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―湖畔―
んーっ。
[顔を擦って伸びをした。
湖にせり出した木の上。視界は開けている]
追いかけられなかったのは良かったけど。
きっと場所を特定できる手段とか持ってるんだよねー。
[ぶーらぶーらと枝に腰掛けた姿勢で足を揺らす]
……覚悟決めて先に潰しとくべき、かなー。
最初からそのつもりならきっと。
[相手に記憶の欠落があるだなんて知らない。間違いなく同人物という確証はない以上、敵討ちの大義名分があるわけでもなく。
戦う理由は『恐怖の克服』という部分に置かれていた]
他の誰かと戦ってる時に動揺しても馬鹿だし。
……ふつーに、驚くと思うけど。
[にこやかな呼びかけに、ぽつりと返す。
距離を一定に保つのは警戒か、それとも抱く困惑故か]
べ、別に、どーもしないよ?
具合は悪くないし。
疲れに関しては、ノーコメント。
わざわざコンディションバラす必要ないもん。
[コメント以前に、態度に出てます]
ま、そういうゲームですしねぇ〜
[暢気にどこか達観したものいいを口にして]
おや、身軽ですね。ロッドというのは術者が使うものが多いものですが
[やり過ごされたカードがそこかしこに突き立っても、風の刃が迫っても余裕さえ伺えるような口調で、カードを両手に数枚構え、風の刃を流すようにしながらふわり浮き上がり]
ではでは、私の手品を楽しんでいただきましょうか
[言葉と同時に指を鳴らせば、先程やりすごしてカルロスの周辺に突き立ったカードが焔を纏い。カルロスを飲み込まんと次々に破裂する]
そうけ?
無事に降り立てぇ手段あるけぇ、あげなことばしたんじゃがの。
[距離を置く様子ににやにやと口元を緩ませているのだが、仮面のお陰で表に出ることは無い]
そげに動揺ばしとってどーもせんっちゅーんは通じんがね。
今おまはんば襲う気ぃもなかしのぅ。
……なーんか気ぃなることでもあるんかいの?
[仮面の奥、闇色がエリカを見つめ細まった]
…始まったねぇ。
変な事してるヤツが約一名居るが。
[聞こえる声に小さく呟いて]
ま。
為さねばならない、為しても成らぬかも知れない何事も、てか。
じゃ、おじさんは遠巻きで見させてもらおうかねぇ。
[ゆっくりと足を向けるのは破裂音が聞こえた方]
知らなきゃ、驚くよっ!
[妙にムキになって言い返すも。
動揺を指摘されると、その勢いは飲み込まれ]
…………。
[銀の蔦の絡み付く右手が、揺れるロザリオをぎゅ、と掴んだ]
狐のおにーさん、は。
……何、知ってる、の?
[逡巡の後、投げかけたのは低い声の問いかけ]
─公園─
[昨日エリカとロザリーが戦闘を行なった場所。
そこで、カチカチと爪を打ち鳴らす。
戦闘時の力場の変化からそれぞれの血流量まであらゆるデータが収集され、情報として耳に入ってくる。]
……………だからどうしたー、って話だけどねぇ
[ただ、当人はすこぶる退屈そうであった。]
[ムキになる様子や指摘され勢いを無くす様子に小さな嗤いが零れ出る]
[その後に続く問われる言葉。何を示しているかは理解している。けれど]
…何て、何についてかいのぅ?
[わざと、相手に口に出させるように惚けた]
俺は身軽だけがとりえでねぇ。
[浮遊して刃を避けるのにも動揺は見せずに。
手品師の次の一手、手の動きを見つめ]
やべ…っ
[だから指を鳴らしたときに僅かに反応が遅れて。
立ち上がる焔を風を起こすことで散らして、だけど足元、間近にあったそれは男の脚を焦がす]
いいもん見せてもらったぜ…礼は受け取ってくれよなぁっ!
[ロッドを旋回させて生むのは風の渦。旋風は左右に揺れながら真っ直ぐにディーノへと向かう。そしてもう一つ少し遅れて風の刃をその陰に隠すように放って]
[微かな哂う声に、僅かに眉が上がる。
それでも、続く問い返しに、飴色は再びゆらりと揺れて]
……何、って。
なんか、知ってる、よね。
ボクの…………じーちゃんにあたるひとの事、とか。
いろいろ。
[言葉を選び、再度、問いを投げる。
右手により強く力がこもっているのは、傍目にも明らか]
―湖畔―
よっと!
[くるりと回転して木から飛び降りた。
そのまま湖面を滑るように走って岸に立つ]
うん、大丈夫。出来る。
[自分に言い聞かせて大きく深呼吸]
[言葉を引き出せたことに、ふ、と言う短な笑い]
そうじゃのぅ…。
[少しばかり考えるような素振りを見せ。そして真面目な声で言う]
[とある、廃ビルの窓からソレを見ていた]
おやおや、燃えてるねぇ。
[結果、戦闘を行っている場所からかなり離れていたが、音は小さいが聞こえている]
風刃に巻き込まれるのも、あの奇術師に巻き込まれるのもゴメンだなぁ。
まったく。近づくのにめんどくさそうな相手だねぇ。
さって、情報収集終わりっと
[カチンと言う音と共に、スクッと立ち上がる。
んーと大きく伸びをすると、首をコキコキと鳴らし]
ひはっ……さぁて、そろそろ俺も遊ばせて貰おうかねぇ
[哂い、公園をあとにしようとする。]
……ふえ?
[返された言葉に、飴色はきょとり、と瞬く]
狐のおにーさんが。
ボクの。
じーちゃん?
[声は、少し、惚けた。
飴色は、惑ういろを宿して、表情を変えぬ狐面を見つめる]
お褒めに預かり光栄ですね〜
ですが、手品師として当然のこと。ですのでお礼はいりませんよ〜
[言って旋風を軽やかにかわすため動くも、その動きはカルロス一定の距離を保つ円周の動き。実質的な距離を置かなかったのが仇となる。
その陰に隠された風の刃に一瞬目を細めて、両手のトランプを喉と腕を相殺し流そうとするも、全て応じきれず頬と腹部が浅く切り裂かれる]
いらないといいましたのに、強情ですねぇ〜
[頬から口に垂れる血を舌でなめとりつつ、腕を大振りに振るうと、服からなのか手からなのか。あるいは両方か。中空にトランプが大量に放たれれば、それらは鈍い輝きを放ち]
風で散らすには重いですよ
[その言葉と同時にか。鈍く輝いたトランプより姿を変えた鉄球がカルロスに…というほどの精度もなく出鱈目な狙いのままカルロスの上より落下する]
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