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[耳に届くライヒアルトの言葉には、やや表情固く。]
…そんな、特異な手段を持ちうる者が居るのか。
[声は硬い。それは信じられない、とさも言っているような様子に見えるだろうが、内心は。
ライヒアルトの示した存在。
見極めるもの、守るもの。
思い出すのは祖父の言葉。
ぞくりと、背筋に寒いものが走る。
これは予感だ。それも飛びきり悪い方向の。
かた、とカップを持った手が震え。
それを隠すように、反対側で持ち直し、イヴァンに渡そうとして。]
集会場の常備薬にしちゃえば良いじゃん。
村の皆で使えるんだから、そう言うのは寄付でも良いの。
[良く分らない持論を述べてゲルダの遠慮を押し留めようとする]
人狼なんて居やしないよ。
居るんなら証拠見せろっての。
出来ないなら居ないってことだろ。
[未だ信じては居ないらしく]
[きっぱりと言い放った]
ゲルダちゃんの料理は俺の薬よりも価値があるさー。
美味い飯を食えるのは幸せなことだよ。
何を作るかはお任せ。
どう言うのを作ってくれるかも楽しみだから。
[例示されると、それで良いよ、と笑み返した]
[頷く少女に軽く頷きを返して]
寝起きじゃないですよと。
ちょっと時間の感覚が無くなってて。
あー…大丈夫。たいしたことないから。
[だるそう、というのは否定するよにゼルギウスへと手を振った]
…、
[落ちた封筒]
[拾おうと動く手][止まった]
…そんな、まさか。
実在するとでも、言うのかい。
[答えにはならず]
[上げた眼][僅かな朱を捉えた]
[エーリッヒの声音に、幾莫かの疲労を感じ。
距離を詰めて、その顔を見る。
心配なのか、あるいは通り越しての怒りなのか]
起きたばかりか解らなかったから。
おはよう。じゃなくて、おはよう?
[疑問型だと言いたいらしい]
疲れてるみたい。エーリッヒ。
[猫、撫でられてやっぱりご満悦らしい。
主が構えない状況とわかっているからか、存分に甘える態勢らしい]
…………。
[一方の主はと言えば、イヴァンの説明に険しい面持ちのまま。
何事か、思案するように眉を寄せて]
ああ、いる。
……人狼自体、御伽噺などではないのだから、な。
[ナターリエには静かにこう返し。
渡りきらずに落ちたカップに、またか、と少し遠い目をした]
時間の感覚が無くなったってか。
丸でさっきの俺じゃん。
てことは、そっちも仕事してたな?
[自分もそうだったから、と当たりをつけてエーリッヒへと訊ね返す]
[何が楽しいのかは分からないが、訊ねかける表情はにっと笑みが浮かんでいる]
うん?
[まっすぐに見上げてくる少女の視線。
質問の意味を即座に理解することはできなくて見つめ返し]
…ああ、そか。俺はエーリッヒ。
はじめまして、と言った方が良かったかな?
[手が震えたせいか。
差し出した二杯目は渡しそこね、床に散った。]
あ…っ、すまない。
[片付けに手が出る前に、先に動いたイヴァンの背を見送りながら。
イヴァンが言った言葉を、確認するように口にする。]
…つまり、イヴァンのおばさんは元々狼を見極められる人で。
イヴァンにもその力が…?
[そういう事なのだろうかと。]
[イヴァンの話を聞きながら]
で、イヴァンはそのお母さんの血をついでるからその力があるかもしれないってことか?
[昨日からの症状という言葉にやっぱり具合は悪いのかよと呟いて]
にわかには信じがたいが、そもそも人狼事態の時点でな。
しかも人狼の敵と仲間のどっちかにねぇ…。
なんか使えるのか使えないのか…。
[ライヒアルトの返答が聞こえればそちらを見て]
いや、なに見つけるのは無理でも、事をおこさせなければ結果としてはなんとかなるだろう?
