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―宿屋食堂―
……。
[幼馴染が怒鳴る声が耳をすり抜け遠くに届く。
ただ「子が」、という言葉だけが、本能のように耳に残った。
それでも立ち上がるまでには至らずに。
目線を合わせられ、囁きかけられれば、
ようやく頷く事で反応を返した。]
……っ、ぅ。
[涙ばかり出て、殆ど喋る事は出来ず、
幼馴染の顔を見る事すら出来なかったが。
手を借りればようやく立ち上がるが安定はせず、ふらと体は傾いだ。]
[悩み返された言葉にこちらも首をかしげる]
へ?そりゃ、別にどっちも人間ってこともあるだろうな。
疑われる話の元ってのは、片方人狼って話だろ?論理がそのまま通るってのは、そういう話だろ?
[ミハエルがどう思ったか、彼がどんな誤解をしたかを自分は知らないが首を傾げながら]
一番がミハエルの手にかかんなくても、だ。
[彼の一番が誰かは知らないが]
人狼の方は待つ気なんてないんだろうしな。
そもそもおとなしくしてりゃ、こんなことにもならなかったんだしな。
一番大切な人に生きてほしいってのは、当然のことなんだろうけどな。
[いつか、アーベルと話したことを思い出し]
一番大切な人が人狼だったら、悩むかもしれないけどな。
[その言葉は彼に与えた誤解を深めたかもしれない]
―宿屋食堂―
[傾ぐ幼馴染の身体。
慌ててイレーネを優しく抱き止める。
彼女と彼女に宿る子を案じての行為]
肩貸してやるから、ほら、掴まれ。
――…歩けるか?
[ゼルギウスが居なくなった今、
自分が彼女を守るしかないのだと思えば
嘆いてばかりもいられず深緑が真っ直ぐ前を見据える]
そうなのか?
[ミハエルとゲルダの言葉に首をかしげて]
ゼルギウスが嘘を言ってた可能性……
んー、でもそれって調べる方法ねぇんだろ?
[アーベルが占い師であることは、たとえ幼馴染が相手でも今は知らせるつもりはなかった。
これが自分のことだったならば、明かすこともあったのかもしれないが]
別にゼルギウス疑うってわけじゃないけどよ、その見る力のやつがいないってこととかあるのか?
[自分よりも詳しいらしい二人にそう尋ねた]
―――…僕の憶測にすぎないけれど
[アーベルの言の通りならばと娘は想う。]
ううん、考えてみればとても単純(シンプル)だったんだ
………だってね
[ミハエル、ベッティ双方を見詰めて
少年から結果が返ると、嗚呼と呟く。]
僕がゼルギウスさんの立場、ならだよ
――…結果か如何あれ、イレーネさんを真っ先に識ろうとするはず
あの人は、いとしいひとを必ず守ろうとするだろうから
誰かに話すにしろ、秘匿するにしろ
そうでないのは何だか違和感があるのだよ
…若しかしたら最初から識っていたとも、考えられるけど
―宿屋食堂―
[深緑の視線に、返す青色は涙と嘆きで濡れた分揺れていた。]
……ぅ、。りが…。
[うん、という返事も、ありがとうという礼も、
詰まって満足に伝えられなかったが。
支えられ、大人しく身を預けるのは
ふらつき傾ぐ身体が満足に動けない現状を知ったのと、
それ以上に幼馴染に信頼があったから。
歩き出す、という目的があれば流れる涙も一度は止まり。
ゆっくりと、借りた部屋まで連れられていった。]
いや、ゼルギウスが自分で視たものが前提になっているから、片方が人狼と言う話では無い。
ライヒアルトが人だと分かっているから、何かあればアーベルを疑うと言う事。
しかし疑うと言うことはアーベルが人狼であると言うことに直結にはならない。
ゼルギウスはまだアーベルを視ていないから、人狼であるかは分からないままなのだよ。
……視点の違いなのだろうか?
