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─中央部・廃墟─
[声を掛けられ、そちらに目を向ける。]
……あら? そういう貴方は、『狂犬ヴィリー』でしたっけぇ?
[何やらニヤニヤしながら、相手に向き直った。]
─外・廃墟中央付近─
そうだが…何か言いたそうだな。
[含みのある笑みに、不快そうに顔を顰めた。
グリズは『あらら、こいつぁ…』と思ったものの、とりあえず大人しく腰に収まったままだった。]
─中央エリア・通路→別ビルの屋上─
[戻った力の一部を使い、他の参加者の居場所を探る。とは言え把握出来る影の量は多くない。余力を残すためと、もう一つの理由のために]
………あら、これは。
ビルの屋上だなんて、また見物しにくい場所だこと。
[その把握範囲に入ったのは、既に戦いが行われているビルの屋上。鶸色が該当ビルへと向かう]
別のビルの屋上から拝見するのが良いかしらね。
水を差す心算もありませんし。
[次いで鶸色は手近な別のビルへ。それに這う影に手を当てると、その影を利用して一気に屋上へと昇った。そうして、いつものように屋上の縁へと腰を下ろす。戦っている者達を把握すると、口許の朱が弧を描いた]
[不快そうに顔を顰めたヴィリーにますます笑みは深くなり、]
いやぁ……えらく顔変わったねぇ。まるで別人みたい(くすくす
[スッと目が細まる。]
―中央エリア・ビル屋上―
[鴉に避けられた虎は、鴉のいた場所に着地した。
すぐさま飛び掛かろうと身を翻すところに落ちて来る一撃]
避けぇ、白雪!
[声を上げた娘は盾代わりの傘を閉じ、両手を柄に添える。
その下から現れる刀身に煌めきはなく、それが決して『新品』ではないことを物語る。
刀は右手に、閉じた傘は左手に握り締めたまま、鴉に接近]
たまにはええんとちゃいます、こういうのも。
[狙われた首筋を掠めながらも、後ろに跳びすさる虎は辛うじて攻撃を避ける。
それを視界に収めつつ、娘は鴉の片翼目掛けて刀を振るう]
ふん、だったらどうした?
別にあんたに何をいわれる筋合いはないね。
[別人だとばれる事より、ソレに対する対応が面倒だとはつくづく思い知った。
女の笑みに苛立ちが積もっていく。
カルメンは、主にとって嫌いなタイプの人種だった。]
…気に入らねぇな。
[今度は睨みつけるように見ながら、じりと半歩踏み出した。]
―中央エリア北端―
さあて、そろそろ他の人らもドンパチやってる頃合いだかいね。
[握り飯3個を収めた腹が十分にこなれた頃、んー、と大きな伸びをして立ち上がる]
戦闘の映像を見るには、あのビルに戻る必要があるだけども……。
[脳内に地図を浮かべる。
これから向かう予定の場所は西エリア。
最短距離で行くなら、中央エリア内を横切る形になる]
うーん……まあ、寄れそうだったら寄る。
誰かがこっちに向かって来るなら外に逃げる、って所だかいね……。
[独り言ちると、よっこらしょと立ち上がった]
―中央エリア内部へ―
―中央エリア・ビル屋上―
[繰り出した蹴りは僅かに毛皮を掠るに止め、標的を捉え損ねた身体は態勢を崩す]
……ちっ!
[舌打ち一つ。
和傘から現れた刃が狙うは己が片翼と覚ると]
ちょ、さすがにそれはなしっ!
[焦ったような、おどけたような声で言いつつ、刃を止めるように左の腕を翳す。
黒衣と、その下に巻いてある布が裂け、紅が散った]
てゆーか、あれですよ。
真っ向勝負好きなら、暗殺稼業なんてしてません、て。
[軽い口調で言う、右の手には漆黒の針が一本握られていた。
至近距離の接近、生かさねば損、と言わんばかりに、鋭い先端が紅雨の左の肩へと振り下ろされる]
別にどうもしませんよぉ?
ただ、わざわざ来るなんて酔狂だねぇ、とね。
[そして、半歩踏み出したヴィリーにますます目は細まる。]
……あら、やりますか?
[そう言うと、こちらはゆらりゆらりと歩を進める。]
─中央エリア・別ビル屋上─
[キラリ、キラリ。胸元のネックレスは煌めき続ける]
……あれは元々自律行動するものだから、模倣の彼らよりは楽ね。
[聞いたものが居れば首を捻りそうな、唐突な呟き。鶸色は隣のビルの屋上と、もう一つを見詰めている]
そう言えば、翼は元々持っているもの、だったかしら。
庇ったのは機動力の低下を防ぐためか、それとも別の何かがあるのか。
どうなのかしらね。
[それは隣のビルの屋上を眺めての言葉。一進一退の攻防とでも言うのだろうか。それぞれの応酬が続いている]
―中央エリア―
[そして、幾らか中心部に近い通路を通り過ぎようとした時。遠くのビルの屋上に、交錯する二つ――いや三つの影が見えた]
……あそこで戦っとる、だか!?
[ここからでは遠過ぎて、それこそ"影"にしか見えない。
かと言って近寄れば、今度はビルの高さが邪魔をする]
だども……もう少し……!
[物陰に身を隠しつつ、少しずつそちらへ近寄っていく。
しかし少女の足取りは、目標のビルよりも大分手前で止まった]
(『Lilith』さに『狂犬』さ……!)
