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っ、ユリアン!
[主の急な動きに静止が間に合わず。
慌てて後を追ったが、無論狼の後についていくのは難しかった。
それでも行き先は容易に知れて。
もう殆ど人の居ない村を走り出す。
途中で自衛団に見つかりそうになり、かわしながら走ればたどり着くのは随分遅れた。
中には複数人がいる。すぐに中には入れない。
そっと、外から様子を伺う。]
[飛び込んで着地した低い態勢のまま、首を擡げて隻眼を投げかける]
…ああ、おっさんか。
筋張ってそうだがまぁいい。
──……お前の血、肉……俺に寄越せぇ!
[しゃがんだ態勢から鋭角に、床を蹴り出し真っ直ぐハインリヒへと飛び、異形と化した右腕を突き出す]
[飛びかかってはこられたが。不意をつかれたわけでは無く。手近にあった本を一冊引っ張りだして自分と異形の腕の間へとかざす]
…へへっ。そうガツガツすんなって。
仰せのとおり、年寄りなんでな。
肉も筋張って美味くもねえが。
喰ったら腹にもたれんぜ?
[覚悟を決めたのか、それとも恐怖が一回りしてしまったのか。口から出るのはいつも以上の軽口で]
[翳される本を気にも留めず、そのまま爪を突き出し]
もたれようが何しようが、今は傷を癒すための血肉が要る。
一人で居た不幸を呪うが良い!
[軽口には付き合っていられないと言わんばかりに、左腕も異形へと変え、横方向から切り付けた]
[中はユリアンと、そしてハインリヒしか居ない。
少し離れた所に人の気配があるが、おそらくこの館の主だろうか。
こちらに来られるとまずい。
壊された窓枠から、中に入ろうとして壊れたガラスで手が傷ついた。]
ユリアン…!
[気を逸らしてしまうかもしれなかったが、名を呼ばずにいられなかった。
表情は青い。今にも泣きそうな顔で。]
[両方向からの攻撃には、元々武術や護身術など知りもしない素人ゆえに、あっさりと胸元を横になぎ払われて、勢いよく後ろへと転倒する]
…は、っはは。っくそ。いってぇ…。
…いってぇじゃねえかこの野郎!
[せめてもの反撃と手に掴んだままの本をユリアンに向かって投げるが、それも力の無い放物線を描くのみ。書物で知った狼を撃退する為の銀の武器もあるわけもなく。この状況で自分が生き延びる術は、騒いで時間稼ぎをして誰かが来るのを待つしか無く]
力無きヒトが俺に敵うと思うてか?
[あっさりと吹き飛ぶハインリヒを見下し、口端を吊り上げる。
爪についた紅を舐め、飛んでくる本を首だけで躱しながらゆっくりとハインリヒへと近付いた]
…諦めて、俺の血肉となれ!
[ざくり、と骨の少ない腹部を狙い、薙ぎ払う。
内臓を引きずり出そうと爪を宛がった時、何かに反応して視線を上げた]
……ちっ、流石に気付いたか。
[こちらに近付いてくる足音。
これだけ派手な音を出していれば、見つからないはずもなく]
ここで捕まるは得策じゃない。
命拾いしたな、おっさん。
……いや、その傷じゃ長くも無いか?
[くく、と低い笑いを漏らす。
立ち去ろうと振り返れば、そこにはイレーネの姿]
…行くぞ。
[静かに告げて、窓から飛び出す。
イレーネを抱え上げると、纏う紅もそのままに、再び工房へと*駆けて行った*]
[気配は近づいてくる。その事に恐れを抱く。
守護者は危険だと、それは散々口伝で伝えられてきた故に。
それに主が気づいて手を止めてくれた事に、心底ほっとした。昨日のように、狂乱に身を任せるようなことが無くてよかったと。
ユリアンに抱えられる際に、傷つき倒れるハインリヒをちらと見た。
嫌いな人ではなかった。優しくしてくれた客だった。
だが敬愛する主らに比べれば――塵に等しい。
人を恨むような、主の餌とならなかった事を嘆くような、そんな視線がほんの僅かの間だけ向けられたが。
ユリアンに抱えられて工房へと連れられて行く。
手には微かに傷ついた赤をつけたまま。
これなら食べてもらえるだろうか、そんな事を*考えながら。*]
[意識が何度も遠のきかけるが、胸元と腹部に走る鈍い痛みがそれをなんとか食い止める]
…はは。助かったのかね。こりゃ。
あの野郎…中途半端にしやがってよ…。
年寄りの肉が食いたくねえなら、最初から素直にそう言えってんだよなあ…。
[腹部に手を伸ばせば、ぬるりとした感覚と共に生暖かい血が掌に絡み付く。それもすぐに冷めていき。]