僕が言いたいのは、ゼルギウスはライヒアルトを人だと言ったが、アーベルを人狼とは言っていない、と言うことだ。
ベッティの言い分では、確実にどちらかに人狼が居ると言っているように聞こえるのだよ。
[これで伝わるだろうか、と首を傾げた。
視点の違いと言うのは、ベッティがゼルギウスの言葉を信じていないように思えたため。
自分は、ゼルギウスの言葉を信じていたために]
他の人の手に掛かりそうなのであれば、それは勿論止める。
人狼の手にかかってしまうなら、流石に止める手立てが無いが。
どちらにせよ、僕は僕の信じた道を行く。
その結果がどのようなものになったとしても。
行動しなければ、何も結果は生まれないのだよ。
[最後の言葉の返答も含め、そう言葉を紡いだ。
こちらもベッティの大切な人が誰なのかが分からないため、それ以上の口出しはしなかったが]
[守る者がある獣は狩る事を躊躇わない。
例外があるとすれば――
それはもう一人の幼馴染と、金の髪の少年。
涙に濡れる青色に深緑は困ったような貌をする]
今は何も言わなくていいから……。
[イレーネを部屋まで連れてゆけば寝台に寝るよう促して
青年は一人食堂へと戻る事となる]
んーー、視点か……、論理的な問題だと思うな。
[ミハエルの返答に考え込んでから]
この場で疑うって話は人狼かどうかだ。
残った方が人狼ってのがそのまま通るならって言えば伝わるか?
[がしがしと頭をかいて]
んー、私の言葉が悪いみたいだな。
[素直に、そう思った。
ゼルギウスのことを疑う気持ちは確かに、根底にあったのかもしれない]
居ない、と言うことは無い、と思う。
この手の話は伝承でしか知ることが出来ないから、確信を持っては言えないが。
[ベッティの問い>>41には歯切れ悪く答える。
ゲルダの憶測>>42を聞くと、しばし考え込んで]
……あれ、言われてみれば……。
仮に人狼だとしても護ろうとするなら、視ておくのが良い、のか。
[考える程に納得出来て。
途端不安げな表情を浮かべる]
最初から知っていたとしても、団長のように徴を持っていなければ確信するには難しいんじゃないか?
もう一つ可能性があるとしたら、ゼルギウス自身が、人、狼……。
……人狼、だったなら、他は人だと、直ぐ、分かる。
[思い当たった考えに蒼白とも言える表情になった]
こう考えた方が…僕からすれば、しっくりくるかな
識ろうとした動機を考えても好くはないかい?
[どちらかが本物、なんて娘は知らない。
憶測の域は出ないがミハエルからの結果を聞けば、
ゼルギウスに些細な引っかかりを感じていた。
アーベルも先程、可能性を見出したばかりであるからに、
何が正しいのか解らない所ではあるのだが。]
…其のあたりは本人にもう一度聞いてみる必要があるね
兎に角戻ろうか…ライヒ君に心配されちゃうよ
[二人が話を続けるなら、自分はそれを聞くつもりで。
急ぎ早に帰路につこうとした]
― →宿屋 ―
居ないことは、か……
[アーベルかゼルギウスのどちらが本物か、自分の中で天秤が傾くのは考えるまでもなくアーベルの側、
それでも、ゼルギウスが嘘をついてるならば、ミハエルの推測の通り人狼ならば]
ユリアンは……あれだったけどよ…、
ミハエルやライヒアルト残して人間だって言って、他の人を殺して……、
それってイレーネやゼルギウスが死ぬ可能性増えないか?
