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[どうにも出所不明としか思えない相手の自信に、男は肩をすくめた]
あんたが落ちたら俺が潰れるからなあ。
[言いながらもそこを退く素振りは見せなかった]
満月の度に狂うって病は本当にあるらしいぜ。症状の出方は色々らしいけどな。
[世間話のように言葉を繋ぐ]
[ボウガンを荷物にしまい、合図のためにと窓にたてかけておいた木箱を手に取ると。そのまま空を見上げた]
満月か。狼男と満月という組み合わせはよく聞くが、人狼というのにも関係あるのかね
[それは安易といえば安易な人狼という話題から浮かんだだけの言葉であっただけで]
さて、今日で拘留三日目。いつまで延びるんだか
[先を占うように、またコインを弾き手の平に乗せた]
[自らも勿論、アベルとリディのスープ騒動は知らない。]
[アベルが人参嫌いなのは知っていたが、好き嫌いは良くないからと、非情にも避けてはあげない。][少しくらい減らしはしただろうが。]
あ、そうだね。…カレー苦手な人、居るかな。
[ちょっと辛いとは、言わない。][むしろ自分にはこれ位が普通で。][むしろ少し抑え目にはしてあったりするのだが。]
[イレーネが水を用意するのをみて、こちらも皿を運び終わった後手伝いに入る。]
[カレーの独特の強い香りは、薬草に近いものがあるのか。]
[はたまた薬草慣れしてしまっているから、それを打ち消すような強い香りが好ましいのか。]
[食欲をそそる香辛料の香りに、嬉しそうに目を細めながら。]
……お前なー……。
[恐らくはわざとはぐらかしているのだろうけれど。
何度も繰り返すのも何なので、代わりに大きなため息を一つ]
っと……あ、ご苦労様だな。
[キッチンから戻ってきたブリジットとイレーネの声に、そちらを振り返ってねぎらいの言葉をかけるが]
…………。
[やっぱり、ニンジンに真っ先に目がいったらしい]
雨の日に古傷が痛む、とかもありますからねぇ。
満月の場合は、そうそう。ルナティックでしたっけ。それとも、ルナシー?
[それから下を向く]
確かにもし落ちたら潰しそうですね。
潰れないで怪我がないように助けてくれたり、なんていうのは虫の良いお願いですかねぇ…
食べ終わったら出てみようか
[言いながら、身を起こして声のした方へと振り向いて]
――な。
[まろやかなシチューとは異なる、少しツンとした、この匂いは。]
[何とか、誰かのようにはならずに済んだ。
椅子から離れて、すさささささ、という擬音が似合いそうな動きでアーベルのそばへ]
……アーくん。
報復じゃあないよねえ?
[思わず、耳打ちで尋ねた]
あ、ありがと。
カレーかぁ。
[暖炉の前、にこにこと振り返った。まではよかったのだけど。]
・・・・・・
ね、あのさ。
その緑って。
[不幸なことに、少女の視力は良かった。特に、グリンピースという名の敵への視認能力はずば抜けていた。]
……お前。
[ユリアンの耳打ちに、小さな小さなため息を]
あの輝くオレンジ色を見た上でも、そういえるかっ……。
[声は多分、震えていたかも]
伝説ってやつも、馬鹿には出来ねえってことかね。
[男は短くなった煙草を壁に押し付けて消すと、足元にぽとりと落とした。踏み固められた硬い雪の上に黒い灰の染み。頭上を見上げて神父と目を合わせるとにやりと笑う]
お・こ・と・わ・り・だ。
[出来ない、とは言わずにそう宣言して、建物の中に姿を消した]
そうか、満月…。
[差し込んでいる銀光に小さく呟いて]
…どうかした、の?
[見たとたんに固まるアーベル、ユリアン、リディへ小首を傾げた。
食べれば自分も辛さで涙目になるだろうことなんて、今は知らない]
ぇあ?
