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いえ、一つですね。
長老殿にお伺いしたいことがありまして。
巫女殿が、いくらお一人でいたからといって、
そうそう堕天尸に遅れをとるなどと――そんな事態が、起こるのでしょうか?
[信じていない声音で、問いかけるは、毒のことば。]
あまり巫女殿に俺も詳しくないので、何もいえませんが
巫女殿と親しい方だったから、抵抗できなかった? と――
そう思っていますよ、俺は。
[ 聞こえた呟きに一瞬、目を伏せる。]
………楽しいと感じたのは気持ちは何処かに忘れました。
今は、もう楽しくはないですよ。
飛べるのが当たり前の私にはもうその気持ちはないでしょうね。
[ フォローしようとしたのか分からないが。
何となく、思ったことを口にした。]
どっちもお好きですか。
私には構いませんが、鷹の目殿には言ってはいけませんよ。
特に今のこの時期は。
[ そう言って人差し指を口元に当ててみせる。]
かわいそう……かな?
えっ、わ、何……っ!
[両肩を掴まれ揺さぶられれば、驚いて深紅の目を見開き]
だ、大丈夫……
……今は
[最後の呟きは聞こえない程度。伸ばされた腕に、ふと昨日噛んだ痕を探す]
……違う。陽光の、だから。
この島のひとのものでもない。
[鳥の形をしたひかりは、傍らに留まる]
普段は隠されているものも、
結界樹の内に封じられれば、恐らく、顕になる。
……だから、判ると思う。
ま、末席らしいけどね。
[何でもない事のように言いつつ、けらりと笑って]
……父上たちは、元々住んでた島で、『堕天尸』と関わって。
どうにか、清められはしたけれど、一人だけ取り逃したのに相当な恨みを買ったらしい。
その思念が、周りにも悪影響を出さないように……それから。
それぞれが持つ力を、確実に繋げていくように……って。
まあ、アタシは父上の……護り手の力しか、引き継げなかったんだけどね。
[ため息混じりに呟きつつ。窓辺による姿を、視線で追う]
今はって何だ?
だってお前今顔真赤だったぞ?
[細い肩を掴んだ自分の手にはっと気がつき、ぱっと手を離した。
その腕には、昨日カレンに張ってもらった絆創膏が張られているのは一目瞭然。]
あァ、いえ。
付き人殿は違いますよ
[いやにはっきりと狐は言う。
長老に何を問われても、面の下までは見透かせさせない。]
――俺はわかるようですから。
虚の気配が。
[声をひそめる。
緊張感を孕んだような。]
ええ、ですから聞いているんですよ。
誰が、巫女殿と親しかったのか。
教えていただけませんか――?
――……あァ、まだ俺の憶測ですけれどね。
そうか。
[この島の者ではない、という言葉に、安堵する]
判った…つまり、やはり封じる者は自分達で判断しなければならないということだな。
[声は沈んでいたかもしれない。けれどすぐに、真っすぐにエリカの目を見つめる]
その羽根も、君のその力も…暫くは隠した方がいい。
……そ、そう?
大丈夫……どこも、悪くない。
[ふるふると首を横に振り、早くなった鼓動を鎮めようと息を大きく吸って、吐く。放されたラスの腕に張られた絆創膏に気づくと、注視して]
……傷……ごめん、ね。
昨日は平気だって言ってた、けど。
[そっと腕の傷へと手を伸ばす]
[リディアの本屋にたどり着けば、オーフェンがやってきたことを話し、しばし、たわいのない話を楽しんだ。中央から取り寄せてもらいたい本をいくつか告げると、本屋を出る。空を見上げた]
……寄り道、していくかな。
[言うと、背に翼が現れる。風を捕らえてふわりと舞った]
あは
[フォローの言葉を聞いているのかいないのか。
それに言葉を返すことなく陽気な笑みを浮かべたままでいて]
そうなの?
どうしてなのかな〜。汚れたものがあるから、綺麗なものもあるのにね
あは、わかんない。でもわかんないのも楽しいね
[忠告はやっぱり聞いている節はなく、そして視線はロザリーの羽根から、新たに来た人へと注ぎ]
やっほ〜やっほ〜。何日ぶり?覚えてる?覚えてる?ネロ忘れた〜。あはは
……そうなる。
それでも…… 虚は、封ずるべきもの。
[金糸雀色の眼は細められて、
似た色をした鳥を見つめていたが、
向けられる眼差しに視線を返す]
疑われる対象と、
狙われる対象と成り得るから?
[窓の外に気配はない。
それでも警戒しつつ、窓辺側に背を預ける。]
………堕天尸。
奴等の繋がりがどうかは知らんが、確かに隠すべきだな。
まして…親父さんの力を受け継いだのなら。
[女親も何か力を持っていたのだろうが、それは問わず。
溜息を付く姿を静かに見る。]
今までずっと独りで抱えていたのか。
……力になれないですまん。
[静かに謝罪して、机に戻り杯を干す。]
[親しくしているという人たちの名前を聞き、狐はそう言って場を辞す。
浮かんだ三日月の笑みは、誰に見せることもなく、
ただすこし、わざわいの気配をまとう。
芽吹いた猜疑心の種がどう咲くか、愉しみにするように。]
やっほー、ロザリーちゃん。
それと――…、ネロ、だっけ?
[暫しの間を空けて、うろ覚えな名前を口にする。
友人と言う間柄を知りつつも、軽妙な口調で]
今日のお二人はデートで?お邪魔虫ならすぐに立ち去るけど…。
何の話してたのか、聞いてもいーい?
…ネロ。ちなみに、会ったのは昨日ぶりだ。流石にそれを忘れてんのはどうかと思うぞ。
…いや、楽しくないなら仕方ないのかもしれないが。
[エリカの言葉に頷く]
君はこの島の者ではない。
だから、疑いをかけるのも、狙うのも容易いだろう。
私は、君が真実を語っているという証を見たが、それを全ての者に知らせるには時が足りない。
まず長老に報せて、しかるべく身を守る手配をしよう。
それが整うまでは身辺に気をつけてくれ。
出来れば、聖殿に来てくれれば一番いいのだが。
[鼓動を収めようとする様は、やはり体調が悪いのではないかと心配げに見下ろしつつ、傷を心配されてしまった、という顔をする。]
いや、全然平気。
疾風に噛まれる方が痛いって。
[にかー、と笑った。]
護り手としての力は、自分には使えないからね。
隠れてるのが、一番手っ取り早かった……って事かな。
不便なモンだよねぇ……ホント。
[冗談めかした口調で言って。
謝罪の言葉には、ううん、と首を振る]
いいんだ、それは。
こんな話、おいそれとできやしないし……それに。
……この島の人には、背負わせたくなかったから、ね……。
[村の上空を舞う際、遠目に長老に狐の面の近づく姿を見る。しかし、特に疑問を持つこともなく、どちらも特に会いたい人物でもなく。そのまま、飛行を続けた。森とは逆に。島の涯、果てのない白の広がる、海の方へと]
確かにそうですね。
汚れたものがあるから、綺麗なものがありますね。
――――――…。
[ 顎に手を添えて、考える。
その時、見える右目が誰かの姿を捉えたようで。
こちらに近寄ってくる姿を見て会釈する。]
おや、カルロス殿こんにちは。
…ふふ、そうです、デートなんです。
……というのは冗談ですが。
綺麗なものと、汚れているものは好きかという話を。
[ そう言って背中の羽根を閉じる。]
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