[疑問に思うことはそこだった]
ライヒアルトは、イレーネの幼馴染だとして……。
でもそうだと、ゲルダが言うようにイレーネ人間だって言っておいたほうがいいのか……。
[んーーと考えてながら答えはすぐにはまとまりそうになかった]
―宿屋 個室―
…………。
[泣き顔も嘆きも、困らせているのは解っているので、
言われるまま言葉は出さずに、ありがとうと震える唇が動いて空の言葉を紡いだ。
促されるまま、大人しく寝台に横になるのは心の疲労に耐えかねたから。
そのまま目を閉じても眠る事は出来なかったが、
何も考えなければ、子供の胎動だけが身体に響いて
今はそれだけを安らぎと希望に変え感じとり、死んだように動かなかった。**]
いや、こっちも悪かった。
いろいろとな。
[そう素直にミハエルに謝り、後悔との言葉には]
それも、そうだな。
[あのときの様子を思い出して、ふとくしゃりとミハエルの頭を一撫で、
ゲルダからの言葉にも頷いて、宿屋へと3人連れ立って帰るだろうか]
僕はまだ、知らないことが多いな
[手にした情報はそう多くは無い。
想うところはあるものの、其れ以上は口にせず。
ベッティがミハエルの頭をなでるのに淡く笑みを浮かべながら食堂へと娘は向かった。]
― →食堂 ―
ただいまなのだよ
[皆はもう上に上がってしまったのか。
ライヒアルトの姿を見つけるとそう返事をして。]
あの…ゼルギウスさんはどうだったのかい?
─ →宿屋─
イレーネを視て人間だと他に知らせたら、隠れ蓑の無くなった人狼が襲いかかる可能性を考えたのではないか?
まぁそうだとしても、視ないと言う手は無さそうではあるんだが…。
[ベッティの疑問>>52そう返したものの、自分の中のゼルギウスの順位は揺らいでいて。
不安げにしていると、ベッティにくしゃりと頭を撫でられた>>54。
一瞬きょとんとしてから、感謝するように小さく笑んだ]
[帰路につきながら、ゲルダの言った考え方を頭の中で纏める]
(知ろうとした動機……何故最初に僕を視たのだろう。
僕が子供だったから?
ユリアンについては、視ることが出来ると悟られてそうだったから、と言っていたな。
じゃあライヒアルトを視た理由は…?)
[思考する間にも宿屋へと辿り着き。
ゲルダ達と共に宿屋の中へ]
―宿屋食堂―
[ゼルギウスは既に自衛団に連れていかれてしまった。
ぽつと食堂の壁に背を預け他の者の戻りを待つ。
イレーネの潔白を証明しようとしたゼルギウスの言葉>>2:126
彼がどれほど彼女を案じていたか、それを知る者はもう少ないか]
――……。
[深緑が伏せられる。
場の空気はとても重い]
―→宿屋・食堂―
んっ、まぁ全員に知らせるならそうなるな。
[ミハエルの言葉にそう頷いただろうか。
宿屋に着くとゲルダの言葉、ライヒアルトの方を見ながらその答えを待つ、
どこか祈るような風もあったかもしれない。
自分が聞いた伝承がすべて正確ならば、どちらかが本物でどちらかが偽物。
見極めるために話を聞きたいという思いと、胸中にある罪悪感とが入り混じってのこと]
―宿屋食堂―
[ゲルダの問い掛けに漸く瞼を持ち上げる。
深緑が彼女を映し、その柳眉が寄せられる]
間に合わなかった。
ゼルギウスは、死んだ。
[ミハエル、ベッティと続けば紡がれた言葉]
─宿屋・食堂─
[食堂にはライヒアルトが居て。
ゲルダが問う様子に翡翠をライヒアルトへと向ける。
しかしその返答を聞いて、翡翠は大きく見開かれた]
ゼルギウスが…死んだ…?
間に合わなかったって、そんな。
[信頼が揺らいでいたことなど今は忘れ、知らされた事実にただ*驚愕する*]
[重い雰囲気に、自然と、つむがれる言葉は予測がつき、
そして告げられた言葉]
そっか……
[なんとか、そう言葉を呟き]
イレーネは……?
[下唇の裏をぎゅっと一度かんでから、その身を案じるように尋ねた。
宿屋に一緒に戻ったアーベルの様子はどうだったか、どこかすがるような目を一度アーベルに向けたかもしれない]
― 宿屋/食堂 ―
そん、な………
間に合わなかった、のかい…!?
[おろりとしながらライヒアルトに問う。
寄せられた青年の柳眉が物語るようで。]
……イレーネさんは何処なのだい?
ゼルギウスさんの亡骸に、ついているとか…?
[ふと想い二階を見上げた。]
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