[言われて、視線を走らせる。
カレー独特の、濃い色(微妙に赤みを含んで見えるのは気のせいだと思いたい)に紛れてよく見えないが、ブリジットの言葉からも、意味は理解した]
……でも、アーくんは避ければいいからいいじゃない。
僕なんて、ミルクかけるとかしかないんだし……!
[ぼそぼそぼそ。]
かもしれませんねぇ。
[目が合った]
……ハインリヒさん、酷いと思いま
また後で。
[そのまま去って行く彼を見送る]
[そして再び天に目を移した]
満ちましたねぇ。ああ、本当に
[コインの結果を確認して、懐に入れると、窓を閉め、木箱を背負って
窓を開けたままで冷えた体を暖めにいこうと広間へと行った。
暖かく香辛料のよい香り漂う広間へと顔を出し、暖炉に薪をくべる…と同時に受け取った紙もさりげなく、火の中に入れて。席に着き]
―広間―
よう。こんばんはだ
[と広間にいる面々に声をかけた]
[ユリアンとアベルが仲良く、何事かを囁き合っているのに首を傾げながら。]
[何だか笑顔の固いリディには。]
アオエンドウ。
[グリンピースの別名を言ってみた。][他意はない。]
[言葉は風に攫われた]
[風は冷たくくしゃみが出た]
…さむいですね。
食事、用意されてるでしょうか
[窓を閉めて部屋に*引っ込んだ*]
[随分と長く散歩していたようだ。
気付くと体が寒くて芯から凍えてくるような感じがして、手先が震えてしまう。
思わず両手を口に当てて、ハァと暖かな息をかけて暖を取ると、急に空腹が訴えてきた]
戻るかな。
[自分自身で立てたおかしな仮説の所為で、うじうじと頭を悩ませていたのが馬鹿らしい。
...はゆっくりと足を集会所に向けた。
すると、容疑者とは言え領主の息子である...を心配していたのか、集会所の扉を警護していた自衛団員が駆け足で寄ってきた]
「ミハエル様! お戻りが遅いので心配いたしました!」
[しかも、よりによって大声で、彼に様をつけて敬礼をしたものだから、...は大きな溜息と一緒に顔を手で覆った]
……一応身分は隠していますから、そういうことは大声で言わないでください。中の人に聞かれたら色々と面倒が起きるともかぎらないのですから。
「は! 失礼しました!」
[どうやらわかっていないようだ。仕方なく肩を落としながら、...は集会所の中に入った]
[男が台所に戻ると、独特の香辛料の匂いが鼻をくすぐった]
カレーか、美味そうだな。俺にも貰えるか?
[ちなみに好き嫌いは無い]
――どうもしないよ。
[にこやかにイレーネに答えた]
[どうやらブリジットだけでなく、イレーネやノーラも手伝ったらしい]
[広間に来たマテウスに、こんばんはと会釈して。]
丁度よかった、夕飯出来たから、よかったらどうぞ。
[並べたカレーを見せながら。]
[戻ってきたハインリヒにも、どうぞ沢山ありますからと、嬉しそうによそい並べる。]
いや、それならそれでいいじゃねぇかよっ……。
[さすがに任せた手前、避けて、というのはやりにくいらしい。
リディと共闘するにも、向こうの敵は炊き込まれていてそれも難しいし、とか。
結構真剣かもしれない]
こんばんは。
[マテウスやハインリヒが入ってくればぺこりと頭を下げて]
はい、勿論。多めに作りましたし。
ねっ?
[ハインリヒへと頷き、最後は作った本人であるブリジットに小さく同意を求めるように]
あ、いや……。
なんでも。
[小首を傾げるイレーネに、誤魔化すように手を振って言いつつ。
広間に現れた面々に、こんばんはー、と引きつった声で挨拶を]
アベル、人参一応少なめにしたんだから、残しちゃ駄目だよ?
[先手を打ったわけではないが、釘を刺しておく。]
[別に意地悪をしているつもりは微塵も無い。]
[しいて言うなら、彼が養父の体を気遣うのと同じレベルの思いやりだったりする。][若干、迷惑だろうが。]
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