ああ、俺、もう死ぬんかな。こ…れは。
やだ…な。死…ぬのは…。
[震える手で胸ポケットから煙草を取り出し、咥えて火をつけようとするが。血で湿った煙草には上手く火がつかず、結局手からこぼれ落ち]
ああ、あれ…だ…な。
お、れ…詩人だもん…な。
こういう時、時こそ…なんか…詩を…。
[閉じかけた目の映るのは窓の外に広がる切り取られたような空の色]
あぁ…ほら…ミリィ。今ならお前がい、言ってた事判る気がす、する。
[この空を母親に伝えよう。そのための言葉を紡いでいこう、そう決めてはみたものの]
あ…は。やっぱり…なんにも、お、おもいつかねえや。やっぱ…駄目だねぇ…お、俺は。
[その言葉を吐いた後、意識が*途切れた*]
─昨日/自衛団詰め所─
[自衛団の詰め所を訪れ、宿であった事を話す。自衛団員たちはいきり立ち、討伐隊を派遣しようとするが、それは押し止めた]
相手の戦闘力を甘く見るな。
それより、あんた達は他の連中が巻き込まれないように、しっかり守れ。
[では、人狼はどうするのか、という問い。
それに対し、浮かんだのは静かな笑み]
異端を制すは異端が役目。
古よりの盟約に基づき、守護者の……メルクーアの血を継ぐ者が、対する。
……心配するな。最悪でも、相打ちには持ち込んでやるさ。
[静かな言葉に、自衛団員がどんな反応をするかは確かめもせず。
ユーディットの亡骸を預けてそこを離れた。
次に足を向けたのは、共同墓地。
両親の墓の前でしばし祈りを捧げてから、自宅へ。
帰って間もなく訪ねてきたハインリヒの求めに応じて書斎へ案内した後は、自室に戻った。
目に入るのは、完成間際の曲。
しばしの逡巡の後、鍵盤の蓋を開いて、ゆっくりと、ゆっくりと旋律を辿った]
Eine leere Entfernung.
Ich baue einen Regenbogen.
[零れたのは小さな呟き。そのまましばし、現実を忘れるかのように音を紡ぐ事に専念した]
[そんなこんなで、眠りに就いたのは明け方近く。
『力』を用いた疲れもあってか眠りは深く──それ故にか、気づくのは、遅れた]
……っ!?
[窓が破られる音。叫び声。書斎から聞こえる、尋常ならざる気配。それらを感じた感覚が目覚める]
まさか……ち、いい根性してやがるっ!
[苛立たしげにはき捨て、書斎へと走る。
扉を開け、目に入ったのは──紅]
……っ!
ハインリヒさんっ!
[窓の向こうに、駆けて行く気配は感じていたが、今は追うよりもする事がある、と倒れた傍らに屈みこむ。
自身の持つ知識だけでどれだけの事ができるかはわからなかった。
一応、護り手の勤めの一環として、簡単な知識は身に着けてはいたけれど]
……ちっ……。
上等だよ……!
[苛立ちを込めて吐き捨てつつ、ともあれ今は応急処置に専念する。
救えるかはわからない、けれど。*何もせずにはいたくなくて*]
─回想─
[目の前の光景に圧倒されて。足がすくんだまま何もできなかった。
異形の姿を晒し、逃げていくユリアン。いつの間にか消えたイレーネ。
そして、朱く染まったユーディットと、抱きかかえるエーリッヒの姿。
家にくるか?というエーリッヒの問いには、目を伏せて]
うん。あとでお邪魔するよ。兄ちゃんは先に帰ってて。
[そう伝え、宿屋に残った]
[ちょこんと椅子に座り、ぼおうっと店内の様子を眺めている。視線の片隅には、テーブルでノートを眺めているブリジットの姿が映っている]
…ユリアン兄ちゃんも…狼だったんだ…先生だけじゃなく…
[小さく呟いて、うつむいた。ぼおっと、以前工房で何度か会ったときの事を思い出して。
その幻影を振り払うように、首を横に振る]
でも…ユーディ姉ちゃん…殺したのも…兄ちゃん…
[少し首を起こせば、床に残る血の痕。目をそむければ、カウンターが目に入る。
よく食事を食べに来ていたこの宿屋にも、誰の姿もない]
女将さんも…ノーラ姉ちゃんも…アーベル兄ちゃんも…狼に殺されちゃった…
[再び視線を動かす。目に入ったのは、2階へとあがる階段。
さっきまで2階の部屋で、イレーネと話していた会話を思い出す]
『終わらせないと』
[イレーネと共に語った言葉。
終わらせるということは、狼を──ユリアンを殺すこと。
その考えに思い至れば、目を伏せるが]
でも、終わらせないと。
[小さく呟いて、顔を上げる]
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