穏便に済むのならそれですむしな。
[深くため息をつき]
ただ、戦場でつちかってきたものとかは人狼相手じゃ通じないんじゃないなって思ってな。
[キュ、と微かな音。
右の手もまた、手袋に覆われる。
今は穢れなき、白]
ナターリエさんは、…死者をご覧になったそうです。
それは、人ではなく、獣の所業であったと。
今まで獣に襲われたという事例は、私は聞いていません。
[それ以上の「証拠」は、未だ口にせず]
万一に備えて、先んじて動くことと。
過ちを恐れて、黙して待つことと。
どちらが愚かと、思われますか。
[教えを請うように、教師たる男に尋ねた]
…あー。
[気付けばゲルダとの距離が縮まっている。
近寄れば袖口に残る削片があるのも見えようか]
まあ、ちょっとは、ね。
集中してたものだから…。
[バツ悪そうにゲルダを見て。
心配させてしまったかと、ごめん、と呟いた]
[ベアトリーチェの頭を撫でながら]
それじゃあ、皆でかくれんぼうとかな。
[冗談めかすように他の広間に集まった面々も見回しながら]
まぁ、くらい話ばかりしてるのもあれだ。
気分転換がてら、ベアトリーチェのためだと思ってどうだ?
かくれんぼうは冗談だが。
[笑いかけ再度ベアトリーチェの頭を撫でる]
……あ、すみません。
[落とした封筒を拾おうとしてくれたことに、遅れて、謝罪が口をついて出る]
[――人狼を悪しき存在。
証を持つ者は、選ばれし者は、獣を滅ぼせと。
その事を説く手紙]
穏便に、か。
[マテウスの言葉に、一つ、息を吐く。
それに対しての否定も肯定も、返しはしなかった]
戦場の経験、か。
……時と場合によっては……かもな。
ちょっと暇潰しがてらにね。
暇潰しと言いながら集中しちゃってさっきまでやってたわけだけど。
[人懐っこい笑みを浮かべながら、後ろ頭をぽりと掻いた]
立ち話も何だし下行かね?
俺腹減ったし。
[エーリッヒを始め二階の廊下に居る者にそう提案し]
[階下を指差した]
[厨房から再び広間へ。ふきんを持ってきて床を拭き始める。残念ながら雑巾とふきんの違いを気に止める男ではなかった。たとえ普段の精神状態だとしても
床を拭きながら、ふと、顔を上げて聞いていた者たちに]
ただし、俺が人狼と聞かされたせいで自己暗示にかかってしまったのかもしれん。
そのへんは、正直自信がない……
[床を吹き終わると再び厨房へ。ふきんを洗って干し直した後にもう一度、広間へ戻る]
―二階廊下―
[痛み止めは自分の(とは言っても他者にあげるつもりだが)ものにするつもりだったけれど、曖昧にゼルギウスの提案に頷いた。
人狼を信じていないというきっぱりとした口振りに、ほんの少し、翠の眼差しが嬉しげに細まった]
食べて、美味しいって言ってもらえるのは、あたしも幸せだから。
等価かもしれないですけど。
でも、ありがとうございます。
[再度、頭を下げて、階段の方向へ歩みだす]
……その辺りは、『見極めて』みればわかるだろうさ。
[自信ない、というイヴァンに向け、静かに告げる。
見極める者。
彼が正しき力の主であるか否かは、今はわからないが]
……いずれにしろ、悩んでいたところで、その答えは見えん。
というか。
今更だが、ふきんで床を拭くな。
[最後に入るのは、日常的突っ込み]
暇つぶしか。
俺はちょっと持ち込んできたものを、とね。
[少しばかりの焦り。それは自覚があるよなないよな]
そうだな、俺も何か飲もうと思ったんだった。
ゲルダも、エーファちゃんも行かないか?
[ゼルギウスの提案に同意して、女性達にも声を掛けた]
獣、に?
[姿勢は変えず][繰り返す]
それで人を集めるとは。
やはり本気で、信じてるのか。
[自警団は]
[裏口に眼を遣る]
…さて。
備えあれば憂いなし、とは言うが。
問題は、どう備えるのか…だね。
第一確証も無い。
[小さく首を振る]
[思考を追い出すかのよう]
[イヴァンの告白、それらも頭の中に入れおいて。
手を口元に当てる。深く考え込む時の癖だ。
自信がないと不安げに言うイヴァンには、どう判断してよいのかこちらも困惑したままで。]
どう、なんだろうな。
間違って人を人狼だと言われると、それは困るわけなんだが…。
[無論逆も、と口にしないのは、僅かな可能性を残しておきたかったからだ。
とその合間にも、耳に届いたマテウスの台詞に。]
…かくれんぼ、って。
流石にもう、そうやって遊ぶ歳ではないからな…。
[はぁと息をつきマテウスを半眼で見つつ。]
暇つぶしにはならんだろうが。
何か食べるものでも持ってくるか。
[そういい残して厨房へ。]
ああ、いや。
[我に返り][封筒を拾う]
[中身を読むつもりはなく][けれど]
…『滅ぼせ』?
[渡そうとする刹那][見えた文字]
[小さく口から零れ]
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