが見え、
腰のホルスターからリボルバーを抜くと、すばやく安全装置をはずしてそちらに向けて]
うごくなっ!
[横目に後輩のほうを見れば肩が痛むのだろうその場から動けずにいる]
サイキッカー…だな。
そちらからでてきてくれるとは好都合だ。
[狙いをつけて、発砲、銃弾は狙い通り相手の眉間に向かい、
途中、不可視の壁にはばまれて床に転がり落ちる乾いた音が聞こえる]
冗談……だろ……?
─アコルデ家・玄関前─
[主に銃を向ける襲撃者に対し、咄嗟に蹴りを繰り出す。
狙ったのは銃を持つ手、当たりが良ければ弾くことが出来るだろう]
状況説明が出来るなら問題ありませんね。
エリカはどうしましたか?
[怯んだ襲撃者に自分の銃を突き付けながら主の傍へと]
―住宅街―
え、え……えぇ?
[事態に頭が追いつかず、目を白黒させる。
それはまぎれもなく倒れた人間で、その下の地面には黒い染みがじわじわと広がっていた]
人……え、ケガ、して……
[ぴくりとも動かないそれに思考を奪われていると、背後から悲鳴が上がった。
ぎこちなく振り返る。
怯えたような顔の人と、視線がかち合った]
[一瞬の隙に、背後から伸びてきた手をかわす事は出来なかった。
伸びてきた手は、今度は逆にこちらの硬い腕を取る。
気づき振り返ると、閃光が見え―――ばちりと嫌な音がした。]
―――――――!?きゃあああ!!!!
[腕から伝わる、熱いほどの痺れ。
電撃のようなものを浴びて、四肢に痛みが走り動きが止まった。]
あ、ア………
[致死に至る様なものではなかったが、それでもサイボーグにはかなり効果的で。
カクカクと震えながら、その場に崩れるように倒れた。
ごんと、腰のあたりを蹴られても、立ち上がることは出来ない。]
「…死んだか?………で………ズューネなら…」
[交わされる声は、よく聞こえない。相手は一人だったはずだが、誰と会話しているのやら。どこかぼんやりそんな事を思った。
まだ生きている脳に、「ToTUNG」の文字が走っていた。]
あなた…雷を使うサイキッカー…
[倒れたまま細い声で呟くと、男は無言のまま、こちらが取り上げた武器を手から奪い返していった。]
[アヤメからの謝罪には、自分も喋るほどの余裕はなくて首を横に振ることで答え。
ただひたすらに走って、ふと先に佇む人影に気付き。
誰だかわかると安堵して名を呼んだ]
レッグくん、良かった…!
無事だっ、た…?
[駆け寄ろうとして、様子がおかしいのに気づき。
どうしたのだろうと心配して近付いた]
─アコルデ家・玄関前─
[援軍があるとは思っていなかったのか。
襲撃者は繰り出された蹴りを避けきれず、その手に握られた銃は音を立てて、落ちる]
……ちょっとの差での無事、ですけどね。
[上げる笑いは、僅かに乾いた。
乱れた露草色から見え隠れする、赤紫に気づく余裕は今はない]
エリカは、台所に荷物を取りに行くと……。
って、そう言えば、中から窓の割れる音がしたんでしたっけ!
中にも、何か入り込んでいるやも知れません!
―集会場内・医務室―
[男はこちらの弾を止められることから余裕でいるのだろう、
にやにやと笑みを浮かべたままゆっくりとこちらに歩いて近づいてくる。
前方の男への注意をはずさぬままに、後輩のいる側、そちらには窓があったはずと思い出し]
ドイ!お前は窓から逃げろっ!
