情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 エピローグ 終了 / 最新
[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [メモ/メモ履歴] / 発言欄へ
…絵筆を。
[背を向けたまま、感情を抑えた声が響く]
『絵師』が必要なら、僕が。
兄さんが……いえ、当代が戻るまで。
僕がそれを継ぎますから。
[周囲は一度静まり返る。
その言葉のみでなく。
振り返ったその首筋に浮かぶ、蒼の月に]
[事態を把握した周囲から、またぽつりと声が洩れ出す。
やがては倒れた『絵師』のことと共に、己のことも伝わるのかも知れない。
何処かを睨むような緑は、今はただ、微かな震えが周囲に悟られないことを願った**]
―海水通路―
あー、落ちないー。
[ごしごしと手を擦っても、少女の手から青は落ちない。
てのひら一面が青く染まって、視界が一瞬黒くなったことを思い出した。
黒は塗りつぶしてしまうから好きじゃない。
誰にも見つからずにここにきていた少女は、仕方ないとばかりに立ち上がった。]
ま、包帯でもまいとこっかな。
ミリィせんせーのとこにいって、もらってこよ。
……見せないとくれないってこともあるかな。
うーん。
[ゆらゆら揺れる、無重力の夢。
毎日のそれから目を開いて、体を起す。
昨日と全く違うのは、ヒカリコケが地面に散乱してキラキラと
必要以上に部屋の中が明るいこと。]
ぅふぁぁ。
[大きな口を開けて緊張感の無い欠伸を零し、
何時ものように支度を整えると、
何時ものように家の扉を開いて外へ出た。
屋根の上からせり出した岩が薄い暗闇を作る家の周りが
零れたヒカリコケのせいで、ぼんやりと、明るい。]
ハンカチにしとこ。
でも一応、ミリィせんせーのとこにいってみようかなー。
[ぐるぐるとハンカチでてのひらの青を隠すと、
その場をあとにした。
かすかに光る、ヒカリコケ。
岩場の間に隠されたのは、綿毛の雲と、あわく光る金の髪、そして
海の底のあおと、
空の上のあおい色――]
―広場―
え、新しい絵師様?
[きょとんとした。
話はちゃんと伝わっていて、ご兄弟でどうのこうのと盛り上がっている。
倒れたというのも、ミハエルが次の絵師だということも。
口を引き結んで、少女はアトリエの方を見た。
心配してるのかといわれ、こくりと頷くだけだったけれど。]
ミリィせんせーのところいかなきゃ。
うん、怪我しちゃってさ。
でも忙しいかなぁ?
[歌う声とテンポを合わせ、肩からかけた鞄が腰で跳ねる。
町へ出てすぐに、昨日とまた違うざわめきが
都市を包んでいるのが判った。
不思議そうな顔をして、箒を持ったまま話しをする主婦に近づくと、
当代の絵師が、とかなんとか話が聞こえた。]
えしさま。
[それでも少女は、今日はやる事があると。
キノコ畑の方へと、向かってぱたぱたと走って行った。]
え?
ああ、うん、意味がわかんなくってぼーっとしてた。
若作りの薬かぁ。
本当にそうなのかな?
ううん、なんでもない。
だってミリィせんせー、若作りするより絵師様と一緒にいたがりそうな気がしてさぁ。
ただでさえ幼顔なんだから。
[言いたい放題。]
はへ?
ああ、うん。
ほら、こんなかんじじゃない?
[不思議そうに声かけられて、ようやくその動きに気付いたのか、
少女は慌て気味に言った。]
絵師様のことお好きなんだから、
ミリィせんせーはきっと、お知らせを聞いて、倒れちゃったんだよ。
[キノコ畑を抜けて、水晶花の花畑へと。
その先の、水が湧き出る場所の川下で、
鞄に持って来た洗濯物を洗い始める。
水に浮かんだ水晶花の花びらを見て嬉しそうに笑い、
暫く冷たい水の中で手を動かしていた。]
♪レ アリシ スヴィルッパ
ヴェルソ イルシェーロ、
ヴォグリオ アンダレア ヴォラーレ
[歌声は、高く高く響く。
そのうち歌うことと、手を動かすこと
どちらがメインでやっているのかわからなくなる程。]
いったん家に戻ろうかな。
もしかしたら包帯は常備であるかもだし。
絵師様のアトリエ…
お見舞いいきたいけど、無理でしょ?
それにきっと、すぐ終わるって。
[じゃね、と、手をひらひらさせて*自宅へ戻る*]
― 図書館 ―
[今回やってきたのは伝令ではなく、都市の上層部を担う一人だった。絵師が封じられ、同時に継ぐものとして、ミハエルが名乗りをあげたこと、薬師までが倒れたことなどを、早口にまくしたて、かつての記録に、このような時の対処法が無いかと尋ねてくる]
ありませんね。
[あっさりと答えると、相手は絶句という形でようやく口をつぐんだ]
それで、ベアトリーチェのことは、どうする気です?
間違いだったのでしょう?
ならば、彼女の解放をミハエルに任せれば、彼の力を確かめる事も出来る。
[その言葉には、まだ無実と決まったわけではない、と、言い訳めいた返事]
なるほど、すぐに解放をしたのでは対面が保てませんか。
[笑みを含んだ声に、相手はむっとした様子になった]
ともかく、彼女は体力のない子供だ。もしものことを考えて診療所に身柄を移すことをお勧めしますよ。
[もしものこと、という言葉に、多少の不安を抱いたらしい相手が頷くのを見てから、更に言葉を継ぐ]
ミハエルが絵師として勤まるかどうかは、すぐに判るでしょう。
[やがて、難しい顔で客が帰っていった後]
どちらにしても、絵筆が二本揃わなければ、な。
[デスクの底から、小さな小瓶を取り出す。中には乾燥したキノコの粉]
もう、薬師殿に叱られる心配も無い、か。
[呟いて瓶を開け、直接、粉を吸い込む。五感の感覚を異常に高めると同時に、僅かずつの毒を体に貯める毒キノコが、急激に体を支配する]
[その感覚の導くままに、たどり着いたのは、ヒカリコケの狭間]
ここにいたか、エーリッヒ。
[あおに包まれた絵師の絵を見つめて、兄が死んでから一度も呼ばなかった、友の名を呼んだ**]
じゃ、糸つくってきまーす。
[新しい包帯を手にいれ、手のひらをぐるぐると巻いた。
あやしまれるかもしれないが、あの青を見られるよりあやしくはない。
海と空は、綺麗な青なのだから。]
―→糸工房―
―糸工房―
綿毛畑が駄目かぁ。
大変だね。
いつか綿毛と一緒に空にのぼるのにねー
「そうそう。男って野蛮よねー」
ねー
「で、それどーしたの?」
うん? この手?
ちょっとねー
ヘマやっちゃって
「また怪我したの? まったく鈍いんだから」
し、しかたないじゃんー。
よし、おわりっと。
[濡れた洗濯物の上に摘んだ水晶花を沢山乗せて、
彼女は歩く。踊るように、跳ねるように。
ざわざわとした町の人ごみは、割れるように彼女を避けた。]
〜〜♪
[鼻歌を零しながら、自宅に向けてあるく少女に
「絵師さまが」「診療所の薬師が」などと言う言葉が届く。
それから、小さな少女の名も。
だが少女は気にせず自宅の扉を、開いた。]
[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [メモ/メモ履歴] / 発言欄へ
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 エピローグ 終了 / 最新