[そこにもまた、一触即発の空気が流れていた。
どうせ二つの戦いを同時に見る事は出来ない、おまけに向こうは間近での見物は不可能――ならば]
(この二人の戦い……とくと見させてもらうだよ!)
─外・廃墟中央付近─
は、多かれ少なかれ、全員似たり寄ったりだろうが。
[酔狂、にだけ答えるように口を開き。
進まれた歩と、細められた目に口を歪ませ。]
いずれ殺り合う仲なら、いつやろうと同じ事だろうしな。
[腰のグリズに手をやった。]
グリズ!{1}番だ!
『へーい。無茶しないでネっと。』
[主の呼びかけに答えるように、抜き放たれた刀身はぐにゃりと歪み、形を変えてゆく。]
―中央エリア・ビル―
あらぁ、やっぱり嫌どすかぁ。
[掠めるのは笑み、舞う紅に目線が流れる。
迫る漆黒の針を一拍遅れて気付き、左肩を逸らすが、僅かな動きで避けられるものではなく]
っ。
[深々と刺さる針に、表情を歪める。
それでも握った刀を落としたのは、痛みによるものではなく。
空いた自身の右手で、鴉の右手首を掴もうと手を伸ばした。
その隙に体勢を立て直した虎が、背後から義足を振るう]
─外・廃墟中央付近─
[剣は二つに別れ主の両腕に絡みつくように収まるとグローブへと姿を変え。
その指一本一本に、50センチはある細長い刃がつけられた。]
『1番はシザー・ハンズだよー。まぁ当たりの部類?』
お前毎回中にハズレ入れんのやめろっつの!
『えー俺の唯一の楽しみだからヤダ。
はいはいあんま無駄口叩いてたらどやされるヨ?』
ちっ…!
[舌打ちしつつ意識はすぐさま切り替えられ。
カルメンに正面から向かうと、両方の手、10本の刃で切りかかった。]
―中央エリア外縁部―
[東の木々の中へと入り南からぐるりと移動した。
途中の岩陰で休憩を入れ、ようやく中央エリアへと戻ってきた。
誰かと遭遇するのを求めるように。だがそれはとても不自然だった]
誰とも会わない。
会わなければ手が出せない。
[零れた呟きは、鋭い者が聞けば安堵を感じ取れるもの。
そう、誰かと本気で遭遇しようと思うのなら、中央ビルに戻ってモニターで位置確認をするのが早い。なのに逃げている。外から見ればそう感じられるだろう行動を取っていた]
…とはいえ、いい加減このままというわけにも…
[ゆっくりと中央方向へ歩いてゆく]
―中央エリア・ビル―
……コレを失くすと、面倒なんでね!
[右の手、伝わる手応え。打ち込んだそれからは素早く手を離し、次の一針、と思った所に落ちる、刀]
何を……っととっ!?
[得物を手放す様子に一瞬戸惑うものの、背後に回りこんだ気配と、右の手首を抑えようとする動きに、それは飲み込んだ]
……はいはい、そこは企業秘密ですよっと!
[口調だけは軽く言いつつ、翼を羽ばたかせて宙へと逃れる。羽ばたきの音に紛れるように、翼とはまた異なる何かが大気を打つ音が微か、響いた]
ってゆーか。厄介だねぇ、連携攻撃。
[やや距離を取って着地しつつ、小さく呟く]
長期戦は明らかに不利、と。一気に、仕掛けていきますか、ねぇ……。
[言葉と共に低く身構える、その手には漆黒の煌めきが複数]
─中央部・廃墟─
[多かれ少なかれ……と言う言葉に、一瞬きょとりとするが、ニマリと笑うと、]
……まあねぇ♪
[そして、ヴィリーが腰の剣を抜き、その刀身が変形し爪になるのには一瞬ビックリした顔になるが、]
…………へぇ、面白いね。これは楽しめそう♪
[うっとりとした声を漏らすが、10の刃での斬り掛かりを後ろに跳んでかわす。
その手にはいつ抜いたのか、カードが一枚。]
「アタックライド──ススススラァッシュ!!」
[カードを十字架のカードスロットに刺し込みスライドすると、十字架の先端にぶぉんと光が宿る。]
えぇい!!
[そして、着地と同時に斜め一文字に十字架を振るうと、その軌跡で光の爪がヴィリーに襲い掛かる。]
―中央エリア・ビル屋上―
――そりゃぁ残念。
[企業秘密と言いつつ飛び上がる鴉を見上げ、傷付いた肩を押さえた]
気にせんでええ、白雪。
平気や。
[攻撃を避けられ、そのまま寄ってくる虎に言葉を向ける。
右手を伝い、紅が滑り落ちる。
刀を拾う様子は見せず]
一対二相手にようやりますなぁ。
流石は暗殺者、とでもいうべきやろか。
[離れた場所の鴉に向けるはあくまで笑み。
その様子には気付くか否か。
未だ血の流れる肩から剥がした右手に、刀の抜けた傘を持ち代えた]
─外・廃墟中央付近─
平和主義者に用はねぇ。
ここの総帥だってそんなもんじゃねぇのかっ。
[避けられるのは想定内。
だが見たことのない武器から放たれるモノには少なからず驚いた。]
『エネルギー弾かねェ?』
ちっ、面倒な!
[避けられた瞬間こちらも背後に飛び距離を取る。
十分に開いた間から軌道を見極め身体をずらし、光の爪から身をかわした。]
『背後から帰ってこなきゃいいけどネ。』
[不吉な言葉に後ろを警戒する心も残しながら。
再び距離を詰めようと、今度は大きく回りながら徐々に合間を詰めてゆく。]
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