[牽制をするように、再度二発の発砲。
やはり弾は届くことなく、単発で撃つだけでは目の前の男には止められるのだろう。
後輩のほうは肩を抑えながら窓を開けるとそこから外にでていく]
「先輩、すぐに戻るっす」
[かけられた声と同時にリボルバーをホルスターに戻し、
四足で立ち前かがみ気味にいつでも動けるようにと、目の前の男と後ろで浮いている机に集中した]
そっちは楽しそうでいいな。こっちはいっぱいいっぱいなんだが。
[軽口を叩きながらも、考えるのはいかにしてこの状況を打破するかということ]
―住宅街―
……あ。ナターシャさん。
アヤメさんも、無事。か。
うん、良かった。
[名前を呼ばれると近寄ってくる影を見上げる。
少し掠れた声で言いながら頷いた。
握られたままの銃が持ち上がることは今はなかった]
先輩も安心だな。
[脇道からは不自然な程に眼を逸らそうとしている]
─アコルデ家・玄関前─
[構える銃の照準は襲撃者の額。
視線は外さぬままに主の声を聞く]
怪我が無いのでしたら何よりです。
……中にもですか、面倒な。
[舌打ちこそしなかったが、襲撃者に向けられる翠が細まる。
視線を外せないためか、主の目に気付くまでは至らなかった]
…マイルズ様、お見苦しいところを見せることをお許し下さい。
[ぽつ、と一言主へと向ける。
出来るだけ自分の身体で主の視界を遮るようにしながら、躊躇いなく銃の引き金を引いた。
一発の銃声の後、やや時間を置いてから地面へ何かが落ちる音がする]
中を見て参ります。
マイルズ様はここでお待ち下さい。
[襲撃者が取り落とした銃を拾い上げながら主に告げ、屋敷の中へ入ろうと歩を進めた]
―住宅街―
あ、あの……なに?
[口を開くも、それは相手のヒステリックな声に遮られた。
捲し立てられる言葉の羅列が何を意味するのか理解できずに瞬いて。
なんとか聞き取れた『サイキッカー』『義務』の単語、極めつけにはこちらに向けられる銃口。
そこまで来て、漸く理解が及んだ]
……い、いや、まって!ちがいます、よ!
おれはサイキッカーとかじゃな、
[必死で言葉を紡ぐも、相手の耳には届いていない様子で。
銃声が一発、鉛の弾が眼鏡を掠め、頬に赤い線を作った]
―アコルデ家・台所―
[ぐったりと動かないままでいると、ごりと頭に何か硬いものが当てられた。
――打たれるのかしら。
どこか他人事のように思っていたら、ふいにその感覚は離れてゆく。
侵入者は次なる人の気配に気づくき、エリカに向けた銃を入り口に向けなおし、待ち構えていた。]
─アコルデ家・玄関前─
ええ、本当に。
悠長に怪我なんてしてる場合じゃないですから。
何が起きているのかはわかりませんが、色々と、見境なくなっているようです、ね。
[家の中から聞こえる音は、いつの間にか途絶えている。
それに、嫌な予感を感じた所に告げられた言葉。
疑問を感じてその意を問うより先、視界が遮られ]
……非常時なのは、理解していますよ。
必要と思う事を行う際には、私に気を使わずに。
[銃声と、崩れる音。自分でも意外なほど、冷静な声が出た]
一人で大丈夫ですか、と言いたいところですが、私が行っても足手まといですかね。
……気をつけて。
[中を見てくる、という言葉。
小さく息を吐いた後、返したのはこんな言葉だった]
―集会場内・医務室―
[男の後ろに浮かんでいた机が突如こちらに向けて飛んできて、
すばやく横に飛び回避、そのままの勢いで男の足元をかけぬけようとし]
くっ…ごふっ……
[男の反応はこちらの予想よりも早く、横っ腹をけられて床を転がる。
苦痛の呻きと吐息が漏れ出し、床を転がる感触に体が痛む。
転がった先が入り口のほうだったのは不幸中の幸いだろうか。
痛む体に鞭打ちそのまま駆け出す]
このまま…逃がすわけにもいかないのだが……
[今のこの状況ではどうすることもできない。後ろから足音が迫ってくるのが聞こえるが、振り返る暇はなく、
集会場の外に飛び出し、少し進んだところで目の前に瓦礫が落ちてくる。
足を止めて、やや遅れて自分の左右にも瓦礫は落ちてきてちょうど囲まれる形に。
開いた側の方、集会場の方を振り返ると男は入り口に立っていた]
俺は犬じゃないから、檻はいらんぞ……
―住宅街―
私達のことより、レッグくんどうかしたの?
座り込んで…どこか怪我でも……っ…!?
[良かった、というレッグの様子がどこかぎこちなくて、不安から傍に近づいてしゃがみこめば、脇道に倒れ伏している骸に気付いて息をのみ。]
かるろす…くん…?
[知らず、ぎゅ…とレッグの肩を抱きしめて]
―― 住宅街 ――
……はぁ
…………はぁっ
[走った先に、見知りを見つけたのか
ナターシャが声を掛ける人物を見て
息を整えながら]
あぁ ……ノブの、 お友達、の
[ゆっくり、二、三度、頷いた。
二人の会話を、聴きながら
自身の手の中にある、拳銃へ視線を遣った。]
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